大道幸之丞さんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

大道幸之丞

大道幸之丞

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ギリシャに消えた嘘(2014年製作の映画)

4.0

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豪華キャストがギリシア、イスタンブールと美しい街並みの中で事件が起こり巻き込まれ、追手から逃走するミステリー。

まずキャストがいい。爽やかさの中に一滴の邪心が走るオスカー・アイザックは登場した時点で
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日本の夜と霧(1960年製作の映画)

2.0

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これも青春群像劇に違いない。

『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』でうんざりして耳を傾けていた全共闘の細胞達の空疎な「ためにする議論」と変わらない。

よりによってそんな同志の結婚式で議論(
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

4.0

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本作もまた監督好みの中流以下の市井の人々の物語である。今回も主人公のマルセルは靴磨きを生業として妻アルレッティを愛し慎ましく生きている。そこへ突如アフリカからの違法入国者少年イドリッサが現れる。

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his(2020年製作の映画)

3.0

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恋愛作品が得意の今泉力哉監督が手掛ける同性愛者間の人間模様。

ゲイの世界も深い。「ゲイカップルあるある」なんて冗談のカテゴリがあるほど。
本作では学生時代に付き合い同居までしていた2人は「プロサーフ
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プラットフォーム(2019年製作の映画)

4.0

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ナタリ監督の名作『キューブ』(1997)に質感がよく似た作品。

受刑なのか自己志願なのか200階以上の階層になった刑務所的な何か。1フロアには基本2名がいる。

そこでの食事は1Fから下の囚人へ順に
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くれなずめ(2021年製作の映画)

2.5

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もしこの次作「ちょっと思い出しただけ」で松居大悟監督に興味を持ち過去作品ととして本作を期待を込めて観たとしたらかなり戸惑うと思う。

本作は「終わった事を引きずる」という同じテーマを持つが、高校同期の
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.0

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カウリスマキの映画は松本清張の短編のように冒頭から興味を惹くストーリーティングが見事だ。

本作はシリアからの難民問題とビジネスの再挑戦にあたろうとする壮年がそれぞれ、自己の問題を解決しようと行動する
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南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

3.0

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東京の若者「あるある」な作品。スランプ中のミュージシャンせいいちを支えることに生きがいを感じ金を稼ぐ土田。それはエスカレートし、キャバクラから愛人まで滑り落ちる。

冒頭の流れで誰しもがせいいちを「ク
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サッドティー(2013年製作の映画)

4.0

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『愛がなんだ』でブレイクした今泉力哉監督の原点的作品。

登場する男女は皆どちらかと言えば「恋愛未満」な実態。なのに平気で二股だったり、「気になる人がいる」レベルで別れ話を切り出すなど、どこか極端で変
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パンとバスと2度目のハツコイ(2017年製作の映画)

3.0

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トーンとしては『かそけきサンカヨウ』に近い。

男女の愛情の移ろいを状況設定も巧みに描写している。おそらく今泉監督が一番得意としているのはこのあたりなのだろうか。

そして毎度ながらキャスティングが素
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.0

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共にアイドルを追いかけ続けた男たちを暖かな眼差しで追うドラマ。

今泉作品は毎度の事ながらキャスティングでほぼ成功が決まったような印象で、劔役は松坂桃李でなければ最後まで観られない気がする。皆の環境や
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斬、(2018年製作の映画)

3.0

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塚本晋也監督による「七人の侍」似の物語。まだ人を斬った事のない暫定達人の杢之進が農家に世話になっている。そこに野武士が絡んでくるが、杢之進は怒りこそあるものの刀を抜こうとしない。そんな彼を江戸の動乱期>>続きを読む

あの日々の話(2018年製作の映画)

2.0

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ここまでの駄作はそうお目にかかれない。

ナンパサークルの決起大会がカラオケルームで開催されるが、カラオケルームからカメラが移動することはない。若葉竜也も岸井ゆきのもいない男女9人で、「いつ面白くなる
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知らない、ふたり(2016年製作の映画)

3.5

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一個がつながれば全部に繋がりそうなのに。少しづつずれている愛情関係が面白い作品。冗漫になりがちなところをNU'ESTのメンバーが清々しくしている。韓国人青年群(NU'EST)が表立ったなかで進むのであ>>続きを読む

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

4.0

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令和の時代とは、いやむしろ令和の時代だからこその映画な気がする。

今泉監督の本作はまずキャスティングで7割型成否が決まったと言っても過言ではない。実に周到にキャスティングがなされている。志田彩良もい
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永い言い訳(2016年製作の映画)

2.5

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「茜色に焼かれろ」でもそうだが、やはり喪った悲しみを癒やすものは子供の存在になっちゃうのかなあと。ある種、子どもたちがいなければこのドラマは耐え得ないものになること、パターン化したこの手のドラマが、少>>続きを読む

舟を編む(2013年製作の映画)

3.0

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王道のヒューマン・ドラマ。
出版界のなかにあって、辞書造りは10年以上自身の人生を懸ける覚悟が要る。そこに絡む様々な人間模様が見もの。
机上の言語研究は確たるものがあるが、実際のコミュニケーションでは
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日の名残り(1993年製作の映画)

2.5

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舞台は1920年代から1930年代にかけてのイギリス。ダーリントン卿は第一次大戦からの反省からドイツ宥和派の立場をとる。ダーリントン邸には政治家や有力者が会議に参集する場でもある。

主人公はそこで邸
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映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.5

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元は同名の詩集をそのテイストのまま恋愛ドラマにした映画。

石橋静河は存在感も抜群で、リアリティもある稀有な女優だ。
本作でも生い立ちの影を引きずる風変わりな美香を自然体に演じておりいい。

池松壮亮
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愛なのに(2021年製作の映画)

2.5

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「愛」をキーとしたコメディ・ドラマ。

よくあることだが目の前に魅力的な女性(岬)が近づいていても、「忘れられない女性(一花)」を引きずっていると眼が曇っていて受け入れできない。

ところがその「引き
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ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

3.5

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ジム・ジャームッシュ5作目 原題は「Night on Earth」であり意味はさして変わらないが配給会社による「語感」のこだわりか。2年後に公開される「恋する惑星」も原題が「重慶森林, Chungki>>続きを読む

ある夜、彼女は明け方を想う(2022年製作の映画)

3.5

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「夜明けの若者たち」のスピンオフとして上映されてるモノを観ました。

本作は「夜明け〜」の後から観ても事前に観ておき「夜明け〜」を観てもいいと思います。それによって「彼」と「彼女」のどちらに気持ちが沿
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ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.0

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あんまりジム・ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット」を知ってないほうが楽しめると思う。じっさい観てない人でも「そんな感じなんだ」と解るように配慮されているので。

「ボクたちはみんな大人にな
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HOMESTAY(2022年製作の映画)

3.5

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森絵都原作「カラフル」の映画化。映像化は本作で3度目らしい。

本作はなんといってもキャスティングが良かったと思う。途中から魂が入ってもそれまでの経緯が解らなければ過ごすのは大変だ。

一人の男子高校
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パンズ・ラビリンス(2006年製作の映画)

3.5

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本作はとかく戦争中大人に振り回される子供が心の中に「夢の国が存在する」事を渇望し、実際妖精がいざなう「地下王国」へ向かおうとする少女オフェリアが果たしてその「王国」が存在していようと存在していまいが現>>続きを読む

明け方の若者たち(2021年製作の映画)

4.0

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既婚学生の女性と年下同級生の不倫物語——といえば身も蓋もないが「そこには真の愛が存在していた」という映画。

物語は誰にでも経験あるような、就活中に一区切りついたメンツに声を掛けた学生飲み会の場面から
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.0

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イタリアの著名メゾンブランドGUCCI。このブランドを巡ってのいわゆるお家騒動を描く。パトリツィア役のレディーガガの出演が話題になった。
原作本があり、こなれた演出をリドリー・スコットが監督する。と娯
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016年製作の映画)

2.5

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『TENET恋愛版』といった感じか。

タイムトラベルは恋愛と相性がいいのだが、二人の時間が逆行して接しているという「わかりやすい」とは言えない構図は観る側にどれだけ共感を得られるのか。

そもそも時
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MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

3.5

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タイトルからなのかまず冒頭のシーンは『2001年宇宙の旅』でのモノリスの場面で猿が騒いでいる光景を思い出す。まったくどこかも予想させない始まりなのだが、やがて訓練の場面になる事でなんらかの軍関連の組織>>続きを読む

JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.5

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ストップモーションアニメの本作は7年の歳月がかかっている。

永遠の生命を獲得すると同時に生殖機能を失った未来の人間は代替労力として「人工生命体マリガン」を生み出したが、今度は独自に進化し繁栄している
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.5

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イギリス制作であることに強い意味を感じる。

——例えばすでに大成功を収めたビジネスモデルが自分以外の皆の記憶から消えている。それを使えば成功間違いなし!という場合アナタならどうするか。これはそんな映
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グラン・トリノ(2008年製作の映画)

4.5

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90才を越えたクリント・イーストウッドは高齢者を好んで演じているが中でも本作は「最後の出演作」を標榜しているだけあって傑作だ。

フォードの工場に勤め朝鮮戦争にもいった男コワルスキーは戦地でアジア人を
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きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)

3.0

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原作の東京から函館にロケーションを変えている。

しかし監督は町並みだけ欲しかったようで、函館なら強い津軽弁での会話のハズがドラマは標準語という雑さ。

確かに函館は人生を「前向き」に考えるなら「東京
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いま、会いにゆきます(2004年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

2020年9月以降にこの作品を観ることは決してフラットな鑑賞にならないのではないか。私もそうで、病気で亡くなる澪役の竹内結子は1年後の雨季に帰ってくるどころか二度と還らない故人であって、演じる横顔にふ>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.0

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第1作が1999年なのだから仕方がないが、エージェント・スミスがビジネスパートナーになっていたり、モーフィアスも別な人物にすげ変わっている。そしてレオもトリニティも一般人として暮らしておりそれはすなわ>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

村上春樹原作でのっけから登場する車がSAABと来たら「これはややこしそうだ」と身構える(笑)。

ここでもやはりパートナーを失う事を恐れた挙げ句、浮気現場に踏み込んだというのに観なかったことにしその場
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