晶さんの映画レビュー・感想・評価

晶

悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.0

正直、観終わった瞬間は監督に見下されたような気がして腹立たしかった。
むかむかしたので、隣の客にだけぎりぎり聞こえるような小声で「わかるかい」と悪態をついた。ただ、そこまでは素晴らしく良かったので、良
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なくもんか(2009年製作の映画)

3.5

前半はとても楽しい。
完成度が高いとはこういう事を言うのだろう。テンポも演出も凝っていて大変面白く観れる。
しかし、クドカンの小劇場的な行き当たりばったりさが映画には不向きなんだろうか、テレビサイズで
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ゴジラxコング 新たなる帝国(2024年製作の映画)

3.9

前半の人間ドラマの退屈ささえ乗り切れば、十分に楽しいアトラクション映画。
前作はコングがだんだんタンクトップを着たブルースウィリスに見えてきたものだが、今回は斧を粋に担ぐ姿がだんだん三船敏郎に見えてき
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ディオールと私(2014年製作の映画)

4.0

一流ブランドの心臓部であるアトリエは、意外にも庶民的なおばさん達が支えていた。
そして皆さん驚くほどフレンドリー。
顧客からの無理難題と新しいショーのためのラフ・シモンズからの無理難題との板ばさみによ
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.3

有名YOUTUBERの監督ということで、ホラー表現も映画的にじわじわと盛り上げ追い詰めていくというよりは、ぼんっといきなり霊が出現するような即物的な感覚が現代的で面白い。
カメラワークも総じてスタイリ
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ゴールド・ボーイ(2023年製作の映画)

4.5

金子監督の描く、夏休みは最高だ。
監督の初期名作を挙げろと言われれば、大体の人は「毎日が夏休み」「1999年の夏休み」の二作を外すことはないだろう。
そして、ついに監督の長いキャリアの中で(ガメラシリ
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デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章(2024年製作の映画)

5.0

原作未読なので、よくわからない部分はきっと後半へのフリなのだろうと華麗にスルー。
とても面白く見れた。
3.11モチーフだと思われる「そこに危機が見えているのに日常が続く」という描写に反応する自分の感
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DOGMAN ドッグマン(2023年製作の映画)

3.5

主人公である謎の男ドッグマンを演じるケイレブの演技がすごくいい。
でも、愁いを含んだその見事な人物造形のせいで、主人公の「謎の男」感が映画冒頭からあまりない。
「なんか、色々事情あるんですよね・・?」
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.5

ホラーのようでホラーでなく、ミステリーのようでミステリーでもない。
「哀れなるものたち」「ロブスター」の次に観た。なんだかタイトルがカッコいいので一番期待していたものの、この三作の中では一番地味だった
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ハンガー:飽くなき食への道(2023年製作の映画)

5.0

主人公リンを演じる、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンという発音すら難しい名前の女優さんのアジアンビューティーな凛々しさにうっとりしながら、料理漫画のような熱い展開に手に汗を握ってしまった。>>続きを読む

スライ:スタローンの物語(2023年製作の映画)

5.0

スター俳優としてではなく、脚本家としてのスタローンに焦点を当てたドキュメンタリー。
優れた表現者になるには、幼少期に暴力的な父親にひどい目に遭わされる経験が必須なのだろうか・・・。
それはともかく、彼
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

4.0

俺の好きなことだけ詰め込みました感が愛おしい。
ぶっちゃけこっちの消化が追いつかない場面もちょいちょいあった。この場面、いる?みたいなとこも正直あった。
しかし、こういうのオモロいよな!な!?ってマシ
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ロブスター(2015年製作の映画)

4.0

設定の面白さで前半はとても楽しく見れた。
本来、自由で本能的な行為であるはずの恋愛や生殖に社会制度が介入することで妙に歪なことになっていくという、その滑稽さはよくわかる。毎夜行われるディナーショーのセ
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日本沈没(1973年製作の映画)

4.0

個人的に樋口真嗣監督作品を見返している。なので、監督がリスペクトしてやまない原点とおっしゃってた73年版日本沈没を鑑賞。
原作版デビルマンといい、70年代ってこんなとんがったものが超メジャー作品だった
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マーベルズ(2023年製作の映画)

2.5

ディズニープラスで、アッセンブル?というメイキング映像が見れた。
メイクや衣装、音響など、色々と凝っていてもの凄いのがわかったし、キャストたちもいつも笑顔で魅力的で、本当に力の入ったいい作品が出来上が
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

英語表記の原題の方が、即物的な印象で、好きだ。
自立していくベラに泣いたりわめいたりの弁護士も、頭がおかしいレベルのモラハラ野郎の元夫の軍人も、一皮むけば、あの娼館の客が無修正でぶらぶらさせてた「PO
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窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.5

21世紀に入ってからの日本のアニメはキャラクターの動き、ではなく「仕草」の表現に特化してきたように思う。
幼児を描いたこの作品も、主人公たちは頬は赤く唇はピンクに塗られ、時折どきっとするような色気のあ
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インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国(2008年製作の映画)

3.3

運命のダイヤルを観た後に視聴。
やっぱりインディジョーンズは、スピルバーグのあっさりしすぎとも思えるテンポの良さと連発されるブラックジョークあってこそ。
とは思うものの、今回のマクガフィンとその真相に
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

2.5

二回見たらきっと面白いのではないか。
真相がじわじわと分かってくる物語の構造と、人物のエモーションが爆発するアニメ―ションらしい表現との、食い合わせが悪いと感じた。
真相がわからないまま感情が爆発して
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M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.2

適度な長さで過不足なく面白い。
今時はもう一歩か二歩、社会批判に舵を切るようなバランスのものが主流かと思うが、潔くB級にまとまっていて気持ちいい。
ただ、期待していたものは全部見せてくれたが、贅沢を言
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Pearl パール(2022年製作の映画)

3.9

ラストの笑顔でようやくパールに感情移入できた。
というと欠点のようだが、逆にそのバランスがとてもいい。
プリクエルものはこっちの先入観もあって説明的に感じたり肩透かしな印象になりがちだが、それがなかっ
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ブルービートル(2023年製作の映画)

2.7

割とちゃんとしてるのに全然乗れなかった。
なんでこんなに乗れないのかなーと考えた結果、主人公が恵まれすぎてるってのあると思う。確かに無職だけど、家族は温かいし若いしハンサムだし頭もいいらしい。
本作が
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市子(2023年製作の映画)

4.0

終始カメラがフラフラするのと、主要人物以外と子役の演技がなんかわざとらしいのだけが欠点。
終わり方も、つかみどころなくてそれも良かった。

メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

4.0

なんか普通だなーと思いながら観ているとだんだん引き込まれ、エンディングが流れた瞬間「いい映画観た!」と確信できる、なんというか、人の油断をついてくる映画だと思う。
芦田愛菜の雄弁な表情の演技が、実は地
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朝が来る(2020年製作の映画)

4.0

主要キャストだけでなく園長先生やら親戚のおじさんやらいちいち実在感があって素晴らしい。
ストーリーは若干のミスリードなどはあるものの、割とストレートに「事情」を語っていくスタイル。表と裏を順番に見せる
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