若かりし佐分利信が長めの前髪を無造作にかき上げる姿がカッコいい。セリフも往年の「おおっ」「うぬ」「おい」といった唸りや吼えじゃなくて、長いセリフをぶっきらぼうに喋っている(珍しい)。
自分勝手な兄姉た>>続きを読む
小津の最高傑作。
桑野道子は丸顔の丸みに磨きがかかり、その愛らしさは広隆寺の弥勒菩薩とウリふたつ。
ちょっとハスキーな地声・おきゃんな口調も小津のポンポンと飛び交うセリフ回しにぴったし。
若尾文子のメガネのOL姿なんて、他の映画じゃ滅多に観れない分、貴重。
久我美子のコメディエンヌぶりを拝見。清楚で気品あるお嬢様役が多いだけに、こういう久我美子はとても珍しい。
なんせ、おきゃんでじゃじゃ馬でトラブルメーカーの久我美子なんだから。本人も楽しんで役を演じて>>続きを読む
「女優は芝居なんか出来なくてもいい。官能的でさえあれば価値がある」
溝口の言葉。
この作品でおさんを演じた香川京子は撮影時まだ未婚の二十代、それが姦通の人妻を演じるわけで、「どうして自分が?」とか>>続きを読む
この映画で初めて知った高沢順子だが、シャーロット・ランプリングに似た目つきの鋭さとしどけなさの差異、その美脚のために濡れ場では必ず下着を脱がされる脚が大写し。
それにしても奥田の濡れ場のぎこちなさは>>続きを読む
今村昌平が脚本にテコ入れしただけあって、随所に激しいけど包容力のあるリアリズムが見られます。
浜田光夫&吉永小百合のコンビ作品でありながら、この映画が凡百の青春映画と一線を画したそのちがいは、在日朝>>続きを読む
寒いからといって体中に軟膏を塗ればしのげるというエピソードは、英国人にとってどの程度ふつうなんだろうか?これをきっかけに俄然ウィズネイルに興味を持てた。
噛み合わない脱構築の会話とそれに附随する奇妙な間、森田の演出はそこに冴える。
東京の女子高生の独特の口調が演出かと思っていたら、本当にああいう口調で喋るのをリアルに知って驚いた。
ついに文部省推薦映画にされてしまった今村は忸怩たる思いだったというが、そこはやはり今村、穂積隆信の演出で面目躍如してる。
この田舎教師を演じる穂積は、もともと目の焦点の合わないカオなので、他の誰かが>>続きを読む
此岸から彼岸へ、彼岸から此岸への昭和越境譚として観ても良いけど、左翼的な社会批判はこのさいどうでも良い。
意外にも可愛い左幸子演じる団地妻が放つそこはかとないエロスがじわじわと効いてくるところが見もの>>続きを読む
やってることがドリフやマルクス兄弟よりもハチャメチャでおもしろく、それこそ信仰者のリアルだと思う。ロッセリーニ偉い。
カティ「…なぜ私といるの?」
マッティ「俺には理由なんてない。あるのはただ、この名前と、ゴミ集めの制服、虫歯に病気の肝臓、慢性胃炎…いちいち理由をつけるぜいたくなんて、俺にはない」
ハードボイルド>>続きを読む
侯監督は本当に風の扱いが上手い。景色に風がひとたび吹けば自分もまるでそこにいるように思えてしまう。
「童年往事 時の流れ」は侯孝賢映画のブレイクスルー的な作品。台湾の現代史と向き合うことを始めるから>>続きを読む
建設中の高層ビルのむき出しの窓辺に立つ彼らの後ろ姿、入れ子構造の映画的ショットに心を持って行かれる。
少女役(アフン)のシン・シューフンについて。
彼女は85年から89年の5年間で5本の映画に出演しています。そのうち3本が侯作品です。というのも彼女は侯監督のお気に入りで(初恋の女性に似ているのだそう>>続きを読む