otomさんの映画レビュー・感想・評価

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上海ルージュ(1995年製作の映画)

4.6

前半の上海と島の後半、全てを知る親分と何も知らない少年、その間の女心で黒社会(トライアド)と絡めたなかなか良い作品。のっけから頻繁に映し出される主人公の目のクローズアップとその変化で、驚きの眼差しから>>続きを読む

二十歳の恋(1962年製作の映画)

5.0

2024年4月28日
潰してしまった我が家の初期トリュフォーライブラリ、久々にしてドワネル其のニ。OPテーマのコレコレ感。で、やっぱり足から入るトリュフォー。チラ見するレオーからで、17歳にして奥手な
>>続きを読む

長屋紳士録(1947年製作の映画)

5.0

ブル入った土佐犬面で、コチコチの握り飯みたいな面した餓鬼に『めっ!』って放つ飯田蝶子だけで満点上げる。展開が急なのはともかく、アンを引き取るマリラ・カスバートばりに人情に絆されるからの、小沢栄太郎登場>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

5.0

配役も含め変わる事なくキレキレに攻めてくるギャスパー・ノエ。どうかすると人との繋がりを錯覚する世界で、徹底的に分断された人間って云う個体の現実を見せつけられる。あの世(もしくは病)には物も過去も更には>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け(1976年製作の映画)

5.0

20年振りくらい。金銭感覚がバグる寅次郎。マドンナと云々ってよりはな筋書きでシリーズ中でもかなり綺麗な話に仕上がってる。ルンペン仕様の宇野重吉を拾ってくるとこから始まり、人助けの連鎖の流れが絶妙。合間>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

5.0

夕飯が焼肉だったので、ケリー・ライカート新作を敢えて今日観る。開拓ものって事で、荒野にて水辺を求める『ミークス・カットオフ』の風景とは異なり、スタンダードサイズでオレゴンの川を含めた色んなシーンをパン>>続きを読む

男はつらいよ 柴又より愛をこめて(1985年製作の映画)

4.8

ロケット打ち上げから始まり、ジェームズ・ボンド級のネットワークを駆使してあけみを探し出す寅次郎。プリっと尻出す美保純がいちいち可愛い過ぎて、23.5の瞳からの栗原小巻のシーケンスが霞む。'85年公開作>>続きを読む

高原列車が走った(1984年製作の映画)

4.3

美保純の牽引力だけで最後まで行った感じである意味凄い。軽井沢の四季をやりつつ、国鉄時代のあれやこれなんだけども、やや散漫な気もしなくはない。とはいえ、ちょいちょい冴えてる台詞も出て来て、中でも『空気を>>続きを読む

タイムズ・スクエア(1980年製作の映画)

4.3

ロキシー・ミュージックほか劇中で使われてる楽曲群は申し分ないんだけど、映画の内容は淀んだ中年には青臭過ぎていささかキツい。ものの、ゴミ袋達が集まる午前0時のタイムズ・スクエアのルーフトップはなかなか。>>続きを読む

炎の人ゴッホ(1956年製作の映画)

4.5

超が付くほど面倒くさい奴との伝説を持つゴッホをきっちりウザい感じに仕上げるカーク・ダグラス(ケツアゴは見えない)が圧巻。アンソニー・クインのゴーギャンも付き合いきれんわって云う、ヤバめな構ってちゃん具>>続きを読む

ラ・マルセイエーズ(1938年製作の映画)

4.2

金持ちが始めて貧乏人が完成させるって事で、ラストの盛り上がりがなかなか。会話多めの戦闘描写少なめで無血気味でほのぼの進んで行く訳だけど、撃たれるボミエのとこで混乱と有事の最中なのにハッとする。で、ラ・>>続きを読む

この子の七つのお祝に(1982年製作の映画)

4.2

ふっとスイッチが入って芦田伸介の顔をグサグサやる岸田今日子の怪演は見事。それとは対象的に本性顕したヤバめな岩下志麻が面白いんだけど酷い。人生を賭けた壮絶な勘違いで、戦争に操り人形なんかを盛り込んだ筋自>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

5.0

『ウェンディ&ルーシー』然り、鳥描写が上手過ぎなケリー・ライカート。飼い猫に傷を負わされた鳩を汚物の様に捨てるとこから始まり、次第にちょっとした情が湧き、恐る恐る指先で撫で、最後は自らの個展をほっぽり>>続きを読む

美わしき歳月(1955年製作の映画)

4.8

戦争と格差とで生まれてしまった色んな溝に悩む若者たち。いつしか変わってしまった関係性にテコ入れするかの如くな墓場のシーンが結構ドラマチックなんだけど、戦死した友人も含まれた仲間の変化と、その変化に対す>>続きを読む

罪と罰(1983年製作の映画)

4.8

ナポレオン主義とかどこ行ったって具合で、脚色が大胆と云うか若干話が変わってる気もしなくはないけども、原作を削ぎ落として尺に収めた上で要所は抑えてる。もはやドスト氏ってよりカウリスマキ印に仕上げてるあた>>続きを読む

友情(1974年製作の映画)

5.0

ピコリ『俺たち二十歳じゃないんだよ』と。季節は巡り、土砂降り冴えない事だらけの中年たちに感じる人生模様。順風満帆でなくても、とりあえずは食って飲んでの変わらぬ日常とささやかな希望を持って生きていくって>>続きを読む

ミッション(1986年製作の映画)

4.5

布教が植民地政策の先遣隊みたいになってる実態って事で、そこからの現地軍隊に対抗するイエズス会反乱といかにヨーロッパ諸国と教会がしょーもないかと大航海時代の暗部みたいなものが良く描かれている。中間管理職>>続きを読む

モリコーネ 映画が恋した音楽家(2021年製作の映画)

5.0

マイアイドル、モリコーネの存在自体で星100コでも足りないくらい。レオーネ作品ほか、数多の名作の音楽の素晴らしさは今更言うまでもない。無音から始まりあらゆる環境音やノイズをも操る上に、必ず特徴的なメロ>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

5.0

聖女と狂言師の側面を併せ持つ鑑賞者的イメージも、ヤバめな神がかりのとこも含めて世俗的な考えからは超越してる一個体な模様。欺く事すらも神の御業って事で、ぼかされた神秘の真偽を演出的に上手い事操りつつ、あ>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

5.0

悪例を比較対象としたマインドコントロールのお手本みたいな筋に、無制限にペリペリと形態変化する異常さ、劣化テープの不気味な音楽に極めつけなコロニア・ディグニダのキモいロゴとでコミューン系の気持ち悪さを最>>続きを読む

いのちぼうにふろう(1971年製作の映画)

5.0

何やら美味しそうな深川安楽亭ってのからして良い。病魔が蔓延るかりそめの天下泰平にあって、尊いものの為に命を投げだす陶酔感に儚さとの善悪の対比がグッとくる。効果絶大な武満劇伴とでパツンパツンに張り詰めて>>続きを読む

街の恋(1953年製作の映画)

4.8

アントニオーニ、フェリーニほかからなるオムニバス。甘い感じのタイトルとは裏腹に結構過酷な現実の詰め合わせなネオレアリズモってな具合。敗戦国のあれこれもあっての状況だとは思うけれども、溢れる立ちんぼに子>>続きを読む

マッチ売りの少女(1928年製作の映画)

4.7

主演の監督嫁がマッチ売りのおばさまってくらいな感じで、どうせ立ちんぼするなら春を売った方が暖かくなれる模様。なのはともかくとして、人力、あらゆるトリッキーな技巧を凝らしたアイデアの宝庫みたない幻想パー>>続きを読む

落ちた偶像(1948年製作の映画)

4.8

無垢の要素と旧約の蛇みたいな要素を合わせ持つ子供で、引っ掻き回すだけ回して面白い。本人は至っては真面目にやってるつもりの末に、狼少年認定され大人が子供に目線を合わせなくなるってとこまで実に良く出来てる>>続きを読む

赤毛(1969年製作の映画)

5.0

赤毛のアンならぬ赤毛の三船って事で15年振りくらい。高橋悦史曰く『葵が菊に変わるだけのこと』の一言に完璧に集約された幕末のあれやこれに赤報隊偽官軍事件をベースとしながら、三日天下とは言えども真の百姓天>>続きを読む

夢見るシングルズ(1982年製作の映画)

5.0

建物と色彩でアルモドバルがフランスで撮ってるみたいな80年代パトリス・ルコント作品なんだけど、よくよく考えると後の作品と共通するもんが色々とある。どっからどう見てもキモメンなミシェル・ブランが、自ら脚>>続きを読む

カインド・ハート(1949年製作の映画)

4.9

絞首刑直前から始まり、回想を経て戻ってくる。8人のオビ=ワンことアレック・ギネスが葬られる描写の軽くてブラックなのに対して、終わりまでの筋の組み立てが実に綺麗。で、アイロニーと所謂ウィットに富んだって>>続きを読む

新・夕陽のガンマン/復讐の旅(1967年製作の映画)

4.5

スカした台詞を吐いた後に何度もやられる主人公2人。安定のリー・ヴァン・クリーフは良いとして、イーストウッド風ないでたちのジョン・フィリップ・ローはちょいと弱い気もしなくはない。映画的に上手いとこも沢山>>続きを読む

上意討ち 拝領妻始末(1967年製作の映画)

5.0

現代とはレベルの異なる理不尽に次ぐ理不尽に、恐れ多き事ながらと押して駄目なら引いて引いて引く三船敏郎。グツグツと沸騰して行く反駁のソレと、この世の理不尽に対するマジピュアな動機とで火傷しそうなくらいに>>続きを読む

あなたに降る夢(1994年製作の映画)

4.7

劇伴担当かと思いきや天使担当のアイザック・ヘイズで先ず掴まれる。ユダヤ系ゾーンにて拝金主義とその反対をやるって事で面白い。で、どの映画で何やってもイケメンに見えてくるニコラス・ケイジなんだけど、今作で>>続きを読む

宗方姉妹(1950年製作の映画)

5.0

戦後の外国かぶれの新時代において、新しいとはなんぞやと。戦前の青春に引きずられる人間模様な訳だけども、奔放と我慢と新旧を象徴とした強力姉妹を軸に適応力の有無の男2人と配置が絶妙。全盛期とまではいかずと>>続きを読む

赤穂城断絶(1978年製作の映画)

4.5

太秦的な気分だったので。松の廊下の下りで流れ程々にいきなり天誅となる訳だけども、金子信雄の憎たらしい吉良上野介が出てきた瞬間に説明不要なシーンに仕上がってて凄い。実録タッチで演出された、耐えて耐えてか>>続きを読む

遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

5.0

郷愁風に描かれてるけど、過酷な労働者階級の一家の歴史って事で英国あるあるなお話。監督自身が生まれた頃の話っぽいので、伝聞中心にでありつつ、当時の世相を反映しながらまとめ上げられた印象。OP始まった瞬間>>続きを読む

ボス・オブ・イット・オール(2006年製作の映画)

5.0

さすがボス・オブ・イット・オールねの威力。一から十までラース・フォン・トリアーと云うか、ノリがキングダムの続編+イディオッツ的な何を観てる錯覚に陥る。出てくるキャラと動き、会話の流れがそのものって具合>>続きを読む

狼たちの午後(1975年製作の映画)

5.0

15年振りくらい。ゲイでベトナム帰還兵で反権力って云う当時の世相を反映した盛り。見せ物もしくはお茶の間エンタメと化した現場と報道の様子を更に画面のこちら側から観てる図式。シドニー・ルメット特有な繊細に>>続きを読む

ラース・フォン・トリアーの5つの挑戦(2003年製作の映画)

4.7

敬愛する監督にリスペクトと無茶振りの限りを尽くす鬼畜風ラース・フォン・トリアー。卒なくこなしてくるヨルゲン・レスに対してのセラピーとしつつも、全部自分に跳ね返ってきっちり自虐になってるって云ういつもの>>続きを読む

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