乙郎さんさんの映画レビュー・感想・評価

乙郎さん

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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.0

 小津というよりジャック・タチ。確かに、トイレ綺麗すぎだろとか、言いたいことはある。それでもこの映画を嫌いになれない。まず、日常で繰り返される動作がスクリーンで再現されたときの気持ちよさ、これはさすが>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.5

やっぱりねえ、この手の作品には弱いわけですよ。まず、聡実が属する合唱部という世界があって、狂児の属するヤクザの世界がある。そのグラデーションの中で、日常の地続きでありながら非日常感がある、という意味で>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.0

PMSとパニック障害の男女の交流という話を聞いて、およそ思いつく劇的な展開をすべて拝し、かつ面白く作っている。あまり日本の映画を観ている感じがしなかった。『ラビットホール』とか『それでも、愛してる』あ>>続きを読む

真・事故物件パート2 全滅(2022年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、エイリアン2→3をやりたいのかなと思ったけれど、前作の主張を台無しにするところまで真似なくても…。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

3.0

本音を申すと…。確かにスコセッシがこの歴史的事実を映画化したということ自体に意義があるし、その事件の中で映画として映えるであろう出来事をピックし、アーネストを中心に添える、そして画作りもこの上なくゴー>>続きを読む

春画先生(2023年製作の映画)

4.0

いやー、変な映画。
公開前に言われていたマンスプレイニングがどうこうは入り口でしかない。中身はその10倍「正しくない」。ただ、その正しくなさの突き抜け方と、回るベッドのシーンに代表される映画的魅力が合
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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

3.0

なんだろう。全然悪くないんだけど、技術が向上したパンクバンドを聴いた時のような感じというか。決して政治的正しさに傾いたからではなく、過去作のセルフリメイクを思い起こさせるからではなく、ただロジカルさを>>続きを読む

ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地、ジャンヌ・ディエルマン/ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン(1975年製作の映画)

3.0

正直なところ良さがわかったとは言い難い。
日常における破綻の予感や、後半に行くにつれて無言の時間を映すことが増えることから、主人公の孤独や崩壊する内面を見てとることは可能だろうが、一方でかなり頑なに「
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僕は天使ぢゃないよ(1977年製作の映画)

4.0

雰囲気映画とは思うけど、その雰囲気が好きなのだから仕方ない。かけているだけで部屋に70年代の空気が充満するような感覚は巧拙を超えている。

エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

5.0

ひょっとするとエドワード・ヤンの中で一番好きかもしれない。ここに描かれているのは映画史に残る神話なんかではなく、90年代中盤の空気と共に収められた、言い争いばっかりの極めて下世話な話なのに、時折バチっ>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.5

人物の動きを統一すればするほど人間に見えてくるように、メタを突き詰めれば突き詰めるほど実在感を増すように、そういった感覚が強い作品。遺灰を巡る扱いに落涙。
あと、あるシーンでエウレカセブンを連想。

映画プリキュアオールスターズF(2023年製作の映画)

4.0

20周年記念作品だからある程度高いクオリティだとは思っていたけど想像以上だった。多い登場人物を捌くために獲得した運動性といい、プリキュアで見られるとは思わなかった怖い敵といい、貯めに貯めて放出するクラ>>続きを読む

ザ・シャウト/さまよえる幻響(1978年製作の映画)

3.5

「シャウト」以外は比較的地味な田舎を舞台にした寝取られものといった印象なのだけれども、その男の持つ超常的な力が、潜在的に自分より上位の存在にとって変わられるのではないかという恐怖心の象徴ではないかと思>>続きを読む

ブレインデッド(1992年製作の映画)

3.5

ドラマ部分は編集が繋がってない感じ、気を衒った撮り方が苦手だが、「パーティー」が始まってからのサービス過剰な爽快感は好き。死体損壊のアイディアの数々。そこに母親からの自立とか、男性性の加害の克服とか、>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

楽しめたのだが、傑作群に比べると一段落ちるか。『風立ちぬ』を観た後の眼だと、大人向けなのか子供向けなのかはっきりしない感じがもやっとする。ちゃんと変な映画だったのはよかった。

レイダース/失われたアーク《聖櫃》(1981年製作の映画)

2.0

実はそんなに。インディアナ・ジョーンズという魅力的なキャラクターが受肉している様子や、スピルバーグ印の悪趣味さは楽しめるが、位置関係の把握が困難なアクション、スペクタクルの連続すぎて逆に淡々と見える様>>続きを読む

キラーカブトガニ(2021年製作の映画)

3.5

期待値低かったこともあってかかなり楽しめた。
要は80年代ホラーの再現だが、ホラーというよりも青春映画の方に舵をとっている印象。参照元がBTTFやグレムリンといった「A級」映画でありつつB 級に留まる
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高校教師・成熟(1985年製作の映画)

3.0

倫理的には首を傾げる部分は多いが、トリッキーさはないものの、さっきまで服を着ていた人が裸になっていることのエロさみたいな表現がうまいと思った。

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.0

この作品の「観てはいけないものを観てしまった」という感じは一体なんだろう。
ポルノ俳優という、他人に見せることがないはずのものを見せる俳優が、その外れた倫理観でオーバードライブする。

どの登場人物も
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

4.0

面白かったー。会話が劇場版私のTLみたいなものなのでそりゃ楽しめるのだけれど、一方で冒頭の日本の部屋の狭さを利用したようなアクションとか(風呂場の狭さから足の重心が取れないことがきっかけに形勢逆転する>>続きを読む

ダークグラス(2021年製作の映画)

4.0

D.アルジェント『ダーク・グラス』2021
贅沢な映画。廃墟、路地裏など眼福とも言えるロケーションが次々と出てきて、大仰な音楽と共にけばけばしいライトで照らされて、あっさりと乗り捨てられていく(ここ重
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EUREKA/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション(2021年製作の映画)

1.5

 正直に言えばモヤついたので、パンフレットを読む前に自分の思ったことを書き連ねておこうと思う。

 クライマックスまではよかった。相変わらずの過剰設定でこちらが頭の中で整合性を取る前にどんどん話が進む
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劇場版 センキョナンデス(2023年製作の映画)

3.5

今の自分が一番ストレスを感じることはひょっとすると選挙結果が思うようなものでなかった時かもしれない。
『劇場版センキョナンデス』は、芸人のプチ鹿島とラッパーのダースレイダーによるyoutube番組『ヒ
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メガゾーン23(1985年製作の映画)

3.0

animateされた80年代の東京。「エモい」と感じてしまうことすら断罪するような展開。時祭イブに感じるvaporwaveみ。

群盗、第七章(1996年製作の映画)

3.5

正直最初はストーリーは理解できず、『ホーリー・モーターズ』や『自由の幻想』みたいなものと思っていたら「日常の中の暴力」という縦軸で繋がり始める。一度だと確実に取りこぼしがあるな。遠方への射撃、叫び声だ>>続きを読む

話の話(1979年製作の映画)

4.5

ノルシュテインの作品を何本か観たけど、これが一番良い。
冒頭で語られるように「話の話」とは「夢の話」なわけだけれども、夢というのが、幼年時代への憧憬とか、祖国の忌まわしい歴史とか、歴史記憶と結びつくも
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ブルーサーマル(2022年製作の映画)

3.5

あー、単純に好きだこれ。主人公属性、大学生部活のキラキラ感、ご都合主義といった作劇上のマイナスポイントを止揚するグライダーのゆったりした運動。この季節に合う。
こういう、いかにも主人公的というか、それ
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