サマー・オブ・ラブのなれの果て。反体制と自由恋愛の空気がかろうじて残る時代に通俗な不倫が職業成功を引き寄せる。そのシーンでフィルムを投げる運動が見事。
焼けぼっくいに火がつくパターンの映画であるが、>>続きを読む
作家性は抑え気味。どうしても原恵一版と比べてしまうと分が悪いし、瀬田なつき作品を期待すると肩透かしを喰らう。中盤のあることが起きる前後のカットバックくらいか。
瀬田なつきはうつろいやすい青年期の若者>>続きを読む
2022年公開。ある表現技法が作り手自身の手で汚された時に、心ある作り手に求められるのはその表現技法を正しい主張側に取り戻すこと。佐々木勝己監督は残虐ホラーを『テルマ&ルイーズ』や『デス・プルーフ』の>>続きを読む
美術が素晴らしい。端正に構成された映画そのものが壊れ出す「怪異」。とってつけたようなハッピーエンドが逆に怖い。
前半の冒険活劇にはあまりハマらず、後半に政治劇の要素が強まると面白くなった。
ひどい映画とは思うんだけど、音楽シーンの加熱が引き起こす暴力は80年代日本のアングラ的だし(THE STALINとか)、一瞬そういった流れにも行きそうになった瞬間もあったから、そこを突き詰めてくれれば>>続きを読む
超絶。登場人物を絵的に閉じ込めるような構図が多いのがまず素晴らしいし、こういったキモい恋愛譚を、キマったショットと観光色の強いロケーションでサラッと見せてしまえるのはフランス(及び周辺国)映画の強みだ>>続きを読む
TVシリーズ未見。超絶。バミリに託された別れ道の氾濫。ケレン味溢れるテロップ。ミュージカルシーンでキャラクターが歌う時の不思議な気持ちよさ。何なら若干の「説明」すら省いても良いと思うくらい浸っていたか>>続きを読む
確かにこの原作を映画化するには最適な手法だったのかもしれない。不在の中央としてのワニ。
文字通りのキラキラ映画。いや、それもまたメタなのかもしれない。理屈っぽい会話劇、日本的な情緒のある風景、白い画面と、小林啓一監督の集大成にも思える。言語の映画になりそうなところを、台詞の不自然さと音楽>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
悪くはなかったけれども、着地点が平凡な印象。
長谷川博己の理屈っぽさを推進力に、運動と哲学を結びつける感じは(原作の手柄かもしれないが)面白い。また、そこから映画にとっても大事な「運動」についてある種>>続きを読む
またしても吉田恵輔が投げ込んだ劇薬。
YouTube動画といった、決して映画的でない(ただし、刺激的な「快楽」だけはある)映像を挟み込みつつ、憎しみにまみれたやりとりで感情を揺さぶる。しかし、画面越し>>続きを読む
全部観たわけではないけど、劇場版コナン最高傑作ではと思った。現代日本において最もプログラムピクチャーとして機能しつつ、A級のスペクタクルを提供してくれる存在として名探偵コナンは有意義。
爆発へのオブセ>>続きを読む
久々にアルトマンのようなPTAを堪能。
PTA自身の手による撮影はそれ自体が70年代に捧げられており、眼福の一言なのだが、それにどこに向かうかわからないストーリーが重なる。酩酊。
例えばオイルショック>>続きを読む
マジで必見の傑作。
なんか黒沢清とか万田敏彦が撮りそうな題材。雨と廃病院が織りなす静謐とぎこちない運動はまさに映画的。ただ、ここまで来たら精神世界はオミットしてもよかった。
M.ミルズならひょっとして任せられるかもしれない。カート・ヴォネガットの完全な映像化を。この作品は非常にノスタルジックな作品だが、おそらく振り返り地点は2050年くらいなのだろう。
B/WのB(黒)>>続きを読む
確かにすごい幽霊の描き方。
『雨の午後の降霊祭』よりもこちらの方が、夫婦たちにとって仕方ない部分がある分より意地が悪く残酷な印象を受けた。あまり言及されないけど、黒沢清の命題ってよく考えると本人のジェ>>続きを読む
幽霊映画というよりも人生の袋小路の夫婦の悲哀を描いた作品という印象。ただ、階段の上に突然現れる少女には驚いた。
序盤はイマイチな方の城定かと思ったが、後半になって尻上がりによくなっていった印象。だが、城定でなくても撮れる作品ではないかという疑念は残る。とはいえ、城定秀夫が2時間弱のメジャー映画を掌中に収めたとい>>続きを読む
昔、レンタルビデオ店には「その他」っていうコーナーがあって、デレク・ジャーマンからあがた森魚まで、他にジャンル分けがしづらい作品が並んでたんだけど、この映画はそれを思い出させた。
完全ナンセンスな第>>続きを読む
映像が物語に奉仕しすぎて気分きらいはあるが、面白かった。モノクロの映像はセックスから湿度を奪い去り、レディースコミックで描かれるそれのような印象を与える。
やっぱり何がよかったって、ノラとアンバーとの>>続きを読む
赤い風船を見上げるということ=スクリーンを見上げる我々との一体化。
最初に鮮烈な「赤」を見せ、それから画面の随所に赤を配置することで緊張感を促す。補色としての「緑」。
パリを漂う風船を見ている時の多幸>>続きを読む
正直に言えばよくできているがそれまでといった感じなのだが、部下の指導に悩んでいる立場からしたら師父の葛藤や最適な指導法を見つけ出す過程には心打たれた。ただ、やっぱりその部下のことを思い出すからパンダは>>続きを読む
これは『竜とそばかすの姫』と同じ問題点を抱えている。元々演出力のある監督が、過去随一と言っていいほどキレキレな演出をしている。しかし、物語というか思想がかなり飲み下し辛い。
思春期の内面をそのまま映し取ったような繊細な映像、イメージ映像と現実の合間を浮遊する、といった具合にGVSの中でもかなり純度の高い作品。中盤に出てくるアレが現実に引き止める役割を果たす。
正直に言えば>>続きを読む
フランス・チュニジア映画。邦題(というよりも原題も「愛と欲望の物語」なのだが)と比して真面目に「童貞」を描く。シネスコ。
この、童貞青年のラブストーリーを異文化間の緊張や文学との関わりとかを絡めた手>>続きを読む
ちょっと放心状態になるレベルの傑作。冬枯れの風景の中ジュブナイルSF(というよりも大林版時かけ)の意匠を借りて時間と死を描き、そこには自転車とバスケットが常にある。
あの焚火の長回しはなんだ?!あれ>>続きを読む
受難の映画。
信仰ともいえる気持ちをかかえた女性が経験する受難。『さよならくちびる』の次回作と考えると後味は良くないが打ちのめされる。
由希の麻希への「信仰」は歌を聞く前に始まっている。それから、い>>続きを読む
私はいわゆる「バカ映画」を観ても作り手の計算とか知性を感じることが多いのだけど、これは観ていて何度も「ウォシャウスキー姉妹、あんたらアホやろ」と言いたくなった。ニコニコしながら。
ほぼ全編グリーンバ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
染み出す狂気。部屋を変容させ、イメージ映像と現実の境目を曖昧にさせる。しかし、人間の身体は変容させない。最後の最後でこの映画が狂人の内面であると通牒しながら、狂気のままで幕を閉じさせるフリードキンが優>>続きを読む
支持したい。保守党の立候補者という設定はどうしても左翼の自分としては身構えてしまうが、最後まで観ると確かにこれは保守党の目線から描かないと効果がない薬だと思わせられた。
『神奈川芸術大学映像学科研究室>>続きを読む
面白い!フェミニズムとピンク映画的実用性(最後のくらいだが)の両立を試みた佳作。
松本菜奈実は元々好きなAV女優だが、身長が大きいことによる異物感がよく、演技もうまい。あけみみうの登場した時から感じさ>>続きを読む