乙郎さんさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

マルメロの伝言(2019年製作の映画)

2.0

ロケーションが素晴らしい。この短いランタイムで2回も警察の世話になったり、中盤の馬車の追いかけっこなど見所もあるが、良くも悪くもうまく着地しすぎた印象。

恋する遊園地(2020年製作の映画)

2.5

一般的には奇抜な題材に比して演出は堅実で心理描写は丁寧。
その丁寧さゆえに眠くなる感じはあるが、一般的ではないものを説明するには必要な遅さなのかもしれない。

あらゆる性的マイノリティに置き換え可能と
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ホイッスラーズ 誓いの口笛(2019年製作の映画)

4.0

ルーマニア人監督によるスパイ映画。なかなか面白かった。
カナリア諸島を舞台にしたシークエンスの余暇感や、BGMを使わないところ(音楽はいっぱい鳴るが)など、ちょっと北野武の『ソナチネ』を連想した。
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Home(2011年製作の映画)

4.0

なんというか、習作ともいえる作品を立て続けに観た後だと、想田監督の編集のうまさやショットの捉え方が見えるのが面白い。バッタやカエルを捉えた映像に差し込む光の暖かさよ。

The Laboratory of Dr. X(2003年製作の映画)

2.5

どう評価してのいか迷うが、嫌いではない。
ダンス的なものは『サイドウォーク・ソナタ』から引き継いだものなのかもしれないし、その時よりも運動性、身体性の撮り方が進化している感じはある。

ザ・フリッカー(1997年製作の映画)

3.5

面白い。ようやく「映画」を掴んだ感がある。
映像がかっこよく、この時期のニューヨークの空気を収められている。ビターな青春映画テイストもあるが、「反復は存在しない」など娯楽映画を否定するステートメントも
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サイドウォーク・ソナタ(1996年製作の映画)

1.5

ドキュメンタリーといえばドキュメンタリーな。踊る様な気持ち良いが、たった8分なのに眠くなった、

花と女(1995年製作の映画)

3.0

どことなくヨーロピアンな作風。赤が印象的。
花を観察する女性と観察する目的、その結果といったところに作家性を求められるか。

ニューヨークの夜(1995年製作の映画)

2.5

想田監督の後年の作風からは思いも寄らないニューヨークのピザ屋を舞台にしたサイレントコメディ。主人公が他の客をひたすら観察し、最後には自分が観察される予兆を残す、という意味では観察映画の萌芽とも呼べるか>>続きを読む

21世紀の女の子(2018年製作の映画)

-

全体的に撮影が良い。確かにラストの山戸は圧巻。2019年の山戸は良い意味でイカれている。

「ミューズ」★★★
「Mirror」★★★★★
「out of fashion」★★★★
「回転てん子とどり
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ひとまずすすめ(2015年製作の映画)

1.5

地方都市を舞台に人生に行き詰まった独身女性を描くという題材。良くも悪くも平凡な印象。この作品の公開から7年で色々なことが自明になったのだと実感。これに何を付け足すかこそが作家性ではないだろうか。

親密さ(2012年製作の映画)

3.0

今まで観た濱口作品の中では最も爽やかな青春映画という印象を受けた。

ワークショップで形成された仮の人間関係が現実のそれに影響を与えるという話は他のものと一緒ではあるが、それでも「行きて帰りし物語」と
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5windows(2011年製作の映画)

4.5

瀬田なつき『5 windows』2011
自身の「陰」を同時期の『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』に注ぎ込んだからなのか、フィルモグラフィ上最も「陽」に振り切れた作品。ひたすら自転車の軌道が心地よい
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5 windows mountain mouth(2013年製作の映画)

3.5

瀬田なつき『5 windows mountain mouth』(2013)
『5 windows』と同様のコンセプトだが、前作に比べるとやや手癖で撮った感があり。図書館のシーンが素晴らしい。ゾンビは驚
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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん(2010年製作の映画)

2.5

正直に言えば、この映画で描かれる現実の凄惨さは瀬田なつきの作風とは食い合わせが悪いように感じた。しかし、ファンシーと現実の齟齬を描き続けてきた作家にとって、それも自明なことなのかもしれない。

会話の
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あとのまつり(2009年製作の映画)

5.0

超絶!おそらく瀬田なつき最高傑作!

記憶がなくなる病が流行るというSF的な設定をもとに、切ないボーイミーツガールを描き、一方で記憶がなくなることはすべての景色が鮮やかになると宣言する。その説得力を増
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彼方からの手紙(2008年製作の映画)

4.5

打ちのめされる。
なるほど『PARKS』はこの語り直しか。矛盾するものを内包し人生すら感じさせる85分。朝倉あきがかわいい。

出会いの瞬間のみが描かれ、別れの瞬間は省略される。車に乗ったら夕方になっ
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.0

思ったより楽しめた。しかし、軽薄なパッケージを期待した観客は重いストーリーに打ちのめされ、逆に重い物語を好む者は軽薄なパッケージにより遠ざけられるという、非常に不幸な映画だと思う。
かなり普遍的な「青
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花子(2001年製作の映画)

3.5

切れの良い撮影と編集で描かれる障がいアート。子を持つ親として、どうしても我が身に引き寄せて考えてしまうが、ある種障がいと共に生きることは世間の方向とは異なる向きに進むことなのかもしれず、そういった「生>>続きを読む

Playback(2012年製作の映画)

4.0

脳内で「これは芸術、これは娯楽」とカテゴライズする自分を揺さぶる。決して難解な話ではないものの、受け止め方がわからずに途方に暮れていると、行ったことのない場所に連れていかれる/元いた場所に戻される。い>>続きを読む

ギルガメッシュ/小さなほうき(1985年製作の映画)

3.5

ストーリー的には相変わらず理解できないのだけれども、不快感が来る前に映像的快楽でもっていく。風の表現がすごい。

ヤン・シュヴァンクマイエルの部屋(1984年製作の映画)

4.0

ブラザーズクエイはどこを切ってもブラザーズクエイの色が強いのでこれくらい短い方がちょうど良い気がする。箱の中身ゲームが笑える。

人工の夜景(1979年製作の映画)

2.0

メルヘンでグロテスクな造形、陰鬱な色使い、この上なく感覚的な音使い、不自由さゆえに惹きつけられる独特の速度。ブラザーズクエイを象るものが処女作の時点ですべて含まれるが、わかりやすいストーリーではないの>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

3.5

面白い。たしかにスパイ映画。
ドラマ描写もかなり魅力的。神作画の連続やら、日本語なのに特に説明されない固有名詞が使われることで異国の映画という感覚に襲われる。あの天井扇があるレストランこそが心象風景に
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普通は走り出す(2018年製作の映画)

3.5

自主映画で監督自身を主人公に置いた時の自虐、嫌いなんだよなとか、モノクロにする意味あるのかとか、単にカット割れないだけじゃねとか思いながら観ていたら不意に自分が過去に経験した夏に重なる瞬間があった。渡>>続きを読む

ドキュメンタリー頭脳警察(2009年製作の映画)

3.0

例えば、この映画を2時間にまとめて、ある程度のストーリーの枠組みに組み込んでしまうこと、これも可能だろう。しかし、瀬々敬久監督はそうせずに、5時間強という時間を使い、本来ならカットすべき素材も使用した>>続きを読む

螺旋銀河(2014年製作の映画)

3.0

サンクスシアターにて。主人公の女性があまりにも性格がひどすぎることが推進力。低予算ゆえの画面のチープさや、結局メタ構造が現実を呑み込むような怖さがないのは気になる。
ランタイムが短いのもあるけど、主人
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

3.5

初スレイマン。楽しめた。
ただ、観光とテロというテーマの他の作品と比べると、オリヴェイラやイーストウッドほど突き抜けた面白さではない。これは当事者ゆえか。
監督本人の受けの演技、チャップリンやユロ氏を
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わたしたちに許された特別な時間の終わり(2013年製作の映画)

3.0

自死したミュージシャンの青年を生前から交流があった作家ぎ監督したドキュメンタリー。と書いて、果たしてそんなものが成立するのだろうかと思ったし、観終わっても果たして成立できたのか、受け止めきれない。
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映像研には手を出すな!(2020年製作の映画)

3.0

英勉にしては真面目なのは原作への敬意か。時折気になる部分はあったものの、総じて面白かった(ただ、やはりアニメ版に軍配)。

原作の手柄という部分はあるものの、空想上の絵が他者と共有できている部分は強い
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恋愛依存症の女(2018年製作の映画)

1.5

うーん。さすがに199分は長いし、ないものねだりかもしれないけど、この題材なら今泉監督とか濱口監督ならもっとうまく撮っただろうとしか思えなかった。

小さな恋のうた(2019年製作の映画)

2.0

このレビューはネタバレを含みます

撮影と役者が良いので観られるが、色々とモヤモヤする。一番モヤつくポイントは基地問題の描き方なのだが、一見フラットに見える描き方だけど、視覚的に怖く見えるデモ隊と姿を見せない轢き逃げ犯では、映像的には等>>続きを読む

惨劇館 -ブラインド-(2011年製作の映画)

4.0

ホラー漫画家・御茶漬海苔の監督作品。面白かった。「古潤茶(古賀新一・伊藤潤二・御茶漬海苔が作品を同一世界観で映像化するプロジェクト)」の他の作品も観てみたい。
御茶漬海苔の漫画自体が映画からの影響が大
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佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

2.5

このレビューはネタバレを含みます

青春を仮託されるということ、それは憧憬と隔絶を同時に行なっているという残酷さ。本音は常に夜中か夜明けに語られる。

ただ、個人的には理屈っぽすぎてハマらず。この映画、佐々木を一切画面に映さないか、佐々
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ぼくたちと駐在さんの700日戦争(2008年製作の映画)

2.5

脚本が福田雄一。思ったほど悪くない。宇多丸氏のいう汗の匂いがしないというのには同感。
終盤の泣かせ展開は本来批難されるべきものとは思うが泣けた。マイルドヤンキーなので。大人と子供の立ち位置。
ヤンキー
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