乙郎さんさんの映画レビュー・感想・評価 - 71ページ目

エスター(2009年製作の映画)

4.0

かなりよかったなあ。ネタバレはできるだけ避けて観てほしい映画。とはいえ、ある重大な部分のネタバレを事前に食らっていた自分でも楽しめた。やはりエンターテイメントとしての見せ方がうまい。それと、優れたホラ>>続きを読む

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

2.0

是枝監督の映画は好みなのだけれども、これはちょっと作家性のほうが先に立ちすぎて、劇映画としての訴求力に乏しい印象を受けた。もちろん、一筋縄ではいかない作品だということもわかるし、解釈の余地が残されてい>>続きを読む

恋のロンドン狂騒曲(2010年製作の映画)

4.0

意地悪だなー。観ていて幾度となく、自分の中の倫理観をゆるやかに超えていくシーンが出てきて、それこそ映画の中の俳優と同じような表情をしていた。たださ、恋愛にしろそれをはじめとする幻想にしろ、行き過ぎた様>>続きを読む

エンド・オブ・ザ・ワールド(2012年製作の映画)

4.0

例えば、世界の終わりを迎えるとして、完全に捨て鉢な態度をとるか、あるいは破滅を乗り越えるべくブルース・ウィリス的な態度をとるか。それが今までの映画で描かれてきた道だったと思う。ただ、この映画においては>>続きを読む

キャリー(1976年製作の映画)

4.5

キャリーで描かれる惨劇は今の技術ならもっと容赦ないものが描けるだろう。ただ、この時代の技術でできる最高のことをやろうとしていることが、今の時代にも強く響いた。そのはみだそうという意気こそが迫力を生んで>>続きを読む

ブレーキ・ダウン(1997年製作の映画)

4.0

ほほー『激突!』のリメイクか、と思いきやまさかの村落ホラー。全編を通してハラハラしっぱなしで、おそらくはアメリカの暗部を切り取っているのではないかと感じた。特にオチで暗示されるある事実には驚愕。『激突>>続きを読む

ヨコハマBJブルース(1981年製作の映画)

3.0

松田優作がひたすら好きな要素を詰め込んだ作品。なのに不思議となるしスティックな香りがしない。おそらく、優作の存在感を中心に添えているのは確かだが、同時にハードボイルドに必要不可欠な場(ここでは横浜とい>>続きを読む

牯嶺街少年殺人事件(1991年製作の映画)

4.0

未だに何を観たのか頭の中で整理がつかない。確かに、人物関係は整理されていないし、暗くてよくわからないシーンがあるので混乱しやすい。ただ、この映画はあえて観客を混乱の中に置いている。そして4時間の旅が一>>続きを読む

僕の村は戦場だった(1962年製作の映画)

4.5

すべてのカットがそのまま絵になりそうなほど美しく、また水の象徴性も健在だった。現実と夢のつなぎ目があいまいになる個所が本当に映画的に美しく、この美しさが戦争という大きな歴史的断絶を際立たせているのだと>>続きを読む

ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

4.5

観終わった直後はタランティーノの中では比較的地味なほうだなーと思った。ただ、観た次の日あたりに追想することが多くて、それというのも、この非情な世界を抑えめな演出で描き、ラストでエモーションを爆発させる>>続きを読む

さびしんぼう(1985年製作の映画)

4.5

やっぱり大林作品で一番好きなのはこれかな。とにかくもう全編にわたって映画的快楽が支配している。実はヒッチコック『めまい』にも似た狂気じみたものがある世界観でもある。そしてあふれる抒情性。エンドロールで>>続きを読む

ふがいない僕は空を見た(2012年製作の映画)

3.0

原作を先に読んでいたので初読時ほどの衝撃はなかったが、それでもしだいに追い詰められていく主人公たちにやるせない気持ちになった。それでも、最後の最後にほんの少しだけ示される救い。タナダユキの視点は実にド>>続きを読む

マンディンゴ(1975年製作の映画)

4.0

まず主人公のハモンドという矛盾や清濁を内包した男を描きだした時点でこの映画は素晴らしい。奴隷制度下の社会を描いているが、殊更にそのおかしさを描きだすのではなく、むしろそのメンタリティが社会全体にしみわ>>続きを読む

赤い文化住宅の初子(2007年製作の映画)

3.5

正直に言うと、『ふがいない~』よりこちらの方が好みかもしれない。タナダユキのテーマ二本柱は「貧困」と「性」だと思うのだが、こちらは「貧困」の比重が大きい。初子の周囲にいる人は自分のことしか考えていない>>続きを読む

BE-BOP HIGHSCHOOL ビー・バップ・ハイスクール(1994年製作の映画)

3.0

陰惨な暴力描写に抗争劇としての強度。そして竹中直人以外は有名な役者は出ていないが、皆いい顔している。ビーバップハイスクールといえば若干牧歌的なヤンキー漫画という印象があったが、そのイメージを裏切るよう>>続きを読む

危険なメソッド(2011年製作の映画)

2.0

うーむ。フロイトやユングの精神分析がクローネンバーグのテーマ根幹にかかわるものだということはわかる。ただ、前半はともかく、後半になるとわりと台詞中心で進んでしまうため、ちょっと飽きが来た。例えば、心理>>続きを読む

そろばんずく(1986年製作の映画)

3.0

森田芳光監督の評価は今なお難しいところだと思う。圧倒的な情報量は確かにその時代を写し取っている一方で、風化している部分も大きい(個人的にスーパーマリオネタはツボだった)。この「小ネタ」感が悪しき風潮を>>続きを読む

ジャンゴ 繋がれざる者(2012年製作の映画)

4.0

 差別等で虐げられた者が虐げてきた者に復讐する話というのは大好物で、しかもそれにタランティーノ流のエンターテイメントが加わったのだから、面白くないはずが無い。多くの人が絶賛するのも納得。改めて考えて見>>続きを読む

ワイルド・パーティー(1970年製作の映画)

4.0

映画とは祭りである。70年代~Sex,Drugs&Rock'n'rollの時代、その狂乱に足を突っ込んだ若者たちの顛末。同時代の作品としては『ロッキーホラーショー』に通じるし、最近の作品だと『ブギーナ>>続きを読む

サイドキックス(1992年製作の映画)

3.0

三宅隆太監督がチャック・ノリス最高傑作に上げていたので鑑賞。面白い!確かによく考えるとおかしいところは多い。でもいいんです。あれはメタファーだ!今の大味アクションになれた目から見ると物足りない観客もい>>続きを読む

カリフォルニア・ドールズ(1981年製作の映画)

5.0

最高の映画!俺が映画に求めるものすべてが詰まっている。暴力も色気もすべてごった煮にしたエンターテイメントが、テンションMAXの祝祭になだれ込んでいく様が見事だった。やはり映画は権威に楯つかないと・・・>>続きを読む

アリス・イン・ワンダーランド(2010年製作の映画)

2.0

流石ティム・バートンと言うべき映像の応酬は見事。アクションシーンもきちんと見せてくれるし。ミカ・ワシコウスカは本当に魅力的な女優だと思う。ただ、どことなく物足りない。本来のバートン的なキャラクターは「>>続きを読む

絞死刑(1968年製作の映画)

3.5

重苦しい映画と思いきや、コメディ要素が強く、また中盤以降は現実と妄想の境目があやふやになり、かなり楽しめた。すべてのカットに意味がある。確かに、在日朝鮮人や死刑制度に関する問いかけは大きなウェイトを占>>続きを読む

サムシング・ワイルド(1986年製作の映画)

4.5

ジョナサン・デミによるスクリューボールコメディーの80年代的アップデート。とにかく前半の音楽の使い方が見事で、凄腕のDJという印象を受けた。あと、奇抜な女であるオードリーがチャーリーを振り回していく前>>続きを読む

シュガー・ラッシュ(2012年製作の映画)

4.5

エンターテイメントとして申し分ない出来。ぼくはこの映画、ディズニー映画らしからぬところからスタートして、ディズニー映画として着地するところに魅力を感じました。あと、ここに出てくるドット絵からフルCGま>>続きを読む

シャブ極道(1996年製作の映画)

4.5

『グッドフェローズ』の影響が強い作品。役所広司が『Shall we ダンス?』と同年にこの演技をしたという事実に驚愕。役所演じる真壁五味というキャラクターはヤク中のヤクザで、狂気とカリスマの紙一重とい>>続きを読む

アギーレ/神の怒り(1972年製作の映画)

3.5

最初は本当に流れるような映像と超自然的な禍々しさに惹かれた。スペインの歴史やキリスト教に詳しくない自分には理解できない部分もあるのかなと思ったが、ラストまで観てわかった。これはクラウス・キンスキーの映>>続きを読む

サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)

4.5

通しで観るのは3回目。爽やかな涙を流せる映画。はっきり言ってしまえばファンタジーだ。でも、私たちが生きている今は過去があるから成り立っているのであって、その過去を肯定するためのファンタジー、これは絶対>>続きを読む

アニー・ホール(1977年製作の映画)

4.0

アニー・ホールいいなあ。今をもって、この映画の自由な作風には度肝を抜かれざるを得ない。『(500)日のサマー』も『指輪をはめたい』もこの映画抜きには作られなかった。やっぱりさ、失恋を経験した男は捨て鉢>>続きを読む

殺し屋1(2001年製作の映画)

3.0

強烈!いかにもやくざな演技をしている集団の中でいつもの「自然系」演技をしている浅野忠信が、なんか完全にほかの論理で動いている感を出していて怖かった。「危ねっ!」がずっと印象に残っている。グロい部分が多>>続きを読む

バッド・ティーチャー(2011年製作の映画)

3.5

キャメロン・ディアス演じる主人公は徹頭徹尾自分の欲望に忠実。だから本来は悪役でもおかしくない。ただ、普段抑圧することの多い自分にとっては、抑圧しない彼女を心のどこかで応援してしまった。こち亀の両さんに>>続きを読む

ネイビーシールズ(2012年製作の映画)

2.0

プロパガンダ色が強いのはわかるのだが、やっぱりちょっとだけかっこいいと思ってしまう。要はテロという誰がどうみてもその結果としては擁護しようのないものと対立しているからね。まあ、あまりミリタリーに興味が>>続きを読む

ザ・グレイ 凍える太陽(2012年製作の映画)

2.0

死に魅入られた男が雪山でサバイバルをしていく中で・・・。初めに、やっぱりリーアムはちょっと強そうで、そこが期待とのギャップになっているのかな。すごいと思う映像はいっぱいあった。特に綱渡りの場面とか。だ>>続きを読む

復讐するは我にあり(1979年製作の映画)

3.5

人たらしと言われた緒方拳が胡散臭い詐欺師であり殺人者でもある男を演じる。三國連太郎の演技もいい。とにかく、この二人のパワーで周囲をかき乱し、当然観客もかき乱される。簡単に消化はできないなというのが印象>>続きを読む

ナビィの恋(1999年製作の映画)

4.0

登川誠仁さん追悼放送で鑑賞。とにかく、この映画の中の沖縄という空間が最高。沖縄在住だからあえて言うと、これは理想化された沖縄である。でも、この映画の中に永久に存在し続けてくれるのがうれしいのだ。主人公>>続きを読む

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

3.0

まず、男としては身につまされるところが大きい内容だし、『テイク・ディス・ワルツ』同様、こんだけポップな外観をした劇薬、毒入りケーキみたいな映画だと感じた。まさかあんな怖いクライマックスがあるとは思わな>>続きを読む