バランシーンさんの映画レビュー・感想・評価

バランシーン

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エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

結構壮大なオマージュとメタファーの洪水。悪く言っちゃえば、引用のパッチワークなんだけど、ラストは謎の感動が全身を駆け抜けるという何とも不思議な作品でした。

これ、乱暴に言っちゃえば、家族の再生、もし
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アンテベラム(2020年製作の映画)

3.9

プロットというか、作品全体のアイデアは素晴らしいです。こんな風に観る側を裏切れる、ってのは映画における開拓幅ってまだまだあるな、と感嘆させられました。
とにかくアイデア一本勝負なので、予告編などもって
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.6

とても首尾一貫していて、わかりやすいストーリー。すごく読みやすい本をサクサク読んでる感じで、ラストなんて逆に「でしょうね」としか言いようのないもので、デル・トロ作品ってことでフリークスやら宇宙人やら出>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.7

ウェス・アンダーソン好きですよ。ちょっと恥ずかしいけど(笑)
でも、ここ何作かで芸風が完全に確立してきましたね。本作も賛否あるようですが、基本的にはウェス・アンダーソンの流儀に則った作品と見えたので、
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ヨーロッパ(1991年製作の映画)

3.5

暗い映画です。
LVTっぽいカットはいくつかあって(遠近感を無視したり、モノクロで撮ってわざわざ後で着色した?みたいな)、よい変態っぷりも味わえるのですが、わかりやすいようで、わかりにくい、複雑な作品
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ヴァスト・オブ・ナイト(2019年製作の映画)

3.7

廉価版・未知との遭遇、はその通りなんだけど、作り手は寧ろ初期タランティーノ的な会話劇、そのガジェットとしてUFOという座組を志向してるように思う。
クセのある長回しとカメラワーク。とっ散らかる伏線と、
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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

4.6

本当に久しぶりに観ましたが、変わらず傑作ですね。
人間の可能性、民主主義の可能性について、大上段に構えることなく伝えてくれる。人は分かり合えるかもしれないという希望を与えてくれる作品。

とにかく脚本
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.5

いやー、何から書けばいいだろう?
リンチ×クローネンバーグ×レフン、で、もちろん仕上げは鉄男風味。作中に溢れるのは文字通りインスパイアとしての、先立の作品たちの横溢なイメージ!
徹頭徹尾、意味はわから
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MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.8

なんかすごく懐かしい感じのする作品でした。初期三谷幸喜感というか、東京サンシャインボーイズ感が個人的にすごくて、「12人の優しい日本人」観た後みたいな読後感です。

一見、突拍子もないような事象→徐々
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ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.9

ヴェンダースmeetsウォン・カーウァイ!
中国からいよいよこの種の映画的才能が出てくるようになったんだなぁ、と感慨深いです。

ストーリーはあってないようなもので、時間軸も消失しています。辛うじて分
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Mank/マンク(2020年製作の映画)

3.4

白黒なんですよね…。リリー・コリンズの可愛さをカラーで堪能させてくれよ、と(笑)

すっかりネトフリ専属作家となってしまったフィンチャー。フィンチャー好きとしてはモジモジしてましたが、一念発起してネト
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白い恐怖(1945年製作の映画)

3.6

バーグマン絶頂期の作品、との評ありますが、まさに!で。バーグマンの気品、バーグマンの美しさ、バーグマンの愛らしさを堪能する作品。

一方で、1951年という時代性の中では「精神分析」はこのように人口に
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ザ・ディスカバリー(2017年製作の映画)

3.9

とにかく素材が最高に唆るんですよね。
「死後の世界が科学的に証明された世界」
これだけで、ご飯何杯もいけそうじゃないですか(笑)
その科学的な証明を行った博士のインタビューから幕が開き、科学的証明とは
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トランス・ワールド(2011年製作の映画)

4.1

「CUBE」を観た時以来の衝撃!…というと少し大袈裟だけども久しぶりにアイデアの詰まった本当に面白い作品を観た思い。
これぞ脚本一本勝負!って感じでした。
どこからどう語ってもネタバレになりそうなので
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FALL/フォール(2022年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

いやー最強のチンさむ映画でした(笑)僕はそこまで高い所ダメなわけじゃないですが、コレはきますね(笑)

思い付いたシチュエーション自体が強いので、多少牽強付会でも成り立つ作品だと思うんだけど、割と脚本
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.5

山崎貴監督、お見事でした。シン・ゴジラの後は本当に難しいと思っていたのですが自身の得意なフィールドに持ち込んで、後は素晴らしい料理っぷりでした。

いわゆる「怪獣パート」は文句なしの迫力。そして、過去
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シンプル・プラン(1998年製作の映画)

3.3

ロケーションもシチュエーションも何だかコーエン兄弟(ファーゴ)っぽくて、でもコーエン兄弟より良くも悪くも生々しい感じ。

ストーリーは分を超えた欲望の結末、というよくある筋なのだけど、一番イカれてそう
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誰がハマーショルドを殺したか(2019年製作の映画)

3.5

不可解な失踪とか死、事故の類は正直大好きです。
まあ、趣味がいいとは思わないが、謎が混み入れば混み入るほど惹かれますよね。

で、本作もそういう不可解な事故に付随する謎にアプローチするドキュメンタリー
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ガメラ3 邪神<イリス>覚醒(1999年製作の映画)

3.7

偏愛する平成ガメラシリーズですが、最も評価に困る3作目ですねー。
バトルシーンは渋谷、京都共に文句なしです。地上の蹂躙される人々からの視点を軸にしているのは、メッセージでもあり、新鮮でもあり。
難しい
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.5

うーん。なんともレビューに困りますね。
端的に言うと、苦しい出来でした。
ですが、ジョジョファンとしても、このシリーズの座組のファンとしても、是非コレを試金石にして欲しい、そういう応援は込めたいと思い
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オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

4.1

素直に良かったです。想像以上でした。
謎解きや、ポアロのキャラクターにリソースを注ぎ込むのではなくて、原作の持っているエモーショナルさというか、感傷的な部分にフォーカスした作りは新鮮でした。ああ、オリ
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憧れを超えた侍たち 世界一への記録(2023年製作の映画)

4.0

まさに、夢のような結末。


前半の東京ラウンド。
感じたのは、WBCは日本にとってコロナを終わらせるための通過儀礼、祝祭だったのだな、と。

ドームを埋め尽くした観客。そして大歓声。
わずか半年少し
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落下の王国(2006年製作の映画)

4.0

とにかくどこかにあるんだろうけど、どこにも存在しないような幻想的なロケーションが次々に登場し、敢えて言えば脈絡のない物語をイマジネーションが繋いでいく。
そして漫然と絶望に浸されていた日常が、やがて生
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インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説(1984年製作の映画)

3.6

夏休みなので。何か夏休みらしく…童心に還れるものを…ということでインディ・ジョーンズ!
40年近くぶりですか。内容はほとんど覚えていませんが、ホントに子どもだったんでとにかく怖かった印象が。後はトロッ
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人間の証明(1977年製作の映画)

3.5

言われてるほど悪くないと思います!とりあえず2時間ちょっと集中して観れました。そんなにバカにされるような出来ではないと思いますよ。

優作はブルース・リーに寄せてますね(笑)ニューヨークロケのシーンだ
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ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

3.8

出来は粗いが非常に野心的な作品を観たという感じ。期待はいい意味で裏切られました。

ストーリー的には『ブラックスワン』ですね。こちらの方が過度にソフィスティケートされてる分だけ、胸糞感が強いです。そし
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姑獲鳥の夏(2005年製作の映画)

3.5

基本、京極夏彦の大ファンです。
百鬼夜行シリーズも貪るように読んでます。
なので、いかに実相寺昭雄と言えども、公開時食指が伸びなかった。どうやったって、京極堂ファン大勢の支持を得るのは不可能だろうと。
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

4.0

「シン」シリーズ?の中では、最もミニマルで最もわかりやすい結末に辿り着いた作品。僕は世代的には昭和仮面ライダーには間に合っていないので、再放送含めてほぼ1話も見ていない状態でしたが、楽しめました。
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地中海殺人事件(1982年製作の映画)

3.7

一応、ジェーン・バーキン追悼ということで自分的に好きな本作を。

久しぶりに観ましたが、こういうのでいいですよね。映画も謎解きも避暑地も金持ちも(笑)
無駄に美しいリゾートの風景と、長閑な音楽、そして
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三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実(2020年製作の映画)

3.8

刺激的だが、描き方の難しい題材でTBSが制作に入っていることからも作品のバランスについては心配もあったが、総体的には面白い出来になっていたと思う。楽しめました。

この討論が行われた69年5月は三島自
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NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.9

期待に違わぬ面白さでした。
初ジョーダン・ピールでしたが、“表層上のストーリーの面白さ”と“メタファーとしての面白さ”の両立している作家性は稀有で、まさに20年代の才能ですね。
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インヘリタンス(2020年製作の映画)

3.4

リリー・コリンズ目当て。可愛い。太眉と派手なリップがよい。
で、実際ストーリーもプレビュー読む限りでは魅力的に思えたのですが…。
やっぱり、設定のご都合主義が過ぎますね。
まず、そんなもん遺産として残
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

3.7

率直な感想は「女優レディ・ガガ、いいじゃん!」
彼女の出演作を観るのは初めてなので、野卑だが野心を持ち、若くしては魅力的な、後には壊れていく演技は全然アリだなと。ひまわりのソフィア・ローレン感ありまし
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憎しみ(1995年製作の映画)

3.6

本作の公開が96年。その2年後にフランスはアルジェリア移民の子、ジネディーヌ・ジダンの活躍でワールドカップを取る。
その代表にクリスチャン・カランブーというニューカレドニア出身のMF(レアルでプレーし
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デンジャー・クロース 極限着弾(2019年製作の映画)

3.5

正直期待値はあまり高くなかったので、意外にと言ったら失礼だが面白かった。
ベトナム戦争モノなのだが、オーストラリア軍視点というのは新鮮。66年のロングタンの戦いを描いている、とのことなのだが、全く分か
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ジュラシック・ワールド/新たなる支配者(2021年製作の映画)

3.3

いやー、もはや壮大なイナゴ映画(笑)ますますのリビングデッド化ですね。
「ジュラシック」シリーズという金看板を背負いながら、しかしもう描くことがなくなってしまった、そんな喪失感と、何とか物語を終結に導
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