バランシーンさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

バランシーン

バランシーン

映画(154)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ひまわり(1970年製作の映画)

3.8

冒頭・ラストの印象的なひまわり畑は現在激戦の続くウクライナ・ヘルソン近郊の村とのこと。80年近く経ってまたしても多くの無念の死が当地を埋めていることに悲憤を感じる。

反戦映画として有名な本作だが、反
>>続きを読む

ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.7

神隠し、である。
本作の場合、忽然と姿を消す場所は山や森といった神域ではなくドライブインだが、とにかく主人公の妻は結界の向こうに行ってしまった。
古来日本人の知恵は、訳ありの失踪をこうしたある種の寓話
>>続きを読む

サウスポー(2015年製作の映画)

3.3

ボクシングを題材にすると、他のストーリーラインってやっぱり難しいものなんですかね。本作も中身的には「ロッキーの呪い」の一環。栄光→挫折→再起の黄金循環で、そこに家族との関係、信頼出来るトレーナーとの出>>続きを読む

キック・アス ジャスティス・フォーエバー(2013年製作の映画)

3.0

クロエが可愛かった、以外の感想をとりあえず持てないですね(笑)
そしてクロエが「綺麗」になってしまっては成り立たないシリーズなので、3はないのだなと納得。しかし、気持ちいいくらい中身はなかった。

>>続きを読む

サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)(2021年製作の映画)

4.6

久しぶりに魂が震える思いがした。素晴らしい作品。
作品は1969年夏を切り取っているため、さすがに生まれる前の世代の出来事である。なので「あの頃の自分に出会う」的なカタルシスはない。しかし全編、画面を
>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

3.9

アガサ・クリスティのナイルに死す、なのでもう原作が偉大過ぎます。どう撮ったってあーだこーだ言われることは間違いなし。
しかもベタに大作映画にしなきゃいけない…。敢えてそういった作品に真正面から取り組む
>>続きを読む

インソムニア(2002年製作の映画)

3.3

アラスカの沈まない太陽、前が見通せないほどの霧、そして不眠で霞む意識。膜が張りついたようにクリアにならない感覚を全編通して見せられる。
クリストファー・ノーランの初期作。今やトリックスターのノーランが
>>続きを読む

ロープ(1948年製作の映画)

3.8

いわゆる倒叔型ミステリーのオリジンと言うべき作品。20数年ぶりというスパンで再見しましたが、普通に引き込まれますね。
1948年という時代感でこうした倒叔ミステリーを構想し、しかもワンカット風に時間軸
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.2

細部まで理解できないが、なんだか凄い作品を観ている気がする。本作の初見の感想はこうでしかないはずだ。
しかし、クリストファー・ノーランのビジョンは果てしない。相変わらず精緻に組み上げたプロットのディテ
>>続きを読む

リトル・ジョー(2019年製作の映画)

4.0

冒頭から無駄にスタイリッシュな色使いと、全く生活感のないセットが心にアンバランスさを植え付ける。そしてただただ不安と不快を煽る音楽…。何だかゾワゾワする。全てが完璧に調和しているように見えて、全くズレ>>続きを読む

赤穂城断絶(1978年製作の映画)

3.2

本作の撮影の背景についてある程度知った上で見たので、どうしてこんな中途半端な出来に終わったのかはある程度納得ずくである。
しかし78年といえば、深作は既に一連の仁義なきシリーズで名声を得ていた時期。そ
>>続きを読む

コンテイジョン(2011年製作の映画)

3.8

今は2021年12月。COVID-19の感染も終息が見えてきているが、この間のパンデミックを経験した身からすると本作はMEV-1ではなく、まるでCOVID-19のドキュメンタリーのように映った。
それ
>>続きを読む

マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.7

思えば、このシリーズはキアヌ・リーブスという良くも悪くも「我」を感じさせない、無味無臭な俳優を中心に据えたことが成功の要因だったと思える。役柄ではなく、俳優個人の色や味の主張が強い役者が中心であれば、>>続きを読む

マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

4.0

レザレクションに向けてPart2
一作目は再見ながら、感動するほどの完成度だったが、更に記憶が薄い二作目は?と思いつつ、冒頭からとにかく印象的なシーンの連続で圧倒してくる。
トリニティーのバイクからバ
>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.7

レザレクションの始動に向けての復習。10数年ぶりに見ました。
当時自分が未熟で理解できなかった部分、そして時代が良くも悪くもマトリックスの世界に追いつき体感的になった部分が補完され、改めて本作の出色さ
>>続きを読む

ビバリウム(2019年製作の映画)

3.6

不勉強ながら、この映画で「托卵」という現象について初めて知った。郭公のものが有名らしいが、YouTubeで見たホトトギスとウグイスの托卵関係においては、仮親を丸呑み出来そうなほど巨大に成長したホトトギ>>続きを読む

オブリビオン(2013年製作の映画)

3.5

攻撃型ドローンの造形や、ジャックとヴィクトリアの暮らすコロニーや荒廃した地球の描き方、急に出てくる湖畔のコテージなどガジェットは総じて素晴らしく、また、キュリレンコはともかくアンドレア・ライズボローも>>続きを読む

9人の翻訳家 囚われたベストセラー(2019年製作の映画)

3.3

アマプラのリードからして「ミステリー」「クローズドサークル」「身代金モノ」という僕の好きそうな要素満載で、これはと思って期待して観てみたのですが…。
うーん…とてもよく考えられたプロットで、複雑な時間
>>続きを読む

コリーニ事件(2019年製作の映画)

4.0

シーラッハの他の作品同様に「事件」を描きながら、簡単に善悪が対峙する構造にはなっていない。ナチス青年将校として民間人を虐殺したのがハンス・マイヤーであれば、起業して財をなし国家に貢献した良き企業人もハ>>続きを読む

お嬢さん(2016年製作の映画)

3.5

原作がしっかりしているので、ストーリーテリングは最高。二度のどんでん返しも心地良い。映像も凝っていて、主演2人を蠱惑的に描けていた。
日本語下手なのは仕方ない。個人的にエンタメとしての完成度は高いが、
>>続きを読む

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.0

思えばダニエル・クレイグのボンドは「カジノ・ロワイヤル」から一貫して〝人間ボンド〟であり、それは15年間変わらず貫かれたのだなと感じる。クレイグ・ボンドだからこそ、ボンドの00としての成長、ボンドの愛>>続きを読む

ミッシング(1982年製作の映画)

3.6

コスタ=カブラス感たっぷりのブルーグレーの映像に抑えた音楽。
そしてこちらもコスタ=カブラス十八番の一夜にして風景が一変し、全体像が見えないまま、右往左往する展開。
実はこれは父親の物語なのだろうと感
>>続きを読む

オールド(2021年製作の映画)

4.5

久々のシャマラン新作。今回はどんな魅力的な設定とどんなズンドコなオチが、と期待に胸を膨らませながら劇場へ。
結論から言うと、今作、設定のケレン味というか振りかぶり方は少し弱いけど、作品としてよくまとま
>>続きを読む

危険なプロット(2012年製作の映画)

3.5

非常にクローズドなストーリーで、かつ、サクサクと進むので「舞台っぽいなぁ」と思ったら、やっぱり元々は戯曲だったってことで納得。
内容はとても消化するのが難しい(笑)
主人公のエルンスト・ウンハウアーが
>>続きを読む

Swallow/スワロウ(2019年製作の映画)

4.4

いやー、すごかった。面白かったというか、一見珍奇なテーマでこれだけ諸々盛り込んでくるか?と思うと本当に素晴らしい作品だったと思う。
異食症という、耳慣れないが何か興味惹かれるシチュエーションを巡りなが
>>続きを読む

ファム・ファタール(2002年製作の映画)

3.3

デ・パルマ節全部のせだったけど、レベッカ・ローミンを使ってあの中途半端なエロさはいただけない(笑)
バンデラスも結果いい奴で、全然滾ってない。むしろ裸に宝石っていうリー・ラスムッセンが良い。ミリタリー
>>続きを読む

ディーバ(1981年製作の映画)

4.0

ディテールをあれこれ詰めるよりも、感性と確信で物事を進めてしまえる時期がある。凡才の自分ですらそうだったのだから、才気溢れるクリエイターならその勢いでどんなものを生み出せるだろうか?
べネックスのディ
>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.9

とても面白かった。140分あっという間だったのだが、これは少し一歩引いてみてみる必要のある面白さだった。
それは僕自身が関西で幼年期を過ごし、星野源とほぼ同年代であるという点である。
初めて意識してニ
>>続きを読む

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

4.3

前作が見事で、本当に分かっている人たちが本気で若い頃夢中になった作品を作り直すといかにスゴいかを実感したのだが、今作もとにかくシビれる。
冒頭から老いたドルフ・ラングレンの横顔で幕が開け、華やかなチャ
>>続きを読む

ソードフィッシュ(2001年製作の映画)

3.5

トラボルタだし、見なきゃなと思いながら20年(笑)
この作品は00年代初頭の空気感の中で見るか、今回のように時間が経って見るかで随分評価が変わる気がする。
冒頭のトラボルタのトラッシュトーク。そこから
>>続きを読む

バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.7

色々と内容を想像していたのだが、見終わった後空気感的に一番似てるなと感じたのはエル・トポ。もちろんディティールも出来も全く違うのだが、西部劇的な構造を援用している点は同じで、本作はそれにボルヘスやガル>>続きを読む

戦場でワルツを(2008年製作の映画)

4.0

アリ・フォルマンの自叙的な作品。1982年のイスラエルによるレバノン侵攻とそれに伴う大統領バシールの暗殺、サブラ・シャティールでの虐殺を「加害者」であるイスラエルの視点で描いている。
これは中東戦争が
>>続きを読む

ノスタルジア(1983年製作の映画)

3.6

監督の内面世界を投影している作品だけに、正直ストーリーは断片的で、全てが何らかのメタファーのようであり、逆に全ての解釈が無意味だとも感じる。
唯一投げかけられているのはタイトルである「ノスタルジア=郷
>>続きを読む

惑星ソラリス(1972年製作の映画)

4.4

どうしていいのかわからない。作品に感情移入すると、そうとしか言いようのない作品。
過去に失った感情や光景、ひいては失った恋人があの日のままの姿、エモーションで目の前に現れたら?という魅惑的なんだけど、
>>続きを読む

宇宙戦争(2005年製作の映画)

3.5

なるほどと言うか、さすがスピルバーグと言うか。
53年版を観た後で、本作を観るシチュエーションにしたのだが、そのことによって楽しめる点が多かった。当然2つはあらゆる意味で別の作品になっているのだが、あ
>>続きを読む

ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)

3.1

ある日、ヒトは天使を拾った。
ヒトは有頂天になり、それで自分の人生を作り替えようとした。
しかし、天使は天使というにはあまりにも無知すぎて…。

多くの意味ありげな、隠喩に満ちているように見えたガジェ
>>続きを読む