Vocaliseさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

Vocalise

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旅芸人の記録(1975年製作の映画)

4.5

4時間の果てに押し寄せた感動

混迷を極め激しく血も涙も流れたこの時期を描いたものに
『旅芸人の記録』というまったく感情を抑えたような静かなタイトルがふされていることに感心させられました
飽くまでも彼
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ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

4.3

映画に楽しませてもらっている
という特別感をすごく感じました

画面の隅の隅まで行き届いた演出が面白おかしく尚且つお洒落で
大きな出来事は何も起こらないのにたっぷりと魅せられ続けました

エンタメとし
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こうのとり、たちずさんで(1991年製作の映画)

4.5

ここではないどこか、私の求める私
それを探し続けて人はいくつもの“国境”を越えてゆく

これもまた様々な想いと余韻の止まない作品でした

寄り添う気持ちも、敢えて黙して尊重を優先する気持ちも、やさしく
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.1

人生初のWWS
舞台にもオリジナル映画にも触れたことがなく、ストーリーも何も知らないままの観賞です

最初から高揚感に包まれてかなりテンション上がりました
この曲ってこの映画発なの!?という耳馴染みの
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白い牛のバラッド(2020年製作の映画)

4.2

謳われているような衝撃やサスペンス的な捻りは感じなかったものの
緻密なカメラワークは台詞よりも何よりも物語を引っ張っていて見応えある作品でした

死刑制度のベースにあるものが日本のそれとはまったく違う
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女経(じょきょう)(1960年製作の映画)

4.0

①増村保造/若尾文子
②市川菎/山本富士子
③吉村公三郎/京マチ子
という監督と主演女優の字面だけでも期待度の高まるオムニバス映画

①お洒落でテンポよく若尾文子の小悪魔な感じと強がりな具合がいつもな
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レイジング・ファイア(2021年製作の映画)

3.9

ここまで振り切ってくれると気持ちよくて楽しくてかなりの時間笑ってしまっていました

香港アクションおもしろい~
バイクのシーン、すごすぎて本当に体揺らしながら笑いが止まらず苦しかったです
素手でやり合
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愛怨峡(1937年製作の映画)

4.5

溝口監督の幻の名作をアマプラで発見!深夜に引き込まれて止まらなくなりました
デジタルリマスターすべき名作

時とともに変貌する山路ふみ子さんの演技は圧巻でした
とりまく人々もキャラがたっていてずっと面
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.3

さらなる別冊をすぐに観たいくらい楽しかったです

独自のスタイルがますます際立っていて
ウェスファンにとっては胸踊る作品だと思います

キャストも豪華というだけでなく、適材適所…を遥かに越えてこういう
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私の惑星(2018年製作の映画)

3.9

コメディのショートフィルムを気軽に楽しむつもりがそれだけでは済まなかった良作

誰か(自分を含め)の良い面好きな面を発見することの大切さ
冷えきった熟年夫婦の再生
現代アートの在り方
誰が何と言おうと
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FUNAN フナン(2018年製作の映画)

4.1

カンボジアの土地の本来の美しさが印象深いシーンが多く、残酷すぎる現実を痛切に感じさせるだけでなく悔しさをも彷彿させる力がありました

ラッキー・ライフ(2010年製作の映画)

3.5

幸せだと、良い人生だと、
そんなに言葉にして声高に叫ぶように確認しないといけないのでしょうか
既成の価値観に則って

どうしても共感できるところが少なかったです

兄弟愛(2018年製作の映画)

3.9

25分のなかに密度の濃いストーリーがしっかり詰まっていました

シンボリックな嫁の装いや振舞いが遠い国の私たちにはミステリアスで妖艶さまで感じさせるものの、ここではリアルに不穏であることの背景が如何と
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空白(2021年製作の映画)

3.8

登場人物の死を何かのきっかけとして安直に用いるのは好きではないけれど、本作では終盤の葬儀シーンでの母親の台詞がしっかりとしていたため(女優さんの素晴らしさも含め)、ひっかからずに済みました

松坂桃李
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アスファルト(2015年製作の映画)

4.2

3年前に観たけれど、ウトウトどころか酩酊していたため冒頭以外まったく記憶になかった…本当に作品に失礼です
こんなに素敵な作品だったなんて
早く見返せばよかったです

さまざまな人たちの偶然の出会い
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奇跡(1954年製作の映画)

4.7

映画館で見られて本当によかった
傑作に浸りきれ
ワクワクが止まない贅沢な2時間でした

宗派間の軋轢や個人の信仰の在り方、そして奇跡という扱い難いテーマに、次男ヨハンネスの存在を通してぐっと視聴者を
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罪の手ざわり(2013年製作の映画)

4.1

アバンでもかなり作品の雰囲気を予感させるものがあったけれど、つづいて浮かび上がった英題
『A Toutch of Sin』
このニュアンス、この感覚をこれからの4編を通してまるで自分自身がなぞっていく
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ノーマン・ザ・スノーマン ~流れ星のふる夜に~(2013年製作の映画)

3.9

クライマックスの情景は大人でもうっとり見入るものでした

構成は前作と同じですが
テンポや余白が前作よりも良くほぼ邪念なしに見られました
ちょっと童心を取り戻したような

これで完結ということなのか、
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ノーマン・ザ・スノーマン ~北の国のオーロラ~(2013年製作の映画)

3.8

いくつかの教えが本当に可愛らしくて優しくて
最後の文字描写もすんなり入りました

フクロウの神秘的な美しさには息をのみました
ストップモーションでこんな驚きは新鮮でした

作品を通して伝えたいことが溢
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長江哀歌(ちょうこうエレジー)(2006年製作の映画)

4.2

長江がゆったり流れる美しい景観と
変わりゆく物事のスピード感や熱気
そのいびつな組み合わせにはエレジーがよく似合う

過去のすべてが壊されダムの底に沈みゆく街に
過去を振り払うために来た者と
過去を取
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エレニの旅(2004年製作の映画)

4.7

この作品に捧げる監督の想いがただならぬものだと感じずにはいられない、冒頭の圧倒的な画力
それから3時間弱、瞬きをするのも惜しむ時間が続きました

私は難民
いつどこへ行っても難民
ロシア革命時~第二次
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.0

一つの映画としての感想を書くのが私にはなかなか難しい作品
良い意味で
なにかの実験のただ中にいたような心地がして

なので率直に感じたことだけを

偶然
偶然の先からは人は選択を続けていく
またその先
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永遠と一日(1998年製作の映画)

4.7

私も堺をさまようように
完全にラストまで作品に引き込まれていきました

自分は何も成しえず下書きしか書いてこられなかったと言う詩人の人生最期の日

記憶と願い
後悔と気付き
生と死
想像と言葉
問いと
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トゥルーノース(2020年製作の映画)

3.9

極限のなかで
どう生きるかの物語

あの逞しい表情で見上げる姿が続きますように、なんとか待っていてね
とただ願うだけで為す術を持ち合わせない自分を感じるばかりでもありました

アニメーションだからこそ
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象は静かに座っている(2018年製作の映画)

4.7

観終わったとたんにむせび泣いてしまったなんていつぶりでしょう

ラストシーンがあまりに好みで圧倒的だったといのもあるけれど
感動というものともまた違って
ずっと心当たりに似たものを感じていたからなのか
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田舎司祭の日記(1950年製作の映画)

4.2

徹底的に抑制された描写のなかで、バイクの後ろに乗る司祭の表情が唯一若者らしく何かを掴んだようでさえあってものすごく印象的でした

ただそれが本当に救われた表情というものではなかったわけで、だからこそか
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落下の王国(2006年製作の映画)

4.1

幾つもの作品において、ラスト、殊にエンドクレジット直前の在り方次第でその作品への自分の評価が動くことは経験してきたけれど、今作もその一つとなりました

同じ病院に入院する青年が少女に語るお伽噺を軸とし
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.0

スペクターがスマートな完結の仕方だったので
今作はどのようになるのか過度な期待はせずともやはりクレイグボンドをもう1度観賞できる喜びを抱いて足を運びました

そうしたら!
序盤から中盤の魅せまくるアク
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.4

今さらの懸賞

扱おうたしたテーマそのものは好みです

以下、この作品が好きな方にはすみません
個人的感想です

飛び込んでくるカラフルさや華やかさ、それと相反する残酷さやグロさ、そのギャップに誘い込
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チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

3.9

ひとたび主人公チャンシルさんに親しみを感じてしまうと、予定調和的だとしてもどうかこうなって欲しいと願ってしまったり

けれどそうは簡単にいかないチャンシルさんのあれやこれやにやっぱり映画的な面白さを感
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