アラカンさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

プライベート・ライアン(1998年製作の映画)

4.5

戦争は劇ではなくただただ現実の結果なんだなと強く認識した。
悲劇を感じる間も与えられず語り合った戦友たちが無作為に淡々と死んでいく様は時間も運命も感じられず、悲痛が追いつく頃には耐え難い過程しか残って
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イコライザー2(2018年製作の映画)

4.2

強おじは場所も武器も選ばない。

前作よりバトルシーンは簡潔でありつつもそのカッコ良さはより洗練されていた。口数の少ないロバートが口調荒立てた説教シーンは心打たれるね。
他の殺し屋や工作員ものと違う点
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イコライザー(2014年製作の映画)

4.0

完璧主義の殺し屋はやはり男のロマン。

漫画小説映画どんな創作でもやはりめちゃ強のイケおじの色香にはあてられてしまうもの。
デンゼル・ワシントンから醸し出される初老独特の包容力と淡々とした冷徹さのギャ
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.9

カタルシスを求めて彷徨う社会的弱者の姿があまりに生々しく描かれているので、時代も場所も違うけれどこれを見てなにか自分の未熟で醜い部分に触れられたような感覚になる人は多いのではないだろうか。

名誉除隊
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.0

Mr.FOXに続き2作品目のストップモーションアニメ。監督自身の日本への愛がひしひしと感じられる作品。作中に出てくるメガ崎の人々はほぼ日本語のセリフを話しており、ネイティブスピーカーとしてイントネーシ>>続きを読む

グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

4.0

時系列順にウェス・アンダーソン作品を追ってきているが、作品を重ねる毎に彼の表現が軸を持ちつつもさらにその幅を拡げていることを今作で確信させられた。

ブダペスト以前の作品は現実を平面的に切り取るような
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ファンタスティック Mr.FOX(2009年製作の映画)

4.0

1秒間に24コマ撮りとかいう脅威のこだわり。ストップモーションの質が高すぎてCGかパペットなのか時たまわからないほどだった。

ウェス自身が幼少期に読んで虜となったロアルド・ダール著の「すばらしき父さ
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ダージリン急行(2007年製作の映画)

4.0

どこか歪で分かり合えない、けれどやっぱり大事な家族。みたいな定番ほっこりムービーではあるものの、その奇想天外な演出と独特のカットとカメラワークで他とは違う世界観を今作も描き出している。

オーウェン・
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.2

作り手の熱意がすごい、しかし眠い。

2年半前にJUNK HEADを見た時もなかなかの衝撃だったが、その精巧さや動作感には劣るものの、この作品は一つのカットを撮るための作業量が半端ではないことは開始数
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ライフ・アクアティック(2004年製作の映画)

3.7

心境を素直に伝え合う登場人物達のコミュニケーションがなんとも愉快で愛おしかった。CGは安っぽいのに撮影のセットはとてつもなく金をかけていて、そのこだわりのギャップからくる違和感によって織り成される世界>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

3.9

今敏はやはり夢想と現実の境目の演出がとてつもなく巧いなと改めて。今作が彼の長編アニメ処女作と聞いた。確かに後の作品と比べると諸処の部分でクオリティの差が見えはするが、それでもやはり傑作のひとつであるこ>>続きを読む

台風クラブ(1985年製作の映画)

3.2

映画の世界は表現によって埋め尽くされているという非現実もしくは超現実的な価値観なのか、それとも当時と今の価値観がただ大きく違うだけなのか。あまり釈然としない脚本や構成という印象を受けた。支離滅裂に感じ>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

3.8

20世紀最大のセックスシンボルとして世界中から愛されたマリリン・モンロー、その陰に隠された1人の女性の物語。

ここ数年に渡って半世紀前の大スターの"本当の物語"を謳う作品が増えてきた。個人的な話だが
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ホーンテッドマンション(2003年製作の映画)

3.5

エディ・マーフィはどの作品に出てもエディ・マーフィで面白い

アトランティス/失われた帝国(2001年製作の映画)

3.8

夜一さんで思春期を迎えた過去を持つ自分にとってキーダはあまりに刺さってしまう

さかなのこ(2022年製作の映画)

4.4

シンプルな構成ではあるが、"みー坊"という「少し世間とズレのある」無垢な主人公を取り巻く環境が優しさに溢れており、彼を否定せずその不思議な人柄に惹かれていく様がなんとも微笑ましかった。
決して自己否定
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

4.3

伏線だったり感情描写だったりといった要素を一旦排除して観てみるとコメディとして純粋に楽しめる作品だった。ユーモアある台詞回しやテンポの良さなどから良質なコントを見ているように感じた(皮肉ではなく)。>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.0

少年と言うにはものを知りすぎているし、大人と言うには大切なことの多くをまだ知らない、そんなあどけなさの残る主人公と、色気ムンムンお兄さんのひと夏の淡い成長物語。

友達みんな「美しい愛」と形容していた
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.9

個人評価ではあるがこれがジブリ最高傑作だろう。
宮崎駿が常々描いてきた死生観が、ここにきてようやく分かりやすい教科書を渡された。今この感覚を基に過去の作品を見返すとまた違った印象を受けるに違いない。
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.0

無垢な少年の成長の糧としてはあまりに危険な愛とあまりに深すぎる傷。大切なものが1つ、また1つと失われていく中で、残ったものに何を見出せるのか。
ジョジョの価値観もエルサの生活空間も互いが互いを狭い世界
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硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)

4.4

セピアな色味は当時の統制され狭窄した価値観を表していたのだろうか。最後の夕陽が鮮やかに揺れていたのは、自身の現況の正当性に常に懐疑的であった西郷がようやく檻から抜け出せた瞬間だったのかもしれない。>>続きを読む

明け方の若者たち(2021年製作の映画)

2.0

開始10分も経たずに残り2時間弱もあるのかと憂鬱になった。ベタベタで浅すぎるセリフと脚本で、途中のどんでん返しも特にスパイスになりきれず、花束に影響を受けた高校生の妄想みたいな内容をキャスト豪華にした>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

最近はジェンダー意識を肯定していく作品が多いが、この作品ではジェンダーやマイノリティの要素はポリコレ配慮としてではなく物語に散在する様々な前提要素の1つとしてのみ描かれており、これから多様性の感覚が根>>続きを読む

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

4.2

小中高大と習ってきたテーマ、日本四大公害病の一つ「水俣病」。世界中にその存在が知られる契機となった1人のカメラマンの物語。
進学するにつれ公害病についての解像度は上がっていたものの、実を言うとその恐ろ
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岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.7

タイトルがまず良い。
「岸辺露伴、ルーブルへ行く。」
主語 動詞 目的語という小学校で習う最も典型的な1文だが、色々な表現に出会った後だと心地よく感じるし、どこか新鮮にも感じる。
しかし導入が長かった
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怪物(2023年製作の映画)

3.8

暴力的な狭窄視野が個人や社会の規模で各々に牙を剥く。もはや命を脅かすほどに磨かれたそれを怪物と呼ばずに何と呼ぶのか。そして怪物と出遭った時、人はどのように動くのだろうか。
1つの時間軸を3つの視点から
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ワンダフルライフ(1999年製作の映画)

4.3

個人とは何を持って生まれるのか。きっとそれは記憶なのかもしれない。
死役所を愛読していた自分としては開始数秒で感じ取るものがあった。フィクションでありながらドキュメンタリーのような演出、演技の濃度をな
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幻の光(1995年製作の映画)

3.5

自身の死生観と重なるものがあり静かだけど確かなカタルシスを覚えた

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

4.8

MARVELシリーズでも三本指に入る屈指の名作になったのではないだろうか。

もともと各ヒーローそれぞれの映画では玉石混淆といった出来ではあったMARVELシリーズ。近年、というよりウルトロン以降から
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デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.2

全く曲は履修していない状態で、彼のインタビュー動画をいつぞやに何本か見たくらいの認知度であった。しかし最初の数秒から既に彼の世界が始まっており、理解ができそうで結局できていないんだろうという何かの確信>>続きを読む