好事家気取りで観に行ったが案外、トーンを抑えた語りだったし何より最後の台詞が自分にも向かってきて意表を突かれた。
事件そのものについての大まかな捉え方には賛成できるが、一部のストーリーは蛇足だと感じた。
急速に発展した現代中国社会の歩みと、その下でやはり急速に変化する価値観に足元をすくわれた個人の哀切がオーバークロスして、スリリングな展開に仕上がっている。ラスト手前のシーンの画の動きが激しすぎて少し観>>続きを読む
チー牛パパとキラキラママの悲しきマリアージュの顛末に暗澹たる気分となった。
モノクロで撮ることによって、荒涼とした寒村の風土や貧困、それゆえの悲恋が浮き立って見えて、美しさがより増している。
流転の人生を失意のうちに終えた溥儀の数奇な生涯を通して、人間に共通する生の悲哀を描いた文句なしの大作。
とりあえずテーマ曲を流せばいいと思っているのではないか。
公開当初現地で大ヒットしたと言うだけあって、楽しく観られた。
伝統と格式の枠組みの中で栄誉を得た主人公が「キャンセル」されて凋落していくさまは痛々しかったが、予告編で強調されていた「混沌」やら「狂気」やらはさほど感じられなかった。
スプラッター趣味全開のスリラー娯楽作かと思いきや、COVID-19のパンデミックを下敷きとして、未知のウイルスを前に科学を軽視する大衆や信頼のおけない行政を風刺する社会派(?)な側面もある。しかし何よ>>続きを読む
老人を切り捨てることへの疑問を提起するはずが、倍賞美恵子演じる主人公だけが生気を保っているというアイロニカルなちぐはぐさが見られる。
フィリピンで泥水を啜り爪に火を灯すような底辺生活を送る邦人男性4人の「なれのはて」。あまりにも特殊な彼らの境遇を通して、最後に人間を支えるものは何かという普遍的な問いに答えているように思う。
中盤までの展開に食傷気味にさせたところで終盤に急加速して抒情的なラストで締める流れが鮮やかだった。
一見すると単なる破綻に至ったかのように思われる「孤島のプログラム」は、一例のみではあるが、「オペレ>>続きを読む