ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

ピロシキ

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独裁者たちのとき(2022年製作の映画)

3.6

かつてレーニンやヒトラーを主人公に映画を作り、ロシア政府から監視されまくってきた、アレクサンドル・ソクーロフの最新作。これを作ったのがソクーロフだと知らずに観れば「ハァ?」みたいな映画。ソクーロフだと>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

4.0

父を死に追いやった叔父への復讐を誓う、若き王位継承者。というところでライオン・キングを思い出した。なぜか四つん這いになって獣みたいに吠えてるし占い師のサルみたいなウィレム・デフォー出てきたからはいはい>>続きを読む

線は、僕を描く(2022年製作の映画)

4.0

主演男優のドアップから始まるファーストカットで、なんかさっそく感動してしまった。顔が綺麗すぎたから、ではない。たぶん、始まった…という感動なんだと思う。「わぁ、小泉徳宏監督最新作だ」ってなもんである。>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

ポスターに写る4人の目線。母は父へ、父は娘へ、娘はヤンへ、そしてヤンは遥か遠くへーーーそれぞれの目線にはすべて、愛情がこもっている。たとえかたちは違っても、たとえその対象が人間ではなかったとしても、、>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.6

王室の人たちはダイアナの言うことを聞いてくれなくて意地悪だ!という極端な見せ方ではない。皆「伝統」のもとに自らの務めを果たそうとしているだけで、ダイアナ妃にはまさにそれが堪えられなかったということだろ>>続きを読む

四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

4.1

お見事な着地。特にぶっ刺さったのは「散々好き放題やったけど、結局何とかなってる」という言葉。実際なんとかなったのは、結局自分がなんとかしてきた成果ではあるのだけれど。二度と戻らないあの、学生時代の刹那>>続きを読む

あるじ(1925年製作の映画)

4.2

男が稼ぎに出る。女が家を守る。家族がメシ食えてるのは、男が働いてるから。だから男は、家で偉そうにしていい。俺がこの家の「あるじ」だからだ、と。家父長制にかこつけて意地でも台所に立とうとしない今のオジサ>>続きを読む

怒りの日(1943年製作の映画)

3.8

「裁かるるジャンヌ」(ルルジャン、と僕は勝手に呼んでる)に次ぐ、魔女狩りモノの傑作。

超年上のオッチャンと結婚した若い女性が、帰ってきた若い息子さんと初対面してやだぁータイプーとなっちゃって、そんで
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サマータイムマシン・ブルース(2005年製作の映画)

3.6

エアコンのリモコンが99年前から今も使えるとは思えないし、エアコンの本体だって今から30年後も使えているとは思わない。

2005年の公開当時は、ここから木村カエラの旦那とトライセラトップスの嫁が出て
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むかしむかし(1922年製作の映画)

3.4

むかしむかしもここまでむかしだと、ところどころ抜けのあるボロボロの紙芝居をめくって見せられているような印象で、正直完全に鑑賞したと言えるかは疑わしいけど、観たことにしておく。

冒頭、男たちに求婚され
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シュザンヌの生き方(1963年製作の映画)

3.3

何が「生き方」じゃ、金返せ!!と詰め寄りたくもなる。ほんのり脈がありそうなフンイキを匂わせてくるヒトに最終的に華麗にスカされると「なんだ、近くで見たら結構ブサイクじゃねえか」などと悪口を言って自分を守>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.3

時間を超えて出会う母娘を演じる双子があまりにも似過ぎているゆえに、赤色と青色の服で違いを見せつける良心的な演出はありがたいが、夜の暗闇になるとそれすら判別が困難になる。そうなると、もはや判別しようとす>>続きを読む

アバター:ジェームズ・キャメロン3Dリマスター(2022年製作の映画)

4.2

続編製作の噂が上がったまま、あっという間に13年経ってしまった。公開時、僕は大学生。今ではすっかり社会人になってしまった。当時大阪に新しくできた満席のIMAXシアターで、重たいメガネをかけながら観て、>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.8

どんな作品だってIMAXで観られたらより面白くなるんだろうと思う。だからこそ、ロード・オブ・ザ・リング3部作がIMAXでリバイバル上映されるのは非常に喜ばしい。でも当時中学生だった自分が地元のフツーの>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.7

「男でも女でも、どっちだっていいじゃない」的なテロップから幕を開ける139分。正直、そんな別にあらたまって言わなくてもって感じではある。男だから女だからとかじゃなく、圧倒的に「のん」であることの必然性>>続きを読む

ある現代の女子学生(1966年製作の映画)

3.0

パリで学ぶ一人の女子学生の記録映像。あたし、パリで頑張ってます!で映画は終わり。

後年ロメールが生み出した素晴らしい長編作品とそもそも比べても仕方ないけど、やっぱりこの後カフェのテラスで色男に口説か
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パリのナジャ(1964年製作の映画)

3.5

パリは良いところ。人生のひと時を過ごすには、素晴らしい街。

この作品がのちに、田舎娘がパリで大冒険する長編「レネットとミラベル」に繋がるのかと思えば、感慨深い。だからといってこの小品をそのプロトタイ
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ベレニス(1954年製作の映画)

3.3

「彼女の歯が気になる。歯、歯、歯…‼︎」と従妹の歯にやたら執着してしまう、精神病みがちの主人公。一応調べてはみたけど、どうやらWAHAHA本舗が久本雅美主演でリメイクした記録はなさそう。要するに、笑わ>>続きを読む

モンソーのパン屋の女の子(1963年製作の映画)

3.7

主人公のデカいイケメン、道端にポイ捨て連発なんて地球に対して最低だし、好きでもないパン屋の子を誘った後やっぱり別の本命に走ってすっぽかしやらかすなんて女性に対しても最低なのだが、こんなつまらない僕自身>>続きを読む

紹介、またはシャルロットとステーキ(1961年製作の映画)

3.7

シュッとした主人公のボクちゃん。演じた役者の名前はジャン=リュック・ゴダール(20)。

10分の本編が12分になってもいいから、もうちょっと牛肉はじっくり焼いたほうがいいと提案させていただく。

ヴェロニクと怠慢な生徒(1958年製作の映画)

3.5

教育業界、これも仕事、と割り切る姿勢も大事だな。ともすると、いちばん怠慢なのは息子でも家庭教師でもなく母親なのかもしれない。

畳みかけるようにロメールの短編見てやった

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.4

愛し合って喧嘩して、いろんな壁二人で乗り越えて、やっぱり乗り越えるのやめて叩いて殴って叫んで燃えて冷めて、荷物まとめてやっぱりほどいて。そうこうしているうちに、夏は終わりに近づいてゆくーーー

今年に
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LOVE LIFE(2022年製作の映画)

2.5

これほんとに……矢野顕子の曲が元なのか?深田晃司監督、原曲からこんなに離れていても、愛していると言えるのだろうか。さすがにいろいろやり過ぎだと思う。仮に自分が矢野顕子で「矢野さんの曲で、映画作りました>>続きを読む

セイント・フランシス(2019年製作の映画)

4.0

聖フランシス。タイトルが良い。

人種、信仰、性的指向……6歳のフランシスは、そんな壁を軽々と超えてゆく。相手が誰を好きで誰を嫌いか気にしたり、悪いところばかり見つけるのはナンセンス。まずは相手の名前
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私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

3.6

物語の舞台は2000年代初頭。「最近のボーイズグループはよく分からない!」と唸るお母さんが、まさに今のおばあちゃんから「イン・シンク?バックストリート・ボーイズ?よく分からない!」と言われていたかもし>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.2

睡眠のサイクルは90分周期で切り替わると聞いたことがある。眠りが浅い90分と眠りが深い90分を交互に繰り返しながら、眠りが浅いサイクルのときに夢を見る、というやつ。『パプリカ』はまさにその、浅い眠りそ>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.4

たいしたイベントなんか何ひとつ起こりはしない。子どもや大人が飛行機に乗ったり車に乗ったりバイクに乗ったりあとはひたすら走ったりしながら、右へ行ったり左へ来たりしてるだけだ。なのになぜ、こんなにも面白い>>続きを読む

恋は光(2022年製作の映画)

4.1

面白い。ファーストカットのスローモーションから、覗く才気。彼にだけ見えている「恋の光」が可視化されるたびに、どういうときにだけ光が見えるのか、その規則性が彼らにも観客にも少しずつわかる(学習できる)よ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

3.6

ひと昔前なら「子どもを育てる覚悟のないこの女こそが、まさしく子どもなのだ」と突き放すような物語に仕上がっていてもおかしくないトピックかもしれない。しかし今や、そんなことをわざわざ映画で語ろうと思い立つ>>続きを読む

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)

3.7

これだけのオールスターキャストを異国でも実現させる世界のKORE-EDAブランド再び、日本の映画業界を憂えて韓国へ飛び出した万引き家族の監督が、パラサイトの主演を迎えて、なんだか万引き家族っぽくもパラ>>続きを読む

はい、泳げません(2022年製作の映画)

2.0

小鳥遊先生と4人のおばちゃん達が、スクール終わった後に喫茶店で茶しばいてるシーンで、カメラに配慮したのか完全に4:1に分かれて着席しているの見て、なんか冷めてしまった。「上手に撮りたい」という明確な意>>続きを読む

FLEE フリー(2021年製作の映画)

3.8

難民、アニメ、ドキュメンタリー。主人公は、身元を隠し「家族は全員亡くなった」と嘘をついてまで、アフガニスタンからデンマークへ逃れた実在の匿名男性。顔出しをしないために作られた、カクカクした動きの独特な>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

製作側からの「君たち、こんなんが見たかったんやろ?」というようなおごった姿勢を感じないばかりか、むしろ「僕たち、こんなんが見たかったんですぅ……」とこちらが勝手にひれ伏してしまう、エンターテインメント>>続きを読む

美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

3.7

若いエマニュエル・べアールが「ちょっと全裸はキツイっす」と拒み倒す冒頭(といいつつ1時間)から、しだいに裸婦として覚醒し、『美しき諍い女』が完成するまで。4時間という長尺は必然だといわんばかりに、画家>>続きを読む

犬王(2021年製作の映画)

3.6

歴史に名が残る者、残らぬ者。たとえ自分の名が残らなくても、時を超えて再び探してくれる人がいる限り、忘れられることはないのね。

たぶんしないだろうけど、舞台で実写化するならアヴちゃんと森山未來がそのま
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わたしたち(2016年製作の映画)

4.0

ドッジボール、嫌いやったわあ……なぜあんなにもしつこく学校が小学生にドッジボールをやらせていたのか、長らく疑問で仕方なかった。

でもこの作品観て、ひとつ気づいてしまったかもしれない。小学生の学校生活
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