「有毒な男らしさ」の毒を自ら食らってしまった、可哀想なイタいおじさんたちを見て憐れむ映画。そう思っておかないと、正気を保てない。家族をないがしろにしたおっさんたちが好き放題暴れて周りの人に迷惑かけまく>>続きを読む
甘やかされていて、わがままな少年。そんな彼に振り回される、大人たち。そう片付けてしまうこともできるのだろうけれど、そもそも少年自身に"Fucked up"と叫ばせてしまうような境遇を強いたのは、いった>>続きを読む
ルーマニア流のユーモアはさほど通じず、クスリともせずに最後まで見届けた。とにかく非常に野心的な作品であることはわかった。そして、好むと好まざるとにかかわらず、きわめて2020年代的に重要なトピックを(>>続きを読む
平凡な日常を写し取った、非凡なる傑作。ここまで絶賛されるのも、まあ納得できる。ある女性がただひたすら家事をこなすだけの3日間に、なぜか時間を忘れて引き込まれてしまった。
単調、変調、そして失調。初め>>続きを読む
嵐の中のダンス。てっきりロマンチックなシーンなのかと思い込んでいたが、実際はその真逆であり、なかなか観ていてツラいシーンだった。ポスターをよく見ると、たしかに2人とも笑ってはいない。オープニングから笑>>続きを読む
上映直前にビックマックセットを大急ぎでつめ込んでしまった自分が悪い。さっき食ったもん全部出そうになった。とはいえ気持ち悪さよりもむしろ、いろんな意味で痛さ(イタさ)が爆発したファンタジーだった。
監>>続きを読む
ソーシャルメディアは、真実を歪める。ソーシャルメディアによって深まる溝がある。打ち砕かれる絆がある。そして、心から探し求める人に、ソーシャルメディアは会わせてくれない。
母国イランへ帰ったファルハー>>続きを読む
オリジナルのフランス映画が個人的に全くピンと来なかったので(なんなら嫌い)、リメイクが劇場公開されても当然のようにスルーをかましていたが、先日のオスカーでの助演男優賞のスピーチにいたく感動したので、ど>>続きを読む
超がつくほど実力派の俳優たちのパフォーマンスに、作品自体の強度が追いついていないように感じる。『パンズ・ラビリンス』と『シェイプ・オブ・ウォーター』の監督が作ったという片鱗が見えるとするならば、美術面>>続きを読む
家の中、家の前の通り、学校、たまにおじいちゃんのいる病院。ほぼそれだけで、幼い主人公の物語は完結する。これぞ、誰にでもあったはずの、「まだ狭かった頃の世界」。
空から街を見下ろしても境界線なんて引か>>続きを読む
さっき観た255分についてあれこれ考えを巡らせるも、まったく言葉がまとまらぬ。それも自分の弱さではあるのだけれど、このままでは夜明けを迎えてしまいそうなので、とにかく今日は乗るべき電車に乗って、降りる>>続きを読む
どうやらワンオペっぽい古本屋の店員が、万引き女子高生を走って追いかけるのに必死で、しばらくの間お店を空っぽにしてしまっても平気……という冒頭のシーンから、なんだか間の抜けた人々による色恋曼荼羅。
皆>>続きを読む
全米のお茶の間に笑いを届けた「愛すべき」夫妻の、知られざる舞台裏。「ハイどうですか!?いい映画でしょうが〜〜!!」的なクライマックスの大袈裟で劇的な音楽にまんまとノせられてしまったが、そこに至るまでの>>続きを読む
観客に忍耐を要求する問題作。ものすごくうるさくて、ありえないほど暗い。何が起こってるのかよくわからなくてとにかくやかましいカーチェイスは、観ているだけでどっと消耗した。そして2時間経ってようやく登場し>>続きを読む
途中でたまらずトイレで離席してしまったのだが、戻ってきてもさっきとシーンが変わっていなかった。
監督と主演俳優、いずれも映画というフォーマットにとどまらず「アヴァンギャル度」高めの表現を続ける奇才た>>続きを読む
生き残った者たちは、その一生をかけて、死んでいった者たちのことを思いながら生きていかなければならない。戻ってきてほしい。会いたい。でも会えない。だからこそ、記憶をたぐり寄せて、共に生きた日々を思い返し>>続きを読む
浮気に対しての、男女間の認識の違いはあるのだろう。「君が浮気してても愛してる、だから一緒になろう」と言う新郎と、「結婚してからもまたたまに会えばいいじゃん」と言ってのける元彼とのあいだに揺れる新婦が、>>続きを読む
とりあえず渋川清彦から大人の男の色気がダダ漏れで吹きそうになった。今度はあんなふうに生まれ変わって、SENSEあたりの表紙を飾ってみたいものである。
正直お話は雲を掴むような感覚で、分かったつもりにも>>続きを読む
たとえチャンスの"窓"が開かれていても、黒人であるというだけでただでは通してもらえない。だからこそ、用意周到にプランを練って、"正面玄関"を突き抜けられる日を待つのだ。主演男優「キング・リチャード」は>>続きを読む
冒頭、ダンスシーンの流れるようなカメラワーク!しかしそこから先は……なんか暗い。画面が、とても暗い。同じラティーノの移民でも「イン・ザ・ハイツ」のほうが、よっぽどカラフルだったように感じる。
60年>>続きを読む
人形をめぐる主人公の謎の行動が、過去の回想と現在を繋ぎながら、観ているこちらを徐々に翻弄してゆく。オリヴィア・コールマンの怪演ありきの怪作、しかしこの怪演がとにかく絶品である。スーツケース蹴り飛ばして>>続きを読む
時間は戻せない。不可逆性とかなんとかってやつのせいで、人間の力じゃどうにもならない。でも記憶なら、ずっと頭にある。怪我から、失恋から、パンデミックから、なかなか立ち直れなくても、変わらないのはかつて経>>続きを読む
はぁーーー20年。1作目・賢者の石は、まだVHSで観ていたことを思い出します。そのあとの作品は全部、映画館で観ました。一緒に観に行った人たち、もう会っていないですがお元気でしょうか。あれから20年。ハ>>続きを読む
窓の外、ガタンゴトンと石炭が運ばれるリフトがぼんやり映るファーストカット。それだけで、約5分。マジで客を寝かしにかかってる。タル爺に至っては2時間で終わるだけでもじゅうぶんに良心的なのだろうが、たいし>>続きを読む
「これぞ、ウェス・アンダーソン」と評される領域を、突き抜けてしまったように感じる。簡潔に言うと、凝りすぎ、である。画面にほとんど映らない範囲にまで行き渡る、緻密さと完璧主義。ウェス・アンダーソンは、ロ>>続きを読む
おそろしいほど行間だらけ。たくさん詰め込めるはずの言葉は、風に吹かれて窓の外へ飛んでいってしまったのかもしれない。ただし「解釈は観た人それぞれで」という、突き放したような雰囲気は感じなかった。おじさん>>続きを読む
おそらく今年を代表するであろう「ザ・凡作」。それぐらいの感想しかマジで出てこない。なんとか頭を捻って出てきたワードは「凡・ディス・ウェイ」であった。見逃してほしい。そんなわけでレディー・ガガは頑張って>>続きを読む
『友だちの恋人』ではピタッとハマってくれたすれ違いのパズルが、ハマらないまま終わっていく第1話が出色。続く第2話では、「自分は遊んでもええけど、相手に遊ばれるのは話が違いますねん」とまくしたてる気まぐ>>続きを読む
壊れた自転車を直したと思ったら、今度はオートバイに邪魔をされ。「情けは人のためならず」なんて言うけれど、人のためにも自分のためにもならない余計な情けなんかかけちゃって、怒られちゃって損しちゃって馬鹿み>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
マトリックスといいスパイダーマンといい、今ハリウッドでは同窓会ブームが来ているのだろうか。まぁ、大歓迎ですけど〜!今から戦う、ってときにスパイダーマンが3人集まって「ボクらの時代」さながらにスパイダー>>続きを読む
友だちの恋人が自分の恋人になればいいのに、でもそうならないのは、それは友だちの恋人だから、ああいっそ友だちの恋人じゃなければいいのに。友だちも大事、友だちの恋人も大事、でもああやっぱり、友だちの恋人じ>>続きを読む
たとえ精神が衰えずとも、肉体は確実に年を重ねるもの。ましてや、一度死んだ者が再び息を吹き返すなんて、我らが住む「現実世界」では不可能なこと。ならば...「仮想世界」でやればいい。
甦生、と名付けられ>>続きを読む
Filmarksの「似ている作品」に「フェリーニのアマルコルド」。なるほど、名前も覚えられないほど多数の人々が入れ替わり立ち替わりで何やらやかましく騒ぎ立てる。なんなら明白な、フェリーニへの賛辞もある>>続きを読む
エドガー・ライトの映画への愛がビシバシ伝わってきた。音楽、ビジュアル、カメラワークも洒落ている。残念ながらそれだけ、だった。この物語を、怖かったね、面白かったね、だけで終わらせてしまうことに対する違和>>続きを読む
正直文化村に着くまでにコーヒーをいっぱい飲んじゃって、2話の途中あたりからトイレ行きたくなってしまったんだけども、けっきょく席を立つタイミングを全く見つけられないまま、いつのまにかエンドロールに突入し>>続きを読む
「ピアノ・レッスン」でチンコ出してたハーヴェイ・カイテルが、もし男にも興味あったら…?的な話。そう言ってしまえば語弊しかなくて申し訳ない。あれから30年近くの時を経て、時代は大きく様変わり。しかしジェ>>続きを読む