ピロシキさんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

ピロシキ

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愛の風景(1992年製作の映画)

3.4

えー。。

親族全員集まって絆深め合っていいなあ家族っていいなあ的なのを勝手に想像していた。実際はビッシバッシとあまりに容赦ない。なおかつ別に大して面白くはない。この内容で3時間を前提に考えるなよと編
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虎の尾を踏む男達(1945年製作の映画)

4.0

戦時中に製作、終戦後に完成、って時点で色々ヤバすぎる。しかも戦争プロパガンダでもなんでもなく、ただただエンターテインメントで、これまたヤバい。源義経ご一行が山伏に扮装して関所を越える、というだけのもの>>続きを読む

映画:フィッシュマンズ(2021年製作の映画)

4.6

UAが言うところの「ドンズバ」の世代ではない。その声や音や言葉には触れてきたつもりでいた自分にとっては、この映画によってようやくフィッシュマンズというバンドをちゃんと知る機会を与えられたという実感があ>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.8

アカデミー脚本賞作品。フェミニズム剥き出し?と初めは乗り切れないでいたが、後半からの華麗な巻き返し。伏線回収、という表現はあまり好きではないのだけれど、冒頭からたくさん浮かんだ「?」はちゃんと「!」に>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

3.8

ロックミュージシャンのドキュメンタリー映画のようなイメージは、激しいドラムパフォーマンスの冒頭から程なくしてあっさりと覆る。ものっっっすごい繊細な作品である。

くぐもった生活音、人工内耳のシャリシャ
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野良犬(1949年製作の映画)

3.7

ジャケというかイメージ写真というか、これが、よい。向き合っているが見つめ合ってはいない新米刑事とベテラン刑事、その足下にしゃがみこむ虚ろな表情の若い女。

手錠をかけられた人間が倒れ込んだまま アァァ
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赤ひげ(1965年製作の映画)

4.7

黒澤明最後のモノクロ作品かつ最後の三船敏郎出演作品。三船を撮り尽くしてしまった、とまで言われた「赤ひげ」は、その有終の美を飾るに相応しい超大作、いや、のけぞるほどの大傑作でござった。

のちに巨匠とよ
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クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

4.0

前作の直後という設定なのに、長男くんがわりと大きく育っちゃったことには目をつぶるしかない。階段のクギも「あれ、前こんなに出てたっけ」ってぐらい伸びてた気がするけど、それは単に気のせい。しかし今回は、そ>>続きを読む

河内山宗俊(1936年製作の映画)

3.9

姉貴に嘘ついて逃げ回って夜な夜な遊び呆けて、挙げ句の果てには若いチャンネーと川に飛び込んで心中未遂し、自分だけ生き残ってケロッとウチに帰ってくるヒロ太郎のクズっぷりが、「疾走」のラストカットへ向けてグ>>続きを読む

(1990年製作の映画)

3.0

世界の黒澤、もはや無双状態。スティーブン・スピルバーグが金貸してくれて、マーティン・スコセッシが体貸してくれるなんて、それだけでじゅうぶん「夢」じゃないか。寺尾聰が雪山から火山まで走り回ったり、いかり>>続きを読む

わが青春に悔なし(1946年製作の映画)

3.0

原節子が田植えを始めたあたりから、いつこちらを向いて「タラ…」と言い出すのかヒヤヒヤするぐらい、めちゃくちゃ風と共に去りぬだった。小津映画に慣れすぎていると、こんなにも動き回っている原節子の姿はなかな>>続きを読む

續姿三四郎(1945年製作の映画)

3.2

オナゴの姿を見つけてしまって気まずい敵兄弟の長男が「人力車の幌を下ろしてくれないか」と三四郎に頼むシーンがエモかった。とはいえ、それ以外は……まるで「ロッキー」から一気に「ロッキー5」までスキップした>>続きを読む

姿三四郎(1943年製作の映画)

3.9

豪快に投げ飛ばされる志村喬。

当時の日本人がこれを観て熱狂していたのであれば、こんなに微笑ましく、喜ばしいことはない。声が出かかるほど激しい映像のダイナミズムと、ときに愚直なまでにエモいヒューマニズ
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八月の狂詩曲(ラプソディー)(1991年製作の映画)

2.5

シューベルトの野ばらをソラで唄い、初対面のアメリカ人をジョン・ウェインに喩える、屈託のない子どもたち…。いかにも「老人が書いた」脚本といった印象で、古臭さと説教臭さが目立ち、瑞々しさは感じられない。む>>続きを読む

巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.7

オシャレというより、ハイカラというほうがこの時代には即しているのかもしれぬ。アンディー・ウォーホル印の激烈なオープニングから何やら只ならぬエネルギーを放ち、最後までそれが途切れることはない。巨大な製菓>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

3.9

5年経ったけど、夫とは一度も離れたことないんだ。彼が言うんです、愛し合ってるならずっと一緒にいるべきだって。

そう。5年経ったのに、夫と離れたのはこれが初めて。一度も離れてこなかった。彼がね、お互い
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悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

4.0

タイトルの出るタイミングと、
趣味の悪いウエディングケーキ

冒頭のやたら長い挙式のシーン。どうやらこれに影響を受けたコッポラが「ゴッドファーザー」で結婚式のシーンを最初に入れたとかなんとかで、古典映
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用心棒(1961年製作の映画)

3.7

時代劇っていうか西部劇、ピストル使ってもうてるし。最後の40分ぐらいから右肩上がりでエンタメ要素強くなってくる。血生臭い内輪揉めを高みからあぐらかいて見物する三船敏郎、てかいや、時代劇っていうか三船の>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.8

原作は知らなかった。映画界の重鎮を祖父に持ち、英才教育を経て自然と業界で名を馳せるようになったサラブレッドのポンポさんよりも、映画が大好きなのはむしろジーンくんのほうだったりしてる。そんな無名の彼が、>>続きを読む

クルエラ(2021年製作の映画)

3.7

冒頭から煽るブラックのシンデレラ城、監督は「アイ、トーニャ」の人というわけで、スケートリンクの上を動き回っていたあのグワングワンのカメラワークは、ここでも発揮されている。アイトーニャのほうはドギツめの>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.8

デイヴィッド・バーン本人は自分自身のことを「こんな"中年の白人男性"を」と言った。そんな中年の白人男性アーティストのライブパフォーマンスを映画にしたのは、スパイク・リーだった。それを証明するかのように>>続きを読む

生きものの記録(1955年製作の映画)

4.0

原水爆の恐怖は、街を破壊して焼き尽くすだけではない。被曝の恐怖に怯えて周囲を振り回す男と、彼を精神科へ送り込んで沈黙させようとする家族たち。果たして異常なのはどちらなのでしょうか。

虚しいラストカッ
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ペイン・アンド・グローリー(2019年製作の映画)

3.8

巨匠の自伝的作品であると聞いて、ヘロインでキマるのはさすがにマズイだろうと心配になっていたが、やっぱりそのへんはちゃんとフィクションだったみたいで安心。

栄光の裏に痛みあり、痛みの裏に栄光あり。当事
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まあだだよ(1993年製作の映画)

2.5

黒澤明、半世紀にわたる監督人生の集大成は、猫を探すおじいさんの話だった。どいつもこいつもゲラすぎる教え子たちと、あんなに多量のビールを一気飲みしてもなかなかくたばらない強肝臓の先生とのやり取り。正直、>>続きを読む

どん底(1957年製作の映画)

3.5

ほぼ室内劇。室といっても穴だらけのあばら屋。物語の鍵を握る左ボクゼンが「助けてパパーヤー」といつ言い出してもおかしくないレベルで劣悪な生活環境。どん底からのどんな飛躍があるのかと思いきや最後の最後まで>>続きを読む

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.2

ヤクザの世界は、浮世離れしすぎている。北野武の映画にあんまりのめり込めないでいたのも、それが理由だったりする。しかし「キッズ・リターン」は、個人的には別次元だった。エモくてしかたない。指が減ろうが刺青>>続きを読む

醜聞(スキャンダル)(1950年製作の映画)

3.9

ゴシツプ、パパラツチ、スキヤンダル、アラヤダ、ハレンチネエ

1950年の日本人にとってなかなか先鋭的なトピックだったのかもしれない。黒澤明は、やはり昭和という時代を先駆けて、草を分け続けた存在だった
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酔いどれ天使(1948年製作の映画)

3.6

治らない結核、汚れたドブ川

三船敏郎との名コンビはここから産声をあげた。まるで欲望という名の電車の中のマーロン・ブランドのような、無骨で粗野な三船敏郎、爆誕である。

どですかでん(1970年製作の映画)

3.5

これ、黒澤明がメンタル最悪の時に撮った映画なのですね。新世紀エヴァンゲリオンの最終話ちょっと前の空気すら感じる。まな板の上に食材バアーッと広げて、一個一個に味付けだけして調理せず終わる感じ。本当に欲し>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.6

感動作。その宣伝文句を鵜呑みにしてはなるまい。切実さ、容赦のなさは、今年のオスカー作品『ノマドランド』に何倍も、何十倍も勝る。

誰の身にも起こりうる認知症。古いCDが音飛びを繰り返すように、記憶は幾
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一番美しく(1944年製作の映画)

3.0

国のために、涙を流して働く。
それが、オンナのカガミ!

こんな映画作れるのは戦時中の日本か現代の北朝鮮ぐらいなもんで、テーマ的にはやっぱり観るに堪えない。それでもとりあえず、なんとなく最後まで観届け
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蜘蛛巣城(1957年製作の映画)

3.7

シェイクスピア「マクベス」を時代劇でやってみたかったので、やってみた。それに付き合った三船敏郎は、あんな至近距離で大量の矢を射たれてしまった。監督への殺意は、じゅうぶんに理解できる。ただこの「蜘蛛巣城>>続きを読む

素晴らしき日曜日(1947年製作の映画)

3.7

途中だいぶだるんだるんでかなり眠いけど、印象的なのは2つ。コンサート会場へ向かう2人の疾走のシーン、そして落ち葉のステージのクライマックス。

共通しているのはシューベルト。音楽にふれ「楽興の時」を過
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PASSION(2008年製作の映画)

4.4

『寝ても覚めても』にあまりハマらず、『ハッピーアワー』も、5時間はチョット、と敬遠し今に至る。では『PASSION』は?うーーん、素晴らしかった。卒業制作と聞いて唖然となるほどに。演者のパフォーマンス>>続きを読む

悪魔(1972年製作の映画)

4.3

ぼくがズラウスキー童貞を喪失した「ポゼッション」では、イザベル・アジャーニが牛乳をぶちまけながら股と口から謎の汁を噴き出して絶叫する、地下鉄のシーンのあまりの異様さにひっくり返ったものである。

そん
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東京上空いらっしゃいませ(1990年製作の映画)

3.9

この世の鶴瓶は関東弁。
あの世の鶴瓶は関西弁。

共に過ごす最後の時間、踊り明かして抱き合って、それでもなかなか「帰れない二人」に泣いちゃった。

おてんばを絵に描いたような牧瀬里穂はもちろん、階下に
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