このレビューはネタバレを含みます
1920年代の米西部を舞台に「有害な男らしさ」と同性愛のアンビバレンスを描く構図がアクチュアルな重みを持つ。オスカーの撮影賞はDUNEに持っていかれてしまったが、この作品こそ相応しい
映画を終わらせようとする営為だけが唯一の延命手段であるという逆説。反映画なのに最高にポップなゴダール。R.I.P.
ドライヤーは作品の振れ幅が凄い上にどれも面白い。これは家父長制を嘲笑うフェミニズムコメディーの先駆。軽妙洒脱な雰囲気が○
アートホラーの古典。撮影手法や美術、ロケーションなどビジュアルに対する高い志と創造性を感じさせる。後世への影響力の大きさにも納得
執拗なクローズアップで審問の圧迫感と恐怖を追体験する前半、ロングショットを織り交ぜ火刑&暴動のカタルシスになだれ込む後半と画面の強度に圧倒される。約100年前の映画とは思えないほどフレッシュ!
僅かなボタンの掛け違いから取り返しのつかない所まで堕ちていく状況を描かせたら、今この監督に並ぶ人は居ないのでは。シークエンスを丁寧に積み上げるファルハディ・マナーに益々磨きがかかっている
北欧のご近所トラブルものだが、ひたすら嫌がらせの応酬が続くので笑ってしまう。観客の無意識に入り込んでくるハネケ的怖さにまでは至らず
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世界に対する呪詛を吐き散らしながら、それでも生きる希望を捨てきれない愚かさ。全てを受け入れて静かに座り続ける象を目指すのは無為への憧れからか。最後にして初のロングショットで4時間近く続いた宙吊りから解>>続きを読む
これはズルい…そりゃあ泣くでしょう。いい曲ばかりだし脚本も良質だけど、あと一匙スパイスが欲しかった感も
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フィクションとドキュメンタリー、演者と観客、役者と素人といった境界をあやふやにする事で自明のリアルに揺さぶりをかける。「本物」と「偽物」が出会い2人乗りバイクで疾走するラストは、虚実の狭間に存在する映>>続きを読む
土地=血縁に縛られ続ける者と、それを超えた繋がりを持とうとする者の鮮やかな対比
天井が低く圧迫感のある部屋を生かした撮影が際立っている。悪夢の映像化として完璧に近い
ウェルズ演じる警部の禍々しさ、俗悪ぶりがまさにノワール。長回しにマンシーニのラテンジャズが映える
異なる文化・階層の衝突によって起こる化学反応だけが唯一の希望。逃げてはいけない
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個人の意思など取るに足らないものであり、もっと大きな存在によって我々は生かされているのだ、という物語を詐術に利用しコントロールする。グロテスクでありふれたこの国の光景。だが家族をバラバラに引き裂かれ他>>続きを読む
50年代米国の楽観と退廃が交差する歪なフェアリーテイル。脳裏に焼き付く魔術的ショットの数々
20世紀初頭の英国で女性参政権運動を牽引したサフラジェットのテロ行為については是非があるようだ。しかし男社会から「見えない存在」として扱われ、民主的に抗議する権利すらなかった彼女らを「暴力は良くない」>>続きを読む
Talking Headsの名盤1stからソロ最新作まで時代を超えた楽曲が並ぶ。スーツに裸足スタイルに象徴される洗練と土着のミックス、ユーモアとシリアスの絶妙なバランス。ディストピアに片足突っ込んでる>>続きを読む
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ソダーバーグによるブラックスプロイテーションへのオマージュ。好きな人には堪らないはず。マフィア同士の火花散るコンゲームも所詮は持てる者の掌の上
オスカー受賞作ながらDVDは廃盤で、U-NEXTにてようやく視聴。「ホテル・ニューハンプシャー」もそうだが、この監督は混沌をカメラに収めるのが抜群に上手い。クストリッツァ辺りが影響を受けてそうなスラッ>>続きを読む
イレイザーヘッドから続く妊娠・出産に対するオブセッション。脚本の普遍性、画面に漂う風格は既にクラシックの趣
芸術と生活、才能と運命の残酷さについての映画。どうしようもない人間と世界に対する眼差しはどこまでも優しい
ベン・ギャザラはブコウスキーよりもゲンズブールに似た佇まいで、無頼になりきれない男の悲哀を感じさせるが、全体のトーンがちょっと感傷的過ぎるかも
フランスの都会と田舎両方の魅力が伝わる撮影がいい。ドキュメンタリーになったりコメディになったりしつつ、軽やかで可愛らしいけど日常で感じる矛盾に真摯に向き合っていく態度は一貫している