多摩川さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

多摩川

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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.1

勝手にふるえた。誰の心にもヨシカは住んでて、その顔を出させないようになんとなく自制して日々暮らしている。劇中で顔面蒼白になりながら失意の末に「わたしの名前をちゃんと呼んで」とつぶやくヨシカ、椎名林檎も>>続きを読む

17歳のカルテ(1999年製作の映画)

5.0

「心が壊れてしまったり、つらい秘密を持ったり。でもそれは異常じゃない、揺れが大きいだけ」。精神病院の女性棟が舞台の実話で、この字面からは考えられないほど、あたたかくそして丁寧な描写に心掴まれて一瞬で観>>続きを読む

ミスター・ノーバディ(2009年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

それは究極の選択に迫られた9歳の男の子が創造した世界。2つの枝分かれから始まり、樹形図はより茂り細分化されていくわけですがこの圧倒的数に枝分かれした人生を、混乱を招かずに描ける監督のアタマは一体どうな>>続きを読む

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.3

2018年はユマサーマンと共に幕開け。頭イカれててこれ以上ないぐらい切りっぱなしボブが似合ってて。ニンフォのH婦人も最高でしたがやっぱこの手のワケアリ奔放女の役が似合う、たまらん。もうこれ何が面白いっ>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

3.5

耐え難い喪失を経た男の物語だが、その喪失がまさかの己に起因するものだったというのがキツイ。妻ランディはパートナーを見つけ子宝にも恵まれ、着実に前進しているように見えるのに男はそうはいかない。マンチェス>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.5

晴れの日はサンバイザーを下げる。そして想う。かつて確かに存在した妻の筆跡を見て思い出したかのように泣く姿に、ドリカムの歌詞が被った。「私ずっと泣きたかったんだ」。自分の感情のはずがなぜか大きなタイムラ>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

本監督の作品はテンミニッツ・オールダー収録の短編しか観たことがなかった。そのときも何となく、最低限の会話と表情ですべてを語ろうとする監督、というイメージだったけど本作でもそんな感じで、硬派。動きのある>>続きを読む

GO(2001年製作の映画)

3.8

どう考えてもザ・台詞なのに窪塚の口から出た瞬間台詞っぽくなくなるのが凄い。「台詞みたいなことを言う変わった奴」になる。年齢不相応に大人びていて、なんか底の深い目をしてて。窪塚さすが、あれはハマるわ。柴>>続きを読む

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ホドロフスキー、まさに完全な光。アナログな手法で描かれた世界がここまで鮮やかで美しいと、CGとは一体、と思わざるをえない。冒頭のハリボテ電車や黒子たちが、これからの映画体験が普段のそれと全く違うことを>>続きを読む

ひなぎく(1966年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

「どうして誰も私たちに気づかないの、私たち何か欠けてるの?」

悪事を働いたって誰にも気づいてもらえない、可愛いだけがとりえの女の子たち。新聞ぐるぐる巻で割れたお皿をくっつけたって、元には戻らない。新
>>続きを読む

恋する惑星(1994年製作の映画)

3.8

NHK「ドキュメント72時間」、今年春に放送されたものの中にチョンキンマンションを取り上げた回があった。住人も警察も、誰もその全容を把握できていない魔窟のような場所ということで興味を持って観ていたが、>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

タイラー・ダーデン、男が無意識下で理想とする男ってこんな感じなのか。リーダー性に富み頭の回転が早く、腕も立つ。ユーモアに溢れメンヘラ女の操縦も上手い。崇拝したくなる要素しかないような男を完璧に演じたブ>>続きを読む

ラン・ローラ・ラン(1998年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

走る!走る!走る!!!編集パターンのバラエティに富み、疾走感を失わせない工夫が随所に見られてかなり面白かった。アニメ、スロー、コマ撮り、フロント&バックショットの2画面などなど。地図が上下から出てくる>>続きを読む

チョコレートドーナツ(2012年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

自由の国アメリカでの不自由を、身が裂けそうになる程思い知らされる物語。これ以上の愛があるか。「ダウン症の子を養子にしたい親なんていない。私たち以外は。過ぎた望みですか」この言葉が頭から離れない。子ども>>続きを読む

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

邦題で賛否が分かれているけど私は完全に賛成派!原題からよくこの題を絞り出したなと。きっと原題+このビジュアルだったらなんのこっちゃという感じで観ていないと思う。主人公である大男フーシ、好きにならずにい>>続きを読む

散歩する惑星(2000年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

"慈しむべきは座らせる人々"という詩が頭から離れない。各々登場人物の見分けがつかなかったり、それぞれの物語の意味がわからなかったりで(生贄少女?)、理解しようとしてはいけない映画という理解で落ち着いて>>続きを読む

わたしはロランス(2012年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

23、24歳で監督した作品がこれだと、当然世界中が嫉妬するよなという感じ。加えてカメオ出演カットの破壊的イケメンぶり。人の機微を捉え視覚化する能力が高くて、随所に見られる「じんわりズームイン/バック」>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

3.8

青山シアターオンライン試写会にて鑑賞。聴いて楽しい観て楽しい、エンターテイメント性に溢れた一作。カルト映画と呼ぶには大衆性が滲みすぎていて、大衆映画と呼ぶには独占欲が邪魔をしてくるこの感じ。パンク×異>>続きを読む

ある子供(2005年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ダルデンヌ兄弟「ある子供」鑑賞。無音のエンドロールに相対した瞬間、いかに物語にのめりこんでいたか気付かされた(ここでやっと我に返り、劇中BGMが無かったことに気づく始末)。無機質で煩い車の走行音、札束>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『ロブスター』のヨルゴス・ランティモス監督のデビュー作ということで鑑賞。この頃からイカれ具合が半端なく、創作奇怪ダンスシーンで完全に口が開き顎が外れ泡を吹いた。きょうだい同士による純粋狂気の応酬と、強>>続きを読む

TOKYO!(2008年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

"何故だか歩きづらく足下を見ると、木になっていた"。ここからはミシェル・ゴンドリー節全開というべきか、最後の畳み掛けるような10分は圧巻。新居を諦め、映画監督のタマゴの彼氏も手放して、彼女は真に人の役>>続きを読む

ミッドナイト・イン・パリ(2011年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

映画中盤だったか、婚約者との相性について語るギル。「彼女とは気が合うんだ。小さなことへの価値観が合う。重要なことではそれほどだけど」のような旨のことを言うが、これが最後のガブリエルとの会話に効いてくる>>続きを読む

嗤う分身(2013年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

安直すぎるが、同じ顔なら多少強引さがある方が成功するという教えを得た。
「大佐」が崇拝され「システム」が重んじられ、勧善懲悪モノのドラマが放映されているといった特徴からは何とも特定しがたい時代に生きる
>>続きを読む

ニンフォマニアック Vol.2(2013年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

vol1のラストで「何も感じないのよ」と不感症に陥るジョーだったが、観ている側としては最初から不感症だったのではと思うほど快楽描写が無い。おそらくここが、ジョーがセラピーで「私はセックス依存症ではなく>>続きを読む

シェルブールの雨傘(1963年製作の映画)

3.5

不在が存在よりも濃い気配をつくる、とはよく言ったもので、召集令状が届いてからの2人の切なさたるやもう察するに余りある。愛し合う男女が戦争をきっかけとし引き裂かれ、それぞれの伴侶を見つけるがやがて街角で>>続きを読む

スキン~あなたに触らせて~(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

左右対称の世界に生きる、どこか欠けた人たちが織りなす物語。

冒頭カメラが引いた瞬間のおばちゃんヌードに吹き、以後このテンションが続くと思うと「マジカルガール」を連想せずにはいられなかった。スペイン映
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