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結末がわかっていながらも、最後まで見せてくれる作品。
作りがとても丁寧であり、メンバーが確実に死に場所を求めて参加したことが淡々と表現されている。
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ホームレスではなくハウスレスという生き方。
この世は仮の宿に過ぎないという東洋的無常観に対するヨーロッパ的な解釈がアメリカ大陸で実証的に展開されている映画。
資本主義はもはや善悪の彼岸なのかもしれない>>続きを読む
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どこまでも救いがないのに、微かな希望の尻尾は示唆されている映画。
自分は被害者なのだと自分自身を欺くために、人は金を支払う。いつもながら、ギリギリのところをつく演出が冴える。
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金の亡者の物語。チンケな良心が描かれていない分、いっそ小気味良い。
正義などどこにもなく、ただマーケットの正義のようなものがあるだけの世界。世界は金でさえもできていない。
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ウソの下手なエージェントが嘘しかない世界で死ぬ一歩寸前までいく物語。
最後に愛に目覚めるのが結論とすることがいいのか悪いのかが見えにくいラスト。女性には全てお見通しであったということだろうか。
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娯楽映画。正義は勝つが揺るぎなく描かれている。金に振り回される人生がいかに惨めであるのかがこれでもかとスクリーン上を走り回る。
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自分探しの映画。けれどもありきたりの方法論を採ってはいない。自らの出自の源にまで遡り作品として成立させている。リアリスティックな題材ゆえにファンタジーの唐突感を嫌がる観客も想像できるが、本作は紛れもな>>続きを読む
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犯人は初めからわかってしまっているが、そのこと自体は本作品の質をいささかも毀損しない。生まれた意味を思い出す必要があるのは、人間に限らずAIも同じらしい。その一点において、人間と人間以外の境はどこまで>>続きを読む
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世界を掻き回す人間。
デザイナーというよりも彼女の近しい人間のこのような人物評こそが、彼女の本質であるといいえるだろうか。
英国の最後の煌めきの残存記憶のような存在。
それが、ヴィヴィアン・ウエスウッ>>続きを読む
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成長や克服がただのひとつの価値でしかないことをそっと教えてくれる作品。ここに展開されている自己完結性の心地よさを極端な形で示したのが、村上春樹の「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」となる。
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役者の顔で映画が成立することがど素人にも分かる金字塔。
男らしくや女らしくに物言いがつく野暮な現代においては、この映画から匂い立つ人間の尊厳は嗅ぎ取ることが困難であるのかもしれない。
悪戯に命をかける>>続きを読む
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相手を見ることの困難と至福がここでは明瞭に語られている。映像化に伴い、テーマの視界がスッキリとした。記憶は決して風化することはなく、ごく当たり前に転移する。フロイト的解釈がいかに見通しの良さを我々に提>>続きを読む
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仕事における責任とは何かを考える時、この映画のシーンを何度でも思い返すことだろう。
イデオロギーやセンチメンタリズム、ヒロイズムを置き去りにする「何か」がフィルムにとどめられているからだ。
「有難いけ>>続きを読む
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孤独な二匹の野獣(絶滅危惧種とハンター)の邂逅と別れが、問答無用の大自然を舞台に抑えた筆致で描かれています。悲劇であるとか救いであるとかを超越した生々流転がスクリーンの上を静かに流れます。
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退屈と退廃の近似性を顕在化させた演出。
シャーロット・ランプリングの家畜と見紛う演技は特質ものである。彼女は「レッドスパロー」において校長役で出演していたが、得体の知れない知性を演じさせれば現在も最右>>続きを読む
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上手い。
2時間弱をまとめるこの構成力と編集の妙はため息しかない。
女優陣はあいも変わらず全員がチャーミング。
森繁久弥は芸達者ゆえにやりすぎる場面があるため、賛否両論に別れるでしょう。何でもできる監>>続きを読む
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スターリンの息子の物語。
歴史の亡霊は何度でも甦える。
なぜなら、それは社会が求めるからに他ならない。
大衆が無垢で犠牲者であるという妄言がフィクションであることを実によくわからせてくれる映画である。
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ジワジワきます。
淡島千景が全面に出た作品。
相変わらずの何でもありが、炸裂しています。
鶴田浩二は、ボンボン気質が抜けきらない初期の方がどちらかといえば好感が持てます。
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酔っ払いの映画である。
サラリーマンの映画である。
戦後日本人の映画である。
岡本喜八ではなく、川島雄三が撮るはずだった映画。この映画を見ていると昭和の日本とは終始酔っ払っていたことがよくわかる。アル>>続きを読む
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オープニングから黒沢清しています。風。樹々。人。
狂気の時代に正気を保っていること自体が狂気の沙汰であることをこのフィルムはごくごく控えめに語っています。
あの時代の神戸という舞台設定が、本作を限りな>>続きを読む
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悲惨さを撒き散らさない演出が監督鈴木清順の知性と言い切れる。
健全な土着性を内包していた時代だからこそ成立した記録的フィルム。
当然に、もう誰もこの国でこの水準の「土着」を撮影することは不可能である。
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ほぼウイリアム・ブレイクです。
太陽と月と地球を求める心は、対関係の拒絶とともに希求に他なりません。
フロイト的な解釈からのアプローチよりも、シンプルに不在であり、不可視の第3項からの考察の方が、スッ>>続きを読む
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ラストシーンの「我慢のならない女」とは、直接的には看護師そのものを指すが、家を出て行った妻(母親)であり、もしかすると、長男のフィアンセをも名指しているのかもしれない。善悪は、人を思いやる気持ちの重さ>>続きを読む
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新幹線が開通し東京オリンピックが開催された年に、かくも救いのない映画が上映されたことに、またそれが一定程度の動員数と評価を得たことに昭和の得体の知れなさを改めて思い知る。
チンケな道徳感を脇に退け、己>>続きを読む
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ロケ地が神戸界隈ということで、鑑賞。
ハッピーエンドで何よりです。
浜辺美波は相変わらずの安定の演技。しかしながら、もう高校生には見えない。
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もう何度見たか分からない。
兎にも角にもスタイリッシュ。
若尾文子ではなく、山岡久乃を見るための映画。
クローズアップはすべてどえらいショット。
屋上に佇む船越英二のショットは見てはいけないものを見て>>続きを読む
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近衛十四郎のリアリティは尋常ではない。
殺陣を超えた殺陣が堪能できます。
クライマックスの黒と白の美しさはちょっと出せないぐらいの凄み。
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哀しい女性である。
自己成長を続けようとする努力の人であった。
悲しいかな、彼女の周りには言葉本来の意味での知性(人)がいなかった。
知識(人)は掃いて捨てるほどいただろうが、それは知性とは似て非なる>>続きを読む
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どこにも救いがない。
真実は人間には常にわからないという、そのことだけが2時間を通して描かれている。
失ってみてもわからない悲しみがここには放り出されているのだ。