草薙素子失踪3年後の公安9課。セクサロイドの暴走に端を発した事件に少女誘拐が絡む電脳犯罪に発展。バトーとトグサのコンビによる捜査に電脳化した素子が手助けする、というストーリーで一度見ただけでは理解でき>>続きを読む
今年没後50周年を迎える田坂具隆の代表作。3時間19分はいかにも長い。内容も古めかしくはある。石坂洋次郎を読むものなど誰もいないだろう。が、生活が変わり道徳感が変わり人間性が変わっても変わらぬものがあ>>続きを読む
なんでも商売になるなあ。傑作の誉高い「On Your Mark」目当てで見たが、確かに美しい物語とは思うが傑作とまでは思えず。あの2人の警官はチャゲ&飛鳥がモデルなのだな。一際目を引いたのは讀賣新聞の>>続きを読む
23年度のパルムドールとアカデミー脚本賞を受賞した作品。夫の死をめぐる法廷劇が見どころだと思うが、画面の情報からでは妻の有罪はあり得ない(証拠が写っていない)のでミステリー要素を楽しむものではなく、か>>続きを読む
誠に日活作品らしい一本。見境なく競輪選手の川地民夫に入れ上げた末に婚姻関係にあるヤクザの組長を刺し殺そうとする渡辺美佐子。子どもの入院資金を競輪に賭けるだけでなく競輪場で勝ちを授けた渡辺を追いかけ回す>>続きを読む
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人がひとり殺されているのにどいつもこいつもどういうつもりか、という疑念はある。若林映子と愛人関係にあった小林桂樹は最初のうちは自首しようともせず、妻の新珠三千代は夫の犯罪を隠そうとするし、友人の三橋達>>続きを読む
「むねかたきょうだい」と読む。ずっと「むなかたしまい」と思い込んでいた。ずいぶん昔に名画座で見たが全く覚えていなかった。小津安二郎の作品の中で高峰秀子ほど感情の起伏を露わにした俳優がいただろうか。高峰>>続きを読む
香りも高きタバコ・ロード。野生児みたいなジーン・ティアニーのみ見どころか。
副題「遺言」。子どもたちへ遺す言葉。東出昌大が子どもが生まれたときに感じた「次に繋げた」という言葉に共感。東出昌大の猟師度は想像を遥かに超えていた。交友関係にあるとは思うのだがMOROHAの歌は興が削>>続きを読む
こんなにわかりやすいエリセの映画は初めて見た。いや勝手にわかったつもりでいるだけなのかもしれない。が、これだけ台詞が多い作品は他に見当たらない。人の過去や記憶の儚さに思いを寄せるよりも、失踪した役者だ>>続きを読む
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80年以上も前の映画というのが驚く。アカデミー撮影賞受賞にふさわしくジーン・ティアニーの美しさ、稲光する雨の夜に疾走する車が素晴らしい。登場人物が少ないので真犯人はだいたい予想がついてしまうわけだが、>>続きを読む
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何度も映画化やテレビドラマ化された超有名作だが今回通しで初めて見た。三船敏郎の松五郎は「七人の侍」の菊千代が明治の世に転生したかのような趣。無骨者とは少し違ってバカ正直で切符がよく人情味が厚く吉岡家の>>続きを読む
主役は原節子の長女とその母の三益愛子で、三益の長男森雅之の妻に当たる高峰秀子は後景に退く。最初のうちは三益の子どもたちの、それぞれの連れ合いや義母(次女の草笛光子の姑が杉村春子!)の話を通して家庭生活>>続きを読む
58年松竹。約65年前の作品で、当時の日本家屋(セットだろう)、普段使いの和装、家父長制的家族、女性の結婚適齢期感覚などを見ていると、異世界の話のようにも思える。小津組の芸達者な役者たちの存在は、小津>>続きを読む
久々の鑑賞。終わらない学園祭前日。終わらない夢。その夢は冷めてほしいのか。「うる星やつら」の世界観を一編のアニメ映画で言い当てしまった押井守の本作を、原作者は嫌ったという。本当なのか。見事だと思うが。>>続きを読む
光石研の栗田科学の社長が、自死したその弟の斉藤陽一郎と写した写真を前に「金曜日だから飲んでくれ」と献杯するシーンを見て以降、ずっと泣きっぱなしだった。青山真治の「ユリイカ」の残響を感じたことは言うまで>>続きを読む
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若尾文子が美人だからといってさすがに新人女優役はなかろう。胸元が妖艶で肉体派を誇っているとはいえ、いきなり芸能プロの社長役の志村喬が結婚を申し込んだり、志村の葬儀の日に見知らぬ新聞記者の津川雅彦が別荘>>続きを読む
1968年の三里塚闘争の記録。55年前の菅笠を被った農婦たちの姿が、「カムイ伝」で描かれた一揆を起こす百姓の姿に重なる。昔、小川紳介の三里塚シリーズはアテネフランセ文化センターでしか見られなかったもの>>続きを読む
退屈とは言うまい。こちらの感性の問題だ。終末的な危機意識、望郷の念をいかに共有できるか。4Kにして見るトスカーナやローマなどの街並みはさぞ美しかろうとテレビモニターからも推し量ることができる。
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アンバーソン家の没落は、息子(T・ホルト)が母(D・コステロ)の、自動車投資の資産家(J・コットン)との再婚を許さなかったことに端を発する。母が病死しその父のアンバーソン家の当主が虚しさを覚えて財産分>>続きを読む
おそらく推敲途中の映画のシナリオもしくはスケッチを、それに付けられた番号順に並べ音楽を入れ、その間に「アワー・ミュージック」の「2王国 煉獄」でオルガが町を走るシーンと台詞の一部を「引用」して作られた>>続きを読む
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ずいぶん久しぶりに再見したがこんなに優れた映画だったか。銀座を生きる夜の女を高峰秀子を演じているのだが、「透徹」という言葉が一番ぴったりくる女優で、まさに日本映画史上屈指の名優だと思う。とにかく佇まい>>続きを読む
日本公開が2005年、それ以来の再見。タイトルの「私たちの音楽」とは、映画の原理のこと、すなわち「光に向かいその光で私たちの闇を照らすこと」を意味する。3つの章からなる本作は「王国1 地獄」の戦争を題>>続きを読む
寺山修司の頭の中にある故郷出自母親性愛などのイメージを映像化するとこうなるのか。ATG的とも前衛演劇的ともいえる映像の連鎖を面白いと感じられるかどうか。例えば山間の川から雛壇に飾られた雛人形が流れて来>>続きを読む
タルコフスキー長編第1作。日本公開時はATG映画として封切られたという。今見ると前衛的な感じはしないがイワンが見る母親の夢のシーンなどは後年の幻想的な作風に通じるものがあるように思う。看護師マーシャの>>続きを読む
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アルモドバルの「私が、生きる肌」にも引用されていたカルト映画をようやく見ることができた。なかなかの狂いっぷりだった。ドイツ表現主義的な陰影を際立たせた郊外の病院は感じは出ていたが怖さまでには至らず。映>>続きを読む
原題は「日食」。美男美女。恋の初めは楽しいがこの先どうなるかを考えるとただの日常と変わらぬ景色が広がる。普遍。真理ではあるが雰囲気に任せ過ぎでやや口説い。
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科学対魔術という名のペテン。1850年代ならまだ降霊術は信じられていただろう。モノクロームの映像がスリラー的な怖さを醸し出すが深刻にならないのは全体的にユーモアの空気感が漂うからか。ラストに魔術師一座>>続きを読む
タイトルがすべて。恋は風に舞う塵の如し。緑豊かな台湾の僻村の風景と相まって、感情を思い留める若い男女の青春のほろ苦さが胸に残る。昔は恋愛結婚のほうがめずらしかったのだろうから、こういう恋愛の決着はごく>>続きを読む
公開から28年、ストーリーはもちろんのこと、アニメのクオリティも全く古びていないように見えるのが驚愕に値する。コミックを読んでいないで本作をいきなり見ると何がなんだかわからないだろう。もっとも読んでい>>続きを読む
約20年ぶりの再見。ずっと東宝の映画と思っていたら大映なので驚いた。女性が自立すること。家族のうちに絶望を感じるが、夜の稲妻を見て高峰秀子が思い直す。そこから表題は取られている。登場人物の造形が端役に>>続きを読む
「本物の故郷リミニより映画の中で創作したリミニのほうが私の人生に占める割合は大きいのだ。つまり私は嘘つきなのだ」というフェリーニの発言からタイトルをつけたようだ。素材がいいのだから面白いと考えてレンタ>>続きを読む
大なり小なり疎開者が村人から迫害された事実はあるのだろう。開巻北海道の大自然の風景がカラーで映し出された際はいつもの木下惠介映画と同じテイストであったが、スタッフクレジットとともに、木下忠司の不気味な>>続きを読む
教訓 不倫がばれたら人生破滅。冤罪事件となりそうな誤認逮捕を2件もやらかしそうになる警視庁の無能ぶりは作劇上やむを得まいが気にはなった。しかしそれを差し引いても想像以上に面白かった。オープニングのタイ>>続きを読む
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公開時に世紀末を迎えようとしていたこと、ソ連の解体が数年後に控えていたこと、そしてこれがタルコフスキーの遺作になってしまったことを考えると他の作品と比べてとりわけ終末観があらわになるのもやむを得ないと>>続きを読む