ハレンチ学園さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ハレンチ学園

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怪談(1965年製作の映画)

3.4

カンヌ映画祭審査員特別賞、キネマ旬報邦画第2位など公開当時の評価は高い。上映時間3時間3分、オールスターキャストによる配役、衣装美術装置の絢爛さ、音楽武満徹と大作の名に恥じぬ力の入れようだが、面白くな>>続きを読む

(1963年製作の映画)

3.5

大昔に日曜洋画劇場で見てからの再見。鳥が襲ってくるシーンは今見直してもなかなかのエグさだ。ティッピ・ヘドレンとロッド・テイラーは、グレース・ケリーとケイリー・グラントの「代役」感があるが、仕方あるまい>>続きを読む

風船(1956年製作の映画)

3.4

大佛次郎原作。重苦しい映画だった。芦川いづみが唯一、映画の救いとなるような存在なのだが、考えてみれば芦川いづみは少し頭の弱い役や肉体的に欠損している役が多いので、そのマイナスが無垢なる存在の証としてい>>続きを読む

河内カルメン(1966年製作の映画)

3.7

野川由美子演ずる露子の、ろくでもない男ども(1人インテリメガネの川地民夫の気のいい男は除く)との「関係」を描く。自分にとっての野川由美子は「桃太郎侍」や「長七郎夢日記」に出ていたきっぷの良い時代劇女優>>続きを読む

蛇の道(2024年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

セルフリメイクでオリジナルを上回るできのものがあるのか。おそらく、ない。フランス語を流暢に話す柴咲コウは悪くなかった。闇の「財団」の上層部に姿なく登場するブラックジャック的な外科女医は、前作では「コメ>>続きを読む

復讐 THE REVENGE 消えない傷痕(1997年製作の映画)

3.4

「運命の訪問者」の続編。哀川翔演じる元刑事の妻が殺された裏には「闇資金」事件があった、というもので、いささか唐突な印象だが、ひょっとすると「並行世界」なのか(そんなことはないだろうが)。前作に比べて話>>続きを読む

復讐 THE REVENGE 運命の訪問者(1997年製作の映画)

4.0

90分弱の尺でこれだけ良質かつ濃密で不穏な作品を撮ってしまうのだから言うことは何もない。翌年の「蛇の道」にも通じる復讐劇をなす工場跡地のようなロケ地も凶々しければ、六平直政の狂気の演技も目を見張る。「>>続きを読む

蛇の道(1998年製作の映画)

4.2

セルフリメイク版を見る前に再見。これ以上の凶々しい作品が再び撮れるような気がしない。「コメットさん」のキャラクターが秀逸。

違国日記(2023年製作の映画)

3.5

漫画原作は知らない。早瀬憩の朝の両親が交通事故で死んでしまい、中学校の卒業式で担任が朝の友人のえみり(小宮山莉渚)からそのことを聞き及んだという展開に、そんなことある?学校大丈夫?なんてことを思いもし>>続きを読む

回路(2000年製作の映画)

3.4

YouTubeで2週間限定公開されていたので、2001年の劇場鑑賞以来、再び見てみたが、ほとんど覚えていなかった。細かいことだが、加藤晴彦の川島が大学で知り合った小雪の春江を、春江さんから春江に呼び捨>>続きを読む

パッション(1982年製作の映画)

3.5

最近見たのだがまた見てみた。ちょい役でミリアム・ルーセルが出ていたが、たぶんゴダールは彼女をずっと撮り続けたかったのではないか。「マリア」で主役に迎えられるが、アンヌ=マリーの手前、大っぴらに何度も何>>続きを読む

旅芸人の記録(1975年製作の映画)

4.0

以前見たときはVHSでだっかNHKの衛星第2を録画してだったか、いずれにしても30年以上も昔のことで、そのときもギリシャの現代史がわからないためちんぷんかんぷんだったが、今回もそうだった。長回しによる>>続きを読む

名もなく貧しく美しく(1961年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

松山善三監督の処女作。成瀬組のスタッフが作品の骨格を見事に作っている。実話ベースらしいが、戦災孤児として命を助けられ長じて挨拶に来た加山雄三に会いに行く途上、トラックのクラクションが聞こえず轢き殺され>>続きを読む

CURE キュア(1997年製作の映画)

5.0

オカルト映画の大傑作。久々に見たが初見時より感動した。わかりにくいところもあるにはあるが、この手の作品は理解が及ばないところもあって当然だろう。「治療」というより「感染」という趣の内容だが、表題の意図>>続きを読む

人魚伝説(1984年製作の映画)

3.8

伝説のディレクターズ・カンパニー長編第1作をようやく見た。白都真理一世一代の渾身の演技というべきだろう。スプラッター的血飛沫は公開当時はどう見られたのか。原発誘致をめぐる殺人事件からの復讐劇は宮谷一彦>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.4

ルドルフ・ヘスが主人公ということで、親衛隊で単身イギリスに渡った人物の作品と思い込んでいた。が無論違う。同姓同名の2人のヘスがいるなんてことは今回初めて知った。音でユダヤ人の惨劇を認識させるなどこれま>>続きを読む

悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

手負いの鹿、芸能事務所の高橋に首固めをする巧、鹿に攻撃されて?負傷(死んだ?)した花。このラストをどう見るか。あまりにも説明が足りないと見るか。タイトルを含め監督は観客に対して作品の意図を十分伝えてい>>続きを読む

女のみづうみ(1966年製作の映画)

3.5

川端康成の原作は知らない。不倫の戯れに女(岡田茉莉子)の裸体写真を撮る男。そのネガが入ったハンドバッグを暴漢に投げつけて紛失した女に架かる電話。何かで見たような話ではある。ネガをもとに女に近づく男(露>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

35年ぶりの久々の再見。本作のテーマは、ラストの笠智衆の台詞「自分で育てた子どもより他人(次男に嫁いだ原節子)のあんたに一番親切にしてもろうてありがとう」に収斂されている。公開当時の昭和28年ですでに>>続きを読む

アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

2019年東宝。三田紀房の漫画原作は知らない。映画だけを見れば冒頭の大和沈没が一番見応えがあったわけだが、本作の主題は大型戦艦の計上見積もりの不正を天才数学者の菅田将暉がいかに暴いていくかにある。その>>続きを読む

華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

3.8

姑(高峰秀子)に請われて来た嫁(若尾文子)。最初は義母に憧れを持つ嫁だったが、家に入ってから徐々に雲平(のちの華岡青洲。市川雷蔵)の取り合いの様相を呈する。要は母が子離れできずに可愛がるあまりに嫁に嫉>>続きを読む

鰯雲(1958年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

成瀬初のカラー作品。山の緑、田畑の土、トラクターの赤どれも美しい。脚本は橋本忍。淡島千景と木村功の不倫劇が一応は中心となるが、テーマは農家の因習による家族劇で、姑と家に縛られる嫁(淡島千景)、本家の長>>続きを読む

杏っ子(1958年製作の映画)

4.0

室生犀星の原作を読んでいないので表題から父娘の爽やかな物語を勝手に想像していたのだが、成瀬巳喜男がそんな作品を映像化するわけがなかった。結婚したらダメ男(木村功)だった、妻(香川京子)は我慢強く耐えて>>続きを読む

岸辺露伴 ルーヴルへ行く(2023年製作の映画)

3.3

呪われた漆黒の絵画をめぐる。後半面白くなるが、ルーヴル(の倉庫)とのつながりを持たせるのは絵的にルーヴルを見せたいためであまり必然性がないように感じた。木村文乃は最初ミスキャストではないかと感じたが黒>>続きを読む

張込み(1958年製作の映画)

3.5

夏のむせかえるような暑さが画面から伝わる。松本清張の原作の映画が現在もかつてのように面白く見られるかはともかく、横浜駅から佐賀に向かう東海道本線の列車内の映像は(おそらくロケと思われる)当時を知る資料>>続きを読む

劇場版 あしたのジョー2(1981年製作の映画)

4.6

ぴあから出たCOMPLETE DVD BOOKを購入して見た。テレビアニメ版のダイジェストの趣きはどうしても否めない。特に金龍飛、ハリマオ戦は付け足しに過ぎない。2時間弱の尺ではやむを得まい。しかし原>>続きを読む

妻として女として(1961年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

成瀬巳喜男監督、高峰秀子主演のカラー作品を初めて見た。そのせいというわけではないがモノクロより現代的なホームドラマに見えてしまうが内容はそんな生やさしいものではない。高峰と森雅之の不倫関係はやはり同じ>>続きを読む

LUPIN THE ⅢRD 峰不二子の嘘(2019年製作の映画)

3.4

その先にある殺人マシーンをつくる巨悪には辿り着かなかったのは続編があるからなのか。峰不二子の魅力で見せ切る短編だが、56分の上映時間をDVD2枚にする必要ある?五右衛門と銭形はお休みでした。

ブラック・サンデー(1977年製作の映画)

4.1

物語の登場人物の関係性を把握するのに少し手間取った。ベトナム戦争で捕虜になり私怨を募らせる空軍の軍人はパレスチナ過激組織「黒い九月」の一員である女性と結託し、テレビ中継用の飛行船にダーツ型の爆弾を乗せ>>続きを読む

喜びも悲しみも幾歳月(1957年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

昭和7年から昭和32年まで、日本の戦争状況ととも語られる灯台守夫婦(佐田啓二高峰秀子)の半生。自然の風景の中に人間が存在するのは木下惠介作品の基調である。夫婦が赴任するのは横須賀の観音崎灯台に始まって>>続きを読む

カルメン純情す(1952年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

前作のカラー版牧歌的コメディから一転してモノクロの現代風刺劇へ。再軍備という時代背景からラストは軍艦マーチの響きの中に爆撃機が爆弾を落とすような不穏な音が鳴り響く。カルメン何処へ。カルメン頑張れの文字>>続きを読む

カルメン故郷に帰る(1951年製作の映画)

3.3

30年以上ぶりの再見。国産初のカラー映画として名高い本作、浅間山の大自然を背景に映しており、木々や芝の緑の褪色への気遣いの労苦が偲ばれる。話は誠にたわいのないものだが、故郷に帰ったリリィ・カルメンこと>>続きを読む

乱れる(1964年製作の映画)

4.0

久しぶりの再見。加山雄三つながりで「乱れる」と「乱れ雲」の内容を混在していた。スーパーの進出により小売店が窮地に追いやられる。大店法などのない時代ゆえドラマでも自殺者が出ていたが小売店主は地獄の思いだ>>続きを読む

あらくれ(1957年製作の映画)

3.7

「流れる」の勝代のミシンを介して「あらくれ」のお島へつなぐ。大正の時代を自分の才覚だけで力強く生きるお島は高峰秀子の適役だ。「浮雲」や「放浪記」を見たばかりなので、山国の旅館で縁を結んだ森雅之の旦那と>>続きを読む

流れる(1956年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

時と大川は流れる。成瀬巳喜男の演出が冴えに冴え渡る傑作。女優陣の競演、芸のぶつかり合いが凄まじいばかりで何度見ても震える。山田五十鈴高峰秀子杉村春子岡田茉莉子中北千枝子栗島すみ子そして田中絹代。山田五>>続きを読む

放浪記(1962年製作の映画)

3.6

約20年ほど前にラピュタ阿佐ヶ谷で見て以来の再見。哀愁の加東大介の存在くらいしか覚えていなかった。高峰秀子の林ふみ子がモノローグで話を進めて行く。「放浪記」ができるまでといった感じ。晩年、作家として成>>続きを読む