ハレンチ学園在学生さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

ハレンチ学園在学生

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ストーカー(1979年製作の映画)

4.2

冒頭、セピア色の画面に濡れた線路上を列車が走るシーンを見てとてつもない傑作の予感がした。どこからともなく不意に弾丸が飛んでくる不穏な状況は見るものに緊張感を強いる。その緊張感は後半のゾーンの部屋にたど>>続きを読む

ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

5.0

モンタージュ芸術の最高峰にしてSF映画の古典的名作。何度見たかわからないが、今回はWOWOWによる日本語吹替(大塚明夫)版をYouTubeで期間限定公開しているのを鑑賞。個人的にはフランス語のナレーシ>>続きを読む

かがみの孤城(2022年製作の映画)

3.6

感動して泣いた。
鏡の世界でただ一人だけの願いのみ叶う(叶ったあとの記憶がなくなる)のは「仮面ライダー龍騎」を想起させるが、無論内容は全く別物だ。
学校に行けなくなる理由は各人各様であるがやはりいじめ
>>続きを読む

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)

3.6

ひし美ゆり子の裸体を見るため定期的に鑑賞している。今回で3回目。B級のポルノ時代劇だが、衣装や吉原のセットを見るにつけ結構金がかかっているのがわかる。今同じものをつくろうとしても無理だろう。石井輝男の>>続きを読む

雪の喪章(1967年製作の映画)

3.6

20年ほど前にラピュタ阿佐ヶ谷で見たときは何というダメ男(福田豊土デンターライオンのCMしか記憶にない。日本画家福田豊四郎の長男だったとは知らなかった)映画と思ったものだが、見直してみてなかなか味わい>>続きを読む

幻の馬(1955年製作の映画)

2.5

55年大映。和田誠川本三郎瀬戸川猛資『今日も映画日和』の中で川本が傑作と評価していたので中古品のDVDを購入してみた。DVDのパッケージによると「当時の大映社長である永田雅一の持ち馬だった名馬“トキノ>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

同名の演劇を作者自らが監督して映像化。演劇の「時制」はどうだったのか。映画では時制をシャフルし市子(杉咲花)に関わりのある人物の証言などから彼女の過去をあぶり出しており、大胆に時間を省略していたために>>続きを読む

(2023年製作の映画)

2.6

2016年の相模原障害者施設殺傷事件を題材とした映画で原作は辺見庸。現実の障害者施設が人目を離れたところにあるとしても、あからさまに負のイメージをまとう黒猫蛇蜘蛛ミミズなどを頻出させることにいかほどの>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

4.3

80年代末にフジテレビの「ミッドナイトアートシアター」で見て以来、約35年ぶりの再見ゆえほとんど忘れていた。静謐。デビュー作で本作を撮り上げてしまうことに驚く。ロケ地がどこかわからないが(1940年の>>続きを読む

日本人のへそ(1976年製作の映画)

2.0

井上ひさしの同名の戯曲の映画化。吃音者がミュージカル仕立ての演劇(吃音矯正劇)を通してどもりを治すという。全く予備知識なく緑魔子主演というだけで見てしまったが70年代第二期のATG作品だったのだな。今>>続きを読む

越前竹人形(1963年製作の映画)

4.2

久々に再見して評価を改めた。DVDの特典映像で若尾文子が語っていたが本作の「功績は宮川一夫のキャメラによる」。真夏の京都の郊外でセットを組み、雪降る真冬の映像をつくり込んだというのも当時の撮影所の力量>>続きを読む

さすらい(1975年製作の映画)

4.0

名監督の傍に名カメラマンあり。本作の成功には撮影監督ロビー・ミュラーの功績が大きい。「パリ、テキサス」までのヴェンダースの作品がどれも素晴らしいのはロビー・ミュラーのおかげではないかと思えるほどだ。本>>続きを読む

映画と恋とウディ・アレン(2011年製作の映画)

3.7

公開当時、劇場で見ようか迷った挙句3時間超えの上映時間に腰が引けた。ようやくDVDで見て、アレンファンには楽しめる優れたドキュメンタリーと感じた。出生から2011年の「ミッドナイト・イン・パリ」までの>>続きを読む

風と共に散る(1956年製作の映画)

4.1

旧Twitterで見かけた濱口竜介が選んだ「人生の映画4本」の内の1本(他は「ミツバチのささやき」「チャイニーズ・ブッキーを殺した男」「東京物語」)。本作だけ未見だったので見てみた。黄色いスポーツカー>>続きを読む

恋人たちは濡れた(1973年製作の映画)

2.8

名作と言われているが微妙な感じだったな。舞台となる千葉県大原町(現在はいすみ市)の海岸の寒々しさがそのままドラマの寒々しさにつながる。主人公大江徹の、よくわからない鬱屈にも通じているのだろうが。友人や>>続きを読む

さすらい(1957年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

仕事を求め安らぎを求め女を求めてさすらう男(スティーブ・コクラン)。7年同棲して別れた女(アリダ・ヴァリ)を忘れるために元カノのところを訪ねたり、職にも就かず娘を連れ歩くだけでなくガソリンスタンドの女>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

5.0

アートフィルムの極北。ウディ・アレン「サン・セバスチャンへ、ようこそ」で引用されていたので5年ぶりに再見することに。精神分析学の格好の対象になりそうな内容だが、詩学でも演劇でもない映画というジャンルを>>続きを読む

スイート・チャリティ(1968年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

「カビリアの夜」の哀切さはジュリエッタ・マシーナが美人でないところにある。その点シャーリー・マクレーンは男にふられ続けても何とかなっちゃうだろうなと思わせてしまう。こちらにミュージカル耐性がないせいか>>続きを読む

生きる(1952年製作の映画)

4.3

言わずと知れたヒューマンドラマの傑作。先日NHKで放送したものを録画で再見。初見もNHKで見た記憶がある(40年程前か)。だいたい覚えていたが志村喬の親の心子知らず的な息子役を金子信雄が演じていたこと>>続きを読む

リオの男(1964年製作の映画)

3.4

スピルバーグが劇場で9回見たというだけあってインディ・ジョーンズシリーズの元ネタ感がある。もっとアクションの連続かと思っていたが、わりとのんびりしているというかほんわかしている。監督の資質なのだろう。>>続きを読む

サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.5

2020年作品。ようやく日本で公開された。劇中ではゴダールが生きていることになっているところに時間差を感じる。アレン作品は本人が出演していない作品はどれも見終わってしばらく経つと判然としなくなる。本作>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.7

例によって何ということのない話だが、画面の絵力が強くて圧倒される。犬を飼いたいと思った。飼ったらチャップリンと名付けよう。

肉体の冠(1951年製作の映画)

3.8

30年以上前にVHSで見た時はずいぶん感動したものだったが、再見してこんな話だった?というのが偽らざる感想。ベッケルの人物の出し入れやカメラ位置、ショットや演出は素晴らしいと思う。が、ストーリーが気に>>続きを読む

殺人に関する短いフィルム(1987年製作の映画)

3.5

87年ポーランド作品。主要登場人物は弁護士資格に受かった青年、妹の死をきっかけに村を出た若者、性格に難がありそうな中年タクシー運転手の3人。若者が運転手を殺害し弁護士が弁護するストーリーで、殺害シーン>>続きを読む

その壁を砕け(1959年製作の映画)

3.4

59年日活。新藤兼人のオリジナル脚本。冤罪事件が多かった昔はこの作品のような逮捕劇はあったのだろうが、さすがに今は車で現場近くを通りかかっただけで即逮捕拘留はないだろう。また長門裕之の刑事がたまたま真>>続きを読む

日本暗殺秘録(1969年製作の映画)

3.4

東映オールスターキャストで望む、桜田門外ノ変から二二六事件までの9つの日本の暗殺事件を映像化。とはいえ重きは血盟団事件に置かれ、あとの8つの事件は概要を紹介するに過ぎない(ギロチン社事件は初めて知った>>続きを読む

私は彼女をよく知っていた(1965年製作の映画)

3.5

「蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭 」のうち。監督の名も作品も知らず、チラシのステファニア・サンドレッリの写真を見て見たくなった。漫然と見ているとこの作品がなぜ作られたのか、ステファニア>>続きを読む

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)

3.7

秋吉久美子見たさに鑑賞。鄙びた田舎の田園風景の緑が目に染みる。撮影は田村正毅による。根津甚八は日本映画で一二を争うクズ男ぶりを堂々と演じているが、周りを不幸にしまくる自滅的なストーリーに気持ちがふさぐ>>続きを読む

ロバと王女(1970年製作の映画)

3.2

青い王女と赤い王子。色彩が面白い。ペロー原作の童話の映画化。筋立ては同じペローの「シンデレラ」に似る。ドゥミのミュージカルは「シェルブール」や「ロシュフォール」がありそれらに比べると見劣りがするが、こ>>続きを読む

恐怖省(1944年製作の映画)

3.7

20代のときから見たいと思って30年以上経ってようやく鑑賞できた。戦前のパラマウント映画だが、光と影のコントラストはドイツ表現主義的で美しい。レイ・ミランドはジェイムス・スチュワートに似ているので、巻>>続きを読む

素敵な歌と舟はゆく(1999年製作の映画)

3.2

金持ち家族の優雅な日常。宮﨑駿のアオサギはこの映画からの「引用」?のわけないか。

音楽(1972年製作の映画)

2.8

このレビューはネタバレを含みます

ATG的なもったいぶったピンク映画。音楽が聞こえない不感症女。その原因が、過去に兄にいたずらされ、いつしか兄を恋い慕い近親相姦してしまったことにあった!三島由紀夫の原作もこんな感じなのか。役者全員が激>>続きを読む

巨人と玩具(1958年製作の映画)

3.5

これから高度成長期を迎え勢いにのる日本社会の一面。三社が売上を競う商品がキャラメルというのが時代を感じる。メーカーが宣伝をしても小売を接待しないと売上が見込めないシーンは今も昔も変わらない。川口浩野添>>続きを読む

快楽(1952年製作の映画)

3.5

モーパッサンの3つの短編を映像化。ゴダールの「イメージの本」のラストに引用された「仮面」の踊り続ける男が異様な迫力を持つ。「テリエ館」は19世紀フランスのコスプレ劇として楽しんだ。「モデル」は恋愛の悲>>続きを読む

くちづけ(1957年製作の映画)

4.1

25年ぶりの再見。野添ひとみってこんなに可憐だったか!初見の際は増村保造のデビュー作のヒロインが若尾文子でなかったことを残念がったものだが誤りであった。将来夫婦となる川口浩と野添ひとみのカップルが初々>>続きを読む