ラストのGrand Corps Maladeによる『狂気の愛』のスラムがカッコよく、いい気分で見終わった。
かつてルイ・マルは『好奇心』において、近親相姦の物語を家族全員の笑顔のシーンで爽やかに終わらせた。初めて見たとき、私はこんな映画があっていいのかと驚嘆し、『好奇心』は私の中ではトップ5に入るほど好きな>>続きを読む
エマニュエル・ムレが演じるクレマンの不器用な動作がユロ氏のようで可笑しかった。彼はこの映画の監督でもあり、今まで結構な数の映画を撮っているが、日本ではまったく公開されていないのが残念。
一方、カプリス>>続きを読む
年上女性と年下男性の恋愛は珍しいような気もするが、フランス文学の歴史を紐解くと、正にフランスのお家芸ともいえるのではないだろうか。
とはいえ、『赤と黒』や『ゴリオ爺さん』といった19世紀の小説には、若>>続きを読む
映画の中盤までは、意味もなく悪さをするジョゼフ、善良な村民たちという風に描かれているが、ジョゼフの死を経て外部(警察)の目を通してみると、捉え方が一変する。ジョゼフの仕業とされた悪事には決定的な証拠>>続きを読む
myFFF2016の短編映画の中で一番良かった。息子の首には男女の顔のタトゥーが彫られていて、男の方は父親である。女の方は母親だろうか。それくらい愛していたはずの父親との完全なる断絶の瞬間が描かれてい>>続きを読む
カストラートの存在についてはバルザックの『サラジーヌ』を読んだことがあったため知っていたが、ザンビネッラのように容姿も女性的になることを期待していたのに、そうではなくてがっかりした。
ストーリーはカス>>続きを読む
コロンビアの内戦、そして麻薬カルテルの一端を子供の視点から描いている。DVDのジャケットにもなっている主人公シモンが銃の打ち方を習うシーンでは、シモンが大人になって内戦に加わるようになるのではないかと>>続きを読む
宗主国フランスのために命をかけるマグレブ出身の兵士たち。銃弾は人種や出身地に関係なく公平に飛んでくるが、軍の内部での扱いは彼らに対して不公平である。捨て駒のような危険な任務を与えられる上に、出世するの>>続きを読む
ハイジャック事件を、テロリスト、交渉する官僚、特殊部隊員、特殊部隊員の妻の4つの視点から描いている。特に印象的なのはテロリストのリーダー格の人物で、見た目が若く、喋り方からも幼さを感じさせる。テロリス>>続きを読む
外国語訛りの日本語を話す人間と流暢な日本語を話すアンドロイド。人間とアンドロイドの境界について描こうとしたそうだが、確かに、アンドロイドのレオナ役は実際のアンドロイドではなくて本当は人間が演じているの>>続きを読む
確かにヌーヴェルヴァーグっぽさがあるが、心理描写の多さはフランス文学の心理小説的。主演のヴァンサン・マケーニュを見るたびに、日仏の美的感覚の違いについて考えてしまう。彼の良さは生きざまが表情に刻み込ま>>続きを読む
特に関連のない4人の登場人物が起こす4つの事件、なんだこれはと思ったが、これらは中国で実際に起きた4つの事件が元になっていると知り納得した。中国の地理や、社会情勢、生活様式については詳しくないが、この>>続きを読む
高齢の未亡人ミスデイジーと黒人運転手のホークの交流を長期間に渡って描いた映画。ほんわかとした雰囲気の中にも、黒人やユダヤ人差別の描写が挿入されている。ミスデイジー自身は黒人に対する差別意識を持っていな>>続きを読む
アフリカからの移民の少女が、ギリシャ、フランス、スペインをさまよう映画。たどり着く国々でデモに参加する憤る人々を見る。
トニ・ガトリフの映画はそんなにたくさん見ているわけではないけど、根底にあるテーマ>>続きを読む
郵便配達をしていたが足を痛め引退することになった父、仕事を継ぐことになった息子。その仕事は、僻地にある山村まで過酷な道を3日かけて配達するというものである。父は配達のために家を空けることが多かったため>>続きを読む
自分の死後残された人がどうなるか知るために、主人公の死で唐突に幕を閉じる小説の続きを求めるヘイゼル。小説の作者は何も教えてくれなかったが、恋人の死でそれを理解する。
このレビューはネタバレを含みます
孤独死とは、一般的には一人暮らしの人が自宅で誰にも看取られずに亡くなることを言い、世間とは没交渉な生活を送っていたがために発見が遅れることが問題になっている。ただ、この映画では、孤独死とは孤独であるこ>>続きを読む
キルスティン・ダンストは「日本人には美人に見え女優」の筆頭とされているが、この映画の彼女はとても魅力的。
少年たちの少女観察映画なのでぜひ男性にも見てほしい。
この映画で切り取られた期間は、才能のあるイヴにとってはもともと登るはずだった階段の1段にすぎないのだが、それ以外の2人や多数のバンドメンバーにしてみれば人生最高の瞬間になるんだと思う。それがちょっと切>>続きを読む
主人公のエミリーは息子を引き取るためにドラッグを止める決意をするが、禁断症状や夫の死の悲しみが邪魔をする。彼女の昔を知る人には、どうせお前はドラッグを止められない、変わることなんてできないという目で見>>続きを読む
5時間超の傑作。地主と小作、同じ日に生まれたが階級の異なる2人の男の人生を通して、20世紀前半のイタリアの歴史を描いている。晩年、地主制が無くなり、2人の障壁も無くなる。親友だった少年時代のように取っ>>続きを読む
複数の登場人物の視点で描いているという手法は割とよくあるが、この映画はその中でも『桐島、部活やめるってよ』に良く似ている。シモン・ヴェルネール失踪のあまりにも淡泊な真実を見れば、監督が描こうとしたのは>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
おそらく王さんを善良な宇宙人と描くことで、ラストにどんでん返しを作ろうという意図だったのだろうが、王さんの言い分に筋が通っていないので、ラストの展開が想像できてしまった。
中国語を話す宇宙人という設定>>続きを読む
地味だが傑作。聖女のようなアンジェルが、一夜を共にしたグレゴワールを救済する話。遠藤周作の『わたしが・棄てた・女』を翻案した映画という見方が有力なようで、そっちも読んでみようと思う。
リタ・ミツコやバ>>続きを読む
バルザックのあまり有名ではない同名の傑作短編を原作とする映画。原作を読んだのは数年前なので、物語の細かいところは覚えていないが、読んだ時の感動が蘇った。また、私が旅行でトゥールに行ったときに橋から見た>>続きを読む
私が見たアルモドバルの映画は『オール・アバウト・マイ・マザー』以降のものがほとんどで、それ以前のものは『神経衰弱ぎりぎりの女たち』しか見てないので適当なことしか言えないが、このコメディは原点回帰と捉え>>続きを読む
シャブロルの初期の映画は初めて見たが、サスペンス映画と撮った晩年の彼の原点のようなものが感じられた。
俳優たちの演技もそうだが、アンリ・ドカの撮影や、音楽の使い方も良かった(特にラストシーンのレコード>>続きを読む
割と普通のホームドラマ的な描写から始まるが、謎めいたセンタとの出会いによってフィリップの生活が変化する。
家庭の描写は、中盤以降フィリップが家に出入りする場面のみになり、しかもほとんど同じようなシーン>>続きを読む
ラストシーンが良かった
家は相続はされないが、また別の誰かに受け継がれ、別の形で残って行くのだろうなと感じた
他人をどのように見ていて、他人からどのように見られているかを提示することで、登場人物の姿を描く人間関係の描写が見事だった。
この監督の映画は初めてだったが、他の作品も見てみようと思えた。
学歴も資格もないギャリーが、高給目当てで原発で働き始める。そこで同僚の恋人のキャロルとも出会う。
だが、被曝量が大きくなって原発は首になり、妊娠したキャロルからは捨てられる。彼がやり通せたのはロデオマ>>続きを読む
ギヨーム・ガリエンヌが母親を恨んだことは間違いないが、それを乗り越えて母を称えるコメディ映画を作るまでに至ったことを考えると、すごい作品だと思う