あまり入り込めない。カットの繋ぎが唐突で呼吸が合わない。
加えて誰の物語なのかわからない。父親の話と思って見始めると筋が弱い。息子だとしても弱い。おばあちゃんと思うと終盤がおかしい。それなら群像か、>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
映像が格好いい。縦のカットなんて凄かった。視界が狭まって初めて見えてくるものがある。
ストーリーは途中まで微妙だった。擦られ尽くしたクズ野郎の物語を、割と引いた目で観ていた。演技も映像も好きだがなん>>続きを読む
Cが語る家の歴史と違って、Mが家に残すメモは祈りに似ている。歴史は読まれるために書くが、彼女のメモは読まれない。読まれなくても書く。
Cが作る音楽と違って、Mが書くメモには目的がない。何かのために作>>続きを読む
読みを誘い、読みを拒む。
エヴァが難しいのはこみいった筋のせいだけではない。解釈自体を拒否する変な趣がある。
近代的な作者観も、現代的な読者観も、エヴァを前にすると違和感がある。越境し続ける物語を>>続きを読む
過去と言語の関係を扱う点で歴史哲学っぽい。メモに翻弄され続けるレナードに史料批判を薦めたくなる。テクストの検証可能性を欠いた「歴史」は、かくも心許ない。
ストーリーは私が観た中で1番のバッドエンドだ>>続きを読む
個々のシーンは凄い。特に表情の映し方は非常に克明。指の動きとか呼吸の音とかの周辺描写に逃げず、真正面から顔を撮って感情を映すのはやっぱり格好良い。
ただ物語としては、ヴィトとマイケルの考えていること>>続きを読む
遠近法的な映像。風景を撮るというより、与えられた物体の射影幾何学を撮っている感じ。ホテルを紹介するシーンの撮り方がとても好きだ。
遠近法だけではなく、なんだか裏に数理を感じさせる映像が多い。有名な赤い>>続きを読む
映画館を出て、ポスターを見ただけで、泣きかけてしまった。
ポスターには家族が全員写っているだけだが、この映画を観た後だと、それだけのことが痛切。
(完成品の)肖像画がふたつ出てくる。結婚用の肖像と、燃ゆる女の肖像。
このことが暗示する対比は、ほぼ全ての局面で貫徹される。ひとつの構図を細かく細かく描き重ねていった、恐ろしく精巧な映画。なかなか読み>>続きを読む
筋として手が込んでいるとは思わなかった。喧嘩と仲直りの繰り返しや、いくつかの事件があるだけで、それ以上の面白みがあまり見えてこない。
しかしやはり映像と音楽は素敵だし、何より台詞のキレが凄い。いくつか>>続きを読む
なんとなく色々と思い出すシーンや感情がある映画。
色んな人間関係を描いているが、最も共感できたのはレイとファックシットの関係だった。親友なのに、片方は運命を受け入れる強さを持っていて、片方は持っていな>>続きを読む
ジェンダー、階級、食と排泄など、多面的に作り込まれている。ある観点では2019年的、ある観点では普遍的なテーマを織り込んでいる。
「異食症」は単にスリラー要素として選ばれたのではなく、それでなければ>>続きを読む