三体艦隊さんの映画レビュー・感想・評価

三体艦隊

三体艦隊

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

ブラックユーモアたっぷりで楽しく見終えたが、ラストの展開は?で、皆さんの考察を読んでようやく腑に落ちた。
殺人が妄想だろうと妄想でなかろうと、どっちでもよい。レーガン政権時代、さらに競争社会が加熱して
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妖怪の孫(2023年製作の映画)

3.7

印象に残ったシーンは、自称保守団体がリベラルに利さないために統一教会とやむなく手を結ぶというところ。何も信念ないんだね。天皇に敬意もない。信念あるなら天皇をサタンとする宗教と手を結ぶなんて有り得ない。>>続きを読む

FAKE(2016年製作の映画)

4.0

客観的な真実などない。現象は常にグレーだが、受け手はシンプルな嘘か誠かを求める。受け手の解釈次第だが、これだけ情報量の多い時代だと、いちいち検討する余裕はない。従って、陳腐で下劣だろうがマスコミやそれ>>続きを読む

A2 完全版(2015年製作の映画)

4.2

松本サリン事件の被害者河野氏宅にて、オウム真理教の幹部が謝罪をするかどうか揉める場面にて、幹部同士が被害者の前でヘラヘラまとまりのない会話を続けていて、強い憤りを覚えた。
併せて、オウム真理教の立ち退
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悪の教典(2012年製作の映画)

4.0

サイコパスがミスにミスを重ねて、殺人でなんとかフォローしていこうとする話。ハスミンは意外と抜けているというか、サイコパス界では2流である。物語の始まりが、モルゲンシュテルンに敗北してアメリカから追放さ>>続きを読む

「A」(1998年製作の映画)

4.0

見方が非常に難しいドキュメンタリー。難しいし、視座を誤ると危険ですらある。
オウム真理教残党VS世間・国家権力
事件後のオウム真理教残党の立場は、誤解を恐れずに言うが「社会的弱者」である。「社会的弱者
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劇場版 テレクラキャノンボール2013(2014年製作の映画)

4.5

エンターテイメントとしてシンプルに面白いだけではなく、さまざまな背景を持った女性たちとの交流が垣間みれて深みもあった。
はじめ、ナンパして即日セックスをする女性は何か「闇」を抱えているのではと偏見をも
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サイン(2002年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

心の一本。ストーリーは非常にテンポよく進むし、所々にユーモアもある。
とくに好きなのは、少しずつ迫ってくる死の恐怖/世界の破滅を見事に描き切っていたところだ。犬の叫び声、パタパタと走る何かの影、割れる
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悦楽交差点(2015年製作の映画)

3.8

みる/みられる側の転換が面白かったが、その先もみてみたかった。

女は女で、このまま結婚=仕事を続けていくのだろうか。夫との結婚もストーカー男とのセックスも手段に過ぎないのなら、女の目的はいかに。いや
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ザリガニの鳴くところ(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず、湿地帯にある家周辺の雰囲気がとてもよい。音楽もマッチしている。
主人公が垢抜けすぎという意見もあり、確かに引っかかる部分はあるが、ストーリーの展開上複数の男性から好意を寄せられるので、説得力を持
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バビロン(2021年製作の映画)

4.2

ラ・ラ・ランドが個人的にイマイチだったので、不安だったが、とても楽しめた。
序盤の阿鼻叫喚のパーティから心を掴まれ、最後の映画名シーン乱れ打ちで感動。
映画評論家にはあまり評価されていないのうだが、今
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バーフバリ 王の凱旋(2017年製作の映画)

4.8

素晴らしい音楽とフレッシュなアクションの虜となった。バーフバリのような理想的な王となるべき人物は、周囲に愛憎を生み、結局長生きはできないよな〜と妙に納得。

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

もう少し短くできたのでは?長い理由が物語上の必然性ではなく、主人公周辺がトロいから。非常にフラストレーションを感じた。
あと、十分魅力的な演技と演出があるのだから、謎解きはもっとシンプルで良かったと思
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

最悪のドッキリ映画。
《気になるところ》
・ドッキリを仕掛けるのに催眠術が万能すぎる。個人的にはここのリアリズムが欲しかった。
・お互いに了承のもと近親相姦していたことがバラされることの復讐が、なぜ相
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さかなのこ(2022年製作の映画)

4.0

映画自体の出来はすごく良く、飽きずにみれた。
「好きに生きてよい」という強いメッセージが込められている。
あくまでもエンタメに寄っているので、主人公に降り掛かる暴力は軽微で、かつ、主人公のメンタルがと
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アンチクライスト(2009年製作の映画)

4.2

宗教的な要素はキリスト教圏で育ったわけではなく、読み取れないので、別の角度から感想を述べたい。
仕事柄、精神疾患の方と接する機会が多いのだが、トリアーの描く精神疾患はシンプルな鬱病ではないと思う。
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シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

少年を守る行動に地球人の価値を見出し、ウルトラマンとなり戦うという行動原理が大変迷惑。
ウルトラマンにならなければ、怪獣だけ出現して、全宇宙の知性体にみつかることもなかった。
知性体にみつかることがど
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ある優しき殺人者の記録(2014年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

なぜ27人殺して、ユンジンが蘇るのか。白石監督ユニバースであれば、「オカルト」のごとく地獄に落ちるのが筋で、ハッピーエンドにはなり得ないのでは。

この作品を通して、「怪物」は人間の論理では押し測れな
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殺人ワークショップ(2012年製作の映画)

4.6

白石監督作品でも上位に入る出来。怪異こそ出てこないものの、暴力について嫌になるほどリアルに描いている。
暴力を振るう側の弱さや、振るうことでの因果応報について。また、極度の暴力を経ないと、本当の絆を結
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シロメ(2010年製作の映画)

2.2

白石監督ということで鑑賞。白石監督ファンにも、ももクロファンにも微妙な出来かもしれない。いつもように怪異の源泉を探求するのではなく、ひたすらにももクロが驚く映像を映すだけ。ある意味でこちらの方が正統派>>続きを読む

盲獣(1969年製作の映画)

4.7

古い映画だがテンポがよく、飽きずにみられた。テーマは深く、狂気的なのだが、画面がひたすらに美しく、人間存在の哀しみだけではなくその尊さも描いているように思え、感動した。

けものがれ、俺らの猿と(2000年製作の映画)

1.0

詰まらない。見る価値はない。
シュルレアリズムの流れを汲む作品なのだろうが、改めてキツい。
シュルレアリズムの創始者ブルトンの「シュルレアリスム宣言・溶ける魚」ではオートマティズムを取り入れているので
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オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

4.2

白石監督作品は幾つか追っているがどれも面白く、今作も違わず楽しめた。
怪物を神と誤解して復活させてしまうというテーマは「オカルト」「カルト」と今作で共通している。

怪物を神と誤解するには、強烈な現世
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バクラウ 地図から消された村(2019年製作の映画)

3.5

見方によって評価が分かれる作品。明瞭なストーリー展開が好みなのであれば、今作品は向いていない。白人集団の目的が単なる狩りなのか、目的を持った殺人なのか。何故元々の職業にブルーカラーが多いのか。その他に>>続きを読む

ハン・ゴンジュ 17歳の涙(2013年製作の映画)

4.0

映画の内容をそのまま受け取るなら、韓国は真っ当な法治国家とは言えない。
韓国社会の問題というよりも、日本を含めたアジア全体の、個より社会を優先して権力を無批判に肯定する精神そのものの問題だろう。

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富夫(2011年製作の映画)

1.5

端的に詰まらない。60分程度なのが唯一の救い。オープニングでしつこくスタッフクレジットが流れるが、この出来でよくそこまで自信があったと思う。
まず、全員演技がひどい。一つ一つのシーンが無駄に長い。富江
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カルト(2012年製作の映画)

3.0

白石監督作品は、コワすぎシリーズとオカルトをみているが、今作でも同じくミミズが出てきた。

オカルトではミミズ世界が地獄だとされていたので、今作は地獄から化物が来てしまうのを阻止するという話か。

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マッドゴッド(2021年製作の映画)

4.0

ひたすら独創的で美しい映像が続く。ストーリーは読み取れない。苦しいときにみればみるほど、その深淵から何か光るものをみつけられそうな作品。
みるタイミングや精神状態次第では、星5どころか人生を変えうるパ
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SF/ボディ・スナッチャー(1978年製作の映画)

3.8

一番面白いのは序盤の人が信じられなくなっていく過程。誰が入れ替わり、誰が無事なのか。

他の方も言っている通り、世界が乗っ取られてからは既視感のあるゾンビ物のようでやや助長。それでも、随所に工夫は凝ら
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富江 アンリミテッド(2011年製作の映画)

3.8

究極のハッピーエンドであり、バッドエンドでもあるという不思議な映画。

愛憎のメタファーである富江が単なる恐怖の対象ではなく、幸福にもつながり得るという両面が描かれていたので面白い。

両親からの愛や
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ジブリを全作みているわけではないが、ジブリ作品は2つの世界が舞台になることが多いように思う。

もののけ姫・・・たたら場ー森
トトロ・・・村ー森
魔女の宅急便・・・街ー魔法
千と千尋の神隠し・・・現実
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(2007年製作の映画)

4.0

とても面白かったが、なぜ面白いのか言語化するのが難しい映画。

全員が何らかの業を背負っていて、何とかそこから抜け出そうともがくうちに、お互いを傷つけ合い、破滅していくという話。

多かれ少なかれ、誰
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オカルト(2008年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

コワすぎシリーズでも異世界描写は非常にチープであり、怪異のCGの質も高くないが、リアリズムの描写がすごくしっかりしているからか、作品の欠点にはなり得ない。
とくに、派遣社員という現実に苦しみ、一生這い
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バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

3.5

デスゲーム系の元祖といえるのだろうか。バトルロワイヤルが作られた頃の日本は新自由主義黎明期であったように思うが、今や非正規雇用が4割の超競争社会・格差社会にまで及んでいる。
心理的なバトルロワイヤル状
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メランコリア(2011年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ラース・フォン・トリアー作品を初めてみました。みていて苦しくなるほど長く、ねっとり丁寧に描かれる序盤の地獄の披露宴から、惑星衝突に至るまでの心の変化まで、とても美しく描かれていました。
精神疾患の主人
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惡の華(2019年製作の映画)

2.2

規範への侵犯=エロティシズムという主題が物語に通底していると思うが、これを『思春期』特有の乗り越えられるべき病として捉えている時点でこの作品自体の限界があると思う。

この主題を現代日本にて表現しよう
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