チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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疑惑の渦巻(1949年製作の映画)

3.0

ジーン・ティアニーとリチャード・コンテというノワール映画の常連が共演している作品、ドイツから亡命した監督のひとり、プレミンジャーが監督。
ニューロティックからさらに一歩踏み込んで、催眠術を駆使するスウ
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紅い服の少女 第二章 真実(2017年製作の映画)

2.5

ヒット作の続編ゆえか、盛り込み過多。
語るべき事象が多すぎて散漫になっており、ご都合主義や省略も目立つ。
韓『哭声』に刺激されたか、ローカル呪術演出をふんだんに採用。
またCG多用のクライマックスには
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紅い服の少女 第一章 神隠し(2015年製作の映画)

3.2

チェン・ウェイハオのデビュー作がホラーなのは、何だか意外な感じ。
しかもジャンプスケア多めで、結構怖い。
室内場面で役者の後を追う撮影は、不穏で幽玄な雰囲気。
CGも要所に登場するが、地に足の着いた作
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この心亡き者(2022年製作の映画)

3.7

台湾産でここまで作り込んだサイコホラーを観たのは、初めて。
国内に数多いというアジア系不法滞在者絡みの物語となっているが、舞台が大都市の台北であるため、エキゾチズムは希薄。
無国籍な雰囲気となっている
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鋼鉄の雨(2017年製作の映画)

3.2

Netflixで公開前に劇場公開され、かなりの動員を記録しただけあり、全体の作りは重厚。
特に「北朝鮮でクーデターが起きるとどうなるんだろう」という好奇心を刺激する前半が、面白い。
キム・ジョンウンと
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THE MOLE(ザ・モール)(2020年製作の映画)

5.0

ヨーロッパ、アジア、アフリカ、そして中東まで世界中を駆け巡る!
マイケル・ムーアも真っ蒼、『インファナル・アフェア』を市井で行く命知らずどもの作った、あまりにも凄まじいドキュメンタリー。
過去10年以
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ミス・シャンプー(2023年製作の映画)

1.7

『怪怪怪怪物!』は面白かったので期待したのだが、こちらはいまひとつ。
暴力的だが愛すべきヤクザの活躍、若い男女の恋物語、そして青春ノスタルジーと手垢のつきまくった題材を持ち出し、香港映画ばりのナンセン
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だって私は女なの(2021年製作の映画)

3.5

共産主義時代のポーランドに咲いた妖花、カリーナ・イェドルシクの伝記映画。
本人の姿を模しながらアンナ・カリーナも彷彿とさせるスタイリング、ポップでカラフルな美術、そして効果的に挿入されるミュージカル場
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エルドラド ナチスが憎んだ自由(2023年製作の映画)

3.5

ゲイがナチの要職に就いていたとは。
恥ずかしながら、知らなかった。
そしてヴィスコンティは『地獄に堕ちた勇者ども』で、彼(エルンスト・レーム)とSAの最期を再現していたのだと、思い当たる。

キャメル(2023年製作の映画)

3.5

最近、中東エリアの映画を何本か観たが、いずれもイスラム社会で抑圧されている女性たちの葛藤や闘争を、重要なテーマに据えていた。

映画はアートとして、広く世に問題を提起可能な力を持っている。
中東では未
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ビースト・ストーカー/証人(2008年製作の映画)

3.2

近年は多彩なジャンルに挑戦しているダンテ・ラム作品、そもそもの設定が偶然に頼り過ぎている気はするものの、それなりに楽しめるサスペンス。
カーウァイ×ドイルのスタイルを受け継ぎ、雑多な香港の風景と集合住
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バッドランド・ハンターズ(2024年製作の映画)

1.7

『コンクリート・ユートピア』とシンクロする作品とかで、ロケで使用されているマンションは全く同じ。
ディストピア設定も共通している。
とは言え内容は凡百なエンタメアクションに終始。
心なしかマヨミの表情
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第8日の夜(2021年製作の映画)

3.0

冒頭の砂漠場面がちょっと安っぽいかしらと思ったが、「赤の目・黒の目」のCGは濡れたような光沢があって良い感じ。
白抜きな宗教図版も、オカルティックな雰囲気を盛り上げてくれる。
セピア風で黒が際立つ画面
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スキン~あなたに触らせて~(2017年製作の映画)

3.5

冒頭の淡いピンクに全裸のおばあさんというコントラストが強力、以降もパステルカラーが基調/または挿し色として機能するきれいな舞台美術が続く。
フリークス/一般人のキャラクターは、ほぼ同量で登場。
矜持を
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The Soul: 繋がれる魂(2021年製作の映画)

4.0

現代劇かと思いきや、2030年代が舞台。
終盤で正義の味方が不在になるという意味では、近未来SFノワールと言えるかも。
二転三転するスリリングな展開は非常に面白い、脚本も兼ねる監督を「台湾のパク・フン
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僕と幽霊が家族になった件(2023年製作の映画)

4.5

これまでいわば「不気味な幽霊」として扱われてきたゲイと一般社会のクロスオーバーがテーマになっているが、凡庸なメロドラマでなく、ファンタジック・ホラーおよび香港/韓国ばりの麻薬犯罪劇が並走する凝った脚本>>続きを読む

テイル・フロム・ダーク2: 奇幻夜(2013年製作の映画)

3.5

『香港怪奇物語』以前のオムニバス・ホラー続編。

ラム・カートン出演の1本目は官能ホラー。
居室美術がモダンなほか、クリニックやカラオケバー、そして街中の雑貨店など印象的な風景も多数出てくる。
中盤で
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FEAST -狂宴-(2022年製作の映画)

3.0

何より結末に驚いてしまうが、なんとフィリピン国内向けに、別エンディングのヴァージョンがあるのだとか。
監督は本作についてのインタビューで「赦しや寛容を描きたかった」と発言しているが、何だか舌先三寸…、
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Shark Busters(2002年製作の映画)

3.7

本作製作前年の2001年、香港の失業率は上昇。
また返還後の「住宅供給拡大政策」を受け不動産価格が下落するなど、経済は低調だった様子…、エンドロールでは本作の脚本に近い実在事件を報じた新聞のトップ面が
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楽園の夜(2019年製作の映画)

3.5

済州島の、リゾートでありながら鄙びた風景の中で繰り広げられる犯罪劇。
冒頭の舞台は都会だが、天井が高くガラス張りでモダンなデザインの病院や広い冷水風呂のあるサウナ、そして空港と開放的な背景が続き、観て
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アンダー・ザ・シャドウ 影の魔物(2016年製作の映画)

3.5

時代をイラン・イラク戦争開戦中の80年代、舞台をテヘランに設定。
イラン革命の際、極左団体に所属したためキャリアを断たれ、イスラム原理主義に回帰する社会に抑圧され、さらに娘の奇行と戦禍に翻弄されるヒロ
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マッチメーカー(2023年製作の映画)

3.5

サウジアラビアは中東エリアの大国で、隣国で紛争が発生した際、介入など不穏な動きを見せることも多いが、ここ20年間で映画産業も成長している様子。

本作の前半はフェリーニ『女の都』のようなプロット、しか
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#生きている(2020年製作の映画)

1.7

セクシュアル・マイノリティへの偏見が根強い韓国でお薬問題も起こしたため、復帰を絶望視する声さえ挙がるユ・アインの主演作。
『声もなく』と同時期の撮影なのか、体型がガチムチ。
作中ではイザベル・アジャー
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ドイ・ボーイ:路地裏の僕ら(2023年製作の映画)

3.5

10年以上政情不安が続くタイと、軍事政権 VS 少数民族武装勢力の対立が続くミャンマーの背景を、うまく脚本に取り込んだサスペンス、東南エイジアンノワールと呼んで差し支えない出来映え。
エンタメやアート
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犯罪都市 NO WAY OUT(2023年製作の映画)

3.5

1より2の方が面白かったシリーズものだが、先日話した韓国人女性が「2より3の方が面白かった」と言ったので、思わず「チンチャ?」とワクワク。
本作では日本人俳優も活躍しているのだが…、鑑賞後の個人的な感
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幻土(2018年製作の映画)

2.7

移民の国で、埋め立てにより国土を拡大してきたシンガポール。
同国へ出稼ぎに訪れるアジア人を「使う立場」であり、労働者がひとりやふたり消えたとしても誰も気に留めないという実情が、ミステリアスに描かれる。
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毒戦 BELIEVER 2(2023年製作の映画)

1.7

つまらない続編に成り下がり、全編幼稚な暴力場面の連続。
また要所に家族愛を持ち込む、類型的な脚本だった。
ジェフ・バックリィの曲を引っ張り出してきて延々垂れ流すエンドロールにも、うんざり。

先輩のジ
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テイル・フロム・ダーク1: 迷離夜(2013年製作の映画)

3.5

『香港怪奇物語』以前のオムニバス・ホラー。

1本目はいまのところ、サイモン・ヤム最初で最後の監督/主演作。
多角的でクリアなデジタル撮影、香港らしくカラフルな照明の画面をめまぐるしく編集している。
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監獄の首領(2016年製作の映画)

2.7

「決して捜査線上に浮上しない監獄の囚人たちが暗躍する」という設定は面白いのだが、犯罪のスケールが大きすぎるきらいあり。
コメディ演出も皆無なエンタメアクション路線で、リアリティは希薄。
『白熱』のキャ
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欲望の砂漠(1949年製作の映画)

3.5

都会でなく南アフリカのナミブ砂漠を舞台にしたノワールで、腹に一物を秘めた登場人物たちが化かし合いを展開するほか、バート・ランカスターがサディスティックな拷問に苦しむ場面も。
フランスから「ディードリヒ
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