チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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三人の女 夜の蝶(1971年製作の映画)

3.0

監督の前作『女の意地』が面白かったので期待したのだが、本作は「こんな女に誰がした」と言わんばかりの正調メロドラマ。
演出や編集、街中でのロケ、そして役者と共に動くカメラのすべてがスムースでないところは
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隣人-The Neighbors-(2012年製作の映画)

3.5

団地に潜む連続殺人鬼の正体が序盤から明示されたユニークな脚本で、彼と住人の攻防が時に悪役目線でスリリングに、時に被害者目線でウェットに、そして時にユーモラスな庶民感覚で描かれる。
「地下室付きの団地1
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未亡人の殺人計画(1953年製作の映画)

3.2

前半は警察の捜査を追う場面が意外に多い。
中盤からサスペンスフルなメロドラマへと雪崩れ込み、最後まで予断を許さぬ展開。
決定的場面を挟まず結果を語る凝った脚本だが、俳優に気遣ったがゆえの演出ではという
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囁く怨霊(2000年製作の映画)

2.5

画面サイズは4:3のままだし、ロケオンリーで何より照明が暗いと、低予算モロ出しなのだが(OV作品なのだろうか?)、どんよりとした川崎工業地帯のイメージカット(中でもフレアスタックは執拗に挿入)、女性の>>続きを読む

女の意地(1971年製作の映画)

4.0

脚本の大筋は「銀座の夜の蝶たちの栄枯盛衰物語」なのだが、ポルノとサイケの時代を意識した場面づくりが功を奏し、保守的なメロドラマへの陥没を防ぐ。
メインキャラクター・異父姉妹の居室は色の氾濫が悪趣味だが
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街の野獣(1950年製作の映画)

4.5

神経質そうなウィドマークがあまり好きではないので先送りにしていたが、いざ観てみたらものすごく面白いノワール。
特に前半、ナイトクラブの店長室で繰り広げられる3人のキャラクターの駆け合い場面は、カリカチ
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

2.7

ヒーローではなくヒロインを採用したパク監督の作品なので期待したのだが、大衆および子供向け。
SF要素が加味されているため、アクション場面も非現実的な画面加工に終始、その割に物語の核心は台詞で語ってしま
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ファストフード店の住人たち(2019年製作の映画)

2.5

香港社会に一定数存在するホームレスな人々の群像劇。
近年発生した「24時間営業のマクドナルドで、ホームレス女性が死亡」といった事件も下敷きとなっている様子。

最も心が広いのは、定期清掃時以外、客を追
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シークレット・ミッション(2013年製作の映画)

3.2

主要キャラクターが北朝鮮人、中盤までコメディ演出が優勢だが、クライマックスはセットとロケの混在したアクションとなる、凝った作品。
スパイの脅威はもちろん『脱北者の粛正部隊』という設定が、なさそうであり
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バイ・ジュン さらば愛しき人(1998年製作の映画)

3.5

監督にとっては30代を迎える直前の処女作で、どこか自叙伝のような雰囲気あり。
モデル出身なユ・ジテの俳優デビュー作でもある。
若者による若者のための青春映画といった趣、自暴自棄でありながら悲観に傾かず
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絶壁の彼方に(1950年製作の映画)

3.0

本作製作当時のボスニアは旧ユーゴスラビア連邦の一国、共産主義国であったはずだが「軍部によるクーデター発生前夜」といった雰囲気で描かれている…、どこまでが実情を反映しているのか、いま観ると判別しがたい巻>>続きを読む

V.I.P. 修羅の獣たち(2017年製作の映画)

4.5

久々にドシンと来た韓国映画。
サスペンスにサイコホラー要素をプラスした作風が面白い…、また敵国・北朝鮮との関係が巧みに織り込まれ、韓国にしか撮れないスリリングな内容に仕上げられている。
「中央集権国家
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テーラー 人生の仕立て屋(2020年製作の映画)

2.2

「自分で服が作れたらどんなに良いかなぁ」と妄想し、職人を尊敬している私は、仕立て屋をメインキャラにした映画をつい観たくなってしまうのだが、満足した試しがない。
「その仕事ぶりを丹念に描くだけでは、ドラ
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ミセス・ハリス、パリへ行く(2022年製作の映画)

2.5

バイタリティに溢れた労働者階級の英国おばさんが、主人公。
ディオールのドレスを求める彼女のパリ珍道中を、戯画的に描く。
あらすじだけ観るとさもつまらなさそうだが、欧州主導ゆえ、デティールはそれなりに大
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ウエディング・ゲスト 招かれざる客(2018年製作の映画)

2.5

パキスタンから広大なインドへ向かうサスペンス調のロードムービー。
『聖者の食卓』で紹介された食堂を併設するパンジャーブ州の黄金寺院周辺から首都デリー、そして入植した西洋文化が薫るゴアとロケ地が移り変わ
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LUCK-KEY/ラッキー(2016年製作の映画)

2.5

VODでまとめて配信中の『三色ごはん』にハマったため、ユ・ヘジンの出演作が観たくなった…、本作は名脇役な彼の初主演作。
お世辞にもハンサムと言えない極東顔の彼をどう魅せるかは思案のしどころだが、二の線
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ブラザーフッド(2004年製作の映画)

4.0

兄と弟の歩みを通し、朝鮮戦争の行方を追う壮大な映画。
超大作を経験済みの監督ゆえ、全編を通し世界水準のクオリティを保証、残虐で凄惨な戦闘/暴力場面はやや多過ぎるほどだった。
爆破を伴うロケ現場で、役者
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クリムゾン・リバー2 黙示録の天使たち(2004年製作の映画)

3.2

ヒットした前作の続編で、ジャン・レノのみ続投。
テコ入れの意味で採用されたのか、リュック・ベッソンによる脚本は宗教を核とする暴力スリラーで、ドイツやイタリアをも巻き込む不穏な内容に仕上がっており、それ
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マルモイ ことばあつめ(2018年製作の映画)

3.0

鬼畜な大日本帝国の支配下で、自国の言語を守るべく抵抗した朝鮮の人々の姿を描く、史実ベースの作品。
題材が題材なだけにきっちりと破綻なくまとめられた作風、義務教育の現場でも上映可能であろう。
重苦しい展
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楽園(2023年製作の映画)

3.5

「外ではいいけど、ここではダメ」という台詞が印象に残る。
もはや映画の中でも、特殊な舞台装置なしには現代ゲイの純愛を描けなくなってきているということだろうか(先進国では)。
聞き分けなく刹那に生きる若
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クリミナル・アフェア 魔警(2014年製作の映画)

3.2

「魔警」と呼ばれ香港を震撼させた徐歩高の事件が元になっているものの、大幅に脚色されており、事実はデティールのみに落とし込まれたかたち。
とは言えサイコ/ニューロティック要素が、よくあるエンタメアクショ
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SHOCK WAVEショック ウェイブ 爆弾処理班(2017年製作の映画)

3.0

元内偵 VS 爆弾テロギャングという構図のエンタメサスペンス。
濃密な脚本をまとめる編集はサクサクスピーディでわかりやすく、見せ場の連続。
九龍と香港を結ぶ海底トンネル内の立て籠り事件で、山場を迎える
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毒戦 BELIEVER(2017年製作の映画)

3.0

オリジナル脚本の細部まで覚えていなかったのだが、前半の「毒を喰わらば皿まで」を地で行く描写は同じ、しかも強烈。
おかげで最初の1時間ぐらいはあっという間だった。
「黒幕の正体は組織の身内でさえわからな
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

3.7

心に傷を抱えたオルタナヒーローの暗躍を描く。
作品内でも詳しく説明されないフラッシュバックに悩まされるだけでなく、不穏な状況に巻き込まれる彼の行方が反映された脚本は一体どこへ向かうのか、予測不能。
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スピリットウォーカー(2020年製作の映画)

3.0

前半は不可解なSFタッチが面白い、後半は段々と「よくあるアクション」に堕ちていく。
パク・ヨンウ演じるジャンキー・キャラクターはユニーク。
ヤクの取引相手は日本人という設定で、当該役者に充てられた「ヴ
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私は確信する(2018年製作の映画)

3.5

法廷ドラマを観ながら「実際に犯罪を犯したかどうかより、法廷ルール上で有罪か無罪かが争点?」というモヤモヤを感じることはよくあるが、本作のメインテーマは、その諸行無常。
「行動する一般人」のヒロインは、
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

2.7

クローネンバーグ作品と『フランケンシュタイン』の融合のような映画。
「女らしさ」に真っ向否を突き付ける監督の怒りが充満しており、ヒロインは他人も傷つけるが、自らへの攻撃も手加減なしという演出。
醜女メ
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七人の野獣 血の宣言(1967年製作の映画)

2.5

60年代ヨーロッパのアクションコメディを翻案したような作品。
タイトルロールがコマ送りなのは凝っている、また前半の編集は畳みかけるようにスピーディ。
相手が男でも女でもお構いなしに鞭を奮うSオヤジキャ
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朝鮮名探偵 トリカブトの秘密(2010年製作の映画)

2.5

『王の運命』でユ・アインが演じた思悼世子の息子で、朝鮮王になった正祖の時代の物語だが、撮影や画面加工は終始、近年のアクション映画流。
そんな取り合わせの珍味が受けたのか、続編も作られたヒット作だが…、
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