チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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顔のない悪魔(1958年製作の映画)

3.5

「マーシャル・トンプソンの出ている映画、ないかしらん」という単純な理由で行き当たったが、彼がイギリスに招かれて撮った作品で、舞台はカナダという設定。
英ホラークラシックであり、ハマーの向こうを張ったア
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悪魔の追跡(1975年製作の映画)

2.7

ロケ中心のロードムービー。
アメリカン・ニューシネマの趣は強く、カルトの絡むサスペンスを演出するには、どうも画面が地味。
そもそも儀式の行われる場所が整然と開けすぎていて、どう見ても人の手が入っている
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スイッチ 人生最高の贈り物(2023年製作の映画)

3.0

普段は絶対観ない類のファンタジック・コメディで、しかも家族愛推し(しかしパニックやホラーに付加されたお涙頂戴ではないため、意外にサラッと流せる)。
ハリウッドだかどこだか知らんが、元ネタもわからないた
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曖昧な週末(1999年製作の映画)

3.0

アラン・マックの初期作で、ウォン・カーウァイ以降の香港ネオ青春映画な趣漂う。
とは言え撮影/脚本/演出ともに、伝統的な香港映画から地続く庶民感覚を多分に残し、馬鹿馬鹿しくも直截なユーモアを交えつつ、眠
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香港怪奇物語 歪んだ三つの空間(2021年製作の映画)

2.5

企画全体に独自の魅力があるかしらと勝手に期待したのだが、さにあらず。
世界中で量産されている、単なるオムニバス・ホラー。
しかし香港(中国)ではすでにシリーズ化され、人気を博しているらしい。

■『暗
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1942奇談(2007年製作の映画)

3.7

それほど期待していなかったのだが、意外な見応えあり。
大戦中の病院内で発生する不可解な現象を、群像劇で見せる展開はバラエティに富み、編集もトリッキー。
ゆったりとしたリズムも独特だ。
日本統治下の時代
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インターセプション 盗聴戦(2014年製作の映画)

3.2

とにかくキャストが豪華で、お正月に観れば良かったと思うほど。
盗聴シリーズに出演済みのラウ・チンワン、ルイス・クー、ダニエル・ウーをはじめ、アレックス・フォンにラム・カートン、大陸からジョウ・シュンと
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クリムゾン・リバー(2000年製作の映画)

3.2

仏産、猟奇の香り漂う大作サスペンス。
アクション場面もあるがどこかコメディ調で、メインキャラが暴力的というわけではない。
ジャンレノ/カッセルの描写は丁寧、二陣営の繋がる過程が面白い。

人里離れた雪
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トラブル・ウィズ・ユー(2018年製作の映画)

3.5

全体的に軽くシュールなコメディ調だが、メインキャラのシリアスでシビアな関係だけは最後までキープ。
特筆すべきはメロドラマに流れない脚本で、雑多ながら腰の座った演出力がユニークだった。
母から息子への寝
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ポイントブランク 標的にされた男(2014年製作の映画)

3.0

冒頭に『Gaumont』と出てきたから、フランスが出資しているのかと思いきや、フランス作品のリメイク。
アクション多めの巻き込まれ型のサスペンスで、序盤から手足を駆使した戦闘能力を行使するリュ・スンリ
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殺意の誓約(2016年製作の映画)

3.5

メロドラマティックで性質の悪い不良娘が、ファム・ファタールとして機能しているサスペンス。
ユーモアはなく、ひたすら暗い緊迫に満ちた展開。
正義を振りかざさぬエンディングが良かった。

眼鏡に映る手術モ
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偽証(1947年製作の映画)

3.5

ノワールを得意とした監督の作品。
居室セットに在る役者をバストアップで、一台のカメラで捉えた場面などはちょっと安っぽいのだが、性格異常を嵩じさせる悪役を暗がりで撮る際は、まるで「尾の生えた悪魔のような
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湿地(2006年製作の映画)

3.5

配信時代を迎え、アイスランドの作品を気軽に観れるようになったのがうれしい。
私が個人的に長らく観たいと思っているビクトリア・アブリル主演の『101 Reykjavik』は、本作監督のデビュー作だったと
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スウィンダラーズ(2017年製作の映画)

3.5

2010年代後半の作品ながら、過去10年の韓国サスペンスの流れを汲む作品。
ヒョンビンとユ・ジテのふたりを主軸に、人気役者たちが脇を固めているが、類似作品に見られる「軽いコメディ演出」は控え目。
復讐
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サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

3.5

大陸の生んだ世界的大女優、コン・リーと、中国共産党に目を付けられながらもコンスタントに映画を撮り続けてきたロウ・イエの、胸ときめくコラボ。
現場では常時5~6台のカメラが動いていたというだけあり、非常
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ディメンシャ13(1963年製作の映画)

3.0

ランニングタイムは短いが、鑑賞後に反芻したくなる重層脚本。
疑惑渦巻く人物が、バトンリレーを展開。
モノクロ画面は特に夜の屋外撮影で冴え渡り、古城を舞台にしたノワールか、ヒッチコックのサイコホラーのよ
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怪怪怪怪物!(2017年製作の映画)

4.0

クリチャー系ホラーなのだが、それ以上に全編に貫かれた「弱者を玩具に、食い物にする社会」への皮肉・批判が印象的。
演出は終始ハードボイルド、いじめ描写は陰惨で忖度なし。
初志貫徹のバッドエンドも潔かった
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感染家族(2018年製作の映画)

1.5

『新感染シリーズ』のゾンビホラー、『コクソン』などの片田舎ホラーを掛け合わせたようなシチュエーション。
演出はコメディだが、確信犯の二番煎じなら、もっともっと皮肉が欲しい。
しかも大作並みに大衆に媚び
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墓地裏の家(1981年製作の映画)

2.5

凡百ホラー映画の中でも、鮮血/グロ描写に一歩踏み込んだこだわりを感じるのは確か、特に本作では、個性が無駄なく表出している。
ご自慢はかなり自然に血糊が噴出する、首元の薄い特殊メイクだろう。
ただ個人的
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私がやりました(2023年製作の映画)

3.0

1930年代が舞台とあって、監督印の明るく静謐で美しい画面は後退、ややくすんだフィルム調が印象的。
継父の職場では、アールデコな美術も登場。
リッチになったヒロインたちの出で立ち、そしてコクーンコート
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ボイス(2002年製作の映画)

3.0

民主化以降の韓国初期ホラーの中でも良い出来。
雨や照明を効果的に使ったタイトルロールからして、撮影がスタイリッシュ。
富裕層の生活圏が舞台なのは当時の定石だが、生活感も適度に漂っている。
前半はホラー
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TSUNAMI-ツナミ-(2009年製作の映画)

1.2

「韓国でも天災パニック大作は撮れる」と気負った作品、水害の実写部分をどう撮るかはハリウッドに学び、現地スタッフも参加させた様子。
CGや劇伴はいかにもな雰囲気だが、登場人物に釜山の田舎者を多く配し、ロ
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ウォーデン 消えた死刑囚(2019年製作の映画)

3.5

親米時代のイランを描いた作品だが、舞台は時の止まった辺境の刑務所なので、時代やエキゾチズムはさほど感じられない。
最後まで先が読めない脚本とリアルな美術、クリアで美しい撮影が印象的なサスペンス。
主演
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荊棘の秘密(2016年製作の映画)

4.0

さほど期待せず観始めたのだが、強烈な力作。
居丈高な女の狂気を噴出させたソ・イェジンは役柄に対し、美し過ぎるきらいもあるが、ポスト・チョン・ドヨンと讃えたくなる熱演。
髪形といい、ブルー系の衣装といい
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極限境界線 救出までの18日間(2020年製作の映画)

3.5

2007年の『タリバン韓国人拉致事件』を題材にとった作品。
昨年公開の『モガディシュ』然り、国外を舞台にしたポリティカル・サスペンスが増加しているのは、韓国映画のスケールが国内に収まらなくなってきてい
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裏切りの陰謀(2011年製作の映画)

3.5

「文屋 VS 権力」を描く社会派サスペンスで、ファン・ジョンミンを筆頭にキム・ミニ、キム・サンホ、ペ・ソンウ、キム・ミンジェ、チョン・マンシク、イ・ギョンヨン、そして甘いマスクのチン・グとキャストは最>>続きを読む

ネオンの中へ陽が沈む(1995年製作の映画)

3.5

民主化以降、資本主義の波に乗るIMF危機以前の韓国、というかソウルを描いた作品で、舞台は広告代理店。
この時期の韓国で、ヒロインの人間的成長を描く女性映画を撮っていた監督の先鋭に驚かされる。
加えて「
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(2006年製作の映画)

3.0

終盤までは独特の雰囲気とストーリーテリングの妙でワクワクさせてくれるのだが、自宅の一室に遺体が放置されっ放しで、自分も周囲も不審に思わないという状況にはどうしても無理があり、シラけた。
また葉月里緒奈
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グッバイ・キス -裏切りの銃弾-(2006年製作の映画)

4.5

徹底的なノワール脚本で、韓国にリメイクして欲しいぐらい。
特にハードボイルド過ぎるラストにゾクゾク!
イタリアン・ホラーブームの末期を飾った監督にふさわしく、流麗、幻想的かつエグい撮影や編集が駆使され
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ワイルド・アニマル(1997年製作の映画)

4.0

監督の初期作。
強引でガタガタかしらと覚悟して観始めたのだが、驚くほどスムーズ。
アートに理解の深いパリが、伸び伸びとした撮影を後押ししたのだろうか…、ナターシャ・アトラスのエキゾティックな曲に合わせ
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ヒーロー・ネバー・ダイ(1998年製作の映画)

4.0

バランス感覚がそうさせるのか、監督作のランニングタイムはコンパクトにまとめられていることが多い。
本作も然り、例え撮影されていたとしても、本編に使われていない描写は多く、想像で補わざるを得ないのだが、
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呪われた美容整形、血の美少女たち シンデレラ(2006年製作の映画)

2.0

若い女性たちの心理をえぐる整形ホラーを期待していたのだが、母娘ものだった。
富裕層の生活圏が舞台で無国籍な雰囲気だが、タイトルに冠せられた童話と脚本は大してリンクしていない。

カメラは執拗に、確信犯
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アダン 禁断の果実(2019年製作の映画)

2.7

「フィリピンの田舎村で芽生えた同性愛が迫害され…」という物語だったら観ていなかったと思うのだが、サスペンスのようだったのでチョイス。
前半から危ういイメージが頻出する演出、その意味での期待は裏切られな
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ドント・オープン(2020年製作の映画)

2.7

若いころにUK産パンク/ニューウェーヴのアーティストに心酔し、古本屋で『Fool's Mate』を買い漁ってインタビューを読みまくったせいか「イギリス人=シニカル」という固定概念が抜け切らない。
近年
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犯罪都市 THE ROUNDUP(2022年製作の映画)

5.0

売れる映画と面白い映画がバッチリ合致…、そんな理想の実現と勢いを感じさせる作品。
少し前までの韓国映画は、こうしたホームランを何本も送り出してきたもの…、近年はなぜかマ・ドンソクの周りで、限定的にミラ
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トガニ 幼き瞳の告発(2011年製作の映画)

3.5

原作と本作の大ヒットがきっかけとなり、再捜査→正義の鉄髄が下されたという結果だけで、十二分に社会派映画としての役割を果したすごい作品。
「撮影自体がトラウマになるのでは」という懸念もあり、子役への配慮
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