チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

チッコーネ

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日本暴行暗黒史 異常者の血(1967年製作の映画)

1.5

『武士道残酷物語』のアングラ・ヴァージョンのような趣。
濡れ場は多いが、当時の鑑賞者でも抜くのは無理だろうという内容、しかし妙に長回しだったりする。
作品としても続編のほうがずっと面白いが、監督は意外
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スペースバンパイア(1985年製作の映画)

2.7

イギリスでも人気の、キャノン・フィルムズと組んでいた頃の監督作品で、ハレー彗星の接近を翌年に控えたタイミングでの公開(原作あり)。
「こんな大作も撮っていたんだ」と驚く。

冒頭は編集がスピーディで、
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殺人の告白(2012年製作の映画)

3.5

ペ・ソンウと脇のアジョシ群以外、あまり見知った顔が出てこない…、地味な主要キャストゆえ網から漏れていたが、SHOW BOXのメジャー作品。
大胆かつ強引な脚本+怒涛のアクション演出と、韓国映画の盛り上
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熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

3.5

国から映画製作を禁止されている監督が、秘密裏にプロジェクトを進行させるモキュメンタリー。
監督の近作は似たり寄ったりの体裁だが、マンネリとか出たがりというわけでなく、密かな作品作りに最も適し、訴求した
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青い塩(2011年製作の映画)

4.0

ウォンビン主演作より、こちらのタイトルを『アジョシ』にしたかったところ…、中年男と若い女の間に育まれる性愛を超えた情愛をサスペンスフルに、時にコミカルに描いている。
師弟愛の強いヤクザ社会と、同性間の
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(1949年製作の映画)

3.0

原題は『八百長』で、ゾッとするほど冷酷なクライマックスからの展開が短い代わりに拳闘場面は長い作品。
リングサイドから3R分の打ち合いを追うカメラは迫力たっぷり、役者陣はケガをしていないか、心配になるほ
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稀人(まれびと)(2004年製作の映画)

2.0

恐怖について「鶏が先か、卵が先か」と問答をこねくり回し、地下世界に向けたロマンチシズムを発露する冒頭は面白いのだが、「女体」という実存が画面に現れてから失速。
後半の「採血」場面の撮り方は単体、或いは
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悪魔の街(1956年製作の映画)

3.0

監督のデビュー作の様子で、のっけから驚きのアイディアと動きある演出。
主要キャラの背景は活気に満ちており、さながらヴォーカルを抑えアレンジを前面に押し出した楽曲のよう、時に台詞がよく聞こえない場面すら
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赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

2.7

いかにもアメリカの作りそうな作風、とは言えマイノリティの立場で「現実を先導しよう」という意図は感じられる。
ゲイ劇作家の恐らく初監督作品、特に前半はテレビドラマ的だが、濡れ場に籠る情感は特筆もので、非
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トーク・トゥ・ザ・デッド(2012年製作の映画)

3.5

漫画原作の映画化が多い印象の監督だが、本作はオリジナル脚本で、室内含めオールロケ。
OV級の低予算が画面から伝わってくるが、むしろ地に足が着いていて好印象。
監督には大きなプロジェクトより、ジャンル映
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サニー 永遠の仲間たち(2011年製作の映画)

2.7

韓国では圧倒的に少ない女性主体映画のひとつ。
しかもインディでなく大手CJの制作で、過去と現在が入子状の構造。
シム・ウンギョン演じる「子供っぽい田舎者」という役柄が苦手、これは彼女というより演出のせ
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喰女 クイメ(2014年製作の映画)

4.0

すでに何度も映画化され手垢のついた『東海道四谷怪談』を新たに撮るにあたり、直球の時代劇を避け、劇中劇手法を採用している。
「公演前のリハーサル」という体裁で怪談の筋を追いつつ、並走させる現代劇もドロド
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世界で一番美しい少年(2021年製作の映画)

2.5

幼少期からデビュー後まで、ビヨルン・アンドレセンの周囲の人間はクソばかりで、まさに悪循環。
高慢なヴィスコンティの対応もしょうもなくて、うんざりしてくる(本編で語られることはないが、一派からの性搾取も
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地獄の謝肉祭(1980年製作の映画)

2.7

「カニバリズムの伝染病」という設定だが、内容は目先を変えたゾンビ映画という感じ。
キャリアの長い監督の作品にふさわしく、躍動感ある撮影、きびきびとした編集、そして淀みない話術に職人気質が感じられる。
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ヒットマン エージェント:ジュン(2020年製作の映画)

3.2

シリアスな役だけでなく、「身体能力の高い二枚目半」という、香港アクションヒーロー路線を韓国で受け継いでもいる、クォン・サンウ主演作。
主人公が漫画家なので、作品内にもコミック場面が登場(というより、ア
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警視庁物語 七人の追跡者(1958年製作の映画)

2.7

シリーズもので60分以下の短尺と、テレビドラマのプロトタイプ的併映用作品。
変死体が発見されているのに軍歌調の音楽が流れるタイトルロールから、捜査本部設置までの予定調和的進行は、まるで警察のプロバカン
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血を吸う薔薇(1974年製作の映画)

2.7

幻想的な雰囲気の漂う洋風ホラーシリーズの三作目。
全体的に展開がスローモーながら、ユーロトラッシュやピンク映画を意識したのかエロティックな視覚効果もありで、レズビアン・セックスを連想させる場面も。
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コールド・ウォー 香港警察 二つの正義(2012年製作の映画)

3.5

近年流のシリアスな香港サスペンス、トリッキーな編集と疑心暗鬼な雰囲気の横溢で攪乱してくる。
警察権力内部が三陣営に分かれる覇権争いは緊張感たっぷり、飽きさせない。
ザ・大作だが感じられる勢いは、同時期
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サイゴン・クチュール(2017年製作の映画)

2.2

ファッションをテーマにした、所詮女子供向けタイムスリップもので『プラダを着た悪魔』や『ローマの休日』のパロディを意識したような場面も散見される。

近年、世界各国から登場する若いデザイナーたちは自国の
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天使の影(1976年製作の映画)

3.0

物語はさほど複雑でなく、個人と社会の利害関係から派生するドラマ、しかしファスビンダーの脚本が溢れ出さんばかりの勢い。
そのせいで登場人物は一様に、インテリ崩れに見える。
そして一部の台詞はいま聞いても
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(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

3.0

ロマンポルノの問題作に寄せられる偏愛には、ノスタルジアが多分に含まれることが多い。
しかし本作は警察も撮影中止を求めたという危険地帯・あいりん地区でのロケが大いに物を言っており、ヒロインの破滅的な生き
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悪の教典(2012年製作の映画)

3.2

大真面目なサイコホラーで進むと思わせておいて、後半は「学園祭を準備中」という賑々しい美術を背景に「猿でもわかるエンタメ殺戮劇」へ雪崩れ込む。
そんな展開は、タイトルロールに「電通」の二文字を確認した時
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帝戦 BAD BLOOD(2010年製作の映画)

3.5

いわゆる犯罪映画とは異なる雰囲気、香港伝統のアクション映画であることに、冒頭から気付かされる。
アクションに対応可能なアンディ・オンはもちろん、そうでもなさそうなサイモン・ヤムまで丁々発止を繰り広げる
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聖獣学園(1974年製作の映画)

3.5

教会を舞台にキリスト教冒涜演出を連発、もし欧米で作られた作品であれば上映禁止レベルのアンチクライスト映画。
そして男性監督による男性向けサービスで埋め尽くされた、女体絵巻。
反骨精神ありきというより「
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火の森(1970年製作の映画)

3.7

ヒッピー文化を加味した異色の幻想譚、冒頭にはロードムーヴィの趣もある。
見どころはコロコロ変わる三姉妹の華麗なスタイリングで、ほとんどドラァグクイーン。
頭頂から後頭部にかけてふかしまくりなこの時代に
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ララミー・プロジェクト(2002年製作の映画)

2.7

発生から約10年後に、ヘイトクライム防止連邦法の成立へと結実したゲイ殺人事件についての、テレビ映画。
「事件を主題とした演劇を作るため、現地取材する劇団員たちを追う」というモキュメンタリー形式なので、
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ダイヤル1119(1950年製作の映画)

3.5

立て籠もり事件を描くサスペンス、物語の大半はスタジオに設えられた街のセット内で撮影されている様子。
「酒場で憂さを晴らす人々」へ倦んだ視線を注ぎ、「テレビが普及し始めた時代に事件を面白おかしく生報道す
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恐怖の足跡(1962年製作の映画)

3.2

冒頭から低予算は伝わるが、撮影は非常に細やかで編集にもほとんどガタつきなし。
廃墟を活用したロケも幻想的で良い。
短いランニングタイムの割にクライマックスまでの道程は長いが、特殊技術を用いずとも悪夢は
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クライムズ・オブ・ザ・フューチャー(2022年製作の映画)

4.2

まず「新たな臓器を生み出す体質」を得ている主人公が超人でなく、アートパフォーマンスを生業としているという設定が面白い。
近未来でもアングラに属すらしい同業界で活躍する彼が、中世の修道士のような黒装束に
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ハーレム(1968年製作の映画)

2.7

粋な艶笑ものかと思ったら大間違いの問題作で、美術も大しておしゃれではない。
いまこんな作品を撮ったら叩かれるだろうが、全体を振り返れば「男も男なら、女も女」と言ったところ。
男がパスタを投げつける図は
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SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)

2.7

SFエンタメで、逃避行の過程にローカルな景観も程よく盛り込んでいる。
画面加工は洗練されたもの。
脚本にも破綻がなく、かつて韓国映画がよく見せた強引や不自然の跡はないが、そのぶん印象も薄め。

ワイルド・シティ(2015年製作の映画)

4.0

ベテランだがそれほど作品数は多くない監督の近年作で、きっちりまとめられたエンタメサスペンスアクション。
破綻なくハードな脚本、古臭さを感じさせずスピーディな撮影・編集、カラフルな照明、そして香港のさま
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湯殿山麓呪い村(1984年製作の映画)

3.5

「即身仏を題材にしたホラー映画ってないかしら」という不謹慎極まりないニーズで検索をかけてみたところ、筆頭に挙がったのが山形ロケもある本作だったので観てみたが、どちらかと言うと戦中のおどろおどろしい人間>>続きを読む

案山子 KAKASHI(2001年製作の映画)

2.0

原作は30Pぐらいの短編だったはずで、奇怪な物語なりに筋は通っていたが、本作の脚本は妙に浮世離れしている。
90分弱の短い尺内でヒロインを追うことに集中した結果、説明不足が目立ち、仕上がりは稚拙に。
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南極日誌(2005年製作の映画)

3.0

ファン・ジョンミン主演のヒマラヤ登頂映画があるはずで、本作もそんな感じかなと避けていた。
極地探検を「=感動」に落とし込みたがる、短絡志向な近年の韓国映画に比べ、約20年前の本作はサスペンスタッチで野
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