チッコーネさんの映画レビュー・感想・評価 - 9ページ目

チッコーネ

チッコーネ

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人妻の危機(1953年製作の映画)

3.7

メヒコの寂れた海岸が舞台で、満ち潮に呑まれながら果敢に演技する役者陣の頑張りがすごい。
御大バーバラ・スタンウィックとセクシーなラルフ・ミーカーはひと回りほど歳が離れているが、突発的なカップル状況を演
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Sorum (英題)(2001年製作の映画)

3.2

ホラータッチなのだが、ジャンル映画の作法に全く囚われぬ自由な演出が魅力的。
韓国が激動の70~90年代を経て発展へと向かう道程で、取り残されつつある人々の情念を掬う設定は、実社会を震撼させた連続殺人犯
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これは映画ではない(2011年製作の映画)

4.0

圧政下でもなんとか撮ってやろう、というチャレンジ精神とユーモアが楽しい。
美しいインテリアの豪華マンションで、家族とトカゲと共に営む監督のイラニアン・アーバンライフの片鱗を覗き見れる。

ペルシャ絨毯
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荒野の処刑(1975年製作の映画)

3.0

正統派スパゲッティ・ウエスタンを全く観ていないので比較しづらいが、監督らしい刺激演出も散見される、勧善懲悪不在の放浪記。
一応復讐劇も盛り込まれているが、そのキーパーソンとなるトーマス・ミリアン含め、
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

3.0

舞台はアイルランド内戦時の1920年代。
傍から見れば美しい離島での暮らしだが、内部には停滞した人間関係が募らせる倦怠や悪意が渦巻くといった設定で、ミクロな内戦の様相を呈す。
「身体の一部を切り落とす
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告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

3.0

『死体が消えた夜』に続く、スペイン映画の韓国リメイク。
ここまで入り組んだ脚本だと、ツッコミどころはなきにしもあらずだが、『羅生門』の様相を呈す中盤はそれなりにスリリング。
空撮も顔を出す雪山ロケが美
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⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

3.0

『ゲイの偽装結婚』は社会の抑圧が生む『不自然』なのだが、その関係性において最も割を食うのは、女性である。
このテーマを女性監督が撮ると当然ながら女性目線が勝り、メインキャラクターに据えられるのは、女性
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沈黙、愛(2017年製作の映画)

3.5

髭がないとだいぶおじいちゃんなミンシク先生。
しかしほぼ彼のための大手CJ映画といった趣で、韓国には私のようなファンがいっぱいいるんだろうな、と思ってしまう。
後半はザ・韓国サスペンス節で、個人的には
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MASTER マスター(2016年製作の映画)

3.5

カン・ドンウォンにキム・ウビンと、個人的に苦手なイケメン(?)俳優がふたりも出ているが、ビョンホンが灰汁の強い悪役でビシッと締める。
実在事件を元に、エンタメらしいハッピーエンドでまとめているものの、
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神と共に 第二章:因と縁(2018年製作の映画)

3.0

ヒットシリーズの2作目、ザ・大作だが、ハ・ジョンウ、イ・ジョンジェ、そしてマ・ドンソクが揃うと、やはりワクワク。
よく見ないと誰だかさっぱりわからないイ・ギョンヨンはドレッド頭で登場。
イム・ウォニは
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プンサンケ/豊山犬(2011年製作の映画)

3.5

朝鮮半島の分断を背景にした、特殊なラブストーリーかと思いきや、終盤にさらなるひと山を持ってくる脚本が盛りだくさんで、見応えあり。
撮り方にクセはないものの、南北の当事者でなければわからないデティールや
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葬儀屋の秘密(2020年製作の映画)

2.5

南米産ホラーだが、アルゼンチンなのでどことなく欧州ぽい暗さも…、デル・トロフィルムという会社の制作なので、メキシコのギレルモ氏絡みかと思いきや、関係はなさそう。
役者陣がお世辞にも美しいとは言えず、し
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皮膚を売った男(2020年製作の映画)

3.0

『アラブの春』の火付けとなったチュニジア出身の女性監督による作品だが、主人公はシリアのラッカ出身で、同国の内戦を物語の設定へ巧妙に活用。
シリア~レバノン~ベルギーと舞台を移していく。
作品そのものよ
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夕なぎ(1968年製作の映画)

2.7

ロケーションは監督作の『唇からナイフ』に似ているが、コメディはコメディでもこちらはブラック…、それもテネシー・ウィリアムズの戯曲だから納得。
ウィリアムズ版『サンセット大通り』といった趣だ。
リズの露
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ラジオ・コバニ(2016年製作の映画)

2.7

シリア内戦の中でも世界的に注目された「クルド人 VS IS」のコバニ包囲戦にまつわるドキュメンタリー。
中心人物として捉えられているのは、焼け野原となった市街地に響くラジオ放送を立ち上げた20代前半の
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あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)

3.0

大戦末期のドイツを描く映画だが、ユダヤ人のヒロインを含む登場人物が、それぞれに「自分のことしか考えていない」ところはノワールティック。
またヒロインを保護する友人キャラクターには、レズビアンの雰囲気も
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傷だらけのふたり/恋に落ちた男(2014年製作の映画)

2.7

ドラマ『アクシデント・カップル』とはまた異なるタイプの「恋愛下手男」を演じるファン・ジョンミンが、魅力的。
冒頭のなにげない一場面で、彼を捉えたカメラが軽くパンする撮影がカッコ良くて、印象に残った。
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チャドルと生きる(2000年製作の映画)

3.7

数十分ごとにヒロインがバトンタッチしていく形式。
ロケオンリーでテヘラン生活の息吹を感じられる撮影がグッド。
また眼前で繰り広げられる出来事を定点観測するかのような、固定カメラ撮影の場面も印象に残る。
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冷たい雨に撃て、約束の銃弾を(2009年製作の映画)

3.7

「フランスのエルヴィス」ことイエイエの帝王、ジョニー・アリディを起用した、ジョニー・トー作品。
ラム・シュとアリディが並ぶ図が観れるとは、なんとも面白い(しかしアリディはなかなかの整形顔で、蝋人形のよ
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苦い涙(2022年製作の映画)

3.2

元が舞台劇かつ、ファスビンダーのリメイクということもあり、直球メロドラマの仕上がり。
と言っても、物語の中心はあくまでドラマクイーンの中年ゲイ。
出ずっぱりなのは彼だけで、相手役の俳優もアジャーニも、
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デモンズ4(1991年製作の映画)

3.5

どこか『ローズマリーの赤ちゃん』に似た脚本で、『シャイニング』をまんまパクった演出も登場。
また「石蓋が、禍々しい世界への入口」という演出は監督の前作『La Chiesa』を彷彿とさせるほか、ログハウ
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悪魔の起源 ジン(2013年製作の映画)

2.5

UAEがトビー・フーパーを指名してホラーを作らせたとは考えにくいので、フーパーが同国内の金持ちの中から資金提供者を見つけたのであろう。
国土の大半を占める砂漠の風景や、ドバイの近代的な街並みを楽しめる
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シリアにて(2017年製作の映画)

3.7

内戦が泥沼化していた頃のシリアを描いた作品で、マンションの一室が舞台。
戦線に参加中で夫不在の一室に妻と義父と子供3名、そして空爆で上階の一室を破壊され身を寄せる一組の夫婦と乳飲み子、さらにハウスメイ
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フォートレス・ダウン 要塞都市攻防戦(2019年製作の映画)

3.5

中東各国にまたがる山岳地帯に拠点を持ちながら、どの国でも迫害の憂き目に遭うクルド人。
中東で繰り広げられるさまざまな紛争へ、否応なく参加して重要な役割を担ってもいる、クルド人。
彼らのトルコでの受難が
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クロッシング・ウォー 決断の瞬間(2014年製作の映画)

3.5

女流監督の作品で、脚本づくりのため何度もアフガニスタン入りしたというのだから、すごい。
撮影は2013年ごろのはず、当時はタリバン政権が復活していなかったとは言え、本作で描かれる一触即発の雰囲気は濃厚
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リトル・テロリスト(2014年製作の映画)

3.0

カナダ育ちのインド人である監督が、インドで撮影した映画だが、舞台はアフガニスタン。
ジハド戦士を養成するイスラムテロ組織の日常を描く物語が、興味深い。
制作は2014年ということで、テロリストの世界で
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ザ・タワー 超高層ビル大火災(2012年製作の映画)

3.0

パニック大作とあらかじめ承知で観たところ、結構楽しめた。
韓国映画の勢いは大作にこそ発揮されていることが多いので、家族愛描写にうんざりするとわかっていても、やはりたまには観ておくべきと改めて。
舞台は
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カリスマ(1999年製作の映画)

3.0

そもそも一致しない地球と人間の利害、というか人間の傲岸調整が叫ばれる今日から遡って数十年前の映画であるにも関わらず、すでに山林を舞台とし、植物をマクガフィンとして機能させている。
「強靭な指導者の下に
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侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦い(1971年製作の映画)

3.0

武侠映画の名作として知られる、台湾・香港の合作。
180分の長編内にある4~5のアクション場面を山場に、物語が綴られる。
さほど重要でない場面に費やす時間が長く、展開はかなりスロー。
夜間アクションの
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親切なクムジャさん(2005年製作の映画)

4.7

公開時に映画館で観て以来、久々に鑑賞したのだが、なぜ当時本作の魅力を把握できていなかったのかと我ながら、呆れるばかり。
韓国映画全体の中で最も好きな作品のひとつと改めて…、また監督の三部作の中でも復讐
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