蟬丸さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

蟬丸

蟬丸

映画(228)
ドラマ(0)
アニメ(0)

ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

3.8

やっぱりビックリする系のホラーより(いやこの作品でもビジュアル的には何回かギョッとさせられたが)ずっとうっすらと違和感のある、終盤まで全体像の見えないホラーの方がこわい。わからないということは不安だ>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

冒頭、男が何を探し続けている。それが何かしばらく経つまでわからない。
彼が求めていたのは、自分が死ぬのを手伝ってくれる人だった。
自分自身の死神は、クルド人兵士、アフガニスタン人の神学生、トルコ
>>続きを読む

ミステリー・トレイン(1989年製作の映画)

4.2

「far from yokohama」「a ghost」「lost in space」の独立しつつもわずかに触れあう3編からなるオムニバス形式。それぞれロックが好きな日本人のカップル、たまたま出会った>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

水が上から下に流れるように、社会的な階層は不可逆的だ。大雨の晩に彼らが半地下に帰るとき、地面を流れる雨水とともにひたすら坂や階段を駆け下っていく描写が印象に残った。一方には水害をもたらし、一方には晴>>続きを読む

ブエノスアイレス(1997年製作の映画)

3.8

トニー・レオンがかなり三島由紀夫に似てるところも含め、冒頭から映像に引き込まれた。色味が良い。寛容なので映像が良ければ多少の雑さは許してしまう。
もっと最近の作品なのかと思ったが、思ったより古い。この
>>続きを読む

ルビー・スパークス(2012年製作の映画)

3.7

パステルカラーのジャケットに惹かれて借りた。

小説家の主人公が書いた女の子が現実に飛び出してきてしまうお話。設定はありきたりだし、話はめちゃくちゃおもしろいってわけでもないんだが、観入ってしまった
>>続きを読む

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

3.6

とある女を追いかけていくうちに段々謎が深まっていくお話。
何気ない日常にこういった符丁や陰謀が潜んでいると考えたらおもしろい。サムの境遇もあいまって。メタファーが多い。

最後の電話のシーンはなんかグ
>>続きを読む

胸騒ぎの恋人(2010年製作の映画)

4.2

卒論提出したらドランの作品をまとめて観ようと思っていたのだが、新年が明けて早々に観てしまった。今年一本目。ニールス・シュネデールの顔が良い。

会話劇の多いドランには珍しくそれほど言葉は多くないが、視
>>続きを読む

キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

4.0

「笑い」に全てを賭けた男の一夜限りのコメディショー。ゾッとするほどおもしろい。
神がパプキンに何らかの才能を与えたとすれば、それは皮肉にも笑いの才能ではなく何か1つのことに狂えるほどに執着できる、とい
>>続きを読む

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

4.6

金曜日の夜、ひとりの人間とひとりの人間が出会い、週末とともに恋が始まる。日曜日の夜、週末の終わりに残ったものはなんだろう。という話。
他者と共有した時間は長さ以上に密度によって脳に刻み込まれ、たとえ2
>>続きを読む

イット・フォローズ(2014年製作の映画)

3.5

得体の知れないものってなんでいつも後ろから追ってくるんだろう。前から来て欲しい。前から来たら気づかれちゃうからだろうか。それとも後ろからこっそり近づいて驚かしちゃいたいからだろうか。もし後者なら、お茶>>続きを読む

HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ(2017年製作の映画)

5.0

今年観た中でベストかも。好きな要素が詰まっている。
大学が始まるまでの夏期休暇を過ごすために半島・ケープコッドのとある町にやってきたダニエルが、麻薬売買と恋に手を染める話。
しばしば無謀なこと、危険な
>>続きを読む

スピード(1994年製作の映画)

4.7

キアヌ・リーブス主演作品の中で1、2を争うくらい好き。めちゃくちゃおもしろい。息をつく暇がなく、ジェットコースターのよう(スピード感を実際にスピードのあるもので例えるのは表現の敗北のような気がする)。

search/サーチ(2018年製作の映画)

4.0

全編がPC画面に終始する、という手法はおもしろい。こういうアイデアとか設定にインパクトのある作品は中身がおろそかになりがちだけど、サスペンスとして普通におもしろかった。デジタル一辺倒でも緊迫感は出せる>>続きを読む

アス(2019年製作の映画)

4.0

『ゲット・アウト』に負けず劣らず伏線やシンボル、メタファーが多かった。ホラー映画として観はじめたはずなのに終盤に行くにつれて点と手が線で繋がってメッセージ性を帯びてくるのにワクワクした。もちろんホラー>>続きを読む

あの夏、いちばん静かな海。(1991年製作の映画)

4.1

タイトルが最後に出てくる映画にはやっぱり名作が多い。でも、北野武の映画なのに拳銃は最後まで出てこない。

聾唖の青年・茂がサーフィンを始め、同じ障害を持つ恋人がそれを見つめる話。2人の間には音声言語は
>>続きを読む

パディントン 2(2017年製作の映画)

4.5

前作に引き続き、クマ(およびその周囲の人たち)は優しかった。
プレゼントのためにお金を貯め始めたあたりで嫌な予感はしていたし、実際散々な目に合うけれども、最後には救われると分かる。分かっていてもその過
>>続きを読む

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

3.7

PTA作品は観てて妙な気持ちになるが、これもそうだった。
たまたまclipしてるやつ消化しようと思って借りたけどそもそもなんでこれclipしてたか分からない(たぶんジャケットに惹かれたんだと思う)。
>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

好き嫌いは別としてすごい作品だと思う。相変わらず、世界の中で"僕と君"を浮き彫りにするのがうまい。
前作『君の名は。』は全てが綺麗だった。映像表現はもちろん、然るべきところに然るべきものが配置され、世
>>続きを読む

アマンダと僕(2018年製作の映画)

4.3

破壊と再生の物語。前フリがうまい。
すごく悲しいことがあったとき、そこから立ち直るにはひとりになったり人と過ごしたりして小さなことを積み上げていくしかないんだろうな。そういう意味で派手ではなく、淡々
>>続きを読む

プロジェクト X(2012年製作の映画)

3.6

馬鹿すぎる。ラスト30分のための映画。こういうの嫌いじゃないです。

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.9

正解が分かるのはいつも全部終わってからなんですよ、特に10代の時のことは。

スリープオーバー(お泊まり会)をするティーンエイジャーの群像劇。
なんか全体的に登場人物のノリが軽いしそもそもこういうベタ
>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.1

2017年から観たかったのになかなか公開されず、やっと。
始まる前のUNIVERSALのロゴからもうタイムリープしてて笑った。
タイムリープにホラー、コメディ、青春などジャンルが渋滞していてかなりポッ
>>続きを読む

フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

4.0

どう評価したらいいのか迷うが、子供たちの無邪気さで4点くらい加点した。
フロリダのディズニーワールドのそばのモーテルで母娘が暮らす話。終始こどもの視点が中心になっているのが良い。けど悲しくもある。
>>続きを読む

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

5.0

積ん読していた原作を読んだので再鑑賞。どうしても原作ベースの感想になってしまう。好きなので。

89年三島賞の候補にもなった原作『そこのみにて光輝く』は作者・佐藤泰志の唯一の長編小説。長編といっても、
>>続きを読む

セブン(1995年製作の映画)

4.5

全く愉快な映画ではないけど定期的に観たくなる。よくできた作品。どの映画観てもそうだけどこれは特にモーガン・フリーマンが渋く、ブラピはカッコいい。

世界に理不尽や矛盾が溢れかえってむしろそれが普通であ
>>続きを読む

最初で最後のキス(2016年製作の映画)

3.8

最後驚いて変な声出た。

思春期の感情、大変良い。
10代が脆くて壊れやすいというよりはそれ以降はなんとなく壊されることに慣れて痛みに鈍感になっているだけのような気がする。
なんというか、"一生青春"
>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

5.0

もう何回観たか覚えてないが、何回観ても良い。この143分に人生が詰まっている。希望、捨てきれないですね。

8mm(1999年製作の映画)

3.5

死んだ大富豪の金庫から出てきた謎のスナッフ・フィルムの正体を追う物語。たしか中2くらいのときに知り合いの大人に勧められて一回観たような記憶がある。

ニコラス・ケイジ主演の映画は総じて微妙だけどこれは
>>続きを読む

沈没家族 劇場版(2018年製作の映画)

4.7

愛しているから家族なのか、家族だから愛しているのか。どちらもあると思う。

東京・東中野でシングルマザーである加納穂子が始めた共同保育「沈没家族」の中で育った加納土監督が一緒に生活した人たちや両親を通
>>続きを読む

愛がなんだ(2018年製作の映画)

4.4

他人を愛することと自分を愛することの境界はときどき曖昧になる。いま自分がしていることは相手のためなのか、それとも自分のためなのか。明らかに相手の喜んだり楽しんだりするようなことでも突き詰めると自分の満>>続きを読む

マローボーン家の掟(2017年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

「僕たちはひとつだ」

セルヒオ・G・サンチェスの長編映画監督デビュー作。今作はかつて彼が脚本を手がけた『永遠のこどもたち』と同じ系統の切ない系ホラー(サスペンス/ファンタジー)だが、より洗練された印
>>続きを読む

トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

3.9

「きみの代わりを見つけること」

死んだ恋人の葬儀のために恋人の母親とお兄さんが住むお家にやって来たトムが徐々に変わっていくお話。説明が少ないので評価が分かれるのだと思うが、僕は好きです。
フランシス
>>続きを読む

ナイト・オン・ザ・プラネット(1991年製作の映画)

4.4

『タクシードライバー 』を観てもう一本タクシーの映画を観たくなったので鑑賞。
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの世界同時刻でのタクシードライバーと客との会話劇。他愛ない会話や、一見
>>続きを読む

彼らが本気で編むときは、(2017年製作の映画)

4.2

登場人物がみんな優しくて泣いてしまうな(泣かなかったが)。あたたかい。

なによりもまず愛が先立ち、そのかたちは後からゆっくり作っていけばいい、というのには納得。だからこれはただのLGBTQ映画では
>>続きを読む

タクシードライバー(1976年製作の映画)

4.0

汚い街のネオンは綺麗に見える。

ベトナム帰還兵トラヴィスがタクシードライバーをやる話。彼は不眠症で、学はなく、孤独で、いつも所在無さげだ。そんな鬱屈としたエネルギーが、"なにか"を成し遂げなけ
>>続きを読む