とらねこさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

浮草(1959年製作の映画)

5.0

凄い映画だった。主人公が一つの事実を隠している。それを明かす前と後で、これだけの物語が起こり、世界が変わって見える。映画のお手本みたいな映画だった。ラブシーンでの列車の音の艶かしさに驚き、ラストショッ>>続きを読む

マイヤーリング(1957年製作の映画)

3.6

WOWOWの放送ですらこの傷の様子、おそらくなかなかお目にかかれない代物だろう。と勝手にほくそ笑む。モノクロでより輝くヘプバーンの美しさ。曽根崎心中を始めとした心中物語が嫌いな私としては、意外にも寄り>>続きを読む

早春(1956年製作の映画)

4.0

タイトルから想像する爽やかさからはむしろ遠い。若さ故の過ちは確かに描かれてはいる。が、むしろ戦後サラリーマンの憂鬱と悲哀が色濃く印象付けられた。苦さに滲むユーモアが小津の飽きないところ。佐分利信の「ヒ>>続きを読む

バーフバリ 伝説誕生(2015年製作の映画)

4.0

感想としては、バーフバリの感想が皆一様に「バーフバリ!バーフバリ!バーフバリ!」しか言わない気持ちが良くわかりました。ということです。

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.0

スピルバーグは子供の頃好きだったけど、未だに第一線の人だった。この事実に驚愕。家のPCのオキュラスリフトで絶叫マシーン体験をして吐きそうになった私だけど、自分の話だと思って見てしまったぜい。このゲーム>>続きを読む

007/カジノ・ロワイヤル(2006年製作の映画)

4.5

有楽町フォーラムのオーケストラ付き演奏にて。
いやいやいや、豊穣な映画体験。9,800円は映画ファンには出せない値段かもしれない。

スカイ・フォールが好きでこれはその次に大好きな作品だったけど、当時
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偽りなき者(2012年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

幼女の妄想で濡れ衣を着せられ、崖っぷちにぶら下がっていた可哀想な人生があっという間にゴミ箱行きになる話。辛すぎます。可哀想すぎます。田舎の村八分ヤバイ。胸糞映画だけど名作の域!

お勧めマッツ・ミケル
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麗しき日々(2013年製作の映画)

4.0

ファニー・アルダンが老けて見える?うるせえ。邦画の出来の悪い青春映画を見るより、フランスの壮年ラブコメを見る方が何十倍も素晴らしいって知ってる?若さ信仰はいい加減にしてよもう。

東京暮色(1957年製作の映画)

4.0

『お茶漬けの味』で救われるような思いの後にこちらを見て暗くなる。この時代の人にはショックが大きかったと思う。今は流石に、偏狭な社会に自由意志が生き辛い時代ではないと思う。で、あって欲しいし…‬

お茶漬の味(1952年製作の映画)

4.3

若い頃に仮にも『ベティブルー』が好きだった私が、まさか『お茶漬けの味』で感動して涙するとはね。
時間は人を変えるなあ…

映画 聲の形(2016年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

所々不穏な表現がプツっと現れては、縷々として流れてゆくというリズムに、最後まで心が掻き乱されつつ見ることとなった。とことん表現として尖っていて、日本のアニメならではの冒険心が素晴らしい。
 誰もが出会
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人情紙風船(1937年製作の映画)

4.3

これは、まさしく見たものが途方に暮れる作品で、ああ、やはり映画が好きで良かった。きっと誰がこの作品についてどう語ろうと、納得出来る言説に出会えないだろう。それが素晴らしいことに思える。

アレクサンダー大王(1980年製作の映画)

3.0

高校生の頃から無理やり追いかけ、『永遠と一日』でファイバリット監督となったものの、後に玉砕したこの作品を再見…さ、再見……。うーんだめだ。サッパリ分からなかった。家じゃ集中力が続かないわ。諦めた。でも>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

5.0

「初見時はあまり響かなかったけど、二度目に見たら刺さった」とツイッターでフォロワんが言っていたので、期待してみたが私も全く同じ。まあ言いたいことは分かるけど、それほどでもないかなと言う感想だった。何よ>>続きを読む

グランド・イリュージョン(2013年製作の映画)

3.3

ジェシー・アイゼンバーグにマーク・ラファロ、メラニー・ロラン。
期待度グングン高まるキャラクター紹介にド派手なショーの開幕、上がる上がる。
とは言えオチはイマイチ、後半しぼみ気味だけど、まあたまには気
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ちはやふる 上の句(2016年製作の映画)

2.5

声の大きいTwitter民に騙されるのは長年やってて大体パターンが分かってきたので、見に行かないと当時決意したが大正解。想像以上のつまらなさ。机くんが泣き出す辺りとか「ハァー?」と怒りを覚えた。

モアナと伝説の海(2016年製作の映画)

3.8

ジョン・ラセターをプロデュースに迎えたこの作品は、ディズニーがまだ描いていない世界を果敢に描こうとする姿勢を、相変わらず強く感じさせる。ポリネシア神話にまで手を付けるなんてね。音楽も高品質で、何よりモ>>続きを読む

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)

4.4

フランク・キャプラの傑作と全く同じタイトルを与えられてしまった不幸も、予想だにしない展開のおかげでその新鮮さに驚く結果となった。まるでオフオフ・ブロードウェイの舞台をストリートに移したかのような、「観>>続きを読む

山椒大夫(1954年製作の映画)

4.5

見るべきリストに長年入っていたものの、溝口への苦手意識から今頃の初鑑賞となったが、まさしくこの御時世、今の自分の気持ちにピタリとハマった。忘れられない作品になった。

マーニー(1964年製作の映画)

3.3

『ザ・ガール〜』を見てからこの作品を見ると、映画内には描かれていないはずの舞台裏を勝手に想像してしまう。あの印象的だった旅立ちのシーンは、何と冒頭であったか。心理描写主体のサスペンスとしては、あまり好>>続きを読む

キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け(2012年製作の映画)

3.5

順風満帆な金融系エリート成功者が、少しづつドツボにハマっていく。同情が湧くほどではないけれど共感も出来ないという微妙な立ち位置は、リチャード・ギアに上手くハマっていた。ラストでスーザン・サランドンのキ>>続きを読む

運命を分けたザイル(2003年製作の映画)

3.6

「借りるリスト」が900本ぐらいあって、何故これが見たかったのかすでに分からないながら、なかなか面白く見れた。
まさか、山岳ものドキュメンタリーとは、一体何を考えていたのだろう。

全人未踏のペルーの
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メッセージ・イン・ア・ボトル(1999年製作の映画)

4.0

泣けるラブストーリー枠に入れられたこうしたタイトルの作品は何故か後回しにしてしまうために、今頃の鑑賞となった。
ラストは好きじゃないがなかなかの名作だった。

しかし、驚いた。ケヴィン・コスナーはこの
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小早川家の秋(1961年製作の映画)

4.0

『湯を沸かすほどの熱い愛』の前にこの作品を見ておくべきだった。
そんなラストショット。
「もうこれで終いか?いよいよか」「好き放題やりたいことやって、幸せな男だったねえ。」
年頃の女とまだイケる未亡人
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ザ・ブルー(2001年製作の映画)

2.5

ブルーと名の付いたタイトルを追っていて、適当に出会った『ラストサマー』風のティーンネイジャー・サスペンス。
ただし、作り手がホラーをあまり好きではない様子。
スラッシャーシーンがどれもアイディアと迫力
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ブルー・イグアナの夜(2000年製作の映画)

4.0

カサヴェテススタイルに、アドリブ主体で撮っているとは見た後で知った。
ストリップ・クラブで働く女性達とその周辺を描いた群像劇。
90年代後半のアメリカ映画のムードたっぷり。
詩を書かせると才能を発揮す
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ザ・ガール ヒッチコックに囚われた女(2012年製作の映画)

3.8

トビー・ジョーンズ演じるヒッチコックは、これが見事なまでに変態、醜悪なセクハラ・ブ男。
対するシエナ・ミラーの繊細な美しさ!
演技を引き出すためか、つい本性が現れたか、最もハードな現場になったり口説い
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ベラミ 愛を弄ぶ男(2012年製作の映画)

3.0

貧しい田舎出身の元軍人が、上流階級社会で愛人を利用してのし上がっていく、エロ一代記。こうした話こそ時代劇の衣装が似合う。しかしロバート・パティンソンが「思わず女が寄ってくる絶世の美男子」には見えずとて>>続きを読む

ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年製作の映画)

3.3

ルパート・サンダース。

押井の攻殻の世界観を上手に写し取ったハリウッド映画でそれなりに楽しめたが、「要はブレードランナーのフォロワーだよね」ということにしかならないのが、攻殻機動隊の一ファンとしてと
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北陸代理戦争(1977年製作の映画)

4.0

深作欣二のこちらは、個人的には沖縄〜より軍配が上がる。カメラの揺れ方も深作作品では、全然嫌味に感じないのだ私は。ブルドーザーを使ったシーンも阿呆で良いし、地中に埋まった生首を「手が滑って」引いちゃうシ>>続きを読む

ラスト サムライ(2003年製作の映画)

3.5

エドワード・ズウィック。当時映画館で見て以来の再見なので新鮮w。日本がまだ裕福だった時代の映画。侵略されたインディアンの側から見た、裏西部劇という分野があるなら、こちらもその類。日本映画なのにもろ西部>>続きを読む

沖縄やくざ戦争(1976年製作の映画)

4.0

中島貞夫監督。前回見た時はヴェーラだったが、フィルム飛びのため何と千葉真一の死ぬシーンがスポッと抜けているという。おかげで必ずや再見しなければいけないリストにあったもの。見れて良かった…。ここでの千葉>>続きを読む

ブラック・セプテンバー/五輪テロの真実(1999年製作の映画)

3.4

ケヴィン・マクドナルド監督のドキュメンタリー。全世界を震撼させたオリンピック最中のテロ。選手は監禁される一方、オリンピックはそのまま開催され、他の選手達は練習に励む。ドイツ警察の無能ぶりにも驚いた。

アンデッド(2003年製作の映画)

3.6

スピリエッグ兄弟未見潰し。

正統派ゾンビ映画 +トンデモSFという、その2つをダイナミックに混ぜて混ざるんですか?映画。
ゾンビ物としてなかなか優秀が故に、この不敵なチャレンジが頼もしい。と言ったら
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メトロマニラ 世界で最も危険な街(2013年製作の映画)

4.5

ショーン・エリス監督・脚本とは知らずに見た。
社会問題を描いた真面目な文芸映画のように始まり、まさかの展開へ。
ドゥテルテ政権の下で現在のフィリピンがどのような状態になっているか想像するだに身につまさ
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