田旗浩一さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

田旗浩一

田旗浩一

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白い指の戯れ(1972年製作の映画)

4.0

すばらしい題名。久々の再見。主人公たちが囁く猥歌。改めて姫田撮影、神代脚本で神代辰巳的世界が濃厚な映画だと思った。全般ダルな展開だけど荒木一郎登場でそれが輝き出す魔法。スリのレクチャーはマジックのごと>>続きを読む

裸の銃弾(1969年製作の映画)

5.0

再見。私的若松孝二の最高傑作。吉沢健ら殺し屋トリオのキザでとぼけた台詞の応酬はそのままルパン三世。

壁の中の秘事(1965年製作の映画)

2.3

閉塞的団地の中の人妻と原爆症の男の情事。それを望遠鏡で覗く高校生。百倍下手な新藤兼人の映画みたい。日本初の団地映画。

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)

3.0

十数年ぶり。タンバリンもいいけど遊廓元締めの遠藤辰雄とひし美ゆり子が最高の映画。

地獄(1999年製作の映画)

1.0

益体もない映画見ちゃったなあ。101分観ている方もなかなかの地獄体験。

実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)(2007年製作の映画)

3.8

驚いた!これは72年の連合赤軍を描いた21世紀の「テロルの季節」。若松孝二はちっともブレてない。そして赤軍の裏面史暗黒史。闘争・逃走の果てに山荘に立て籠り、総括や自己批判から解き放たれてゆくARATA>>続きを読む

マッドボンバー(1972年製作の映画)

3.0

封切以来。
はみ出し刑事vs爆弾魔チャック・コナーズ!能天気なほど歪んだ白昼の爆弾と猟奇。もうひとつのダーティハリー。

非行少年 陽の出の叫び(1967年製作の映画)

4.0

主演の平田重四郎がジェンカを踊る場面、鈴木達夫の撮影、軽やかな黛敏郞の音楽。どれもすばらしい。

処女ゲバゲバ(1969年製作の映画)

4.0

乾いた風が吹くハードボイルドな荒野。磔にされる女と組織から逃亡する男。「ボスは俺だ!」男の復讐が始まる。『殺しの烙印』『荒野のダッチワイフ』『毛の生えた拳銃』と共鳴する紛れもない大和屋竺映画。最高!若>>続きを読む

わが恋の旅路(1961年製作の映画)

3.0

再見。横浜の高台にある洋館の庭。壊れた子どもの自転車と古い芝刈り機がある。こちらが恥ずかしくなるほどロマンチックでメルヘンな新聞記者川津祐介と記憶喪失になる岩下志麻との恋愛。呑んだくれで競輪好き三井弘>>続きを読む

流浪の月(2022年製作の映画)

3.0

石原さとみと小松菜奈と広瀬すずの映画はなるべく封切で劇場で観るようにしているが、もう菜奈は追いつけない。誰でも墓場にまで持って行く秘密がある。その封印があるとき解かれる。それは秘密ではなく切ない想いだ>>続きを読む

(1966年製作の映画)

4.0

66年の青島幸男は万事快調!のマルチクリエイターぶり。冒頭の一瞬は勅使河原『インディレース爆走』のよう。誰しもが思うのは大橋歩イラストの平凡パンチ。三保敬太郎の音楽もバッチリのソフトロック・ドライヴィ>>続きを読む

キューポラのある街(1962年製作の映画)

4.0

鋳物工場の街・川口。呑んだくれの職人気質で工場を馘になる父親の娘・吉永小百合には過酷な現実が重くのしかかる。けれどもそれを一つ一つ跳ね除ける小百合の輝く宝石ぶりに泣き通し。姫田真佐久の神業撮影、登場人>>続きを読む

姿なき目撃者(1955年製作の映画)

3.8

再見。夫・進藤英太郎のいない隙の久慈あさみと徳大寺伸の二階での不倫場面があまりに淫らで驚くが、それを女中・越路吹雪から頼まれベランダの給水タンクの中から盗撮するカメラ小僧久保賢(山内賢)の無垢な正義が>>続きを読む

俺にさわると危ないぜ(1966年製作の映画)

4.0

再見。隠匿された金塊争奪戦に巻き込まれる報道カメラマン小林旭。清順ばりの遊び心満載の絵作りが痛快。中でも凄いのは、白の下着姿で吊られ縛られて、郷鍈治にスプレーペンキを吹き付けられ、なぶられる日活清純派>>続きを読む

恐るべき遺産 裸の影(1964年製作の映画)

3.0

バレー部の女子高生・典子は出生の秘密を知り自分が原爆症ではないかと悩む。物語はまあいい。若松の64年一般映画だがポスターのコピーには「女子学生36人が全裸になった問題の映画!」と煽る。確かに女子高生た>>続きを読む

犯された白衣(1967年製作の映画)

3.2

48年前、文芸地下で観て以来。唐十郎のつぶらな瞳。ヒロインは夏純子。

天使の恍惚(1972年製作の映画)

3.0

若松孝二は演出よりプロデューサーとして鼻の効く人というのが私の自論。
横山リエの歌と山下洋輔トリオ。秋山道男のギター。そして若松映画に欠かせない吉沢健。

宵闇せまれば(1969年製作の映画)

2.8

三留由美子のアパート。退屈に飽かした大学生たちのガス自殺ゲームが始まる。隣の部屋から「花と蝶」が聴こえる。永六輔の例を出してヒットする歌謡曲は最初の一行できまると宣う彼らの選曲は「君恋し」。室内楽によ>>続きを読む

EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

完全ノックアウト。シネスコでなければならない。217分でなければならない。その上、演出は何かに憑かれている。今更ながら一秒のムダもない青山真治の最高傑作。後半の中古バスの旅では泣きっぱなし。壁を叩く交>>続きを読む

金瓶梅(1968年製作の映画)

3.8

74年に初めて若松孝二を観て以来ずっとこの映画を観たいと思っていた。何しろ主演が伊丹十三と真山知子に竜崎勝。60年代の政治とエロスのテロル若松孝二の疾走が晦渋を極めた大和屋竺脚本を得て辿り着いた先。竜>>続きを読む

聖少女拷問(1980年製作の映画)

3.0

東北から娼家に身売りされたの一人の少女とサディストの軍人の物語。窓の外の雪、正月飾りの廊下と情感たっぷりに少女のみじめで幸福な季節の移ろいを描く。ああこれは若松版『愛のコリーダ』だと思ったら撮影は同じ>>続きを読む

ヒッチ・ハイカー(1953年製作の映画)

4.2

殺人鬼のヒッチハイカーと、その巻き添えを喰らう男二人の逃れるに逃れられない最果てのロードムービーにルピノの演出家としての腕が試される。傑作なんて撮ろうとも思っていない、当たり前のBクラス映画ならではの>>続きを読む

ルバーブ(1951年製作の映画)

3.8

富豪の遺産を相続した野良猫ルバーブとブルックリン野球団のお話。『ヒッチハイカー』までの時間繋ぎで観ていたら面白くて感心した。よくぞ、ここまで演技した。今年のかんぺ大賞の主演ネコちゃん賞はルバーブ君で決>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

1.3

13日の金曜日の初日に『シン・ウルトラマン』を満席のTOHOシネマズで観ました。霞ヶ関のウルトラマン。警察犬ウルトラマン。今年観たなかでいちばん疲れた映画。浅草酒膳一文でメフィラス星人がウルトラマンと>>続きを読む

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

3.8

最初こそノーラン的世界を匂わせながら、すぐにとことん曼荼羅ユニバース。中盤でサムライ味200%増、後半で300%増。がんがん「死霊のはらわた」をぶち込んでくる。「ドロロンえん魔くん」にレイ・ハリーハウ>>続きを読む

混血児リカ ハマぐれ子守唄(1973年製作の映画)

3.0

吉村公三郎のフィルモグラフィに自ら泥を塗るロジャー・コーマンかラス・メイヤーかのトラッシュバイオレンス!

非情都市(1960年製作の映画)

4.0

新聞記者三橋達也も新聞社も非情だがもっとも非情なのは鈴木英夫の演出。ほぼ『危険な英雄』の焼き直し。

南国の肌(1952年製作の映画)

4.0

山崩れの危険を知らせる地質調査員、伊豆肇・春日俊二 対 悪徳土地ブローカー小杉義男一派。
藤田泰子とのいささかグズい恋愛を挟んで、最後はやはり大雨、山崩れ、村民緊急退避!の模様に快哉を叫ぶ。本多猪四郎
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幽霊暁に死す(1948年製作の映画)

3.6

『生きてゐた幽靈』(『幽霊暁に死す』改題短縮版)
またもや自分の記憶力に自信をなくす出来事。冒頭の長谷川一夫が教師を辞めて轟夕起子とハネムーン代わりに幽霊の出るらしい山荘に行く場面からむかし観たことが
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我等は楽しく地獄へ行く(1932年製作の映画)

4.2

紐育・摩天楼のテラス、劇作家を目指すフレデリック・マーチと富豪の娘シルヴィア・シドニーが突然恋におちる冒頭から最高。鮮やかな語り口と粋な台詞の連続に酔う。傑作!

明日は日本晴れ(1948年製作の映画)

4.8

松竹の倉庫から、えくらん社製作・東宝配給のこんな映画が見つかるとは!
これは大発見!これは大事件!
画質、音質とも最良。素晴らしかった!
「有りがたうさん」もこのくらいの画質・音質で観られたらなあ。

メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

3.0

同一場面の中で人物の衣裳が変わってしまったり、繋がってないカットがあったりで、長引き混乱した撮影現場が窺われる。それ以外は、リヴェット固有の長尺ならではの催眠魔術溢れる追っかけっこミステリー。Mシュナ>>続きを読む

人生の高度計(1933年製作の映画)

3.9

この前観た踊り子の人生『恋は踊る』もすばらしい映画だったがきょう観た『人生の高度計』も孤高の女性飛行士キャサリン・ヘプバーンがあまりにすばらしくて感服してしまった。これまでまったく知らなかったドロシー>>続きを読む