田旗浩一さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

田旗浩一

田旗浩一

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青幻記 遠い日の母は美しく(1973年製作の映画)

3.0

映画に引き込まれるのは冒頭から十数分。後はひたすら饒舌に近い情感たっぷりの美しい映像と音楽に付き合わされることになる。賀来敦子、戸浦六宏、小松方正は大島渚『儀式』からの流れ。

アネット(2021年製作の映画)

5.0

金曜日に偶然出くわしたカラックスからサインをもらい、翌日土曜日には打ち合わせ中のカラックスの写真が撮れたラッキーな週末。日曜は本編を。

監督本人のGOによりスパークス、出演者登場の長廻しにもう上がる
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見上げてごらん夜の星を(1963年製作の映画)

4.0

隣接する東京スタジアムから定時制の坂本九たちが野球をするグラウンドに光がこぼれる冒頭から感動的。用務員かと思った伴淳が定時制仲間というのもすばらしい。先生に菅原文太。その恋人の清水まゆみが彼らのために>>続きを読む

慕情の人(1961年製作の映画)

4.2

大好きな類いの映画。亡夫の跡を継ぎ日比谷のスポーツ用品店の社長を務める原節子と彼女を支える、やはり妻を亡くした三橋達也の恋愛。それを横から嘘と意地悪で二人の間を搔き乱す妹の白川由美。原、白川の美貌の裏>>続きを読む

土砂降り(1957年製作の映画)

4.0

母が妾で連れ込み旅館を営むが故に同僚佐田啓二との結婚を反故にされる岡田茉莉子。佐田は汚職事件で逃亡犯に、堕ちた茉莉子のもとに逃れる。それでも彼を愛し続ける茉莉子の暗い宝石のような輝き。もうもうと列車の>>続きを読む

乾いた湖(1960年製作の映画)

4.2

主演・三上真一郎がすばらしい。安保闘争真っ只中、大学の自治体に属しながら、そこからドロップアウトしていく屈折した三上の苦い顔と行動。和田誠の写真コラージュのタイトル、出演もする寺山修司の脚本、燃えるよ>>続きを読む

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

4.0

女運転手の白いリムジンでアポと呼ばれる仕事を顔姿を変えて黙々とこなすドニ・ラヴァンは必殺仕事人、あるいは七つの顔を持つ男多羅尾伴内なのかも。最後に女運転手があのエディット・スコブだと知り『顔のない眼』>>続きを読む

街が眠る時(1959年製作の映画)

3.6

ザムザ阿佐ヶ谷お馴染み「日活レアもの祭」で野口博志『街が眠る時』。冒頭である事件を嗅ぎつけた新聞記者赤木圭一郎は殺されてしまう。その事件を追う同僚の長門裕之とトニーの恋人中原早苗。むう中平早苗単独主演>>続きを読む

はだしの花嫁(1962年製作の映画)

4.0

鰐淵晴子、倍賞千恵子、寺島達夫、山本豊三、早川保のややこしい恋愛感情を鮮やかに解く。しかも東京・松山と恋愛の舞台は距離を隔てる。佐野周二&月丘夢路と娘・鰐淵晴子の偶然出会う松山へ向かう船の光景以外は松>>続きを読む

明日の夢があふれてる(1964年製作の映画)

4.0

これも一つの花嫁シリーズ。浅草の天ぷら屋を舞台に月丘夢路を巡る佐野周二と喜頓の諍いは従来通り。俳優陣に新風が吹いている。鰐淵晴子に勝呂誉、三上真一郎に真理明美、三田明に柏木由紀子、松山英太郎に中村晃子>>続きを読む

汚れた血(1986年製作の映画)

5.0

封切以来36年ぶり。
ふてぶてしく自信に溢れ、時にロマンチックな顔も覗かせる演出。透けるような肌のJビノシュ、Dラヴァンの深刻な道化。愛の疾走と飛翔と墜落。何よりミシェル・ピコリらオッサンとアメリカの
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.0

封切以来。あの時の自分は副題「一期一会」に腹を立てスレていた。今回は素直に感動して泣いた。と同時に気がついた。これ『ベンジャミン・バトン』と同じ話じゃない?そう脚本は両方ともエリック・ロス。『ベンジャ>>続きを読む

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

3.0

一人の青年の死亡記事。翌日にそれが他殺だと知らせる。それは地球環境破壊を学ぶ学生たちの一人。水俣まで含む様々なニュースリール。ブレッソンも物語に迷うのだ。ついていけない。林檎を盗む手、金を渡す手。それ>>続きを読む

(1957年製作の映画)

4.0

過去に関係のあった無免許の堕胎医・山内明を列車から突き落とした岡田茉莉子の怯える顔とファッションモデルとして野心に溢れる顔。岡田茉莉子の美貌をこれでもかと画面に焼き付ける魔力を持った映画。それを目撃し>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.6

画面いっぱいの巨大な真紅のタイトル。政治汚職と麻薬が蔓延するゴッサムシティ。これだけ押さえておけば、後は何をやってもいい物語解体の場となるバットマン映画。バットマンもキャットウーマンもペンギンもその名>>続きを読む

若草物語(1964年製作の映画)

3.5

四姉妹。上から芦川いづみ、浅丘ルリ子、吉永小百合、和泉雅子。結婚し東京に暮らす芦川を頼って大阪から三人が家出してくる。狭いアパートの四姉妹騒動。おかげで芦川は夫とセックスができない。でも爽やか。『阿修>>続きを読む

ラスティ・メン/死のロデオ(1952年製作の映画)

4.2

ロデオの賞金の儲けはフィフティ・フィフティ。元チャンピオン・RミッチャムとAケネディ、Sヘイワード夫婦のロデオ大会巡業旅。脚本はホレス・マッコイ「彼らは廃馬を撃つ」(ひとりぼっちの青春)はマラソンダン>>続きを読む

さまざまの夜(1964年製作の映画)

3.5

頑なに恋人・勝呂誉にからだを許すことを拒むヒロイン北林早苗。純潔への拘り。なのに画面には陰鬱なムードで爛れた男女関係さえ浮かび上がる。勝呂に昔の関係を求める富永美沙子。三ツ矢歌子を愛人にする父山形勲。>>続きを読む

クレージーの花嫁と七人の仲間(1962年製作の映画)

4.0

三度目。昨年の松竹レアもの祭りで、番匠のすばらしさを実感した映画。これだけ派手にやりながら、いたって松竹映画なのが最高。

浮気のすすめ 女の裏窓(1960年製作の映画)

4.0

シネマヴェーラ渋谷、神保町シアター、そしてラピュタ阿佐ヶ谷と、今度で3回目。
この映画のすごいところは、襲われそうになった岩下志麻を助けたため警備員を馘になった中年男・伴淳を主役に、新興宗教という名の
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阿修羅のごとく(2003年製作の映画)

4.0

四姉妹。上から大竹しのぶ、黒木瞳、深津絵里、深田恭子。父仲代達矢に愛人と子どもがいることが姉妹の大問題になる。向田邦子の穏やかさと笑みの裏に潜む家族それぞれの棘と妬みのホームドラマにいつの間にか引き込>>続きを読む

三人娘乾杯!(1962年製作の映画)

4.2

再見。またしても鰐淵晴子、岩下志麻、倍賞千恵子に対して、ややこしく入り乱れる男関係。それをさらりとまとめ上げる松竹恋愛喜劇のエース番匠の天才的演出にほろり。高橋とよの妊娠に抱腹絶倒。実写とアニメーショ>>続きを読む

のれんと花嫁(1961年製作の映画)

4.0

わちゃわちゃが全員集合の長崎で見事に解決。桂小金治と千之赫子(東千代之介夫人)の番匠常連もいい。

(1961年製作の映画)

4.0

再見。井上靖原作を五所の艶やかさとは異なりクールに仕上げる手際。佐分利信が最高。

小さなスナック(1968年製作の映画)

4.5

歌謡映画を淡く切なくやがて狂おしい映像詩の青春映画に置き換えてみせる才能の開花。土用波の海岸、若者を乗せた白のマツダコスモ、停電のスナックに現れる真っ赤なレインコートの尾崎奈々のシルエット。衝撃の結末>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

3.9

青森を舞台に津軽三味線とメイド喫茶の青春。前向きエンタテインメントの快作。

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

女の復讐劇だが、深刻さを微妙に回避する話が、どう転ぶか判らない展開が不思議な味わい。

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

3.6

強姦された妻の訴えを巡る夫と友人の男、妻の三者三様の真実を描くが、じつはこの部分はあまり面白くない。リドスコ得意のコスチューム・プレイとして楽しむ。

化粧(1984年製作の映画)

4.0

市川崑『細雪』を意識して作られたの明らか。京都の老舗料亭。母に京マチ子、娘に松坂慶子、池上季実子、和由布子の三姉妹だが、実は四姉妹というのが物語を貫くミソ。80年代に入ってからの松坂慶子絶好調の色香。>>続きを読む

愛獣 赤い唇(1981年製作の映画)

4.0

刑期を終え、昔の仲間たちを訪ね歩く泉じゅん。風間舞子の獣性を微かに残し、更に真っ直ぐ凝視する大きな瞳と赤い唇の華やかさが加藤彰の色濃い演出とベストマッチ。もう一つの華、大高範子のステンドグラスを突き破>>続きを読む

ふりむいた花嫁(1961年製作の映画)

4.0

再見。洗練された職人芸の喜劇の粋を楽しむ。
浅草のどじょう屋の娘倍賞千恵子と商社マン山本豊三の結婚。親と子、二世代の恋愛、下町の商家が舞台等々、番匠ならではの変奏のリフレインが名作でもない大傑作でもな
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テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

4.0

当時イタリア映画界の鬼っ子、破壊神と勝手に思い込んでいたが、いま見直すと立派な古典。 S・マンガーノ、A・ヴィアゼムスキーら女優陣への見事な目配せ。漂いながら、まとわりつくモーツァルトとモリコーネの>>続きを読む

新家庭問答(1958年製作の映画)

4.2

きょうラピュタ阿佐ヶ谷で観た、久松静児『路傍の石』も番匠義彰『新家庭問答』もニュープリント。持ち出しでこういう快挙をしてくれるラピュタ阿佐ヶ谷に大感謝!
『新家庭問答』はまたしても導火線娘・九条映子の
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可愛い悪魔 いいものあげる(1970年製作の映画)

3.8

粗製乱造の大映末期、渥美マリ映画の一本かと期待もせず観る。意外にも面白かったのは渥美が芸者から出発、男に騙され妾になっても自分の夢を達成する女のタフネスが描かれているから。福田豊土の軽い演技、夏圭子と>>続きを読む

素晴らしき十九才(1959年製作の映画)

4.0

再見。新人の九条映子を次々に重用して、お豆さんみたいな彼女の魅力を引き出したのが番匠監督。この映画ではバンドマン津川雅彦を慕う瞳麗子に対しそのマネージャーとライバル関係のWヒロイン。カジュアルにフォー>>続きを読む