Sasadaさんの映画レビュー・感想・評価

Sasada

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蛇の道(1998年製作の映画)

3.9

黒沢清自身によるリメイクが6月に公開される今作。哀川翔が謎の数式を紡ぐ教室とそこにいる女の子、香川照之の執着と過去、拉致する彼らとの関係性、やたらと切れる鞭?の女性など、謎を謎のまま提示し興味を惹きつ>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.6

マッコールさんが良い人なはずなのに悪人にも見えちゃうみたいな様式美。
暗闇に浮かぶスキンヘッドと舞う埃が怖過ぎて笑えてしまった。

市井の人々と言葉を交わし距離を保ちながらも愛を育み、我慢して我慢して
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恋するプリテンダー(2023年製作の映画)

4.1

今年の最優秀助演アニマルは今作か“落下の解剖学”で、最優秀エンドロールは絶対今作。隙のないラブコメで最高でした。

恋人のふりをしているうちに好きになるのではなく、恋人のふりをしているうちに隙間から本
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システム・クラッシャー/システム・クラッシャー 家に帰りたい(2019年製作の映画)

4.0

お、これいけるんちゃうん?という期待はことごとく裏切られ、そっちにだけはいかないでくれという祈りはどこまでも破壊される。対話可能性というものを高く見積り過ぎな自分の認識がひっくり返され、それがある種の>>続きを読む

グレート・スクープ(2024年製作の映画)

3.4

調査報道モノはもうスポットライトとかSHE SAIDと比べられるのは仕方ないし、比べられるとちょっと分が悪いと言わざるを得ない。

立場の異なる複数のステークホルダーたちを巻き込む丁寧な仕事ぶりが面白
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ロスト・フライト(2022年製作の映画)

3.5

嵐の中で飛べと言われ、案の定トラブルで緊急着陸して、紛争地帯でゲリラに命を狙われるという三重苦を、「やれやれ」と超えてゆくジェラルドバトラーが大変愉快。
リーアムニーソンもジェイソンステイサムも散々こ
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

3.8

「要はバランス」ではあって、善人でも悪人でもなくて、相反するものに挟まれて都会の人は仕事してるし、自然豊かな環境で生きる人だってそれを壊しながら(何ならタバコとかも吸いながら)命を繋いでいる。
人と自
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走れない人の走り方(2023年製作の映画)

3.6

遊び心があってチャーミング。またも猫を逃がす山本奈衣瑠が映画監督役を一生懸命に好演。藝大の卒業制作だそうで、次回作以降も観たいっすね。
「ねーなんで自主映画出身の監督ってすぐ海に来るの?」を誰も拾わな
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トウキョウソナタ(2008年製作の映画)

4.0

ハローワークの行列、会社への道を急ぐ黒い群れ、檻の中で微動だにしないいくつもの眼、作業服へ着替える手際の良さとその場所。
代替可能で不可視化された存在としての「人間」が不穏さをこれでもかと強調する中、
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異人たち(2023年製作の映画)

3.5

セックスが死に簡単に接続してしまうが故にクローゼットに押し込めてきた想い、時代から/世間から注がれる冷たい視線と暴力、家族とも(もしくは家族だからこそ)隔たる距離の大きさと孤独

北丸雄二の「愛と差別
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おまえの罪を自白しろ(2023年製作の映画)

2.5

そんなに感情が顔と声色に出てしまうやつに政治は向かんだろとしか。
登場するキャラクターたちの動きは彼らの信念に基づくものには到底見えず、あくまで作り手がたくさんのコマを動かしてごちゃごちゃさせることで
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.8

デヴィッドハーバーが超いい。途中から「横浜F・マリノスとかセルティックとかスパーズとか指揮してそうやなあ」と。ただの鬼教官ではない弱さも内包した人間味溢るるコーチでした。

さて映画としてはこれでもか
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辰巳(2023年製作の映画)

4.0

終始えらい緊張感に満ちたど迫力顔芸映画。試写でひと足早く観せてもらいました。

アングラを煮詰めたジャパニーズノワールなのだけど、こういうのが舞台にしてきた“寂れた地方都市”では無いのが新鮮で良いなと
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ゲキ×シネ「メタルマクベス」(2007年製作の映画)

3.1

リブート版の橋本さとし&濱田めぐみのDisc1と、浦井健治&長澤まさみのDisc3を観たのだけど、確実に今作より進歩してたんだなと思うなど。
クドカンのギャグと個人的にあんま相性良くなくて、とにかく長
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.2

原爆投下そのものの映画であるようでそうではない(別に軽んじてるわけではなくあくまで“パーツとして”という感じ)のに少々拍子抜けして、ずーっと誰かが喋っててるのに退屈してちょっと寝た。時系列シャッフルも>>続きを読む

恐怖の報酬(2024年製作の映画)

3.0

いまひとつアクションにキレがなく、兄弟の対立と和解の話としては踏み込みが浅い。アナジラルドは好きなんだけどそれ以外のキャストはよく知らない。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.0

なーにがおもろいんじゃーこれー?
と、私の中の粗品がぼやかずにはいられず。
グランドブダペストホテルですら映画館で3割くらい寝てしまったわけで、配信でこれにトライしてもそらこうなるよなと諦めはつきまし
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.7

あーもうすごく好きでした。恋愛映画としては今年どころか生涯ベスト級に好き。

人生を彩る一部として恋愛を(かけがえのない誰かを)位置付けているのがまず心地よいなと。ノラにもヘソンにも恋愛以外に目標があ
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ラブ・セカンド・サイト はじまりは初恋のおわりから(2019年製作の映画)

3.2

冒頭の一連で倦怠カップルのあれこれを見せ切る手際の良さが印象的で基本的に好ましく観ていたが、最後の最後で「いやそれはどうすかねぇ、、」となった。

友人や恋人との関係を適切にメンテナンスできない主人公
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.4

オスカーアイザックが激渋で魅力的すぎてまず良い。
ギャンブラーのあれこれの話というよりは戦争と贖罪、組織と個人の話であって、己の尊厳と名前を取り戻す過程を歩んでゆく話だった。

ビニールハウス(2022年製作の映画)

3.9

被害者であることに気づくこともできず、警察や行政の目には届かず、自傷を繰り返すしかない「弱者」としての障害者、女性、老人

なす術もなく無抵抗に傷つき続けてきた彼女に、己の命運を賭してでも守りたいもの
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

3.8

兵隊の咆哮、砂上の静寂、巨大生物の蠢き、劇伴(ハンスジマー!)の重低音など、音がめちゃくちゃリッチで楽しい。話は正直長くてよくわからんが、アトラクションとしてこの経験は稀有。

パート1でチラ見せしか
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彼方に(2023年製作の映画)

-

わざわざ何かを言いたくなるような短編ではなくて、“こういう話”をさらりとなぞってみた以上の何かはない。

パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

3.8

ワイスピやトランスポーターみたいな何でもありな楽しさというより、武骨で力強いカーアクションがすげー良いです。体現するのがパクソダム(めちゃヒコロヒー)なのもかっこいい。
ドラスティックな仕事ぶり、「こ
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パレード(2024年製作の映画)

1.5

こいつはヤクザだから、言葉は荒いけど実は愛に溢れたやつで
こいつはメガネかけてるから、きっちりかっちりした優しいやつで
こいつはスナックのママだから世話焼きで涙もろくて
こいつはお調子者だけど気の小さ
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SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

2.5

バカバカしいまでに「死なない」のをゆっくり静かに仕立てている。コメディとして観たけど、面白くなりそうでずっと面白くならなかった。

何でもありなら何でもありでもっと楽しくできそうなのになーと。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

3.5

“その場合、問題は白人にある”

「白人の罪悪感を軽減させるための黒人文学」をつくる黒人の(女性の)作家に文句を並べる彼へのカウンターがとても腑に落ちた。それを消費し1日後には忘れてしまうマジョリティ
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(2022年製作の映画)

2.8

刹那的な「エモ」が好きな人は好きだろうし、おじさん(お父さん)はなんだか肯定されてて嬉しいんだろう。
松井大悟監督、やっぱ苦手かもなと思った。

セックスを女性の手に取り戻すこと。そこに意識的なのは「
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ネクスト・ゴール・ウィンズ(2023年製作の映画)

3.3

上映時間は短く、みなハッピーなマインドフルネス的思想が貫くこの軽さをどう捉えるか。日本のフットボールシーズンの開幕×サーチライトピクチャーズ×タイカワイティティで期待値が上がりすぎた感もあって、個人的>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.1

その時何が起こったのか。
知れば知るほど/事実が明らかになればなるほど=“解剖”されればされるほど分からなくなる真相のゆくえ。

わたしたちは断片的な情報をもとに「それっぽい」ものを選びとっているに過
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マダム・ウェブ(2024年製作の映画)

3.2

徹底的に親と子の話ではあって、血縁によらないケアのあり方やファミリーの形成みたいなテーマは好ましいなと思った。義理はないんだよなと逡巡しながらも救えるものは救いたいのだというキャシーのキャラクターもな>>続きを読む

幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

3.7

易々と離れられるわけもなくひたすら家に「戻ってくる」話で、半端なく救いの無い展開に驚く。

永遠に続くように思える階段にも終わりがあって、カラオケや居酒屋で時間を使うにも限度がある。金と知識のある大人
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一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)

4.1

感じる必要のない罪の意識の三者三様の話で、残された者、やむを得なかった者、被害を受けた者がそれと向き合う118分。
それに向き合い言葉を吐くことで、彼らはその記憶を客体化して捉え直す。「わたしは悪くな
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ジェントルマン(2021年製作の映画)

3.9

ガイリッチーへの愛が溢れる作風ながら、戦う相手は徹頭徹尾公権力の腐敗であるところにらしさが宿る韓国エンタメ。

奇しくも今の日本の芸能界と重なる「男性の権力者による性加害」(直接的な描写はない)の話で
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梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

3.6

そこにあるのは知っていて、何なら見えている不正から目を逸らさないこと。
こういうものだからと納得させてやり過ごすのではなく、怒りや悲しみを言葉にすること。壊れて麻痺していく倫理や公正さを死守する市政の
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夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.4

エンドロールの余韻と幸福感で、ああ三宅唱の映画だと。最高でした。

歩いたり自転車に乗ったりして画面の左から右に/手前から奥に移動する2人を、寄ったり引いたりして写し続けること。
ケイコでもそうだった
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