いなくなった猫についての会話の後のホームレスの「明日こそは目覚めたくない」と言う言葉が印象的。
ラストの腹時計はホラーだ。
戦後の夫不在の子持ち女性の生きることの難しさ。
生きるための手段に対しての夫婦の葛藤と再生。
この時代は家父長制だったとよくわかる。
実りの季節である「麦秋」というタイトルの通り、まさに家族の絶頂期を描いた映画。
小津安二郎監督が得意とするコメディーと人間ドラマのバランスが素晴らしい。
紀子の縁談を中心に物語が進むが、老いた祖父>>続きを読む
昭和アニメを観ているようなB級映画。
レトロな音楽がお洒落。
もう少し笑いの数がほしい。
利発な姪がおじとおば相手に自由に振る舞うコメディー。
姪の賢さによっておじは振り回されるが、最後におじの一段上の賢明さが見られて、姪が感心する様子が素晴らしい。
叱った後に自分から謝って妻に花を持>>続きを読む
想像することへの浪漫と想像し続けることの難しさ。
作品づくりと恋愛は繋がっている。
恋しているうち、新奇なものを追いかけているうちは楽しいが、それが終わった時にどう続けていくべきか。
日本の夫婦を描いた作品の原点にして最高峰。
サラリーマンの実際と夫婦のすれ違いが描かれるなかで、切っても離せない夫婦の絆と愛が内包されている点が素晴らしかった。
ラストの夫婦で東京行きの汽車を見つ>>続きを読む
ロミがエデンに帰ってきたシーンで感動して泣いてしまった。
だから、原作とは異なる点もあるが、それだけ素晴らしい作品なのだろう。
原作のテーマが「無常」に対して、映画のテーマは「再生」だ。
ロミの>>続きを読む
ヤングケアラーがテーマ。
ドラマのシナリオ大賞の受賞作みたいな映画。
おじさんの警官と女子高生の深夜から朝にかけた会話劇。
「少年よ大志を抱け」の後の台詞からのタイトルより、緩く将来を見据える余裕が素敵だった。
「諦めることも楽しめるようになった」
「長生きしたね」「うん、長生きしたね」
「ええ女房もらってね」「ああ」
「ははは」(嬉しそうに笑う)
素晴らしい夫婦。
かなえと悟が海の前のテラス席で話すシーン良い。
嘘をついてしまう悟がかなえに本当のことをを明かすシーンは美しいが、それでも最後に耳心地の良い嘘をつかなければならないところに絶望を感じる。
心の深層>>続きを読む
川の底から、社会の底辺から頑張っていこうという魂の叫び。
石井裕也監督の原点が伺える。
フジドラマのスペシャル回、公害問題扱いがち。
裁判官を主人公にする発想が面白いドラマ。
あえて説明しない「余白」を大切にした映画だ。
他者のことは決して完全には理解しえない。
杉田監督が映画で語らないのは、本当の意味での他者への優しい眼差しゆえのものだと感じた。
たとえ理解できない>>続きを読む
一度では飲み込めないほど深い映画だった。
ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地を彷彿とさせる女性の生きづらさを描いた作品。
なにもこわいことはない。
それでも、>>続きを読む
ラストの役所広司の表情の素晴らしさ。
ほとんど台詞を発しないのに想いが伝わってくる。
不平等で苦しみに満ちた世界で真っ直ぐ幸せに生きようとする主人公が力強い。
全ての現代人に見てほしい映画。
ゴジラの圧倒的な暴力性に対して、敷島の戦争をめぐる葛藤の人間らしさの対比が良い。
テーマやメッセージがまさに現代の若者へ刺さるものとなっていて良かった。
ただ、この監督はもっと出来ると思った。
もっと技巧的に、あざとい映画が観たい。
個人的な話でありながら、普遍的。
死や苦しみに満ちていながら、生の希望を予感させる美しさ。
登場人物のそれぞれが絶望的なはずなのに、どこかで幸福が垣間見える。
戦争に直面した者たちの苦しみが嫌と>>続きを読む
「いなくならないから……」
マイノリティーとして生きる苦しさ。
世界は残酷で、理解はないけれども、それでも共感し合える人同士で生きることはできる。
夏月と佳道の関係の美しさよ。
洋子とさとくんの対決にヒリヒリ。
それぞれのキャラクターが洋子の側面でもあり、それでも乗り越えようとする姿に人間の強さと落とし穴を感じる。
2とのつながりが???となる。
最後はハッピーエンドで良かった。
とんでも展開だけど何故か最後まで飽きずに観れてしまう。
ランニングで追いついた後の「勝った!」が面白すぎる。
日夏圭介は『砂の器』の和賀英良の後の姿なのかな。
琵琶湖への愛がすごい。
ダンスのシーン等、いくつか光るシーンがあった。
見落としてる部分もあるので、もう一度見直したい。