みかんぼうやさんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

みかんぼうや

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地の群れ(1970年製作の映画)

3.9

【超衝撃。部落、原爆症、性被害差別が生む負のスパイラル。その悲痛さと憤りを余すところなく伝える残酷な画作りとメタファー。この時代の邦画とパワーと恐ろしさよ!】

衝撃。私の稚拙な文章力では、この映画の
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ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

4.2

【映画全体の“色”を決定づける強烈な音楽と緻密ながら大胆な画作りによる作品全体にまとわりつく陰鬱とした感覚が見事にマッチした石油王の破滅的人生】

私の勝手な決め事として、フィルマで★4.0以上は乱発
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運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

4.5

【心が癒される映画NO.1!?失くした妹の靴を手に入れようとするだけの話がこれほどまでに爽やかで温かい話になる子どもの笑顔と涙の圧倒的な破壊力!】

アマプラを使い始めた頃にウォッチリストに入れながら
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コーダ あいのうた(2021年製作の映画)

4.3

【“家族を支えることと自分の夢の板挟み”としては正直ベタで既視感のある展開なのに、これほどにまで感動させられる秀逸な演出と魅力溢れる家族たち】

噂に違わぬいい作品でした。久しぶりに映画でこみ上げてく
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千年女優(2001年製作の映画)

3.1

【アニメならではのコミカルでファンタジーな演出に引っ張られ話の本筋に入り込めない一方、骨太な恋愛物として実写で観てみたかった作品。】

以前からずっと気になっていた作品で、偶然アマプラで配信が始まって
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.9

【“タランティーノらしさ”とは何かを問う。やはり私は、彼の抜群のセンスがむき出しの、本作のような直球勝負が大好きだ】

タランティーノ作品は最新作「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」以外は
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めまい(1958年製作の映画)

4.2

【私的ヒッチコックNo.1作品。ヒッチコックの練られた脚本、物理的かつ心理的な“めまい”を思わせる演出、そして後半に感じる狂気性が織りなす極上サスペンス】

ヒッチコック8作目にして、「こういう作品を
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猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.8

【邦画史上屈指の苦手ヒロインを中心とした闇深い恋愛作品。これだけ苛立ちを煽られるということは、それだけ演技や演出が刺さっているということか】

前情報ほぼゼロで観たので、タイトルからなんとなく「花束み
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ゲーム(1997年製作の映画)

3.5

【“ゲーム”というフォーマットだから許される究極のご都合主義ゆえに、フィンチャーの傑作が持つ“現実に起こり得る非現実的猟奇性”は薄め】

私、デヴィッド・フィンチャー大好きなんです。超がつくほど好きな
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知りすぎていた男(1956年製作の映画)

3.7

【「ケ・セラ・セラ」に祖母を想う。ヒッチコックらしいユニークな設定と展開、登場する人物が全員怪しく見える不穏な空気感に引き込まれるサスペンス】

昨年までヒッチコックを1作も観たことがなかった私ですが
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遊星からの物体X(1982年製作の映画)

3.8

【リアル「寄生獣」!?生命体の圧倒的なグロさに、強烈な気持ち悪さを感じていたのに、気づけばその造形に芸術的美しさを感じる脳内ショートSF映画】

SFはそこまで積極的には観ない(好きな作品も宇宙人系で
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チャイニーズ・ブッキーを殺した男(1976年製作の映画)

3.6

【ストーリーはオーソドックスなハードボイルドサスペンス。しかし、カサヴェテスの独特なカメラワークとライブ感溢れる演出が唯一無二の陰のある艶めかしさを醸し出す】

ジョン・カサヴェテス作品4作目。私が大
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THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)

4.3

【国家思想という南北に張り巡らされた網にとらわれ、個人的人権を奪われた男。韓国映画の政治・社会課題とエンタメ性の絶妙なバランス感を堪能!】

韓国の名匠キム・ギドク作品は本作が初めて。フィルマのレビュ
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アメリカの影(1959年製作の映画)

3.1

【スタイリッシュな映像とカメラワーク、決められた脚本のない即興的演出が興味深いカサヴェテスの長編デビュー作も、練られた脚本が好きな自分には、ややハードルが高かったか】

「こわれゆく女」で一気にハマっ
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

4.0

【叔父と姪の温かい関係性以上に “ヤングケアラー”に関する強い問題提起と感じてしまった一作。しかし、本作はそれを敢えて語らない。】

これほどに静かに淡々と描かれる映画は久しぶり。説明的なシーンや台詞
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ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

3.6

【手紙の代筆を通じて、迫りくる老いへの向き合い方について考える、世代を越えた交流が生み出す人生の讃歌】

この作品、途中まで完全に観方を間違っていました。レビュアーさんのレビューで知って気になった作品
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.2

【「こわれゆく女」の監督×主演女優タッグが、役柄と現実の自我の乖離で苦悩し、“こわれゆく女優”を描く】

先日の「こわれゆく女」があまりにも面白かったため、配信終了間際のジョン・カサヴェテス作品マラソ
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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.8

【映画製作を通じて若者たちの自己実現への熱い想いを描く、人生教訓に満ちた上映時間90分】

ハリウッド(映画内ではニャリウッド)の敏腕映画プロデューサーのポンポさんが小学生の女の子みたいな外見とキャラ
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

3.7

【アル・パチーノが主演の長編マフィア物、という時点でどうしても逃れられないコルレオーネ家の呪縛。それでもやっぱりアル・パチーノが凄まじい!】

約3時間の長編映画は、やっぱり観るのに気合がいりますね!
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こわれゆく女(1974年製作の映画)

4.2

【“こわれゆく女”によって“こわされゆく夫”】

これはまた、かなりの衝撃傑作!
この一カ月で「何がジェーンに起ったか」「サンセット大通り」と、女性主人公の狂気・精神疾患系作品を立て続けに観てきて、ど
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ロープ/戦場の生命線(2015年製作の映画)

3.7

【本来、重くシリアスになりがちな停戦直後のとある地でのNGO活動を、軽快でオフビート調に仕立て上げた良作】

フォローしているレビュアーの皆さんの評価が高い作品でしたが、噂に違わぬ面白い作品でした。
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もうひとりの息子(2012年製作の映画)

3.9

【取り違え新生児というテーマに、中東の複雑な敵対関係と強い宗教観が加わることで、出自とアイデンティティの繋がりを描く】

これは中東を舞台にした映画の中でも個人的にとても好みの作品。感動させられる、と
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

2.0

【ここまで合わなかったアニメ映画は初めて、というくらい作品の魅力と自分の好みが思いっきりミスマッチした作品】

この作品を好きな方、本当にごめんなさい。今年観た作品で一番の酷評です。ジャケ写から独特な
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イングロリアス・バスターズ(2009年製作の映画)

3.9

【タランティーノ十八番の血みどろバイオレンスが控えめな分、オープニングからラストまで比較的正統派な、映画愛による映画を使った壮大なる復讐劇】

公開当時以来の再鑑賞。
まず前回の鑑賞では知るよしも無か
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麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

3.4

【ビリー・ワイルダー作品と考えると、“普通”で薄味な印象。物語の“プラスアルファ”よりもオードリー・ヘプバーンの魅力自体を楽しむ王道シンデレラストーリー】

私の中の“キング・オブ・エンターテインメン
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カジノ(1995年製作の映画)

3.7

【その既視感の塊のような作りが、安定感となりあっという間の3時間を作り上げる、言うなれば「グッド・フェローズ~カジノ編~」】

この1週間、私事で色々あり、フィルマ離れしておりました。こちらはその前に
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アルジェの戦い(1966年製作の映画)

4.3

【なんという映画!これは映画のために撮影された映像なのか?ゲリラ・同時多発テロから感じ続ける圧倒的な“怒りのエネルギー”が絶頂を迎えた時、その映画史上屈指の“圧力”に押し潰されそうになる】

とんでも
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幼な子われらに生まれ(2017年製作の映画)

4.5

【再婚夫婦の過程に起きる家族間の摩擦。感情むき出しの子どもと冷静さを保ち切れず感情的になる親の異常なまでのリアリティ。現代邦画に求めるものが詰まった傑作】

一時期マイ邦画ブームで10本中8本は現代邦
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト(1968年製作の映画)

3.5

【私が思い描いていた西部劇のイメージそのままの王道の詰め合わせのような作品だが、大好きな3部作の他2作と比べるとストーリー性に希薄さを感じ、イマイチ刺さらず。】

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

3.7

【引き際を見失ったスターの嫉妬と承認欲求が生み出す狂気。キング・オブ・エンターテインメント・ムービーの私的イメージを覆す陰鬱とした不気味さが光るサスペンス】

ビリー・ワイルダー作品5作目。彼の代表作
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許されざる者(1992年製作の映画)

3.8

【ただ分かりやすい娯楽映画には仕上げない、西部劇を舞台にしたクリント・イーストウッド十八番の人間ドラマ】

クリント・イーストウッドの最高傑作という評価も多い本作。西部劇ということでなんとなく食わず嫌
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何がジェーンに起ったか?(1962年製作の映画)

3.8

【超承認欲求が生む極限までの嫉妬と憎悪と幼児退行がもたらすサイコスリラーエンターテインメント】

これはなかなかに強烈!いい意味でイカれてる!ここまでヤバい主人公の映画は久しぶりだし、最初からラストま
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アルゴ(2012年製作の映画)

4.1

【誰もが馬鹿げたと思う計画を決断し実行するアメリカという国家の力。重苦しい史実をスパイ映画的エンタメ性で演出した嘘のような実話の大脱出劇】

実は本作を初めて鑑賞したのは公開直後で、飛行機の中で字幕無
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君が生きた証(2014年製作の映画)

4.1

【音楽を通じて喪失から前に進み始める男の悲しくも温かい物語と思いきや・・・もはや作品の観方が変わる衝撃の展開に様々な感情が交錯する】

とある事件で大学生の息子を亡くした広告宣伝マンだった父親。そのシ
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旅立ちの時(1988年製作の映画)

3.7

【リバー・フェニックス推しのキラキラ爽やかな青春映画と思いきや、思いのほかハードな家族設定に、幸せを追究することと人生の執着について考えさせられる】

リバー・フェニックス=「スタンド・バイ・、ミー」
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ダイヤルMを廻せ!(1954年製作の映画)

3.8

【“サスペンスの帝王”による巧妙な脚本とトリックを堪能できる正統派サスペンス。】

つい1年前まで一作も観たことがなかったヒッチコック作品も気づけば本作で5つ目。ヒッチコック作品は、「裏窓」「鳥」「サ
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