みかんぼうやさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

みかんぼうや

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怪物(2023年製作の映画)

4.6

今年観た映画で間違いなく“最も余韻が残っている”映画。時間が経つにつれ、さらにその余韻が深まり評価が上がる。個人的には是枝監督の最高傑作。

多角的な視点で語られることは予告から既に分かっていたので、
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ブラックブック(2006年製作の映画)

3.3

ナチスへの復讐を誓ったユダヤ人女性が、スパイとして自身が女性であることを武器にナチス軍に潜入する実話に着想を得たという戦争サスペンス映画。

まず何よりも驚いたのが、主演の美しき女性、なんと個人的NO
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英雄の証明(2021年製作の映画)

3.3

同監督の「別離」が面白く、本作もカンヌのグランプリ作品ということでかなり期待していたのですが・・・どうも掴みどころにかけるというか、なんとなく“見どころ”を真正面から楽しめなかった作品でした。

「0
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プロヴァンス物語/マルセルのお城(1990年製作の映画)

3.9

前作「プロファンス物語 マルセルの夏」が、とても素敵な作品だったので、続編のこちらも鑑賞。原作者マルセル・パニョルの自伝的作品であるこのシリーズ。“心が豊かになる”という前作で持った印象は本作でも後半>>続きを読む

ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.0

世界最強のエンタメコンテンツ「スーパーマリオ」と、ピクサーに並ぶ世界最強のCGアニメーション集団「イルミネーション」が掛け合わされば、世界最強の超極上エンタメムービーが出来上がるのは必然ということか。>>続きを読む

アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.3

大好きな今泉力哉監督作。にして、初めてハマらなかった作品かもしれない。決して悪い作品だとは思わない。が、私が今泉監督作に惹かれ続ける、“自分の周りに実際にいそうな登場人物たちと実際にありそうなシチュエ>>続きを読む

それでもボクはやってない(2007年製作の映画)

3.6

公開当時かなり話題になり、痴漢撲滅の動きが加速する時勢において“痴漢冤罪”の怖さに一気に目を向けさせた強烈なインパクトを残した作品。本作を観ていなかった私ですら、本作が話題になった頃から毎日の通勤の満>>続きを読む

ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

4.0

信心深き疑心暗鬼。この物語は現実か妄想か?物語が進むにつれ、主人公ローズマリーの視点と心境に観ている者がシンクロさせられ引きずり込まれていくような、なんとも巧みな脚本と演出が面白い巨匠ロマン・ポランス>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.2

「聖なる鹿殺し」「女王陛下のお気に入り」に続くヨルゴス・ランディモス作品3作目に挑戦。

先に観た2作品同様、序盤から感じる不穏な空気感。そして、家庭を築こうとしない“独身者=悪”とする強烈な設定。半
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ウォールフラワー(2012年製作の映画)

3.9

なんとも甘くて青臭い!が、その甘さと青臭さが最高に気持ちいい!そして、ただ青臭いだけではなく、それぞれの登場人物たちが抱えるトラウマとコンプレックス。それが決して闇として重くのしかかるだけでなく、青春>>続きを読む

月に囚われた男(2009年製作の映画)

3.6

月に囚われた男は、自我に囚われる。デヴィッド・ボウイの息子による映画監督デビュー作。

月面採掘のため、月で孤独に活動するある一人の男の物語。設定から「オデッセイ」のような内容かと思えばそうでもない。
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いつくしみふかき(2019年製作の映画)

3.6

とても独特の間とテンポの邦画。一見突拍子もなくザク切りのようにも見える演出は、観方によってはどこか芸術的。破天荒に映る物語の展開は、終わってみれば意外と綺麗に収まって見える。危険な香りのするオープニン>>続きを読む

この世界の(さらにいくつもの)片隅に(2019年製作の映画)

4.8

実質満点(私は5.0と4.9は思い出の1本ずつしか付けていないので)。戦場や徴兵による家族離散等の悲劇ではなく、 当時の “普通の生き方”を見せたことで、その生き方を捻じ曲げる戦争の愚かさと悲惨さをよ>>続きを読む

テキサスの五人の仲間(1965年製作の映画)

3.4

ネタバレ厳禁作品。ポーカーのわずか一勝負のためだけの100分間。場面展開もほとんどないポーカーのシーンが7割を占めるのにこれだけの時間しっかり観られるのは脚本や演出の巧さでしょうか。

・・・がしかし
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哀愁(1940年製作の映画)

3.8

第二次世界大戦開戦直後に偶然出会ったバレエダンサーのマイラと陸軍ロイの一夜の恋、そして戦争で引き裂かれロイを待つマイラ・・・という、超コテコテな設定で、前半は分かりやすいくらい想像通りに進んでいくので>>続きを読む

声もなく(2020年製作の映画)

3.4

う~む、ラストの展開が韓国映画らしく一気に面白くなったが、それまでがやや物足りず、全体的には期待ほどハマれなかった。これは魅力を感じる登場人物がいなかったからか、ラスト手前までの展開がなんとなく既視感>>続きを読む

ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.8

1996年にオーストラリアのポート・アーサーで起きた、同国史上最悪の無差別銃乱射事件を描いた作品。最悪の結果が分かっているだけに、いつ“その時”がやって来るのか、という何かいつ爆発してもおかしくない不>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.6

「キル・ビル」のエキセントリックな日本表現と取って付けたようなふざけてるけど真面目に見せかけたストーリー設定に大いに感化されつつ、分かりやすい乗り物系パニックアクションを新幹線を題材に描いちゃったおバ>>続きを読む

ロゼッタ(1999年製作の映画)

3.4

ダルデンヌ兄弟作品6作品目にして、カンヌでパルムドールを獲った本作をチョイス。この頃のパルムドール作品とは相性が良いものが多く楽しみにしていたが、結論としては、「さすがに飽きた」というのが正直な感想。>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

4.0

韓国映画を手放しで褒めるつもりはないですが、本当に韓国の“政治絡み”の映画はクオリティと見応えが凄い。先日の「1987 ある闘いの真実」も素晴らしい映画だったが、本作も観終わった後の満足感は十二分。>>続きを読む

トラスト・ミー(1990年製作の映画)

3.7

なんとも言えぬ味わい。難しい家族関係、中絶、社会への不適合、といった本来であればかなり重苦しい話に仕立て上げられそうな内容なのに、作品全般を通じて感じる、シニカルでコメディックな演出が、重さよりもどこ>>続きを読む

わたしは光をにぎっている(2019年製作の映画)

2.9

う~ん、これは合わなかった。作品の雰囲気は素敵だと思うのですが、どうも作品全体を通じてリアリティを感じられず・・・いい映画なのだろうけど、個人的にフックとなるものや訴えかけるものが無かったです。

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サラの鍵(2010年製作の映画)

4.0

脚本良し、演出良し、映像良し。ホロコースト物の隠れた名作。どこでこの素晴らしい作品を知ったのだろう?

1942年のパリ、ユダヤ人を捕らえるため軍隊が突如アパートに押し入り、弟を守ろうととっさに彼を家
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秘密と嘘(1996年製作の映画)

3.8

本来なら最も信頼がおけるはずの血の繋がった家族の間でさえ、その大切な人間関係を保つために必要な“秘密と嘘”がある。しかし、その“秘密と嘘”によって、無意識のうちに作られてしまう見えない壁ができあがるの>>続きを読む

カリートの道(1993年製作の映画)

4.0

酒、ドラッグ、女、そして裏切り。マフィア物としては極めて王道だが、「シンプル・イズ・ベスト」を体現する分かりやすい展開と自分の芯を貫く漢としての覚悟、そしてラスト20分のデ・パルマ節とも言うべき“見せ>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

4.0

「his」のレビューで書いた、個人的若手俳優3トップ藤原季節、若葉竜也、池松壮亮のうち2名が出演、さらに成田凌と高良健吾という好きな俳優たちが勢ぞろい。このメンバーが高校の同窓生というだけでキャスティ>>続きを読む

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

3.5

後半、たっぷり泣かせていただきました。いや、あの流れで泣くなというのはある種の修行です。フォローしているレビュアーさんもほぼ超高評価、フィルマ平均スコア4.1ということも納得のいい映画だと思います。>>続きを読む

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)

4.2

韓国映画の超本気。国家・政治体制の歴史批判と民主化というこれほど骨太なテーマを、これほど迫力ある演出とスケール感に溢れた高クオリティのエンタメとして、今の日本映画が描き切ることができるだろうか?

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イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.8

ダルデンヌ兄弟の作品も気づけば6作目。大好きな監督、とまではいかないが、ついその作品が気になって観てしまうタイプの監督。そんなダルデンヌ兄弟初期の作品だが、“周りの大人たちとの関わり合いと自我の中で揺>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

4.1

聴覚障害で耳が聞こえない女性ボクサーケイコの日々を描いた実話ベースの物語。障碍者が主人公の作品を観ると、「周りの理解ある人々の温かさと支えで・・・」とすぐに書きたくなるところだが、本作を観て、その“理>>続きを読む

ミザリー(1990年製作の映画)

3.4

超有名なサイコパス映画の金字塔。あのスティーブン・キング原作。そして、フィルマでも総じてレビュー高評価。ということで、期待していたのですが・・・あれ!?個人的に好きなタイプとちょっと違う?

もっとシ
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ブータン 山の教室(2019年製作の映画)

4.0

“世界一幸せな国”として有名なブータン。そのブータンの首都で育ち、教師の仕事に辟易していた若者ウゲンが、ブータンで一番僻地と言われる村に小学校教師として派遣される。

美しい大自然に囲まれたその生活と
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プロヴァンス物語 マルセルの夏(1990年製作の映画)

4.0

“心が豊かになる映画”とは、こういう作品のことを言うのだろう、と思わずにはいられない、家族からの、そして家族への愛情に溢れた美しい映画。原作小説は執筆者マルセル・パニョルの自伝的作品ということだが、温>>続きを読む

MONOS 猿と呼ばれし者たち(2019年製作の映画)

3.6

コロンビアの人里離れた秘境の大自然のスケール感と美しさが映える映像とは対照的な、狭い人間関係の中に起こる人間の狂気。MONOS(モノス)と呼ばれるゲリラ部隊の一員として育て上げられた少年少女がアメリカ>>続きを読む

his(2020年製作の映画)

4.0

今泉監督が同性愛を描くと、こういう作品になるのか~、と今泉ファンとしてはなんとも納得の作品。やはりそこに悪人はいない。根幹にあるのは今泉監督らしい、それぞれの事情(それは仕事であり愛の形であり)と価値>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.7

「ゲット・アウト」が面白くて、同監督の本作も劇場公開から気になっていたが、このラストを観た直後は・・・これは、壮大なスケールで超ハイクオリティなある種のSFコメディだったのかな?と一瞬本気で思ってしま>>続きを読む