KIKIKIさんの映画レビュー・感想・評価

KIKIKI

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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

4.2


【chapter1】おじいさんとおばあさん

昔々、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんは山へ山菜採りに、おばあさんは庭へ草取りに行きました。

おじいさんは山へ入る前に必
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キング(2019年製作の映画)

3.8

戦争の最高の担い手がロマンの担い手でもあるように、王のリアルは民のロマンで民のリアルは諸侯のロマンで諸侯のリアルは戦争のロマンで戦争のリアルは王のロマンだとしても、生い立ちも裏切りも雨も真実も未来から>>続きを読む

光を追いかけて(2021年製作の映画)

4.1

登ったというよりは降り立っている

緑の発光はみなの眼をとらえる
白い腹はぬめぬめと光っている
地面は確かに鮮血を受け止める

太陽は遠慮がちだが、
宮殿は現実に屹立している
王の顔は見えない


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ロスト・リバー(2014年製作の映画)

3.8

時計の針はいつでも巻き戻すことができるが時間を巻き戻すことにはならないように垂れ流しの汚水では呪いを解けず原初のまま水下に沈むことが不可欠と嘆いて恥じるが虚勢と髪は甘く土塊は固執し扉を開けるでもなく見>>続きを読む

孤狼の血 LEVEL2(2021年製作の映画)

3.9

落とされた弾頭の本質は、何かと水平にもならず交差もしない視線の果てにあるのかもしれない。

二人だけの秘密を守ることは、かつて遥か海の遠く、空の上から向けられた殺意に想いを馳せることに似ている。
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テルマ(2017年製作の映画)

4.0

※フィクション

【chapter1】寒村

私が生れた村は、冬になるとたくさんの雪が降る。

手のひらに落ちる雪はすぐになくなるのに、
屋根の上の雪はなぜ増えていくのだろう、と思っていた。

父は
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ドライヴ(2011年製作の映画)

4.2

振動と鼓動が重なったときには、ブレーキは取り外されていたのだと思う。

言葉少なげに、表情で語るように、
単調な物語は、画と音で動く。
ギアチェンジのような鮮血と脳髄もまた、この世界の主人公であるかの
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ぼくのエリ 200歳の少女(2008年製作の映画)

4.0

生を求めれば求めるほど、周りに死が増えていく。
社会の裏で、ひっそりと行われる殺戮。
二人だけの秘め事。
性別の違いが理由ではない、奉仕。

健全な命の循環の輪。
輪の外の生態系。
備わった免疫は異物
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ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.3

名前は意味をもたず、
任務への貢献度が個性。
閲覧禁止のアイデンティティ。

虚構からぬるりと生れた生命は、
創造主の手のひらでしばし踊り続け、
自ら廃棄と駆動の間を這いずりまわる。

知恵の実はこれ
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第9地区(2009年製作の映画)

4.1

作られた敵。
意図的な搾取のための箱庭。
鋼鉄の檻。
檻の外から餌を撒く、安全地帯のボランティア達。

異なる外見。言葉は通じない。

利用価値はつけられる。
なければ殺せばいい。
代わりはいる。
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サバハ(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

宗教団体と密接な関わりを持たない日本人からすると、自分事として捉えることは難しい。

宗教の発生は農業革命により人々が定住できるようになり、集団で生活を営み始めたことによるという。
医療、天候、政治、
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オールド・ボーイ(2003年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

タイムマシンなど無くても、誰しも過去を行き来している。

煮詰められた想念は、濃縮されてその濃度を増し続け、測定は不能だ。

奪われた十五年は、時間を逆行させるためのゼンマイ回し。
死刑が罪人の未来を
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.3

幼稚園児の頃、母方の祖母が亡くなった当日、玄関の外で夜空を見上げた母から「お祖母さんはあそこにある星になったんだよ」と言われたことがある。
僕は瞬く幾多の星を見上げ、どの星だろう、と思った。

小学生
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あゝ、荒野 前篇(2017年製作の映画)

4.3

次回には前回の結果さえ忘れている。
海岸線と国境線の見分けもつかない。
復讐は相変わらず最も強い行動原理。

汗と精液の放出が存在意義。
体動は生の証明に違いない。
衝動はいつでも発動可能だ。

感受
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ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

・自由意志VS化学的洗脳

何者かの操り人形ではない、という強固な意志。
覚悟は既に出来ていた。


・現代の女性讃歌。

しなやかな強さと、会話。
脚本はプロットの繋ぎが良い意味で甘く、とりとめのな
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

いつも一人で生きてきた
物心付いたときには復讐しか考えてなかった

そもそも怠け者なんだ
寝そべってるのが性にあってる
人間の言うことを聞いてやったらと思ったらこのザマだ

初めは反射的に殴ったが、
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Arc アーク(2021年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

死の克服によって神話が不要となった。
不死となった人間は神話の不存在を嘆き、
最も忌諱していた死を自ら求めた。

記号化された背景の無国籍感・ディストピア感が心地よい。

死が不要となった世界は進歩を
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ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

間接技の応酬~アパートの足場崩壊と、地雷からのヒナコ救出の演出は切れ味がある。

悪役が良い映画は良い。
堤真一演じるうつぼの、底が見えない佇まい。
子どもの不幸をビジネスとし、ピースを埋める快楽と殺
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るろうに剣心 最終章 The Beginning(2021年製作の映画)

4.0

安寧の裏には命を張る者がおり、
動乱の中にはささやかな幸せがある。

時代の安泰は相互監視によって成り立つ面がある。が、外の世界と向き合う目線は必要だ。

職務に忠実であることは尊い。
が、結局は自己
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

満月を中継しロシア人の本拠に乗り込む。
衛星の打ち上げはロシアが制し、月面着陸はアメリカが制した。

ロシア人は管理する紙幣を燃やされたことで、
アメリカ人は猫のブレスレットを奪われたことで逆上する。
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レスラー(2008年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

時間は絶対に巻き戻せない。

過去の栄光にすがる、と言えば辛辣だが、
時間に翻弄され、肉体的に衰えた現在では、過去の栄光も転用できる財産。

時の経過はいつも突然訪れたように思える。

着地点は必然的
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キャラクター(2021年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

『ジキルとハイド』か、とたかを括っていたが、殺人鬼が漫画家の幻覚・妄想という設定でなくてよかった。

無戸籍児・カルトという陰鬱な社会問題の絡め方はぎりぎり絶妙を保っている。
現実と非現実の対比という
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

ベトナム帰りの男は水を施した情けがきっかけで妻もろとも命を落とし奇妙な髪型の男は自らもまた生殺与奪の権利を握られていたことを思い出し老人は時おりみる夢を反芻し灯火が消えていないことを願い僕は秩序も平穏>>続きを読む

お嬢さん(2016年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

男達による設計された性行為。
女性はいつも行為の主体ではなく対象である。

能書きに依存するものは自らを抑圧し、自らを抑圧するものは他人を抑圧する。

からめとられていた女性性の解放。

戦略は用意周
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

過去は過ぎたもの。もう来ない。
君はそう思っていたかもしれない。

パスタを頬張っていた少年が、おぞましく見えただろうか?

君には犠牲が必要だ。
選択の自由は与える。
君は自分でも分かっている通りの
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エクス・マキナ(2015年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

舞台は外界から隔絶され、
登場人物は最小限。
天地創造の直後にも見える。
最初の恋・友情・裏切り・殺人。

聖書の神は自らの形に似せて人間を造った。
人間も自らの複製をつくりたがる。

アンドロイドに
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ラストミッション(2014年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

アクションパートと家族パートが明確に分けられ、クライマックスで結合する。
エレベーターでバッタリ。唐突だが、心地よい。

シリアスなドイツ人と狂言回しのイタリア人。第二次世界対戦。印象だけ。

最後の
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累 かさね(2018年製作の映画)

4.0

上方比較による嫉妬
下方比較による軽蔑
他人と比べる事でしか、人は自分を定義できない。

芳根京子を初見。驚異的。
(再投稿)

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

4.0

伸縮する世界観。
カルトかつ壮大。

地球のティーンエイジャーも、宇宙人の迷子も悩みは一緒。

身をもたげる性への関心が心地よくグロテスクで印象的。

エルファニングは要注目。

リュミエール!(2016年製作の映画)

4.3

映画について知らないことがたくさんあった。

幸せなタイムトリップ。

ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

浮遊する現実
固定した妄想

境界は朧気
歌唱は明朗

金を奪われ、命を奪い、
視力を与え、命を奪われる。

神が無い世界での、神の真似事。
神が有る世界での、人の戯れ事。

曖昧なエゴ
完璧な贖罪
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セッション(2014年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

大勢から突き抜けるための武器は、
それ以外を捨てるという狂気。

入り込む余地の無いクライマックス。

意思を超えた先に辿り着いたどこか。

後味は、嫌悪でもなく奮起ともカタルシスとも少し違う、何か
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ANIMA(2019年製作の映画)

3.7

印象として、「所有」からの解放と、精神性の回復。


トムヨーク インタビュー
https://nme-jp.com/news/74985

パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.3

タイトル通りのしょうもないあらすじは、作り手の大胆な分解と再構成により、本来の時系列を想像可能な程度に留めながら、しかし完成された一連の様相をなす。

大量の引用が鑑賞者からのコミュニケーションを可能
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

静かな曲のメロディの一節になぜか涙が零れるような、
感謝を怠ったことを悔やむような、
このアニメーションがフィクションでは無い世界があることに唖然とするような。

悲劇の原因は銃のみではないにしろ、
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隔たる世界の2人(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

人種差別の本質は複雑だ。

その上で語弊はあるが、人間は、自分と異なる見た目に違和感を覚える。

前線で体を張り、とっさの判断が必要な仕事では、黒い肌=危険と画一的に判断したほうが、効率的なのかもしれ
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