SPNminacoさんの映画レビュー・感想・評価

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アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~(2024年製作の映画)

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ロマコメ女王アン・ハサウェイと少女漫画の王子様ニコラス・ガリツィンで歳の差、更にアイドルグループのスターとそのファンだった娘を持つ母というギャップも加えた夢物語設定。けどまあねーアンさんならねー、ガリ>>続きを読む

バービー(2023年製作の映画)

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すべてのバービーとケンとアランに。どんな女性もエンパワーメントする使命を負ったバービーの、行きて帰りし冒険の旅。作られた女性性と作られた男性性、作り手売り手持ち主、定番とは何なのか、誰によって何のため>>続きを読む

ペトラ・フォン・カントの苦い涙(1972年製作の映画)

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初ファスベンダー。時間(タイミング)と構図(視点)がガッチリ組み合ったメロドラマだった。
ペトラの鷹揚な台詞回しとSmoke Gets In Your Eyesのスローな時間の流れ。かざした手の下から
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華岡青洲の妻(1967年製作の映画)

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女2男1の関係は女同士を見るためにある。とはいえ、ハナから男は眼中になし。祝言でも夫の顔は見えず、市川雷蔵が登場するのはずっと後だった。出会った瞬間、姑となる於継に加恵の目は釘付け。時に襖の奥から冷や>>続きを読む

コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

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ふわっとした邦題より『The Quiet Girl』でいい。これは抑圧と抵抗の物語。小2まで自分も教室で喋れない子どもだったのを思い出す。思えば、何に抑圧されてたんだろう。
草むらやベッド下に身を隠し
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グランツーリスモ(2023年製作の映画)

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外へ出て突っ走れ!ヴァーチャルから生身へ、夢から現実へ、ゲーマーからプロレーサーへと映画は最短距離で無駄がなく、グイングインに飛ばして止まらない。家族、恋、ライバル、特訓、師匠…の定番コースは安定の設>>続きを読む

さまよう魂たち(1996年製作の映画)

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サバービアを騒がすポルターガイストのドタバタ喜劇とシリアルキラーや呪われたお屋敷がごちゃごちゃ込み入って、陰気なムードが強め。幽霊と組んでゴーストバスターするマイケルJフォックスも、コミカルというほど>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

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しっとり格調高いリメイク。黒い山高帽とスーツの没個性ルックが列車に乗り込む通勤風景、重んじられる格式や対面。情感溢れる音楽、サンディ・パウエルの衣装。エンドクレジットまでこれでもかとクラシックな英国映>>続きを読む

モナリザ(1986年製作の映画)

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すらりと長身キャシー・タイソンやボスのマイケル・ケインと、ずんぐり小さなボブ・ホプキンズ。友人役の故ジョン・コルトレーン(若かった!)もかなり大柄で、この凸凹構図が効いている。粗野で安っぽいおっさんジ>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

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エリック・ロメール『獅子座』でパリの夜景を星座になぞらえていたように、ここでも路線図上に点灯するランプ、パリに点在する人々を星座のように繋げる。ラジオ局でエリザベートが得た職も、リスナーの電話を受けて>>続きを読む

Supercell(原題)(2023年製作の映画)

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次世代の継承ということで、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』と似た作り。あちらのレガシーはECTO-1とプロトンパック、こちらは竜巻追跡カーと観測装置か……と、『ツイスター』30年後の続編だと思っ>>続きを読む

アイアンクロー(2023年製作の映画)

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ケヴィンが持ち上げるバーベルが、呪いと抑圧と責任の重さを物語る。のし掛かる重みを支え耐え続けるのが「次男なのに長男症候群」のケヴィンだ(一方、弟ケリーはダンベルを置く)。彼だけずっとシューズを履かない>>続きを読む

セールス・ガールの考現学/セールス・ガール(2021年製作の映画)

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主体性なく子どもっぽい大学生サロールに、ひょんなことから大人への扉が開く。それがアダルトショップや70年代バンド(ピンク・フロイド推し)、そして有閑マダム。サロールは店の経営者カティアと過ごすうちに、>>続きを読む

ウィッカーマン(1973年製作の映画)

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そういや昔観たのを思い出した。これってフォークホラー版ガリバー旅行記なんだな。スコットランド孤島の村を非文明的未開の地みたいに慄く本土警官、それをあざ笑う現地民。原始宗教VSキリスト教原理主義。植民地>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

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ほのぼの長閑なレトロSFかと思ったら、殺伐とマッドマックスだった!それに、思ったより良くできたアート映画&お伽噺。飛行物体とかアナクロなメカ類の数々は結構大掛かりに作られてて(セットは廃墟の再利用?)>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

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アンドリュー・ヘイのリメイク公開に備えて。撮影とプロダクションデザインが見事だった。光が差し込むウォームトーンの冥界と、暗くクールトーンな現代マンション、どちらにもぼうっと浮かぶ窓の灯。すーっと浮遊す>>続きを読む

ヘイティング・ゲーム 恋とキャリアの必勝法(2021年製作の映画)

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ベストセラー小説原作ロマコメ御用達監督みたいなピーター・ハッチングス。オシャレでゆるふわな仕事(なんだあの出版社)、ライバルとの社内恋愛、ドアマットな当て馬くん…のパターンは『エマの秘密に恋したら』と>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

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『グランド・ブタペスト・ホテル』辺りから、ウェス・アンダーソンは「物語の物語」にどんどん深入りしてる気がする。頑なな虚構への没入ぶりは、ちょっと怖いくらい。
一連のロアルド・ダール原作短編映画に続いて
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ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

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ジャスティス・リーグの末っ子、雑用係フラッシュくんがバック・トゥ・ザ・フューチャーでマルチバース。DCのは観てなかったけど、これはコメディで楽しい。なんとなくチープなCGアクションも笑えるし、ノリがレ>>続きを読む

フローレス(1999年製作の映画)

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男らしさを誇示し、我が物顔で街を闊歩する元警官ウォルト。だが、自分が脳卒中で倒れ憐れまれる弱者側になると、マジョリティとしてマイノリティとの間に引いた境界はあっさり崩れる。ベッドで女を見下ろしたウォル>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

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ラジオのニュウス以前にのっけからバリバリ現代!を感じた。86年の『パラダイスの夕暮れ』とよく似てるからこそ違いが目につく。
女性側を主人公にして、『愛しのタチアナ』みたいにさりげなくカッコよく技能を見
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愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

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親密さは諸刃の剣。ジュリエット・ビノシュとヴァンサン・ランドン2人だけで過ごす穏やかに親密な時間から、次第に複雑な人間関係がじわじわと炙り出されていく。ビノシュの元恋人でありランドンのビジネスパートナ>>続きを読む

こいつで、今夜もイート・イット アル・ヤンコビック物語(2022年製作の映画)

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病院で死亡宣告される幕開けから既に『オール・ザット・ジャズ』のパロディで、如何にもアル・ヤンコビックの「伝記映画」らしい。人生はパロディ、いや人生のパロディ。何か裏を読ませるかと思えば、そういう物語で>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

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そのまま「物語論」の映画である。魔法の瓶を電動歯ブラシでこすると、魔人が出てきて3つの願いを叶えると言う。かくして物語学者アリシアとジンの物語が始まる。
物語は形を変えて繰り返す。ジョージ・ミラーもだ
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少女(1961年製作の映画)

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作家を夢見て上京したカネちゃんが、都会の現実を知って少し大人になりました…って、他愛もないロマコメ。真っ直ぐ純真なカネちゃん演じる笹森礼子がキラキラと可愛いのなんの。
あちこち勤めに出てはガッカリする
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真夏の夜の夢(1935年製作の映画)

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シェイクスピア戯曲の饒舌な台詞を結構削って、代わりにミュージカル調で歌うのは当時の現代的なアレンジか。妖精が舞い戯れ、特撮で飛び回る暗い森はモノクロだからこそ不気味で良かった。白い妖精の群れが幽霊みた>>続きを読む

俺らのマブダチ リッキー・スタニッキー(2024年製作の映画)

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非実在親友リッキー・スタニッキーとは、男たちにとって都合のいい免罪符。彼が存在する限り、子どものまま責任を負わずに済む。そんなよくあるボーイズクラブ映画で、定番「なりすましもの」喜劇。遠慮なく下ネタだ>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

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男と女とロバ。土壁に開いた窓から顔を出すロバからパンして雪の降る外、男女が黙々と食べる家の中へと。やがてロバと外にいる女と小屋で一人食べる男が1フレームに収まる。その後も男が行く所へついて行く女とロバ>>続きを読む

テオレマ 4Kスキャン版(1968年製作の映画)

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ブルジョワ階級の解体、シンプルにカトリック的な罪と救済の話だったような。ブルジョワ一家に現れたストレンジャーは、家族とメイドに秘蹟を与え、一人一人の告解を聞き届けて姿を消す。その後それぞれは奇跡を起こ>>続きを読む

サイレント・ナイト(2021年製作の映画)

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神よ、我々人類の罪と選択を許し給え。特に特権階級の。って、自虐的ブラックジョークというか悪趣味に近い終末クリスマス映画。
早々にネタバレしてるので、最期を迎えるまでどう引っ張って展開するかが肝心なのだ
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ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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『パディントン2』がラディカル・ナイスコアと評されたように、この世知辛い世の中では良心とか繊細さ優しさは過激思想となる…そんなぬいぐるみ過激派映画(?)。
ここでの優しさとは「他人の領域を侵さない」こ
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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アフリカ系アメリカ人を黒人ステレオタイプに押し込めようとする世間に対抗し、敢えてそのステレオタイプ通りな小説を書いてみせる作家セロニアス・“モンク”・エリソン(天才ジャズ・ピアニストの名前…)。中流家>>続きを読む

アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

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窓が印象的だった。パリ中心地を流れる川岸に、木製の窓が沢山ついて動かない船の形をしたアダマン号がある。窓の扉を閉めても隙間から光が差し込み、日当たりの良いデッキには植木鉢が下げられて、まるでヴァカンス>>続きを読む

さらば、わが愛 覇王別姫(1993年製作の映画)

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中国近代史を背景に、哀しき運命を辿る京劇役者の大河メロドラマ。蝶衣と小楼の愛の悲劇が「覇王別姫」の物語、その役覇王と虞姫に重ねられる。今頃やっと観て、予想以上にドロドロ濃厚でどんよりしてしまった。
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

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久しぶりに観て、やっぱすごい映画だ。タイトルバックのひまわり、ひまわり、そこに止まる虫、遠くから近づいてくる赤い服のぼんやりとした人影…既にホラーである。続くピクニックの家族は子どもが赤い服だけど、夫>>続きを読む

縁路はるばる(2021年製作の映画)

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付き合おうとする女性はみんな遠距離住まい。デート相手が変わるたび、内気で主体性ないハウはちょっとずつ安全圏から出て自分をアップデートしていく。
現在の香港がもうひとつの主役だった。ハウにとって女性たち
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