SPNminacoさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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彼女のいない部屋(2021年製作の映画)

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朝早く、家を出て行ったクラリス。彼女がいない家で生活を続ける夫と娘と息子。2つに分岐しながらシンクロナイズする物語は、時間と場所が奇妙に曖昧だ。1人になったクラリスは言う。「家を出ていったのは私じゃな>>続きを読む

Never Goin' Back ネバー・ゴーイン・バック(2018年製作の映画)

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海に行きたいだけなのに、次々と不測の事態に陥り、ノンストップで転がり続けるアンジェラとジェシー。ダイナーやスーパーしかないテキサス郊外、バカな兄貴とその仲間、突然の拘束、ドラッグやパーティの誘惑…不条>>続きを読む

ヴィゴ カメラの前の情事(1998年製作の映画)

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結核患者でアナーキストの息子で野心溢れた伝説的映画監督ジャン・ヴィゴ。劇中のヴィゴは少年時代を映画として記憶し、ジュリアン・テンプルがその彼をまた映画としてオマージュする。
画面サイズは当時風、『アタ
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クリード 過去の逆襲(2023年製作の映画)

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独り立ちしたクリードの新たな闘いは、過去の因縁。思い出したくないクリードVS忘れないデイムの対決だ。なんか急に「あしたのジョー」っぽくなった気が。すっかり熱血少年漫画だよ。
舞台はフィラデルフィアでな
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メタモルフォーゼの縁側(2022年製作の映画)

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75歳でBLと出会った雪さんとの出会いで、17歳うららの心にも風が吹き込む。なんと清々しいファンガールの交流よ。なかなか同好の士に出会えない自分には羨ましい。
まず雪さんが自分からBL漫画沼にハマり込
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

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ドキュメンタリーでなく映画化されたのを観ると、そもそも映画業界、新聞業界のメタ内幕ものになる訳で、何となく複雑な気持ちになってしまう。加害者はもちろん被害者も実名で登場するのだが、The NY Tim>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

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異常な世界において「正常で平凡な」人間であろうとする、罪と矛盾を背負った男。
始まるや否や、というかホテルのベッドでじっと闇を見つめ身を潜めるジャン・ルイ・トランティニャンが電話の音と共に動き出すや否
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小公女(2017年製作の映画)

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「借金せず生きるのが目標」で「煙草とバーで飲むウィスキーと愛する彼氏があればいい」。部分白髪の長い髪で重ね着し、家財道具一式を持ち歩き、家事代行でお金を稼ぎ転々としながらブレない女。
そんなミソは、泊
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ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

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哲学、思考、対話、筋トレ、喧嘩、アイルランドお馴染み(と、よくネタにされる)親族喧嘩、時々エルヴィス。
哲学とかそもそも学問って思考というロープを解きほぐして解きほぐして解きほぐして、また1本ずつ新た
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ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

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夢のように完璧な世界は、誰の見た夢だったのか。『ステップフォード・ワイフ』『ボディ・スナッチャー』や『時計じかけのオレンジ』に『ローズマリーの赤ちゃん』、更に『マッドマックス怒りのデスロード』まで1本>>続きを読む

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)

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英国王子×大統領子息の恋は難攻不落の分厚い壁(王室とテキサス!)を壊せるか。とことんロマンティックで夢のある、良くできたお伽噺だった。
古今東西のお伽噺に理想や教訓が含まれるならば、異なる立場や様々な
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つぐみ(1990年製作の映画)

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何となくタルコフスキーを意識したような、海への郷愁を誘う風景を漂うカメラ。もう帰れない夏と、そこにいないあの子の物語。
公開時に観て、とにかく牧瀬里穂の顔が大好きだった。演技力はともあれ、つぐみの無愛
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ボーンズ アンド オール(2022年製作の映画)

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あくまでガール・ミーツ・ボーイのロードムービー。出会うべくして出会ったマレンとリーの旅は、夜から朝にかけて人目を避けた静かな時間に、叙情的ギターの調べがゆったり流れる。かなりゴアで血生臭いとはいえ、ル>>続きを読む

喝采(1929年製作の映画)

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ショウガールでシングルマザーのキティ、修道院からショウの世界へ引き摺り込まれた娘エイプリル。幸せを求める女の受難と神話。
母と娘、聖と俗、宝石と十字架、子守唄と祈りの言葉、ショウビズの光と影。とりわけ
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曳き船(1941年製作の映画)

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結婚パーティから嵐の海へ、難破船を救助しに向かう曳行船の船乗りたち。陸に残された妻たち。救助したボートには1人の女。船と船を繋ぐロープは夫婦の絆だ。曳き船の船長はそれを断ち切ろうとする、夫と別れたがっ>>続きを読む

ベスト・フレンズ・ウェディング(1997年製作の映画)

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そういやジュリア・ロバーツ、前にも結婚を邪魔してたんだった。
50S調ミュージカルのオープニングからして『紳士は金髪がお好き』だし、(マリリン・モンローとジェーン・ラッセルを思わせる)ブロンド女と赤毛
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光に生きる ロビー・ミューラー(2018年製作の映画)

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ロビー・ミューラーは自分が最初に意識した撮影監督。昔『ダウン・バイ・ロー』を観た時、冒頭辺りの街路を移動するショットで「これ自分の見た景色と一緒だ」(自分の目が捉えた視野とかヴィジョンとかの意味で)と>>続きを読む

グッドナイト・ムーン(1998年製作の映画)

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若い継母イザベルと子どもたち、前妻ジャッキーとイザベル、仕事と家庭、キャリアウーマンと専業主婦の溝や対立。同居した子どもたちに疎まれた写真家イザベルは負い目を感じ、ムキになって空回り。至らぬイザベルの>>続きを読む

テニスお父さん(2012年製作の映画)

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息子とガチ・テニス対決してドン引きされるパパの大人げなさ、若さと権力への執着をこじらせた「テニス肘」。夜間照明のショットが美しかった。短編映画は毎度その手があったかと参考になる。

マルセル 靴をはいた小さな貝(2021年製作の映画)

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可愛らしくていじらしいサヴァイバル・ライフ。小さき淋しきものたちの歌。
カメラを介した親密な関係や、無常さや寂寥感を色濃く感じさせる前半が、『アフターサン』にそっくりだった。今年はこういうの流行ってる
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

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イザベル・ファーマンがそのまま続投したのがすごいけど、これ前日譚なんだよね?とよくわかんなくなっちゃった。というか、撮影の工夫に目が行ってしまう。当時まだエスターさんの仕事が雑なのはともかく、状況が色>>続きを読む

魂のまなざし(2020年製作の映画)

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画家ヘレン・シャルフベックの目とその絵で物語る孤高の肖像。暗く陰気な家で険しい表情をしたヘレンが描く自画像や人物画は、どれも一人の姿だ。
絵を買い付ける画商と共に現れ、個展会場でカーテンをずらし外光を
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ドリーム・ホース(2020年製作の映画)

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「ワクワク」を求めて、競走馬育成を決意したジャン。そこで馬主組合となるのが良い。ジャンが勤めるのはco-opで、村人は夢を共同購入。つまるところ、これもユニオンの話なのだ。幸せはお金で買えないというけ>>続きを読む

同級生(1998年製作の映画)

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ボーイ・ミーツ・ボーイ。はみ出し者文系スティーヴンと人気者ジョックスのジョンを「ロミオとジュリエット」になぞらえた、ロミオとロミオの恋。出会いは仮面舞踏会でなく公衆トイレ!
記者として執筆するスティー
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ギャング・カルテット 世紀の怪盗アンサンブル(2019年製作の映画)

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傑作『ぼくのエリ』『裏切りのサーカス』のトーマス・アルフレッドソン監督が、どうしてこうなった?な『スノーマン 雪闇の殺人鬼』を経て母国スウェーデンで撮った新作はなんとコメディ。ちょっと間抜けな強盗団が>>続きを読む

チケット・トゥ・パラダイス(2022年製作の映画)

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結婚を「頑張ってゴールした後の不安」に例えた、親と娘の幸せ探し。元夫婦のロマンティック・コメディが軸なのだけど、ジョジクルとジュリア・ロバーツの掛け合いはどこかのんびりと長閑で、大人げないというより幼>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

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ビデオカメラで撮影したパパ。トルコのリゾートで過ごした「いままでで一番の夏休み」。けど、それはあくまで心のカメラが撮った風景で、大人になるとまた別の景色が見えるのだった。
娘ソフィがビデオカメラを向け
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BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ(2022年製作の映画)

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森の奥のお屋敷、ハイになってパーティする若者グループ、嵐の夜の殺人ゲーム…あるある。でも、ホラーは手垢のついたクリシェでどう新しいことをするのかが肝心。なるほど、その手は今までなかった!たぶん。
基本
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デリート・ヒストリー(2020年製作の映画)

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均質な家が整然と並ぶサバービアで、住人の生活にはまったく余裕がない。ネットサービスやサブスク依存、SNS攻撃や詐欺、個人タクシーや宅配業者、誰しも問題を抱えた人ばかり。契約して消費するのは簡単、でもシ>>続きを読む

デュアル(2022年製作の映画)

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本人VSダブル、生き残りをかけた決闘。のっぴきならない状況で奇抜なSF設定を畳み掛けながら、ほぼ劇伴も抑揚もつけず、みんな妙に感情を抑制した淀みない口調。すべてシステマティックにシンプルに、淡々と粛々>>続きを読む

殺意の夏(1983年製作の映画)

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復讐に囚われたエル、家に閉じ込められた養父、被害者である母親。エルと家族はみな身体の尊厳と自由を奪われている。3人の復讐相手、3兄弟、ドイツ、フランス、イタリアの因果。犠牲になるのは女。エルを迎え入れ>>続きを読む

ウーマン・トーキング 私たちの選択(2022年製作の映画)

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監督としてサラ・ポーリーはガチだけど決してセメントはやらず、ロマンティシズムもあって、でもそこがまたやっぱガチ。削ぎ落としてソリッドな脚本。最近出版した回顧的エッセイ本が“Run Towards th>>続きを読む

バード・オン・ワイヤー(1990年製作の映画)

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証人保護プログラムによって15年間別人として転々としてきた男、彼を忘れられない女。再会した2人のアクション・コメディ・ロードムービーは、失った恋人を取り戻そうと時間を遡る旅だ。
車からはみ出た脚の件が
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ハウス・オブ・トゥモロー(2017年製作の映画)

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バックミンスター・フラー思想の祖母に「未来の館」で育てられたセバスチャン、重病を抱えてノー・フューチャーなジャレット。2人はパンクを通じて未来を選ぶ。
教会牧師の父に反抗的なジャレットだが、セバスチャ
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

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飛行中の爆撃機を密室に見立てた極限状況サヴァイバルで、極秘任務には真実の混じった嘘があって、そこに襲い来る未知の生物。…って、殆ど『10クローバーフィールド・レーン』じゃないか。しかも最初から片腕使
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夜ごとの美女(1952年製作の映画)

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街の騒音や人々の喧騒に悩まされるしがない音楽教師が、夢の中へ逃避。そこでは夜ごと美しいオペラと美女が待っている。いや、音楽か美女かどっちかにしろや!
タイムトラベル要素もあるファンタジーで、美男ジェラ
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