映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

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グランド・マスター(2013年製作の映画)

2.5

実在した葉問(イップマン)と時勢に翻弄された拳士たちの姿。
ですがこの作品に(画面)が存在するとは思えません。
ウォン・カーウィー
『グランド・マスター』
21世紀の映画でここまでアップが濫用された映
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ムーラン・ルージュ(2001年製作の映画)

3.8

このメロドラマへの徹底ぶりは、悟りを求める禅僧の修行を見ているようです。
バズ・ラーマン
『ムーラン・ルージュ』
敬意と歓呼を向けることに躊躇いなどありません。

バイキング(1957年製作の映画)

3.6

カーク・ダグラス
何という暴君非道ぶりか❗️
あたかも「ウォール街」のゴードン・ゲッコー(演マイケル・ダグラス)の先祖のようです😊
リチャード・フライシャー
『ヴァイキング』
大味な歴史劇と甘く考えて
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マチェーテ・キルズ(2013年製作の映画)

3.2

私個人の解釈ですが(兼任)が過ぎるのではないか、と。
ロバート・ロドリゲス
『マーチェテ・キルズ』
2014年の『シン・シティ 復讐の女神』以後、ロドリゲス作品は観てません。
デビュー作の『エル・アル
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アナザーラウンド(2020年製作の映画)

3.5

この作家、ドグマ95に関連していると聞いただけで警戒してました。
ですがラース・フォン・トリアーほど悪い余韻ではないのです。
どう考えても失敗と頓挫しか約束されない男たちの行程を描く事に好ましい野心を
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スペル(2009年製作の映画)

3.8

時代を背負える資質を備えた娯楽映画作家には(多作)という責任が課せられている
サム・ライミ
『スペル』
理屈抜きに面白い❗️
『死霊のはらわた』『スパイダーマン』というシリーズもののみならず『ダークマ
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恋のエチュード(1971年製作の映画)

4.3

どこか焦らされている気さえするほど中々予感を容易に適(かな)えさせない、トリュフォー生来のリズムが遺憾なく発揮された傑作!
フランソワ・トリュフォー
『恋のエチュード』
トリュフォー特有のフェチやエロ
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カポネ(2020年製作の映画)

-

俳優の演技や監督の演出の質の錬磨をいくら積み重ねても、世間通りの範囲の中でしか事象、事態を発想出来ず、解釈出来ないのなら、それはどこまでも通俗的なのだ、と思う。
ジョシュ・トランク
『カポネ』
誰もが
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メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

4.2

通例ならば観るに耐えない必須の要素満載なのに、これだけ純度の高い散文的映像に結晶化させるなんて、やはり不振だった70年代のフレンチノワールの奇跡です。

北の橋(1981年製作の映画)

4.1

まだまだ驚き足りぬこの知覚体験
ジャック・リヴェット
『北の橋』
実生活では母娘関係にあるビル・オジエとパスカル・オジエ演じる女性ふたりの人生の織り目など世間の知った事でない。
にもかかわらず二人がパ
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おもいでの夏(1970年製作の映画)

3.5

血潮がうずく内容なのに見事に抑制させる不思議な力。これが映画の(節度)というものでしょうか。見事な(佳作)です。
ロバート・マリガン
『おもいでの夏』
内容を聞いただけで観る気が失せてました。
そして
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ザ・バニシング-消失-(1988年製作の映画)

3.5

1983年に装填された(出来すぎた罠)に21世紀の今、容易くハマってしまった。
それも楽しい悪夢だったと思えば悪くありません。

まぼろしの市街戦(1967年製作の映画)

3.4

喉元が絞り上げられるように逆流した生暖かい胃酸が胸を刺しているのに、気味悪いほど甘美な何かの心情の塊に満たされてしまう。
これこそが風刺画の醍醐味❗️
フィリップ・ド・ブロカ
『まぼろしの市街戦』 
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スターマン/愛・宇宙はるかに(1984年製作の映画)

3.6

時代的にも空間的にも身近であり過ぎたために無益な情報によってその作品の真価を見過ごしてしまった作品があまたあります。
私にとってジョン・カーペンターの
『スターマン/愛・宇宙はるかに』
はさしずめそん
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コロンバス(2017年製作の映画)

3.5

世界の、誰にとっても既知の都市なのに、全く未知のように描出していくこの新人映画作家の処女作に、1990年代世界を覚醒させた台湾ニューウェーブのような胸騒ぎを覚えてしまいました。

ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ(2019年製作の映画)

3.3

世界の、誰にとっても既知の都市なのに、全く未知のように描出していくこの新人映画作家の処女作に、1990年代世界を覚醒させた台湾ニューウェーブのような胸騒ぎを覚えてしまいました。

狩人の夜(1955年製作の映画)

4.2

この異様な余韻をどう語ればよいのか

チャールズ・ロートン
『狩人の夜』

本作を観て、ロバート・ミッチャム
彼の『ワイルドバンチ』『パットン大戦車軍団』の主演辞退が本当に残念に思いました。

修道女(1966年製作の映画)

4.4

この異様な余韻をどう語ればよいのか

ジャック・リヴェット
『修道女』

修道院と聞いただけで、現世と隔世の辺境を想起してしまいます。
そこで古来からそして未来永劫にかけて反復されるこの物語は、どこま
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クイール(2003年製作の映画)

3.4

正真正銘のプロフェッショナル❗️

崔洋一
「クイール」

同じ年にあの、あまりにも迫力満点な「血と骨」が公開されました。
もし公開時期がズレていたら、この「クイール」はもっと注目されていた、と思いま
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マークスの山(1995年製作の映画)

3.7

崔洋一vs高村薫
このバトルをもう一度観たかった❗️

崔洋一
「マークスの山」

(敵)に裏切られたなんて話、聞いた事がない。
もしあったとしたら見当ちがいも甚だしい。

何故なら裏切るのは常に(味
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月はどっちに出ている(1993年製作の映画)

3.7

ベストワンを一本に絞れなかった1993年

崔洋一

「月はどっちに出ている」

前世紀末の90年代の日本映画が素晴らしい量産期であった事は色んな所で言及してますが、特にこの1993年は筆舌に尽くしが
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十階のモスキート(1983年製作の映画)

3.6

世の大人など、取るに足らぬ❗️
当時16才のガキだった私をここまで歪(いびつ)にしてくれた映画は、これでした。

崔洋一
「十階のモスキート」

マタンゴ(1963年製作の映画)

3.9

この作品を観たら、時々、平穏が怖くなる。
とてつもない地獄を隠している気がするから。

本多 猪四郎
「マタンゴ」

存在のない子供たち(2018年製作の映画)

3.9

(展開)でなく、幸福な(事件)を願って

ナディーン・ラバキー
『存在のない子供たち』

まずベイルートの街並みをスラム街の子供たちの躍動とシンクロさせるカメラワークが素晴らしい。

特に街全体の俯
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私立探偵濱マイク 名前のない森(2002年製作の映画)

4.2

昨年2022年に逝ってしまったふたつの巨星、ひとりは言わずと知れたジャン=リュック・ゴダール、もうひとりは駆け出し程度の映画青年にはまだ不透明な青山真治。

まだ醒めぬ夢の中であられもない言葉を綴る気
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死んでもいい(1992年製作の映画)

4.2

日本映画史上最も美しい流血場面がここにある


石井隆監督
「死んでもいい」

永瀬正敏さんが室田日出男さんに下した鉄槌でバスルームの壁に滴る血の場面。
何気なくこんな場面に遭遇した者の中にこそ未来の
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ハリケーン(1937年製作の映画)

4.4

世の中には法律よりも強い力が存在する

ジョン・フォード
「ハリケーン」

1950年10月22日のアメリカ映画監督協会の臨時総会。
ハリウッド史上悪名名高いいわゆる(赤狩り)の一場面です。

野球帽
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オリーヴの下に平和はない(1950年製作の映画)

3.2

髪の魔力
女優ルチア・ボゼーとマリア・グラツィア・フランチャ

ジュゼッペ・デ・サンティス

「オリーヴの下に平和はない」

傑作でも何でもない1950年製作のイタリア映画ですが主人公と悪党ふたりを図
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愛と殺意(1950年製作の映画)

3.8

例え99.5%の作品系譜を凌駕していたとしても処女作を無視すればその作家との関係は永遠に抽象的なままなのである。

ミケランジェロ・アントニーオニ
「愛と殺意」

自分が生まれる遥か以前に活躍していた
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無法者の掟(1948年製作の映画)

4.0

誰もが知っているピエトロ・ジェルミ、そして殆どの方々が知らないピエトロ・ジェルミ

ピエトロ・ジェルミ
「無法者の掟」

相変わらず無知を恥じる事を芸もなく繰り返しております。
映画好きなら「鉄道員」
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アモーレ(1948年製作の映画)

4.1

ひたすら愛を乞う事を全うした女優アンナ・マーニャ生涯が、そのまま被るような迫力



ロベルト・ロッセリーニ
「アモーレ」

餌を与えたわけでも呼んだわけでもないのに集まってくる山羊の群れに囲まれて、
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エル(1952年製作の映画)

4.4

いつものように貌からではなく、肢体から女に魅入られた歪な妄想が何と面白い事か。

ルイス・ブニュエル
「エル」

恋愛においても、友情においても、私たちは、相手が裏切ったように見えるときほど自分が激し
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

5.0

世の中には傷つく事だけを覚悟してのぞまなければならない映画もある

ヴィターリー・カネフスキー
「動くな、死ね、甦れ!」

自分自身が住む地方都市にも似た、学校や住宅地、商業施設を有した環境が一夜にし
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コーヒー&シガレッツ(2003年製作の映画)

4.0

観ている私たちを一気に若がえらせる魅惑

ジム・ジャームッシュ
「コーヒー&シガレッツ」

私たちは何も滑稽な場面に遭遇しなくても笑う時は笑う。
同時に急き立てられいるわけでもないのに焦ってしまう時が
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ショーン・オブ・ザ・デッド(2004年製作の映画)

3.5

(戦闘能力)を持たない私たち現代人には(対応)という素晴らしい武器があった!

エドガー・ライト
「ショーン・オブ・ザ・デッド」

逃亡チームが(七人)から始まるのがまた泣かせてくれます。

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ(2022年製作の映画)

3.5

私の言葉ではありません。
誰かの言葉です。

(世の中には3つのやり方がある。正しいやり方。間違ったやり方。そして俺のやり方)

このシリーズも9作目だそうです。
私は全て観たわけではありませんが、観
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