映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価 - 31ページ目

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

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おみおくりの作法(2013年製作の映画)

4.5

私は買わない ウベルト・パゾリーニ「おみおくりの作法」

作品として出来不出来を論じるつもりはありません。そしてこの作品に心打たれた、という人を否定するつもりもありません。でも私はどうしてもこの作品を
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白いリボン(2009年製作の映画)

4.7

星多くにしてどうしても推せない ミヒャエル・ハネケ「白いリボン」

見事なまでに国際映画祭から大歓迎されるハネケ監督作品です。そして私の中ではぴったりと対岸の位置におさまりました。ラース・フォン・トリ
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草原の輝き(1961年製作の映画)

-

エリア・カザンという時代に翻弄された大映画作家の晩年期作品。「草原の輝き」

初見です。

記録上ですがウォーレン・ビーティが初めて登場したんじゃないですかね?
そう考えると「エデンの東」のジェームズ
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アニー(1982年製作の映画)

4.0

せめて今はバカでなくて良かった・・ジョン・ヒューストン「アニー」

蓮實重彦御大が「バカにはこの面白さが分からない」と発言してました。

公開当時に観た時はワタシは少しアクビしてましたからバカだったん
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(1965年製作の映画)

-

世界のミフネの四つの貌を見比べて 岡本喜八「侍」

テレンスヤングの珍作「レッドサン」の黒田重兵衛がきらいなわけでもないし
小林正樹「上意討ち 拝領妻始末」の笹原伊三郎が悪いとも思えず
稲垣浩「戦
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ロミオとジュリエット(1968年製作の映画)

3.3

かの三島由紀夫をして フランコ・ゼフレッツィ「ロミオとジュリエット」

「シェークスピア作品となればどんな名高い作品でもアクビを禁じ得ない不謹慎な私であるがこのフランコ・ゼフレッリ作品だけは最後まで息
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ブリキの太鼓(1979年製作の映画)

-

本当は隠しておきたかったのですが実はさめざめと泣いてしまった映画というのがあります。 フォルカ―・シュレンドルフ「ブリキの太鼓」

年齢を重ねるごとに大した作品ではないと自覚しているのですがそれ故に最
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尼僧物語(1959年製作の映画)

-

ヘップバーンは決して振り返らない ジンネマン「尼僧物語」

こういう題材はともすれば冗長な伝記映画になりがちだが一瞬、一瞬ショットの垣間に見せるジンネマンの作家性がくっきりとした映画の貌となり2時間半
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鰯雲(1958年製作の映画)

4.8

実は世界最高水準の日本映画の誉れ 成瀬巳喜男「鰯雲」

世界に名を馳せているクロサワ、オヅ、ミゾグチでさえその遍歴の中には浮き沈みが潜在しておりますが出来不出来という表現を一切受け付けない稀有な映画作
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肉体の門(1964年製作の映画)

4.3

清順監督が撮れば全てがケレンに染まる  鈴木清順「肉体の門」

田村泰次郎の原作もこの風俗も今では古典域。
でもリアリズム(当時の日活の要求もあったんでしょうか?)と背中合わせに出したケレン味で辛うじ
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一条さゆり 濡れた欲情(1972年製作の映画)

5.0

何という逞しい昭和女性の生きざまか 神代辰巳「一条さゆり 濡れた欲情」

純度で言えば「赫い髪の女」方が高い事に異存はありませんが初期~中期のゴダール作品の街の風景のように大阪西成を画面に刻み込んだ姫
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赤い河(1948年製作の映画)

5.0

ホークスはもしかして100年後の観客を見据えていたかもしれない  ハワード・ホークス「赤い河」

その時、日曜洋画劇場で淀川長治があまりにも熱い語り口に圧倒されました。
当時小学生だった私が、です。
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花と蛇(1974年製作の映画)

3.4

小沼監督の活動屋魂の原点 「花と蛇」

後には「さすらいの恋人 眩暈」や「夢野久作の少女地獄」などの芸術的レベルの高い作品まで発表する小沼監督ですが70年代半ばには本当に職人気質バリバリで映画を純粋な
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ル・アーヴルの靴みがき(2011年製作の映画)

5.0

狂おしいまでに嫉妬させてくれる  カウリスマキ「ル・アーヴルの靴磨き」

幾人かの世界的監督がそれぞれ小津安二郎について語るドキュメンタリー、田中公義監督の「小津と語る」の中でアキ・カウリスマキは「自
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女囚さそり 第41雑居房(1972年製作の映画)

4.0

70年代の隠された貴重な映画的大事件のひとつ  伊藤俊也「女囚さそり 第41雑居房」

この作品は大好きです。伊藤俊也の作家性とは無関係です。二つのセリフだけで充分な主演女優の存在感梶芽衣子(当時25
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ナッシュビル(1975年製作の映画)

1.0

今後二度と観ることもあるまい。多分・・・アルトマン「ナッシュビル」

15歳くらいに一度観始めて30分で観るのを止めた。
23歳くらいに一時間くらいは観たと思う。
30歳こえたあたりにまたトライしたが
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人妻集団暴行致死事件(1978年製作の映画)

5.0

「ツイてない者」たちの切なすぎる連帯  田中登「人妻集団暴行致死事件」

田中登監督はこの作品を撮る前にまだ幼い愛娘さんを亡くしたと聞いた事があります。この作品に漂う切なさはその時の監督が抱えていた無
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赫い髪の女(1979年製作の映画)

5.0

70年代の日本映画界はまだまだ黄金期だったこと認識させてくれます。
神代辰巳「赫い髪の女」

今更言うに及ばず。
日本映画史に残る傑作中の傑作ですが神代年譜の中では比較的後半期だったんですね。
すでに
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(秘)色情めす市場(1974年製作の映画)

4.9

公開から43年。今なお色褪せぬ田中登の慈愛に満ちた眼差し。「㊙︎色情めす市場」

熱烈な日活ロマンポルノファンと憚ることなく公言しながらあまりに純度の高い作品に巡り合えばこちらの言葉を手加減抜きで奪っ
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ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

2.9

ファーストシーンでクライマックス?  チャゼル「ラ・ラランド」

ミッシェル・アザナヴィシウスの「アーティスト」の時にも見えた亡霊が漂っておるようです。
本場アメリカのミュージカル好きが本当に心から喜
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彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年製作の映画)

4.5

ゴダールを畏れるな 『彼女について私が知っている二、三の事柄』


公開から半世紀が過ぎようとしている本作ですがいまだ色褪せぬ神出鬼没ぶりです。
ゴダールを否定するのは容易かもしれませんが実行して
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東京公園(2011年製作の映画)

3.5

いい余韻ですね。青山真治「東京公園」

私生活が少し忙しく何をして眠くなる事が数日続いていたので映画から離れておりましたがやはり躰の中の蟲がざわめきはじめ、こんな時はどんな作品がよいものか?と思ってい
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ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区(2012年製作の映画)

4.4

何にも代えがたい貴重なオムニバス  「ポルトガル、ここに誕生す~ギマンライス歴史地区」

今後ありえない企画。実現させた製作会社globalstone RV films に敬意と謝意をこめて、恐ろしく
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トリコロール/赤の愛(1994年製作の映画)

4.2

キエンシロフスキが電話と周波数の捧げたオマージュ  「トリコロール 赤の愛」

携帯電話の普及はもしかしたら映画においては不幸だったのかもしれない。この作品を観ればそう思えてきます。

「声」を観る事
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トリコロール/青の愛(1993年製作の映画)

4.1

キエンシロフスキーが音符に捧げたオマージュ 「トリコロール 青の愛」

公開された時は観てません。ジュリエット・ ビノシュのポスターの表情が当時勤めていた職場の最もソリの合わなかった苦手女性上司に似て
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ポーラX(1999年製作の映画)

4.0

ひたすら哀しい  カラックス「ポーラⅩ」

ブレッソン「ラルジャン」羽仁進「初恋 地獄篇」ゴダール「勝手に逃げろ/人生」と並ぶありきたり過ぎるひたすら哀しい余韻。どんなにもがこうが苦しもうが世界は変わ
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RED/レッド(2010年製作の映画)

3.0

名優たちの軽いフットワーク 『RED』

凡庸な俳優ならその役者人生で一度あるか無いかの大仕事をいくつもこなしてきた名優たちがこれ以上にないくらいのB級活劇で暴れまくるさまは爽快さを越えて贅沢とさ
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わが青春のマリアンヌ(1955年製作の映画)

4.0

「名作」というカテゴリーから離れた面白さ デゥヴィヴィエ「わが青春のマリアンヌ」

クラシックは面白いですね。
この作品が「名作」じゃなかったのはデゥヴィヴィエにとって本当に良かったことだと思います。
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少年は残酷な弓を射る(2011年製作の映画)

1.2

映画が犯してならない禁じ手  リン・ラムジー「少年は残酷な弓を射る」

近頃観た「もうひとりの息子」以上に感じた映画の禁じ手があります。
寅さんのセリフじゃありませんが「それをやっちゃあおしまいよ」で
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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ(2007年製作の映画)

4.6

久しぶりに味わえた処女作の醍醐味 吉田大八『腰抜けども、悲しみの愛を見せろ』

もし映画にセリというものがあってプロデューサーとして自分が参加してるのであれば即買います!
既に『桐島〜』『紙の月』
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ピアノチューナー・オブ・アースクエイク(2005年製作の映画)

2.9

クエイ兄弟「ピアノチューナー・オブ・アースクエイク」

2008年この兄弟監督の作品が一気に特集上映されました。私が観たのはこの作品だけ。製作総指揮にテリー・ギリアムの名が入ってただけの理由で観ました
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マルメロの陽光(1992年製作の映画)

5.0

文字どおり陽光(ひかり)を求める映画~ビクトル・エリセ「マルメロの陽光」

この作品が公開された1992年。少し思い出してだけでも
日本映画では
「月はどっちに出ている」(崔洋一)「お引越し」(相米慎
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モーターサイクル・ダイアリーズ(2004年製作の映画)

3.5

革命家ゲバラと連動させてはならない~「モーターサイクル・ダイアリーズ」

実際に起こった出来事が題材の映画や実在した人物が主人公である映画ほど危険なものはまたとあるまいと思う。ともすれば映画外的な動き
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嘆きのピエタ(2012年製作の映画)

3.0

何が彼女と彼をさうさせるのか 『嘆きのピエタ』

このところ韓国シネマでケモノによく出会います。
何がケモノにさせるのかに明確に答える必要はもちろんありませんがこちらに隔りをいささか感じてしまうのは
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オペラ座の怪人(1925年製作の映画)

4.0

偉大なる映画先人たちに敬意をこめて  ルパート・ジュリアン「オペラ座の怪人」

ただ一言、サイレント映画は熱い!

もうひとりの息子(2012年製作の映画)

3.0

「もうひとりの息子」

人の顔がすぐに覚えられない頭の悪い私は物語自体はそんなに複雑じゃなくても登場人物の相関図がスムーズに組み立てられなくて苦労するときがままあります。
演じる俳優さんたちがすべて初
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