映画漬廃人伊波興一さんの映画レビュー・感想・評価 - 8ページ目

映画漬廃人伊波興一

映画漬廃人伊波興一

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にがい米(1948年製作の映画)

4.3

演技の巧い下手だの誰にも言わせぬ堂々とした艶っぽさ。それこそがイタリア女優の魅力

ジュゼッペ・デ・サンティス
『にがい米』

(その映画)が面白くなるためにはさして多くのものは必要ではない、と思った
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招かれざる客(1967年製作の映画)

3.6

久しぶりの剛速直球

スタンリー・クレイマー
『招かれざる客』

どんな変化球もストレートが決まった時の音には追いつかない。
『招かれざる客』はそんなストレート剛速直球の音が響くほど決まった映画でした
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白い酋長(1951年製作の映画)

3.6

フェリーニが(巨匠)になる前

フェデリコ・フェリーニ
『白い酋長』

巨匠の作品は(巨匠)になる前が一番面白い❗️

満月の夜(1984年製作の映画)

4.4

エリック・ロメール
『満月の夜』

本命の恋人を差し置いて、妻子持ちの男性や年下のイケメンを相手に昼夜を共にするヒロイン、パスカル・オジエの、いつ果てるとも知れない奔放さに、私たちはじっと視線を送りな
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ツリー・オブ・ライフ(2011年製作の映画)

-

ミスター、テレンス・マリック、あなたに映画を愛してるとは絶対に言わせない💢

『ツリー・オブ・ライフ』

ヘイトフル・エイト(2015年製作の映画)

3.9

その訃報から2か月、ようやく言葉に出来るほど落ち着きました。
偲・エンニオ・モリコーネ

クエンティン・タランティーノ
「ヘイトフル・エイト」

早寝早起き。終生愛妻家。大の甘党。バイオレス嫌い。リベ
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ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

3.6

毎年、新進気鋭の才能が現れる喜びと同じ位に、その長いキャリアに裏付けされた玄人の誇りに満ちた仕事は頼もしい限りです。

廣木隆一
「ここは退屈迎えに来て」

80年代のピンク映画時代からの作品全てを観
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草の上の昼食(1959年製作の映画)

4.9

人類の叡智が(人工授精)という手段で生命の生誕まで介入しようとも、偉大なるピエール=オーギュスト・ルノワール画伯からの遺伝子まで操作出来る訳ありません。

ジャン・ルノワール
「草の上の昼食」

映画
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子供たちは見ている(1942年製作の映画)

4.2

どんな作家にも、今後この作風で生きていくに違いないと、観ている私たちに理屈抜きの確信をもたらす作品があると思う。

ヴィットリオ・デ・シーカ
『子供たちは見ている』

『子供たちは見ている』という映画
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アフリカの光(1975年製作の映画)

3.4

強いはずがナイが弱いばかりではナイ。
善いわけがナイが悪いともいえナイ。
気にならナイが無視出来ナイ。
だから?とナイナイづくしが続けば、
『恋人たちは濡れた』の名台詞
(みっともナイって嫌いでナイ)
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ラヴ・ストリームス(1983年製作の映画)

4.6

(破戒僧と行脚僧)の禅問答の如き141分が、あらゆる意味でサスペンス、アクションと化してあっという間に駆け抜けていくのだからただ事ではありません。

ジョン・カサヴェテス
『ラヴ・ストリームス』

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雲の中の散歩(1942年製作の映画)

3.2

最後のワンショットに全ての底意が込められている。

アレッサンドロ・ブラゼッティ
『雲の上の散歩』

ジェームズ・クラベルの『いつも心に太陽を』のように、その呆気なさでそれまでの感傷全て吹き飛ば
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王様のためのホログラム(2016年製作の映画)

2.9

女性たちへの戒律の厳しいサウジアラビアの地を舞台に、(素肌)をもっとも美しい衣装としてキャメラにおさめるこの大胆さを、陽炎の如き世迷い言としても、今は心地よく受け止めておきたい、と思うのです。

トム
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パンと恋と夢(1953年製作の映画)

4.2

観終えた後には、すっかり締まりのない自分の顔つきが出来上がってしまう。そんな映画です。

ルイージ・コメンチーニ
『パンと恋と夢』

まだ未見ならば観る前の貴方のお顔をスマホで写真に撮っておいて下さい
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金曜日のテレーザ(1941年製作の映画)

4.4

男盛りで輝く俳優ヴィットリオ・デ・シーカに触れた喜びを多くの方々に報告したい

「金曜日のテレーザ」

現実の視覚的な再現を超えた不思議な喜びを約束してくれる作品がそこに存在する以上、既に数百本、数千
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ウィンストン・チャーチル /ヒトラーから世界を救った男(2017年製作の映画)

3.4

最悪の戦況の中でさえ、きっぱりノーと言えた政治家。

ジョー・ライト
『ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男』

ヒトラーがチャーチルを恐れた理由は自分と紙一重だったからでしょうか。

サテリコン(1969年製作の映画)

3.8

いつか観ようと気づけば30年
フェデリコ・フェリーニ『サテリコン』

真夏の夜に相応しい。

頭が瞬間冷却するくらいに冷えたビールと日本酒と共に焼肉をたらふく食らった後、ウオッカを呑みながら観てました
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殺人カメラ(1952年製作の映画)

4.5

このコメディが『神の道化師 フランチェスコ』と『ヨーロッパ一九五一年』の間に撮られたと知れば、何やら慄きを禁じえません。

ロベルト・ロッセリーニ
『殺人カメラ』

ついに観た❗️
今はただ生きている
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フェリーニのローマ(1972年製作の映画)

3.8

いつか観ようと思って気がつけば30年。

フェデリコ・フェリーニ
『フェリーニのローマ』

撮っている監督自身がいちばん気持ち良さそう。
撮影車の滑走場面とラストのバイク集団、いいですね。女性の嗜好は
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シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)

4.4

光と闇は紙一重。
どちらも深みに嵌まれば道に迷います。

ベルナルド・ベルトリッチ
『シェルタリング・スカイ』

若い頃はヴィットリオ・ストラーロ撮影の紅彩の砂漠が広がる後半部にのめり込みましたが、こ
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オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

4.2

さながら悪意のごとき振る舞い。そこから生まれる痛みこそが私たちを深みに至らせる。その深みが何と気品ある慈愛に満ちたことか

ジョン・カサヴェテス
『オープニング・ナイト』

皆が皆、同じようにマートル
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真珠湾攻撃(1943年製作の映画)

4.2

戦争が人間の極限の(矛盾)であるように、映画もまた極限の(矛盾)を表す事があると思う。

でもそんな(矛盾)の終わりは、勝敗や、善悪を超えた所で起きる。

そうでなければ、敵対大国のプロパガンダ映画か
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サウルの息子(2015年製作の映画)

3.5

鬱蒼とした密林からの奇襲にも似た野蛮な画面が、息つく暇もなく連鎖していきます。
それでも最後まで主人公の背中に追陪しえたのは、監督が自らの力業を信じきった処女作ならではの大胆さゆえでしょうか。

ネメ
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ザ・ヤクザ(1974年製作の映画)

3.0

高倉健をして(義理)を(重荷)と言わしめた。

シドニー・ポラック
『ザ・ヤクザ』

この方の監督作品のほとんどを、欠伸を禁じ得ないまま観終わってしまう不謹慎な私です。
中でもタイトルからして一番観る
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バーン・アフター・リーディング(2008年製作の映画)

3.9

この映画の本当の恐ろしさは執拗につきまとう異様な明るさの中にある。

コーエン兄弟

『バーン・アフター・リーディング』

同じ年に公開されたクリストファー・ノーランの『ダークナイト』でクリスチャン・
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コレヒドール戦記(1945年製作の映画)

3.8

公称129本の監督作品のうち、せめて半数以上観た、と堂々言える人が日本どころかアメリカにも何人いる事か?
フォードが未知の作家なのも当然です

ジョン・フォード
『コレヒドール戦記』

海上戦の迫力、
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家族の波紋(2010年製作の映画)

2.1

かける言葉が見つかりません

ジョアンナ・ホッグ
『家族の波紋』

私は劇場で観てませんが、劇場で座ってた方々は、愛想尽かせた家政婦と一緒に出て行きたかったのではないでしょうか?

狼は天使の匂い(1972年製作の映画)

3.3

フランス犯罪映画をホームドラマに変えた背任行為も(巨匠)が本能に即して撮った(戯れ)と見れば、これまた滅法面白いものです。

ルネ・クレマン
『狼は天使の匂い』

緑の光線(1986年製作の映画)

4.1

例え一定の条件が整わなければ発光しないほど稀有であったとしても、自然光学現象に立ち会えた事が奇跡なのではない。
全ては(予感)だけがもたらす僥倖という現象に立ち会えた事が奇跡なのです。

エリック・ロ
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いぬ(1963年製作の映画)

4.5

枯渇しない源泉が刻む独特のリズム

ジャン=ピエール・メルヴィル
『いぬ』

トレンチコートに中折れ帽を被ったセルジュ・レジアニが高架下ガードを足早にツカツカ音をたてて歩く姿を見ただけで、『ボルサリー
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ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年製作の映画)

4.1

絶対に叶うはずもない出会いのエピソードが、一本の映画と、一人の映画作家の作品群を通して綴られる。
そんな無念の呟きが零れ落ちて仕方ありません。

ウェス・アンダーソン
『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』
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独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)

2.1

推して知るべしは、手前勝手な(独裁者のなれの果て)ではなく、手前勝手な(映画のなれの果て)にある。

モフセン・マフマルバフ
『独裁者と小さな孫』

せめてもの救いは、自分を取り巻くありようがあっとい
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グランド・ブダペスト・ホテル(2014年製作の映画)

3.8

何度も見ている筈の豪華キャスト陣全てが、まるでこの映画が(出世作)のように初々しく見紛う魔法の秘密は一体どこにあるのか?

ウェス・アンダーソン
『グランド・ブダペスト・ホテル』

下手にアカデミー賞
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ラストキング・オブ・スコットランド(2006年製作の映画)

3.2

観ることへの躊躇いがなかなか断ち切れない映画ってあります。

ケヴィン・マクドナルド
『ラストキング・オブ・スコットランド』

(思っていたよりも悪くなく)仕上げいる所にケヴィン・マクドナルドという初
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.1

(出涸らし)と思われていた鉱脈に、それまで気づかなかった源泉が再び湧いた瞬間に立ち会わさせてくれたような興奮です。
ひとときの錯覚かもしれませんが、それが当時32歳の若い才能によってもたらされた事実に
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ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

3.2

既存しない生態系で擬人化した生きものの争い。

デビット・クローネンバーグ
『ヒストリー・オブ・バイオレス』

身近にコアなフリークが多数いたとしても、どうしても嗜好が合わぬ作家がどなた様にもいると思
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