かわさきさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

かわさき

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幸せをつかむ歌(2015年製作の映画)

4.0


 脈絡のない邦題(稀に出会う広告代理店のクソ仕事)と、日本のポップカルチャーのガラパゴスぶりによって誤解されている作品である。

 今作が持つ、「現行ロック」に対する批評性は凄まじい。現在において、
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アバウト・タイム 愛おしい時間について(2013年製作の映画)

3.8


 死ぬほど疲れているときにこの映画を観た。NYに飛ばされ、香港に飛ばされ・・・。仕事だったので観光なんぞに時間を費やせるはずもなく、どっさりとした疲労感だけが体に蓄積されてゆく。肉体的な疲弊は精神を
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グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち(1997年製作の映画)

-

 ずっと宝物のような作品だった。初めてこの映画を観たのは高校生の頃で、当時はまぁまぁ自分に自信があった。もちろん、今の自分にも周りと比較して相対化できるところはあるけれど、あの頃のような向う見ずな自分>>続きを読む

スワロウテイル(1996年製作の映画)

3.5

 良くも悪くもアニメ的な作品だと思う。「アニメーションで動くスワロウテイルのヴィジョンは当時からあった」と岩井俊二本人が語るように、本作の世界観は、根本から現実とは乖離したものだった。

 だから、こ
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ビル・カニンガム&ニューヨーク(2010年製作の映画)

4.3

 圧倒的情熱。圧倒的執着。圧倒的求心力。

 ファッション業界において、圧倒的な存在感を放つビル・カニンガム。あのアナ・ウィンター(米版ヴォーグ誌編集長)をして、「私たちはビルのために服を着るのよ」と
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スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

3.9

 今話題のドナルド・トランプ氏には、ロジックめいたものが一切ない。思いつきで言葉を発し、「ポリティカル・コレクトネス」なんて別世界の話だ。

 「人間なんてそんなもんスよ」と仰るのが、ハーモニー・コリ
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

3.9

 ゲイリー・クラーク Jr.が出ているという事を全く知らずに鑑賞したもんだから、彼の登場シーンには大いに感激した。2回ぐらい生で観てるけど、やっぱりこの人の演奏はカッコイイです。

 グルメ映画として
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ボウリング・フォー・コロンバイン(2002年製作の映画)

3.9


 マイケル・ムーアが、知性とパンク精神を武器に無双するドキュメンタリー。

 アメリカの銃規制問題を、様々な角度から考察する内容。局地的な見方(失業率や銃の保有率)では、この問題は解決しない。そこで
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君が生きた証(2014年製作の映画)

-

 なるほど・・・。

 なるほど(迫真)。音楽が破滅的に自分の好みに合わなかったのは、ひとまず置いとくとして、お話の部分には評価が出来ません。主人公は一貫して、今作のパッケージに写っているサムだ。視点
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ウォーリアー(2011年製作の映画)

3.6


 期待値メーターが振りきれてたかもしれない。確かにエンタメとしては良い出来なのだけど、少々モヤモヤも残ってしまった。

 私は格闘技についてはニワカもいいとこだが、さすがにちょっと「待った」をかけた
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きみはいい子(2014年製作の映画)

4.8


 私的オールタイム邦画ランキングにランクインするやもしれぬ・・・。子供に関する諸問題を考えるきっかけになっただけでなく、自分の過去を顧みることにもなった。

 これほど多角的に子供周辺の世界を切り取
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ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年製作の映画)

3.6


 予想以上にベルセバ映画だった。私は、全アーティストの中で彼らが16番目(50番目あたりまではこの身を捧げられる)ぐらいに好きなので、大いにキャッキャさせてもらった。マードック先生がベル&セバスチャ
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8月の家族たち(2013年製作の映画)

4.0


 メチャクチャ良い映画やんけ・・・。

 演技どうこうじゃなくて(いや演技もすごいんだけど)、この映画で描かれる家族の瓦解、その過程から結末までの鮮やかなストーリー・テリング。いやはや実に痛々しい!
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プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命(2012年製作の映画)

4.2


 せっかくBon Iverが日本に来るというのに、大阪公演のチケットはまだ余っているとな!?初来日やぞ!ジャスティン・ヴァーノンを生で観た経験が私の唯一の自慢だったが、この事態には少々焦燥感を覚える
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ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人(2008年製作の映画)

4.4


 編集者、ライター、キュレーター、ディレクター等々の、アーティストを支える側の仕事に就いている人は須らく観るべき。拝金主義が蔓延る昨今のクリエイティブ業界において、何が本当に大切なのかを気付かせてく
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なんちゃって家族(2013年製作の映画)

4.1

 クソ下品で、ファッショナブルで、テンポの良い笑いの中に、アメリカのポップカルチャーの成熟を見た。

 日本国民がほぼ全員わかるようなサブカルの話題って、何があるだろうか。『暗殺教室』の松井優征は、ま
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しあわせへのまわり道(2014年製作の映画)

3.5

 イザベル・コイシェは、きっと凄く勉強が出来て、とんでもなく真面目で、慈愛に溢れた人なんだろうな。彼女の作品を観ていると、勝手にそんな人物像が出来上がる。

 難しいことを難しく語る嫌味もないし、たま
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アクト・オブ・キリング(2012年製作の映画)

4.5

 レビュー100本目はコレにしよう。

 個人的な意見なのだけど、この映画がフィクションなのかノンフィクションなのかという議論は、あまり意味がないように思う。そもそも100%の純度で歴史を再現するのな
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わたしに会うまでの1600キロ(2014年製作の映画)

2.9


 映像表現としては相当クオリティが高い。道程を行くほど、明らかになるシェリルの過去と葛藤。それを白昼夢的な描写でスクリーンに映し出してゆくわけだが、これがまー上手い。『ダラス・バイヤーズ・クラブ』で
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JIMI:栄光への軌跡(2013年製作の映画)

2.0

 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ⑥

 時間的な余裕もあまりないので、このシリーズもここらで止めておこう(笑)まだまだ観ておきたい作品は一杯あるんだけど、とても全部はカバー出来そ
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ビーツ、ライムズ・アンド・ライフ ア・トライブ・コールド・クエストの旅(2011年製作の映画)

4.0

 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ⑤

 思えば、ATCQを初めて生で観たのもサマソニだった。2010年のラインナップには直前までブーブー文句垂れてたんだけど、終わってみれば大満足
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ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

-

 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ④

 ディアンジェロが“Black Messiah”で、ケンドリック・ラマーが“To Pimp A Butterfly”で表現したかった全てがこ
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ブロック・パーティー(2006年製作の映画)

4.6

 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ③

 シリーズの最後に取っておこうかと思ったけれど、我慢出来ず何年連続何度目かの鑑賞。監督がミシェル・ゴンドリーということを忘れるほど、ミシェル
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スライ・ストーン(2015年製作の映画)

3.0

 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ②

 あれ、想像してたのと違う(笑)
 スライの音楽性を通してブラック・カルチャーに焦点を当ててゆく、音楽ドキュメンタリーとしては王道的な展開を
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ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男(2014年製作の映画)

4.1


 ディアンジェロの再来日にワクワクが止まらないシリーズ①

 来る3月28日(月)、昨年のサマソニで多くの人を熱狂させたディアンジェロ&ザ・ヴァンガードが待望の再来日を果たす。もう今から楽しみで仕方
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博士と彼女のセオリー(2014年製作の映画)

3.7

 ※映画の本筋とは関係のない話をします。

 もはやしたり顔で語れるものではなくなったアイスランド・ミュージック。ビョークやシガーロスが好きだと言って、「ふふっ」というリアクションが返ってくる世の中に
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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.3

 今更かい!と自分でツッコミたくなるほど今更である。公開当初、自分の周りではあまりにも賛否が分かれていた。何かに評価を下す人達は憤慨し、前に出て表現する側は大絶賛。この状況が面白くて、自分もそのうち観>>続きを読む

アリスのままで(2014年製作の映画)

3.6


 この手の映画は時にホラーよりもずっと恐ろしいので、ビビリな私は基本的にスルーしてしまう。映画で描かれる病状に少しでも心当たりがあれば、次の日にでも病院に駆け込みたくなるほどだ。ゆえに、「本当は怖い
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白夜のタンゴ(2013年製作の映画)

3.8


 最近、「カルチャー」という言葉を真面目に考えるようになった。音楽(主に洋楽を扱う)系のメディアで記事を書いていると、如何にして向こうの文化を日本風に噛み砕くかというところで大変苦戦する。今までに日
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浮き雲(1996年製作の映画)

4.2


 生きるのにつらくなったら、カウリスマキ先生に処方箋をいただくことにしている。

 舞台は90年代のフィンランド。不況にあえぐ人々の奔走を描いた物語だ。カティ・オウティネン演じる主人公の不遇には目を
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世界の果ての通学路(2012年製作の映画)

3.6

 もしどこかで暇が売られているのなら、今ならそこそこの額(全然お金持ってないけど)を出せそうです。俺はもっともっと映画を観たいんや。貧乏暇なしとはよく言ったもんです。あー、大学生らしい生活を送りたい。>>続きを読む

偽りなき者(2012年製作の映画)

4.0

 ラース・フォン・トリアーと言い、トーマス・ヴィンターベアと言い、デンマーク人は何故皆こうもサディスティックなのか(笑)。ドグマ95の人たち怖いです。

 恐ろしい映画である。緻密に計算された脚本によ
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ガンモ(1997年製作の映画)

3.6


 映像がとにかくスタイリッシュである。ハリケーンが直撃した街の退廃的な部分を映し出しているが、なぜか洗練された美しさを見出してしまった。シンナーや売春、猫殺し・・・。下劣極まりない描写なのだが、理屈
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ある子供(2005年製作の映画)

3.8


 
 こちらの作品も、ダルデンヌ兄弟の少年・少女に対する思いを十二分に感じることが出来る。子供は、どの段階で大人になるのだろうか。年齢が18歳に達したとき?大学に進学したとき?親元を離れたとき?ある
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息子のまなざし(2002年製作の映画)

4.3


 ダルデンヌ兄弟の映画には、丁寧な説明が一切ない。音楽で場面を強調したり、何かメッセージを付与することもない。彼らの作品では、観客側に能動的な態度が求められる。ともすればカメラ酔いしかねない画面から
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ヴィジット(2015年製作の映画)

3.4

 本作を観たのは随分前だが、ここ最近は忙しかったもので、なかなかフィルマークスに入れなかった。細かい部分が抜け落ちているかもしれないが、出来る限り思い出しながら綴ってゆきたい。
 
 実はとてもモヤモ
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