静かな鳥さんの映画レビュー・感想・評価

静かな鳥

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架空OL日記(2020年製作の映画)

4.7

好きしかなかった。これもうずっと見ていられるくらい好きだな、と思った。『サタンタンゴ』ぐらいの尺あっても全然いいのに。観終えてしまった今は多幸感に包まれつつも、なんかちょっとさみしい。

私の愛してや
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.4

外面はホラー映画というよりフェス映画では? お祭りなので豪勢にも熊ちゃん出てくるし、何なら抽選のガラガラも出てくる。地獄のような出来事が次々と巻き起こるにも関わらず、観終わる頃には清々しい気分。アリ・>>続きを読む

初恋(2020年製作の映画)

3.7

【試写会にて】
これぞ三池崇史。評価の色ムラ激しい三池作品群だが、今回はオリジナル企画で「やりたいことを存分にやってやった」やつだ。本気出した三池の面目躍如。即物的なバイオレンス、悪趣味ギャグ、素っ頓
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ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019年製作の映画)

4.2

本作の舞台となる邸宅の客間にて存在感を放つ巨大なオーナメント。窓際の椅子の背後に配置された円形のそれには、夥しい数のナイフが取り付けられ、刃先はいずれも円中央の"空白の一点"に向けられている。その──>>続きを読む

I Am Easy To Find(原題)(2019年製作の映画)

4.4

マイク・ミルズによるショートフィルム。ひとりの女性が生を受け、成長し、老いて死を迎える──その生涯を25分弱で描ききる。

幼い頃から老年期までの全てをアリシア・ヴィキャンデルただひとりで(それもナチ
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町田くんの世界(2019年製作の映画)

4.0

半年ぶりに町田くんに会いに行った。やっぱすごいよ町田くんは。汗を流しひたすら愚直に走り続ける彼の姿は、いつ見ても輝いている。

町田くん(細田佳央太)は誰に対しても優しく、誰に対しても一生懸命な人だ。
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

3.7

【試写会にて】
反戦映画と一言で言えどその切り口は千差万別だが、本作は緩やかなユーモアと風刺がふんだんに盛り込まれたハートフルコメディとしてパッケージングされている。第二次世界大戦下のナチス・ドイツに
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街の上で(2019年製作の映画)

4.9

なんでこんなに心地いいんだろう、愛おしいんだろう。大好きだな、幸せだな、終わらないでほしいな。そう思いながらスクリーンを見つめていた。とにかくあまりに好きすぎて、あの時感じていた愉しさをまだ身に纏って>>続きを読む

蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

4.1

鍵盤の上の闘い。繰り広げるのは、ピアノコンクールに集った若き4人のピアニストたち。本当の天才同士は小競り合いみたくありきたりで安っぽいことは決してしないし、肥大化したライバル心から互いに険悪な空気にな>>続きを読む

宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.0

生きている。
スクリーンの中で、憎み合い、愛し合い、ぶつかり合う男と女。ギリギリまで身も心もすり減らし、今にも倒れてしまうのではないか、というほどの目まぐるしい熱量と勢い。生身の人間が生きている、とい
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.8

ちょうどいい。
背伸びをするでもなく、型に無理やり押し込めるでもなく、自分に一番しっくりくる丈のような。心地よくゆるゆると馴染んでいくような。そんなちょうどいい温度感。このこぢんまりさが自分は好きだ。
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.5

1969年のハリウッド。
自分は正直その当時の映画をあまり観てはいないし、特に知識があるわけでもない。ただ、この作品を観ている間常に感じていたのは「懐かしさ」だった。ロサンゼルスの街並み、映画スタジオ
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トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)

3.3

これ以上は望めないほど完璧なフィナーレを迎えた『トイ・ストーリー3』から9年。今になって無理に続編を作っても、それはただの蛇足になってしまうのでは…という懸念が心の中にあった。刻印された『3』のナンバ>>続きを読む

ワイルドライフ(2018年製作の映画)

3.9

とある家族の肖像。
父と、母と、14歳の息子。一つのことがきっかけでその家族の形は、静かにゆっくりと歪み始める。父と母の不和、淀んだ空気の纏わりつく食卓、崩れゆく関係性。それぞれの事象を、息子である少
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COLD WAR あの歌、2つの心(2018年製作の映画)

3.3

冷戦下、十数年にわたってつかず離れずを繰り返す一組の男女。暗転とともに、舞台を幾度となく転換しながら語られる二人の歴史。90分にも満たないこの小さな物語は、非常にパーソナルな手触りがありつつも、作品全>>続きを読む

遭難者(2009年製作の映画)

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『女っ気なし』のプロローグとなる短編。こちらも兎に角ヴァンサン・マケーニュがかわいい。やさしさが空回りする切なさとおかしみ。『女っ気なし』とは対照的に、本作が彼の"日常"を切り取ったものなのだろう。>>続きを読む

女っ気なし(2011年製作の映画)

4.5

"女っ気なし"の前に"毛なし"であるシルヴァン(ヴァンサン・マケーニュ)が、ひたすらに尊い。さえない男のルックスのはずなのに、観終える頃には彼のことをとびきり愛おしく思っている。彼は本当にやさしい人だ>>続きを読む

凪待ち(2019年製作の映画)

3.2

【試写会にて】
白石和彌監督といえば『凶悪』は好きだが、それ以降の作品(『麻雀放浪記2020』は未見)はどうにも煮え切らない思いを抱えて劇場を後にすることが多かった。いや、別に悪い作品ではないんだけど
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勇者たちの休息(2016年製作の映画)

-

自転車って不思議な乗り物だよな、と観ながら考えていた。ハンドルを握り、足でペダルを踏み込むと、風を頰に感じながら自転車は前へ前へと進んでいく。まるで自分の身体と自転車が一体化しているような、そういう奇>>続きを読む

7月の物語(2017年製作の映画)

4.4

夏。湿り気のあるパリの陽光。ヴァカンスの柔らかな喧騒。画面を覆う深緑色に息づいた木々と、浮き立つ若い男女たち。飾り気のないショットで捉えられた他愛もない1日。それぞれ独立した二部構成の物語は、全編にわ>>続きを読む

スノー・ロワイヤル(2019年製作の映画)

3.5

「息子を殺された父親がキレて復讐に燃える」という"いつもの"リーアム・ニーソン映画の最新作──ではあるのだが、本作はこれまでのとちょっと毛色が違う。 アクションシーン自体は比較的少なめで、いい意味で肩>>続きを読む

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)

3.2

【試写会にて】
「あの湯浅政明がこんなにどストレートなラブストーリーを作るなんて!」という驚きがまず始めにある。予告編の時点で既に画面から溢れんばかりに漂う"リア充"感。それを心の狭い私は「けっ」と心
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いちごの唄(2019年製作の映画)

2.9

【完成披露試写会にて】
脚本=岡田惠和で、キャストが古舘佑太郎、和久井映見、光石研、泉澤祐希、宮本信子、そして峯田和伸って、それもうほぼ『ひよっこ』じゃん!と観る前から思っていた作品。銀杏BOYZ(峯
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オーヴァーロード(2018年製作の映画)

3.8

第二次世界大戦下の戦争ものとして幕を開けた物語が、中盤からオカルティックなスリラーへと変貌していく。如何にもJ・J・エイブラムスらしいB級テイストな要素がふんだんに盛り込まれつつ、予算の使い方が上手い>>続きを読む

荒野にて(2017年製作の映画)

3.5

果てしなく広がる荒野にて。
貧しいゆえ恵まれた生活とは到底言えないが地道に働き慎ましく生きる、父と二人暮らしの16歳の少年チャーリー。だがある時を境に彼は大切な居場所を失い、世界の淵へ追いやられてしま
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.2

【完成披露試写会にて】
打ちのめされた。まだうまく言葉にできない。
オナニーと性欲と鬱々とした日常と血と暴力とセックスと衝動と生と死と…登場人物たちの剥き出しの感情が、ぐちゃぐちゃに混ざり合い、渾然一
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検察側の罪人(2018年製作の映画)

3.9

【試写会にて】
「正義」という言葉は、人によってその捉え方や定義が異なるものだ。ある者にとっては罪を犯すことさえもが正義になり、また、ある者にとってはその正義自体が罪になる。では、正義は何処まで許され
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未来のミライ(2018年製作の映画)

2.8

こんなヘンテコな話になっているとは思いもしていなかったので、正直かなり戸惑っている。
制服姿の女の子と幼い男の子が、入道雲をバックにして浮かんでいる夏らしいポスター。"時空を超えた出会い"という『時を
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ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

3.6

現実は残酷だ。
世の中において私たちは「普通でいること」を暗に求められ、その曖昧かつ不明瞭な「普通」の定義からあぶれてしまった人間は好奇の目に晒される。学校という場所では尚更。高校生の自分には身に覚え
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

3.6

一仕事終えた「男」がタクシーに乗っている最中、運転手は歌を口ずさんでいる。男には、口の動きから運転手がこう言っているように見える。
"You were never really here.(あなたは本
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万引き家族(2018年製作の映画)

4.5

鑑賞してから2週間弱経った今でも、ふと気づくと本作のことを考えている自分がいる。細野晴臣(!)による優しく繊細で、どことなく不可思議に変容する劇伴を頭の中でリピートしながら、私は彼らのことを思い返す。>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

3.4

"警察じゃけぇ、何をしてもえぇんじゃ"
本作鑑賞後、大上章吾(役所広司)を真似て声に出して読みたくなるこの台詞。「警察」の部分を「映画」に変換すれば、本作のことを端的に示す一文になる。
やれコンプライ
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.1

はちゃめちゃに面白い。
オリンピックに2度出場し、女性選手として史上2人目のトリプルアクセルに成功したフィギュアスケート選手、トーニャ・ハーディングの数奇な半生を描いた本作。世代の違いもあって自分は彼
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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー(2018年製作の映画)

3.2

最初に言っておかなければならないのだが、自分はマーベル作品に少なからず苦手意識がある。DC作品も同様なので、そもそもスーパーヒーローものとあまり反りが合わないみたいだ。申し訳ない。それ故にこれまでのM>>続きを読む

リズと青い鳥(2018年製作の映画)

3.8

劇中、吹奏楽部顧問の滝先生がこんな事を言う。「音を合わせる時、楽譜には書かれていない間合いが大事だ」と。
本作は、そんな"間合い"を徹底的にクローズアップし、「あなた」と「わたし」といったあまりにもミ
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.8

映画やアニメ、ゲームといったエンタメを愛する者たちに、そして何よりも今「現実」を生きる私たち全員に贈る、スピルバーグからのプレゼントのような映画。70歳を超えてもなお、このような作品を作れる彼は[オア>>続きを読む

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