タカシサトウさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

タカシサトウ

タカシサトウ

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十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

3.9

[人を裁く怖さ]

 ここまで面白く、緊張感の続くドラマであったとは。
 
 ほぼ一室だけで、でも、どんでん返しもあるし、どんどん変わっていくという迫力もある。陪審員のそれぞれのその人も、その人
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脱出(1944年製作の映画)

3.5




ハンフリー・ボガートとローレン・バコールの、まさに二人の為の映画

三つ数えろ(1946年製作の映画)

3.6

[絶妙なコンビの二人]

 ローレン・バコールが登場するシーンといい、ハンフリー・ボガートとのラヴシーンといい、美しい。 ローレン・バコールはこの上なく美しい。

 プロットが入り組んでいるので、
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早春(1956年製作の映画)

3.7

[底にある“死”]

 なかなか良かった。

 昌子の淡島千景が池部良の夫を待つ欝々感と、夫婦のすれ違いが、微妙に描かれる。そして、サラリーマンになって何十年も働いて、それが一体何になるんだ、とい
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プリズナーズ(2013年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

[最後はケラーがプリズナー?]

 最後の最後までハラハラし、なかなか良かった。誰が犯人か分からず、疑わしいものが次々変わってく展開がハラハラした。

ケラーをやったヒュー・ジャックマンの、切れ
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

3.4

[“木暮実千代”中心の話]

 何と言っても木暮実千代の妙子が、佐分利信の夫:佐竹を責め続ける様が圧巻。佐竹の食べ方から、姪の見合いを手助けしなかったことまで、怒って佐竹に当たり続ける。

 それ
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東京暮色(1957年製作の映画)

3.6

[陰鬱な雰囲気が強烈な印象]

 ゴタゴタした脚本。明子の有馬稲子がちょっと鼻に付く。明子が、自分はいったい誰の子かと言って聞き回った挙句に、若い男に失望して跳び込む所が突飛過ぎる。

「彼岸花」
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ノーカントリー(2007年製作の映画)

3.7

[殺しが当たり前の世界、それがアメリカ]

 保安官ベル(トミー・リー・ジョンズ)を通して、古き良きアメリカは、決定的に失われてしまったことを語っていく。

 そして、あまりにはまっている殺し屋の
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ファーゴ(1996年製作の映画)

3.7

[グロテスクなクライムコメディ]

 些細な、ちっぽけな犯罪が、とんでもないことに。犯罪者の間抜けぶりに終始イライラして観る。

 しかし、カールのスティーヴ・ブシェミのあの“へんな顔”は一度見たら
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リービング・ラスベガス(1995年製作の映画)

3.6

[ニコラス・ケイジが行く所まで行く]

死ぬまで飲む。
怖さよりも狂気。
ニコラス・ケイジが、死ぬ所まで描くのが逆にいい。
彼は、この頃が一番良かったのかも。(2001.1.27)

月の輝く夜に(1987年製作の映画)

4.2

[イタリア風の人生讃歌]

少し元気になれる。
持って行かれた感じ。
イタリア風家族のハッピーエンド。
シェールもとってもいい 。(2011.1.30)

レザボア・ドッグス(1992年製作の映画)

3.8

[迫力と斬新さあり]

 一気に撃ち合う終盤幕切れでの迫力と、この映画の構成自体の斬新さは、驚くべきものがある。ひたすら主人公の強盗達の会話で場面を繋いでいくのが面白い。しかも、強盗の場面がない。悪い
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

3.8

[絶妙な脚本]

 何でもないくだらない話の繋ぎと思いきや、ユマ・サーマンのミアがヤクでぶっ倒れてからのシーンは最高に盛り上がるし、ブルース・ウィルスのボクサー:ブッチが逃げのも可笑しい。もちろんジ
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秋日和(1960年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

[母も女性も強い]

 「晩春」が娘を嫁にやる父親の喪失感を痛烈に描いていたなら、こちらは、娘を嫁にやる顛末と母親の寂しさを描いている。

 しかし、その母親秋子の原節子は、「晩春」で父親の笠智衆
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万引き家族(2018年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

[犯罪による絆]

 仕事の他に、軽犯罪とはいえ、万引きで潤いを保って行く一家が、このまま一体どうなるんだろう、と不安な思いのまま前半を観る。

 そして、後半、一気に捕まって、誰一人血の繋がりが
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秋刀魚の味(1962年製作の映画)

3.7

[娘の結婚という喪失]

  笠智衆、中村伸郎、北竜二の三人のやり取りがなかなか面白かった。いつも酒を飲んでおり、それが楽しそうで、かついでだます所も笑えてホントに仲が良いのだと思わせる。

 
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彼岸花(1958年製作の映画)

3.7

[同級で喪失を埋め合わせる]

 娘(有馬稲子)の結婚を自分で仕切ろうとする頑固な父親(佐分利信)を、母親(田中絹代)や娘の友人(山本富士子)が何とかなだめて工夫する所が面白かった。

 この時代
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東京家族(2012年製作の映画)

3.7

[「東京物語」への回答]

 なかなか良かった。

「東京物語」の焼き直しで、前観た時は、大筋がなぞっているだけのように思い、違和感があったが、それはもう分かっているのでほとんど感じなかった。
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家族はつらいよ(2016年製作の映画)

3.5

[ライトな「東京家族」]

  後には何か残るわけではないが、なかなか面白かった。芯はしっかりしているライトなコメディ。

 橋爪功(周造)、妻夫木聡(庄太)、蒼井優(憲子)らの役者陣が上手いので
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ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000年製作の映画)

3.8

[こちらに爪痕を残す映画]

凄まじかった。

 前に観ているので、筋は知っていた。でも、ビョークのセルマが工場で怪我するのではないかとハラハラし、自分が落ちるような証言を、発達障害ゆえの思い込み
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ダーティハリー(1971年製作の映画)

3.8

[現代の西部劇]

 クリント・イーストウッドの最大の当たり役だが、彼の魅力につきるだろう。

 犯人が、被疑者であっても人権が守られる、という事を利用する辺りが、正しくても同調できないが、次々
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許されざる者(1992年製作の映画)

4.0

[西部劇を終わらせた西部劇]

 なかなか素晴らしかった。 抒情的でもある。

 観るのはもう何回目かなので、良さそうに見えて実はそうでもない奴が何人も出て来ることは分っている。それでも話は二転三転
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ロゼッタ(1999年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

[ラストの彼女の表情]

 ラストのロゼッタ(エミリー・ドゥケンヌ)のあの表情は、どうなのかと思うが、彼女の表情を見るための映画と言ってもいいだろう。

 そして、ロゼッタの母は…。

 ラスト以
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イゴールの約束(1996年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

[ラストの告白が衝撃]

 あの告白はなかなか凄いものがあった。

 主人公はイゴール(ジェレミー・レニエ)。どうしようもない父親(オリビエ・グルメ)とは反対に、イゴールが告げる瞬間が、何とも辛く
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少年と自転車(2011年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

[死と再生]

 なかなか凄まじく、でも良かった。

 容赦しないし、告発するようでもあるし、でも少しばかりの希望もある。

 少年役のトマ・ドレのシリルが、大人を全く信じられず、自分の目で見た
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麦秋(1951年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

[家族の中の喪失]

 家族が揃っていても、やがてバラバラになり、別れの時が来るという、喪失の問題を描いている。そして、衝撃的な結婚も。

 原節子の紀子が、縁談を進めながら、別の幼馴染と結婚する
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晩春(1949年製作の映画)

4.0

[父と娘を巡る大きな喪失感]

 父である笠智衆の周吉が、再婚すると嘘をついて娘である原節子の紀子を結婚に踏み切らせようとする場面が圧巻。それを聞いた時の原節子の怒りの表情が、凄まじかった。

 
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ジャイアンツ(1956年製作の映画)

3.9

[石油で滅んでいく]

 ジェームズ・ディーンの遺作。ロック・ハドソンの牧場主とその妻のエリザベス・テーラー、そして石油によって崩壊していくジェームズ・ディーンの牧童らの生き様を描く。

 30年
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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.0

[娘への償い]

 父と娘の贖罪の物語。
 
 自分の仕事に頑固なあまり、モーガン・フリーマンのスクラップの目を守ってやれなかった、実の娘とうまくいかずに手紙さえ受け取って貰えない、その悔いを持
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エデンの東(1954年製作の映画)

4.0

[ジェームズ・ディーンの演技が素晴らしい]

  ジェーム・ズディーンの魅力によって、その甘い雰囲気のみならず、演技力が抜群という所が、何と言っても素晴らしい所だろう。

 彼の演じるキャル:カイ
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波止場(1954年製作の映画)

4.0

[エリア・カザンが撮った意味]

 さすがに、マーロン・ブランドは素晴らしい。その含んだような喋り方と後半に本当に戦う相手が分かって立ち向かっていくあたりの輝きが素晴らしい。エリア・カザンに演出に
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ミスティック・リバー(2003年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

[すれ違っていく運命]

 幼馴染の3人が、過去のトラウマを引きずりながら、大人になって再会。

 ショーン・ペンのジミーが、娘を殺されたその慟哭と、その復讐で犯した罪をこれからも背負い続けてい
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東京物語(1953年製作の映画)

4.5

[喪失感を描く傑作]

 誰にでも起こり得る、家族における喪失、それを描いていく。ここまで描けたということは、やはり、映画史に残る傑作だろう。

 そして、それを小津安二郎なりの静かな視点と、痛烈
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いつも2人で(1967年製作の映画)

3.4

[円熟のヘップバーン]

2時間で12年間はちょっと長いが、この時期のオードリー・ヘップバーンの最高傑作なのだろう。私生活での苦悩と喜びが映画にも反映されている。「ローマの休日」を越えるものは無い
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麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

3.9

[軽さもある最高のラスト]

 オードリー・ヘップバーンの美しさ、モノクロだが衣装の美しさ、ハンフリー・ボガートも、ウィリアム・ホールデンも一流の上手さ。軽いコメディだけれど、ビリー・ワイルダーな
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ゼロ・グラビティ(2013年製作の映画)

3.5

[宇宙での孤独感]

 考えてみれば出演者は2人だけ、サンドラ・ブロックほぼ一人と言ってもいい。それでよく90分引きつけたと。
 終わってみれば、あっけなくもあったが、ずっとハラハラした、かつ、宇
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