緑をバックに、赤と青が映える。
大切な人をしっかりと抱きしめる、そんな映画だった。
ここまで簡素に平和への解決を描けるのか。
そして可愛らしい。
「薔薇は薔薇になろうと望んでいる」
喜劇と悲劇の絵の具を混ぜ合わせ続けた者だけしか達することのできない色がある。
その色がこの映画だ。
この作品群をまとめて観られるのはうれしい。
科学的な発明だけでなく、美しさにもアプローチできるのがすごい。
「早く10歳になりたい」
作為と無作為、
大人らしさと子どもらしさの
境目で生のエネルギーがみなぎる。
めっちゃ愛しい映画。
性善説で生きているがゆえ、はまりきれないが、もの凄い映画。
映画自体が催眠的だ。
「太陽が輝いてる」
サイレントの喜劇王が、独裁者の声を手にしたとき、
この映画はフィクションを飛び越え、
われわれの心に確かなエネルギーを注ぐ。
瞳がとても真っ直ぐしている。
バスター・キートンに似ていてかっこいい。
そしてなんとも可愛らしい筆致。
夜の中を揺蕩う体験をともに味わう。
夜が作り出す影と移動が、主人公の人生と重なり合う。
アケルマンのような俯瞰する視点も心地よい。
この映画の「南国」は「パリ、テキサス」であり、「イグアスの滝」だ。
「フィーヤ!」
アナログな圧倒的数の運動が、映画的な歓びとなって押し寄せる。
人情噺も花を添える。