瞳がとても真っ直ぐしている。
バスター・キートンに似ていてかっこいい。
そしてなんとも可愛らしい筆致。
夜の中を揺蕩う体験をともに味わう。
夜が作り出す影と移動が、主人公の人生と重なり合う。
アケルマンのような俯瞰する視点も心地よい。
この映画の「南国」は「パリ、テキサス」であり、「イグアスの滝」だ。
「フィーヤ!」
アナログな圧倒的数の運動が、映画的な歓びとなって押し寄せる。
人情噺も花を添える。
「幸福は後で分るものです」
恋の練習曲を、トリュフォーが映画に塗り替える。
未熟なゆえの美しさがそこにはある。
「ルイ 街は君のものだ」
完成されつくした写真的美が
音楽とともにスイングし映像的美となる。
最良の瞬間はいつだって、映画的だ。
「夜明け前が1番暗い」
16mmフィルムの魔法で、何でもない風景が映画になる。
印象的な表情が幾度となくあった。
「人生は祭りだ」
秩序と現実を脱ぎ捨てて、
みんな一緒に手をつないで踊る快楽を味わう。
映画にはそれができる。
映画にしかそれはできない。
「われ発見せり」
エッフェル塔のみが固定され映し出される始まりから、
走り続けるドワネルだけが画面に固定され、景色が移ろうラストへ。
海に辿り着き、ドワネルは始まるのだろうか。