イワシさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

イワシ

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ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争(2023年製作の映画)

3.4

12枚目の写真に書き付けられた文章「カルネやデ・パルマの作品とは一線を画する」に感動。遺言でもあり予告編でもあるこの映画は、現在においてもカルネとデ・パルマをともに乗り越えるべき基準として未来に告げる>>続きを読む

世界の果てへの旅(1975年製作の映画)

3.5

お揃いの赤ニット帽が映画では初登場。気球の乗員と氷の上のアザラシとの切り返しのむちゃくちゃさが良い。

沈黙の世界(1956年製作の映画)

3.5

マッコウクジラのスクリュー事故の場面は完全にゴア映画。青い青い海に広がる血の赤さにビビる。ライフルによる安楽死で潮吹きの如く噴射する血とそれに引き寄せられ鯨の死骸を喰い散らかす鮫の群れ。その光景に怒り>>続きを読む

劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦(2024年製作の映画)

3.8

84分の切り詰められたランタイムをリアルタイム(アトラクション?)化する主観長回し。フラッシュバック、360°パン、再びの現在時まで貫く主観。因縁/連載の過去を振り切る時間の中で冒頭のパンダウンが反復>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 はむはむぱらだいちゅ! ハム太郎とふしぎのオニの絵本塔(2004年製作の映画)

3.6

犬役を演じるロコちゃんに触発されたハム太郎がロコちゃんの部屋から地下ハウスへ疾走するカット繋ぎの驚くべき速さ。あややムが書いた絵本の言葉を本人に伝えるハム太郎に前作のハムクック船長を重ねてしまう。

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムグランプリン オーロラ谷の奇跡 リボンちゃん危機一髪!(2003年製作の映画)

4.0

レースの声援とラストの祈りを接続する話運びに脱帽。ハム太郎への妨害行為は明確に声援/祈りの対極に位置する行為であるが故にハムクック船長はみずから退き餞の言葉を送る。この場面の画面分割はクライマックスの>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス(2002年製作の映画)

4.0

シェーラ姫の涙から始まり、サバクーニャからの逃走(水中から捉えた水面下に沈む車のカット!)、オルゴールに貯まるメエメエの涙、解決後の地下牢ダッシュなど落下/下降運動が描かれ続けたラストに涙を堪えるハム>>続きを読む

劇場版 とっとこハム太郎 ハムハムランド大冒険(2001年製作の映画)

4.4

クライマックスのハム太郎とロコちゃんとの再会。夜、雪、通過する電車の灯と細部だけ見れば三宅唱あたりを連想しそうだが、存在が放つ微細な震えをショットに捉える三宅と異なり、運動と感情の極点を描くためにそれ>>続きを読む

バンパイアの惑星(1965年製作の映画)

3.4

巨人の宇宙船に乗り込む場面が最高。あとやっぱり死体を包む透明のビニールか。起き上がり、風に靡いてバサバサする感じが良すぎ。

死体と遊ぶな子どもたち(1972年製作の映画)

2.5

1時間ぐらい小劇団の益体の無い話がずっーと続いてゾンビ登場。そこからの演出も特に秀でたものではなかったけど、階段に逃げたアラン・オームズビーが咄嗟に仲間を突き飛ばしてしまう場面は良かった。突き飛ばした>>続きを読む

悪魔の虚像/ドッペルゲンガー(1970年製作の映画)

3.8

面白かった。心電図の波形が二つに増えるというあまりにも直裁な分裂描写が良い。序盤でロジャー・ムーアが家中の灯を消す場面が、クライマックスの分身との対面シーンで分身が灯りを点けるかたちで変奏されるなど、>>続きを読む

ボーはおそれている(2023年製作の映画)

2.0

そりゃカフカの名前が出るよなーとなるラスト、個人的には『バード★シット』を連想。想定していたよりも規模の小さい爆発に少し笑う。

ツイステッド・ナーブ 密室の恐怖実験(1968年製作の映画)

3.7

面白かったが副題はフツーに嘘。ハイウェル・ベネットが安楽椅子を揺らして義父の写真をグシャグシャに潰している場面からいきなり不穏。ビリー・ホワイトロー殺害後の電話のシーン、縦構図とフレーム内フレームの使>>続きを読む

瞳をとじて(2023年製作の映画)

4.2

アナ・トレントが見つめるホセ・コロナドの足の裏。エスタブリッシングショットまたはフルショットによる空間の提示、着席からのバストショットの切り返しと躊躇なきクロースアップの挿入。着々と向き合う二人を撮り>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.1

栗田科学内部の構造とカメラ位置の良さ。縦構図に収まるデスクとガラス張りの休憩室の暗さと明るさ。日曜日に出勤した松村北斗と上白石萌音がある種の気ままさを発揮しながら別行動をとるとき、この構図がはじめて発>>続きを読む

ザ・ホール(2009年製作の映画)

3.8

穴を発見してからの恐怖演出が本当に怖い。ヘイリー・ベネットがトイレで怪異に見舞われる場面では泣き声に導かれ、ドアの隙間から小さな足と垂れた血を目撃した次の瞬間に停電、事態の不透明さがサスペンスとなる。>>続きを読む

Citizens Band(原題)(1977年製作の映画)

4.1

ラスト5分にボロボロに泣かされた。

電波のもつれを解こうと奔走するポール・ル・マットを主軸にした地方都市が舞台の群像劇。電波の混線が人々の出会いとなり混乱と騒動を生むが、解消されたときにカメラが捉え
>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

4.6

パフォーマンスが素晴らしいのは言うまでもないが、ともするとそれとは無関係なクリス・フランツやスティーヴ・スケールズの曲と曲の合間にみせる移動と跳躍を捉えたカメラと跳躍を発見し挿入した編集、最終的にそれ>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

3.6

冒頭からポール・ダノがライブ配信を開始するまでひたすら走る場面が続くが、配信直前に普段着のままだったことに気づいたダノが隣室から猫シャツと赤い鉢巻を取って戻るという往復の運動がこの映画の基本のリズム。>>続きを読む

ノスタルジア 4K修復版(1983年製作の映画)

4.5

回想の中のパトリツィア・テレーノと現在のドミツィアーノ・ジョルダーノのアクションつなぎのようなマッチカットに眼が冴える。ジョルダーノの金髪の翻りはほとんど『カリフォルニア・ドールズ』のローレン・ランド>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

3.3

再見。劇中の刑事が学生時代に作った映画は石井聰亙『シャッフル』っぽい。

13日の金曜日/ジェイソンの命日(1993年製作の映画)

3.5

特殊部隊に蜂の巣にされ爆殺されたジェイソンの首が真上に高く舞い上がるのが素晴らしい。実質『ヒドゥン』なジェイソン憑依、去られた身体の人体溶解や殴打の顔面陥没なども楽しい。照明が消えたダイナーに差し込む>>続きを読む

ランナウェイ/18才の標的(1986年製作の映画)

3.6

ヘロインが詰まった赤いダッフルバッグの取り違えをきっかけに兄夫婦殺害の容疑者となるアンソニー・マイケル・ホール主演の巻き込まれ型サスペンス。連続するアクション演出も良かったが、物語とは無関係な80年代>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

2.5

確かに『フランケンフッカー』と重なる点はあるが、「改良」されたクリストファー・アボットの姿がすげーつまんない。開頭も性器切断も無し。手術省略にしても『悪魔のはらわた』ぐらいのことはやってよ。ていうかあ>>続きを読む

カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

3.5

柳島克己の撮影はスナック内部を映したときが猛烈に良い。座るやくざたちと立ったままの齋藤潤が合唱部以上に調和している画面。「紅」の絶唱も古厩『さよならみどりちゃん』みたくワンカットで見たかったくらい。綾>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

チャップリン(犬)同伴の『モダン・タイムス』的エンディングなのに男女が並んで歩いてないのが最高。忘れ難いのは電話番号の書かれた紙を失くしたユッシ・ヴァタネンが再会を期待して映画館の前で待ちぼうけている>>続きを読む

ロードキラー(2001年製作の映画)

3.1

脚本J・J・エイブラムス。ハイウェイ沿いのモーテルのネオンや寂れた修理屋の風景がよかったけど、リーリー・ソビエスキーとの合流のために『激突!』的なサスペンスが中断されてしまうのが難点。トランクの中には>>続きを読む

ラウンダーズ(1998年製作の映画)

3.5

不本意な場所(状況)に留まり続ける人間がついにそこから抜け出す話を一貫して描くジョン・ダール。始まりと終わりの同じ場所、マット・デイモンとジョン・マルコヴィッチの同じような切り返し、そのなかで起きる表>>続きを読む

アンフォゲタブル(1996年製作の映画)

4.0

死者の記憶を転移させる薬物を使い妻の死の真相を探るレイ・リオッタが次々と倫理を踏み越えていく様子を逐一行動で見せていくのが超面白い。注射、ピッキング、脳髄液の採取と突き刺すことにまつわるサスペンスを積>>続きを読む

甘い毒(1994年製作の映画)

3.0

リンダ・フィオレンティーノではなくピーター・バーグの視点から描いたらもっとタイトなノワールになっただろうな。フィオレンティーノのさまざまな工作と機転と小技のきかせ方はジョン・ダールの映画だなーという感>>続きを読む

レッドロック/裏切りの銃弾(1992年製作の映画)

3.6

殺し屋と勘違いされ不用意に仕事を受けたニコラス・ケイジ。殺しの標的に警告したら、逆に依頼されまんまと前金をせしめ町から出るも人を轢いてしまい町に戻ると、事故の聴取に来た保安官は依頼人のJ・T・ウォルシ>>続きを読む

もういちど殺して(1989年製作の映画)

3.5

ジョン・ダール長編デビュー作。私立探偵のヴァル・キルマーに自身の偽装殺人を依頼をするジョアンヌ・ウォーリー。反復的なシチュエーションのなかで見られる差異(血液と牛乳など)を終盤で意図的に利用するキルマ>>続きを読む

ブレインダメージ(1987年製作の映画)

3.5

思ったよりアシッド映画。リック・ハーストがレストランから逃げた直後の長回しの横移動が良い。エルマーと呼ばれる寄生生物が分泌する麻薬物質の禁断症状にハーストが苦しむ場面は、エルマーのパペット感のせいかメ>>続きを読む

VHSテープを巻き戻せ!(2013年製作の映画)

3.3

冒頭の蚤の市で『タイタニック』2本組が最もよく売られてる発言にブックオフに通ってた頃の記憶をありありと蘇させられた。ビデオの山の中心に見えるラリー・コーエン『IT'S ALIVE』の文字に不意を打たれ>>続きを読む

ヴィオランタ(1977年製作の映画)

4.0

投げ放たれた銃のアクションつなぎの見事さとルー・カステルが受け取った銃から放たれた銃弾をものともせず高笑いしつづける女の幽霊(幻影?)。正しいつなぎとつなぎ間違いが平然と並べれ混乱するが、それはこの映>>続きを読む