カールハインツ・ベームがガラスを割ってアパートに殺到する警察に殺人カメラを向ける場面に泣ける。あきらかにギャング映画を模した編集とアクションが滑稽なまでに相対化してしまうカメラという装置。マキシン・オ>>続きを読む
製作ツイ・ハークの特徴が余りに色濃い人体発火、首胴体切断、銃の暴発損壊描写には笑うが、ジョニー・トーらしさが画面に満ちる瞬間には涙を誘われる。賄賂の札束を目の前で風に散らす場面の少年時代の遊びのような>>続きを読む
ロバート・ハロンの鋤を持つ手が少しずつ下がってゆき、ついに同じ鋤を持つリリアン・ギッシュの手に触れるその瞬間が素晴らしい。帽子のつばが触れ合いそうな距離での手の触れ合いはそれ以上の進展を見せず、ぎこち>>続きを読む
カタストロフを前にしながら互いだけを見つめるような男女といえばもはやギャレス・エドワーズお馴染みの演出だけど、個人的にはポール・W・S・アンダーソン『ポンペイ』のそれが圧倒的だったなと再確認するクライ>>続きを読む
グリフィス、1912年の短編。傑作。俯瞰のロングショットの多用と俯瞰視点の主の度重なる変更。レッドマンズ・ビューが最も感情移入できるか。騎兵隊には見透せなかったインディアンの赤ちゃんと白人が発見できた>>続きを読む
冒頭に起こる地震で唯一不動のまま椅子に腰掛ける内野聖陽は如何にして春画の如く身体を横たわらせ揺れ動くのか。扉、襖、階段、スマホなど縦長のフレーム内フレームあるいは縦構図は人物を直立させるが、北香那のみ>>続きを読む
タクシー/エレベーターが表象する水平/垂直方向に拡大する近代的都市空間。狭い空間で二人きりで口論を繰り返す男女はその時々で入れ替わり、一方が相手を狭い密室に押し込む形で決裂し決別する。だからこそ最後の>>続きを読む
ブリギット・ミラとエル・ヘディ・ベン・サレムが夫婦になった直後の場面、花束と花柄の傘というよく似た細部を分かち合うように寄り添う二人が素晴らしい。横溢するフレーム内フレームからも他者の視線からも解放さ>>続きを読む
再見。爆撃によって看板が外れた瞬間に吹き飛んだ結婚証明書に飛びつくハンナ・シグラへマッチカット。勢い良すぎて笑った。米兵が捨てた吸殻に群がる独兵など飛びつく運動が蔓延る戦後ドイツにおいて、飛びつかれる>>続きを読む
再見。それまでは舞台上での立ち位置が見えるような演劇的演出だったのに、クラウス・レーヴィッチュ扮する金持ちユダヤ人が登場した直後、アクションつなぎという映画的編集が炸裂する(ほぼ活劇!)。ダニエル・シ>>続きを読む
妊娠だけでなくプロポーズもハイジャックするジェイソン・ベイトマン。シラミ駆除モンタージュや写真立ての活かし方は非常に良いのだけど、イイ感じのボイスオーヴァーで丸く収めるにはやらかしたことがデカすぎない>>続きを読む
馬鹿馬鹿しいくらいロマコメのパロディばかり。プロポーズが成功する場面の背景でマイケル・シャノンが警官に顔面を撃たれてて意表を突かれた。
父娘という捜索者は『パリ、テキサス』を彷彿。ラストのペンギン夫婦についての台詞を踏まえるとハリー・ディーン・スタントンが異なる選択をしたら、とつい考える。「懺悔室」への侵入/脱出が映画の構造をさらりと>>続きを読む
ビルとビルの狭い隙間に投げ込まれる死体の垂直落下する光景を捉えた俯瞰ショットが吃驚するほど素晴らしかった。南博の回想録だが、池松壮亮ら別時間の人間が同空間に収まる変化球。脚本に濱口『ハッピーアワー』、>>続きを読む
療養場面での階段と杖にペキンパー『キラー・エリート』を連想。ショットガンのコツコツと杖のコツコツのリフレインは死に際の這いつくばる人間に歌いかける「I know it was the blood」の歌>>続きを読む
マイケル・ファスビンダーの殺人失敗後始末行脚ブラックコメディ。殺しそのものより事前準備と事後処理、移動と待機を編集で刈り込む118分。格闘よりも印象に残るのは数多あるゴミ(ポイ)捨て場面とケリー・オマ>>続きを読む
7/1恵文社一乗寺店にて鑑賞
落とすことと拾うこと、自動販売機は落下と上昇のセット、占い師と対面する名古屋愛を引きの画で捉えた時に窓のすぐ外を電車が走り抜ける、画面中央の少し上に位置する一本の木、画>>続きを読む
つまんない
エルトン・ジョン出しておきながらタロン・エガートンと同一画面に映さないとか神経疑うわ、と思ったら『ロケットマン』の方が後だったのでお詫びに+0.5
昏睡状態の超能力者による惨劇と聞くと『恐怖の魔力/メドゥーサ・タッチ』を連想するが、実際にメドゥーサの首が登場。何で飾ってあるのか分からない寮内の校長の写真もそれっぽく見える。トム・クルーズオーバーラ>>続きを読む
凱旋門を円周走行する自動車を盾にしたり轢かれたりしながらの銃撃戦と格闘はそこだけスラップスティック短編として独立させても十分楽しめる出来。逆に言うとドニー・イェンを除くそれ以外が冗長。『アラビアのロレ>>続きを読む
久々に観たけど『影なき狙撃者』的洗脳暗殺者映画だった。命令のインプットがビデオテープを腹の割れ目に突っ込む即物的で有無を言わせない方法なのが魅力。レスリー・カールソンの手にテープが出現する瞬間は西部劇>>続きを読む
毎年必ず出てくるマイケル・マンを模倣したガンアクションの一本だけど(人質をとったマーティーニを狙撃するところとかマジでまんま)『ヒート』そのまんまな銀行強盗と銃撃戦を冒頭に置き、そこから兄弟の逃亡劇の>>続きを読む
ベッドの上で身動ぎひとつしなかったベネディクト・カンバーバッチが最終的に飛び跳ね、直立し、ベン・キングスレーに毒づいたとき、その運動はそれまで語られていた蛇の動きを体現するように見える(シーゲル『テレ>>続きを読む
劇外のレイフ・ファインズと劇中のリチャード・アイオアディの声の重複。一種のボイスオーヴァーだが、それはネズミ取りとネズミの間にも起こり、人間/齧歯類の垣根はストップモーションによって動作的にも乗り越え>>続きを読む
アルトマン『バード★シット』を彷彿とさせるラストショットだが、類似はルパート・フレンドの姿勢のみ。線路に仰向けになったときに初めて現れる主観ショットは最初の上空の複葉機よりも足先の間に延びる線路と彼方>>続きを読む
完璧な目隠しを施されながらも障害を躱して颯爽と廊下を突き進むベン・キングスレーと慌ただしくカメラに振り向いては説明し先行者に驚愕してはまた説明するデヴ・パテルとただ追いかけるだけのリチャード・アイオア>>続きを読む
佐藤浩市と横浜流星のあいだで交わされたクロスカウンターが相手を変えて何度も反復されるように、心臓を患う佐藤浩市が服用するピルを摘む仕草もまた反復され変奏される。冒頭で肩に付いた桜の花びらがはらりと落ち>>続きを読む
外界遮断のヘッドホンが外部の介入で取り外されることと念を押すように食事場面の疎外感でアーチー・マデクウェとデヴィッド・ハーパーは深く関係を結ぶと予感させるが、ヘッドホン/イヤホンは予想以上に重要な細部>>続きを読む
記録映像の発見、修復、検証、番組製作、議論など、食人という扇情的な内容を見せるまでの過程が丁寧。個人的には行方不明の撮影隊を追うロバート・カーマンの捜索パートが好き。フィルムを持ち帰るため自棄になって>>続きを読む
再見。アンソニー・パーキンスがクローディア・ブライヤーの後頭部にシャベルを叩きつける場面が最高。ごく何気ない動作でシャベルを手に取って背後に回り、躊躇いなく悠然と振り下ろすまでのワンカット、テーブルに>>続きを読む
ラスティグ、コーエンの『マニアック・コップ』コンビの作品だが、警官を軍人に変えただけの焼き直し感が否めない。すべての演出が鈍くなっているが、全身が炎に包まれたティモシー・ボトムズが大砲を撃たれ、一直線>>続きを読む
電話帳からアトランダムに標的を決める連続殺人鬼のジャド・ネルソンとそれを追うレオ・ロッシとロバート・ロジアの新米ベテラン刑事コンビ。面白い。クライマックスにて尋常ではないほどあちこちの電話がなり続け、>>続きを読む
これは良かった。ジャン=マイケル・ヴィンセントの息子が間違いで誘拐され、本来の標的だった元マフィアの証人レオ・ロッシとバディを組んで奪還に向かう。殺し屋ランス・ヘリクセンのアジトの廃工場でのアクション>>続きを読む
フレッド・ウィリアムソンが自警の必要性を説くオープニングが素晴らしい。ジェームズ・レモはフェラーラ『天使の復讐』『処刑都市』のカメラマンであるだけにやはり夜の場面が格別。ロバート・フォスターの視点から>>続きを読む